知らしむべからずよらしむべし 2004.06.27
北朝鮮に拉致(誘拐)されていて帰国した方が、最近やっと帰国できたそのご子息たちが日本のテレビを見て、そこに放送されている犯罪や風俗などに驚いていると朝のテレビで語っていた。
北朝鮮では報道はそれこそしっかり管理され、国家に抗する者、犯罪、あるいは菌将軍の道徳観念に背くものは絶対放送されていないことは容易に想像できる。
しかしね、時々テレビで放送される北朝鮮のテレビニュースのアナウンサーの絶叫にはあきれる。あれはアナウンサーというより宣教者とでもいうべきなのだろう。もちろん伝道しているのは主体思想に決まってるでしょう。
日本がああでなくて良かったねえ、関口君、古館君、
bany.gif 確かにいろいろな犯罪が起こると、やれテレビが悪いとか世間の風潮が・・・という声があるのが通例である。
でもチョット待ってくれ!そういうあなた方だって、毎晩、ミステリー番組で殺人事件を楽しみ、ちょっとエッチな番組を楽しんでいるのでは?
あるいは子どもにエッチ番組を見せてはいけないとか、暴力や殺人のシーンを見せてはいけないなどとのたまう。そんなお人だって、子どものときは『8時だよ』のチットダケヨを見ていただろうし、あるいは親の目を盗んで性に関する本を読んだりエッチな写真集を見ていたのではないか?
人間、大人になるためにはいろいろなことを知らなくてはならず、それは算数や理科だけでなく、性もあるし汚い人間関係もある。時として人間関係を学べなかった人は引きこもりとか山にこもったりする。 関係ないか 

偉大なる金日成様の主体思想で子供を教え育てている北朝鮮が理想の国という人はいるまい。
しかし北朝鮮はもちろん異常ではあるが、他方世界常識を教えてはいけないと信じて、世界の現実と歴史の真実を教えずに、ありえない理想を教え純粋無垢に子供を育て現実世界の荒波に放り出すことも非情なことではないか?
ここでの歴史の真実とは日本の戦争だけにとどまるものではなく、有史以来人間の4000年の生き様をいう。
大量虐殺、人種差別、圧制は近代や20世紀の産物ではないのだ。カインがアベルを殺したとき世界人口はなんと4分の1も減少したのだ。
woman7.gif 世界は善意と良心であふれ、悪や暴力を語ってはいけない、平和主義に帰依せよと叫ぶ新聞や教師、評論家は、実は非情な人たちなのである。憲法九条は真理であり神の声であると語ることは、現実を教えずに俗世間と隔離した温室で育てていることではないか?
大人になるということは汚い社会について知ることであり、それを知らなければ現実社会を生きていけないのである。それは辛いことかもしれないがしかたのないことなのだ。
ちと異なるかもしれないが、情報公開とは諸刃の剣である。
知らしむべからずよらしむべし、は江戸時代のお話ではない。
子どもに現実社会を教えないで温室の中で純粋培養することはつまりそういうことなのである。

頭の中で考えた理想を人間のあるべき姿として教えられ、汚いもの悪を遠ざけて育てられると、日本で言う平和主義者になる。語られる理想は決して現実には存在しないのだが・・・・

平和主義者の求めるものはなにか?
お教えしよう  それは実は平和ではないのである。
彼らは存在しないものを求めているのである。もちろんそれは永遠に手に入らないのだが・・・
青い鳥という小説がある。平和主義者と自称する人々はこれを読んだことはなさそうだ。読んでいるならその意味を理解していないことはまちがいない。
まず、行動様式から言えば何かを捜し求めるという行動そのものである。
今まで理想の国は数多く唱えられた。 man7.gif
北朝鮮は理想の国だ!
中国は理想の国だ!
ベトナムは理想の国だ!
コスタリカは理想の国だ!
少し前まではオーストラリアであったが最近ではニュージーランドが理想になっている。
へえ!理想って変わらないものと思っていたが、変わるものなんですね 
自分がどのようなことを理想と考え、その状態を築こうとするのが大人というものである。自分の思い描く理想がどこかにあると信じ、その思い込んだ国を称える、・・・更には自分で信じるだけでなく、大勢を惑わすようなことを大声で叫ぶ、その行動は大人とはいえない。もちろんそういうことを語っている新聞はまともな新聞とはいえない。
次にその思い描くものがまさに現実離れしているということ
現実の世界に理想はあるか?天国はあるか?考えてみれば子供でもわかる。
労働はしたくない、楽をしたい、長生きしたい、病気はいやよ・・・なんでも願うことはいい、それが実現するとでも思っているのか?
バカなことを語っているんじゃないなんていうヤジは少し待ってくれ

第一に人間が生物である限り、生存競争、食物連鎖、そして自然の掟の中で生きているということを体で理解しないといけない。人間は死体を食べて生きているという現実を体で納得しなければならない。人間は理想や神ではないのだ。
第二にそういう発想は自己中心的であり世の中を自分の物差しで測るというばかなことをすることになる。 それが引きこもりであり、犯罪のエネルギーになるのだろう。
理想の国を外国に求めるという価値観がいかに病的であり、非建設的であり、日本と日本人をだめにしているかという理屈ではなく現実がある。

平和主義者は決して歳をとらない。
すばらしいことだ!
土井さん小田さん筑紫さん、みな古希である。しかし、彼らの言葉は青年 いや少年少女のように純粋で理想にあふれ私たちの心に響く 
彼らは永遠に大人にならないピーターパンやティンクルベルなのである。
あなたは永遠の命を欲するか?
死とはなにか? 死とは生物が進化することにより得たものなのだそうだ。
地上に存在するほとんどの生物は死なないそうだ。エッと驚くことはない。私たちの目に見える生物は実は少数派なのである。地球の生物の多数派は数かぞえ切れない微生物であり、彼らは分裂して生きている。ゆえに不慮の事故以外では決して死ぬことはない。
進化によって手に入れたのは死とセットになった再生産である。
再生産には肉体だけでなく思想とか学問とか技能とかもある。自分が目指し達せなかったことを後輩に託するということはすばらしいことじゃないか?
後生畏るべしの意味は弟子の能力を怖れたのでも妬んだのでもなく、頼もしく誇りに思うことではなかろうか?
冒頭に問いへは 私は自分の分を究めるにはこの一生で十分です。
しかし、考えてみよう
悪を知らず理想のみを教えられて汚いものに触ることなく育つこと、悪を知り汚いものに触れて育つことのどちらがよろしいのであろうか?
赤毛のアンにこんな一節がある。
「結婚するなら、悪いことができない人より、悪いことができるけどしない人がいい」

本日のエクスキューズ(言い訳)

知らしむべからずよらしむべしというタイトルと関係ね〜んじゃないか?なんて言っちゃいけない。
この拙文を、知らしむべし導くべしと読み解けない方とは遊んであげません!

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本日はこれまで!