「ネット時代の反論術」  仲正 昌樹

出版社ISBN初版定価(入手時)巻数
文春新書4-16-660531-32006.10.20730全1巻

正直言ってこの新書をどこで買ったのかも忘れてしまった。歳のせいだなどと言ってはいけない。
まあ、出張の途中どこかの駅か空港で暇つぶしに買ったのは間違いない。
著者がなにものかはぜんぜん知らないし、過去にこの方の本を読んだことはない・・・ということにしておこう。
内容は濃茶ほどのこくもなく、球磨焼酎のような深みもなく、一度読んだらゴミ箱行きという感じのどおってことのない本であって、お買いなさいなんて推薦するつもりはサラサラない。
しかしこれを読んで、おお!私が過去に考えてきたことそのままではないか、あるいはだれそれのスタイルそのまんまだな、と感じるところが多々あるので、本日はこれをネタに書く。

著者はネットの論争には多々あるが、まともなことを論じるには不適というか不自由なメディアであると語っている。
それは同感である。
quest.gif しかし、私はネットの論争というものが真理を追究することが目的なのか、あるいは主張することを目的とするのかという観点で見れば、論争する意味があり、論争しなければならないと考えている。
だから著者が語ることには同意ではあるが、著者はネットの論争の意味をちと取り違えているのではないかという気がする。

具体的に言う。
著者の考えからすれば、この「日本人よ誇りをもて」というホームページは存在意義さえないことになる。しかし私のホームページはサヨクの主義主張に対して「そりゃねーだろう」と反論することが目的なのであって、真理を追究しようとか、人生を語ろうなんて、これっぽっちも考えてはいない。
トップページにも大書しているが、笑いながら日本再生を考えるというのが基本的スタンスなのである。
だからネットの論争において、相手をギャフンといわせよう、コケにしようという観点で過去5年実践してきたつもりである。
そのような戦術を掲示板の議論掲示板考なんて形に過去まとめたこともある。

いずれにしても人さまざまであり、論争についてもいろいろな考えがあり、ホームページやブログの存在目的は多々あり、一概にこうあるべきだと断ずることはできないと思う。
と、レーゾンデートルという観点ではちと見解が異なるが、論争の手法というか戦術論については同意するところである。

ネットの論争の目的は論争の相手を説得することではなく、ギャラリーを説得することである。すべてと言い切れないかもしれないが、掲示板の議論の8割はこのカテゴリーに入ると思う。
man6.gif そもそもネットに限らず、論争で勝つということは不可能です。議論で勝ち負けがつくのは、正式なディベートのように審判がいる場合に限定されます。
国会討論において議論をして勝ち負けが存在すると思いますか? なものあるはずがありません。
新聞社がどう書こうが、国民がどう思うが、勝ち負けとは関係ありません。いやしくも政治家の主張の勝ち負けは具体的に実行して良かったか悪かったかではありませんか。
レトリックとか知識の豊富さで政治が動くようでは困ります。もちろん、政策を支持してもらうためにレトリックを駆使し、博学をひけらかし、相手を圧倒しようとするのはまた当然です。

勝ち負けではなく、議論によって相手を納得させるなんてことはむずかしい。会社の会議の結論は論理ではなく、職位によって決定される。そしてそれは悪いことではない。責任者が結果責任を負う限り決定権を持つのは理屈から言って当然なのだから。

さて、ネットにおいては有名人であろうと、無名であろうと、ハンドルネームであろうと人間みな平等である。だからなおのこと、特定の思想にガチガチに固まった人を説得するのは困難というか不可能に近い。
費用対効果の観点からも、一人を説得するのに何千字も打つのはロスそのものだ。だからネットの議論の目的が相手との真の論点、相違点を徹底的につめていくより、みなが関心をもってくれることについて重点的に言及し、一人でも自説に同意してくれる信者を増やすことになるのは必然である。
ネットの論争とはまさにそのために存在するのである。
だから自説を主張するためには、反対の主張がなければ議論が進まない。反対者がいなければ主張することができない(議論ではなく)ということはある意味矛盾である。 
よく釣りというが、わざと極端なことを書き込んで、掲示板に議論を巻き起こすきっかけを作る人がいるが、まさにこういった人がいないと困るのである。掲示板によっては裏掲示板があってそこで論者が筋書きを話し合い、表の掲示板で丁々発止の議論を展開し、大勢が固唾を呑んで見守るなんてのも過去にはあった。中にはギャラリーも裏掲示板の存在を知っていて、筋書きはともかく、論者がいかに面白おかしくそして興味津々な展開を広げることができるかということをウオッチしていたところさえあった。
掲示板からブログが主流となった今はどうなのだろうか?

さて、目的がそうであるから、相手の論理、見解を叩くというより、自分の論理、見解を信じてもらうためにえんえんと書き込む・・・まさにこれが現実のネットの論争の姿だと思う。
良くも悪くもそれが現実だろう。

しかし私が考える程度のことは皆さん考えているから、私のところへお便りを下さる方も、最初の論理が論破されると、次回は少しずらして書いてくる、そしてそれも論破されるとまた論点をずらして・・というのも多い。
私が困るかって? そんなことはありません。
論点がずれて私に有利になれば、新しい論点で議論を進めるし、不利ということはないにしても面倒になれば、論点をずらすのを止めましょうという。
論点をずらすなということは、観客に対して論敵がずるい人だというイメージを与えることができると思う。
おっと、私だけでなく、この本でもそう書いてある。
実際他の掲示板なども、そういったやりとりがあるとわたしも論点をずらした方が、その主義主張に関わらず卑怯なやつだという認識を持つ。

この本には自分が守るべきものがあれば「自分をいい人に見せる」議論展開をすべきだといい、守るべきものがなければ「自分の評判を気にせずに相手を叩くべき」という。
まさに同意である。
実を言って、そんなことは自明であり、過去より実践している。
社民党の落選した今川議員のホームページに馬耳西風という掲示板があった。
ここが私のネットデビューであり、同志の多くがここに集い決起したというまさに記念すべき掲示板である。
・・・なぜかサヨクの掲示板なのだが。

ookiri3.gif oosaki.gif wolf.gif ookiri4.gif oogo.gif
ここに集ったのは、相方、yuki様、憂国のK伍長、オオカミ少年、海の防人様などそうそうたるメンバーである。まさに松下村塾か桃園の誓かという感じであります。
あれからもう5年、ネット時代の5年は私の若い頃の15年くらいに匹敵するのではないだろうか?
北朝鮮に関してだけでも、不審船は撃沈され、拉致を認め、核実験をし・・・あっ、厄介者であることは今でも変わっていないわ 

ここにサヨクの論客が多々現れ、我々と議論を繰り返した。結果としてサヨクの送り込んだ論客はすべて論破され消え去り、最後には、相方やわたしたち仲間が社民党支持と批判に分かれてロールプレイをしたというひどい状況になってしまった。そしてとうとう今川議員も落選してホームページも霧散してしまったのである。

ともあれ、相手がストロングタイプでくれば、こちらも正統派スタイルで戦うのは当然である。
相手が悪役でくれば、これもまたはじめは正統派として論じるのも当然である。
しかし、相手が凶器攻撃をしかけてくれば、こちらも必要に応じて反則技を使うのはそれも当然である。

あるとき、長崎人という切れる方が我々がロールプレイしている馬事西風に現れて社民党支持の論を進めた。さっそく、相方とか海の酒盛りという方などからだいぶ叩かれた。はじめは双方ともストロングタイプだった。
いつのまにか私と長崎人の議論となり、長崎人反則技を繰り出してきた。最後に私はとっていた過去ログから、過去に相手が書きこんでいた失言や矛盾を拾い上げそれにコメントをつけてアップし続けた。まあ、酒でも飲まないとそんなアホなことができるわけがない。当時2ちゃんでもこの泥仕合が話題となり相方が心配してくれたほどである。これこそ「自分の評判を気にせずに相手を叩くべき」というあまり自慢にならない戦法だった。結局、長崎人は掲示板から去っていった。
繰り返す、私は真理を探究しようなどという崇高な理念を持ってネットにいるわけではない。
ウソを語る政党、国民をだまそうとする主張、捏造を語りつなぐウェブサイト、そのようなものに対しては恥も外聞も気にせずに、反論していくことを誓う。
それがこの存在意義なのだから
そして目的が達せられたときは、すみやかにネットから去り、好きなことをしたいと思う。
それも5年前から語っていることだが・・・
たった700円の冊子で私の5年間のネット人生を振り返り、初心を新たにした。
買った甲斐はあるというものだろう。


本日の誓い

日本が再生するまで
相方と共にタッグを組んでいきます。

tanu.JPG 相方のお写真です




たぬ公の相方様からお便りを頂きました(06.11.18)
買いかぶりすぎだって!?
相方! ずいぶんと私を持ち上げてますが、重すぎて腰を悪くしますよ!?(笑)
相方と出会えたことは、私にとって運命的なものと思っていますし、「桃園の誓い」ではありませんが、新宿にての4名での最初のオフ会などは今でも鮮明に脳裏に焼き付いております。
少し酔ってますので、何を書いているのか自分でも判らなくなってきましたが、これからもお互いに良き理解者で有りたいと思います。でもな〜〜〜・・・
相方は私をイジメるからな〜〜〜(爆)
それと、私の真の姿はたぬき(絵は痩せすぎ?)ではなく、今風に言えば「ハンカチ王子」でしょ!?絵を差し替えておいてね。じゃ!またね。

相方は酒に弱く、少し飲みすぎのようです。
放っておきましょう。
関わらない、関わらない


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