所見報告書公開 2007.07.08

いつもISO審査の質が悪いとか所見報告書が稚拙だと愚痴をこぼしているおばQである。
でも批判だけとかグチばかりでは建設的ではないし、みっともない。なによりも家内に嫌われてしまう。家内に嫌われることは一大事、今日の夕飯がないかもしれない。
ということで本日は積極的、建設的、ポジティブ、アグレッシブにISO復活への提言を行います。
全国の労働者・・いや違った、全国のISO関係者は私のアイデアにご賛同いただき、実現にご協力いただきたい。
それがISO再生につながると確信しています。

といっても簡単なことなんです。
ISO審査登録(認証)をした証拠は何かといいますと、登録証あるいは認証証です。入札などではISO認証している証拠としてこのコピーを提出します。あるいはホームページに掲載している会社も多いでしょう。登録証そのものを会社のエントランスやオフィスに掲げているところも多い。

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日本人よ誇りをもて
東京都千代田区丸の内

登録証
ISO14001:2004/JISQ14001:2004


登録範囲
ウェブサイトの設立・運営及びそれに関わる問い合わせなどに対する事務事業活動全般

登録番号 XXXX 登録日 200X.XX.XX
当審査機関が貴社の環境マネジメントシステムを審査した結果、適用規格に適合していることを確認しました。
発行日 200X.XX.XX


株式会社 腹黒審査機関
代表取締役 愛想船四百

私の提案は、そんなとき登録証だけでなく直近の審査所見報告書をアタッチしようということです。
入札のときには登録証だけでなく所見報告書の提出を求めましょう。
ホームページに登録証をアップするなら所見報告書もいっしょにアップしましょう。
実はそんなことを以前も書きました

何年か前になりますが、某雑誌で審査の指摘事項検討会という特集があった。(アイソス 04年12月号)
興味をもって読んだことを覚えている。その事例の中に、あきらかな法違反があったが、それについてあいまいな結論だった。その検討会の参加者に知り合いがいたので「ありゃ法違反だよ、あんな論議ではまずいのではないか」と聞きました。すると「そうなんだが、実際の議論と雑誌に載るのはずいぶん違う。編集されてマイルドになっている」とのこと。まあ、そんなもんでしょうね。でも法に関わることを厳密でなくマイルドにするのはまいるぞ。多くの人が読むのだから、中には書いてあることが正しいと思う人もいるかもしれないし、行政が読んで参加者を訴えるまではないだろうが抗議する事態になるかもしれない。そんなことを考えた。
ともかく私は審査の質、所見報告書の質が低いことは実感しているので、そういった議論は改善効果があるだろうから本気でやるべきと期待していました。しかしそれ以降、個々の指摘事例の検討はあっても、複数の審査機関が指摘事項を持ち寄って話し合うのをみたことがない。
うわさでは審査機関がそういう討論会に参加することを規制したとか聞く。何事も横並び意識の日本ではありそうなことだ。

その後、所見報告書とは守秘義務の対象ではないと知った。所見報告書の外部公開をどの審査機関も禁止はしていないようだ。ただ積極的に認めているところと消極的に認めているところがある。積極的、消極的なんては気分の問題に違いない。
しかし外部公開を認めているなら、それをまな板に乗せて議論することになにかまずいことがあるのだろうか?
審査機関から討論者が参加すると、所見報告書の稚拙さだけでなく、参加者の力量が低いことがばれてしまうことを怖れているのだろうか?
不合理なことをすると、何を言われても仕方がない 

審査機関から討論に出席することがまずいなら、世の中一般から我こそはという者が参加して議論すればよい。参加者の資格など問うことはない。参加者の発言でその力量は測られるだろう。その意味で参加者にはISO9001/14001、ISO17021(ガイド62・66)、ISO19011を熟知し、論理的な考えをすることが要求される。
資格ではなく力量である・・どこかで見たような気がする 

でもこの場合の問題は、議論する材料がないとならない。これは審査を受けた企業にご協力いただくほかない。だが審査を受けた組織が所見報告書の提供を拒む可能性もある。

私の提案は、つまりそういったことから考えて、審査機関がどう思うと、登録組織がなんと考えようと、一般社会が所見報告書を要求しようということです。 利害関係者が、認証しているということだけでなく、審査の結果どのような良い点悪い点があったのかを知ることは当然の権利である。認証していることに価値があるのではなく、審査でどのようなことがあったのかを知ることに価値があるのではないですか?
そもそも、ISO9001の第三者認証制度の起こりは、購入者が供給者の品質システムを監査する代わりに第三者がチェックを代行することであった。ISO14001においては真の依頼者があいまいであるが、環境問題においてはすべての人が利害関係者であって一般社会が(そしてその代表として任意の個人または団体が)審査結果の公表を求めることは理不尽ではない。
審査登録(認証)したという事実だけでなく所見報告書そのものを社会に公開すれば私のような遵法マニアは徹底的に読んでその評価結果をウェブにアップするかもしれない。
ISOマニアの中には規格適合を検証し、あるいは審査機関の判定を評価して公開する方もいるだろう。
そして読むところがない貧弱な所見報告書はなんと言われるかわからない 
すると社会一般の人々は、単に認証しているだけでなく、その会社の品質マネジメントシステムや環境マネジメントシステムがどのレベルにあるのか、有効なのか形式だけか、あるいはなんか変だから隠しているのかということもわかるかもしれない。
そして審査員の力量も審査機関の力量もわかる。
この指摘はあきらかに間違いだ。4.3.2の不適合にしているが4.4.6じゃないか、
これは法違反を見逃している。審査員はめくらか?
確認できなかったとか、見えなかったと書いているこの審査員は力量がない。
所見報告書には審査員の氏名も書いてありますから第三者としてCEARに異議申し立て登録取り消しを要求できるかもしれません。
判定委員会だって無縁じゃありませんよ。この日本語になっていない所見報告書を判定委員会は見のがしているのだからまともな判定委員じゃないという異議を申し立てる人もいるでしょう。

そういったことは審査の質向上、所見報告書の質向上をうながすはずだ。
そして日本の品質向上、環境管理向上に寄与すると確信する。
おお!これは単に第三者認証の質向上だけでなく、日本産業再生につながるのではないか!

何事においても、自由競争と情報公開は、質の悪いものを駆逐し社会の利益に貢献するだろうと確信する。
ISO関係者の皆さん、ぜひご協力をお願いいたします。
このアイデアに反対することは談合的体質かと・・・ 

ふっくん様からお便りを頂きました(07.07.10)
すばらしい
審査所見報告書公開!なんというすばらしい発想!感激です。
審査機関のHPに出してもいいですね。(出すかどうかは別問題)でも、うちの会社はこんなにすごいんだ〜って被審査側のHPに出すのかな・・・
これが実現して、審査がよくなることを期待したい。でも人間とは(良くも悪くも)悪知恵が働くのでまた何かその場しのぎのことを考えるのかなぁ。いやいや、悪く考えるのは止めましょう。

ふっくん様 いつもご指導ありがとうございます。
ISO9001とかISO14001というのは品質を良くしたり、環境を良くするものであるはずです。
当たり前ですよね?
しかし、現実には審査機関のご機嫌を伺い、審査員のおかしな規格解釈に合わせて、いらん文書を制定し、いらん記録を作り、そして品質も環境も良くならないなら壮大な無駄・・
記録を改竄するとか、手順書通りにしない建前と本音とか、違法になりそうなら目をつぶるとか・・そんなことでは悲しいです。
当たり前のことを当たり前にして、当たり前の社会を作る、そういったことがISOではないかと思います。


まきぞう様からお便りを頂きました(09.02.15)
こんにちは。いつも楽しく真剣に読んでいます。
審査所見を読もうについて、論じられている中でふと気付きました。当たり前すぎて取り立てて言及されてないのかもしれませんが、あえて質問します。
おばQ様は、さまざまな組織の事務局の方とお付き合いがあると思いますが、審査では、前年度の審査所見への対応状況を次年度の審査でチェック、または確認しないのでしょうか?それが普通なのでしょうか。
当社はスタート時よりJ休Aなのですが、今まで不適合の件以外は次年度に確認してくれたことはなかったのです。認証して1,2年は純真ですから、審査員のお言葉を改善の糧にしようと対応を考えていました。しかし、毎年の審査で、どこの工場でも、どこの部門でも、前年度審査への対応を確認してくれませんでした。
なぜなのでしょう。当初は「審査員が変わったから」とか、「他にも確認したいことがあるから」なのかな〜と思ってました。しかし、今考えなおすと、過去の審査でイイカゲンな所見を出したことを振り返りたくない、そしてそのために自分たちの問題点(力量不足・日本語能力不足など)を直視したくないからなのかと思えてきます。
組織内の内部監査でも、年間で2回もやれば、1回目の指摘への対応で苦労しているのを目にします。苦労していること自体も問題ですが、監査員の指摘文章も良くないのです。監査した以上、ちゃんとした処置がなされなければ、前回分がお遊びにしかならないので、その辺のやり取りで無駄な時間が費やされます。こういう流れになるのが審査員は嫌なのでしょうかね。
いずれにしても、審査所見を公開したり、皆で読むだけでなく、必ず次の審査で全項目を確認することになれば、まともな所見報告書になるでしょうし、組織側も今年度こそはまともな指摘をしてくれ、という気持ちになれるのでは、、、ないでしょうか。若造の愚考ですが、吟味していただければ幸いです。

まきぞう様 毎度ありがとうございます。
私が組織の事務局だった時も私にご相談されたみなさんも、不適合もアドバイスの類(認証機関によって呼称は異なる)も、次回審査でどう対応したかは確認されましたね。J休Aであっても前回の不適合の是正確認をしないケースをなかったように思います。
もっともJ休Aではありませんでしたが、明らかなジャッジミスがあり、ご相談を受けて私もいっしょにその認証機関に行って取り消してくださいといったことがあります。しかし処理が済んでしまったので不適合を取り消すことはできないといわれました。そのときは次回審査でどうなるのかと、片唾飲んで緊張しましたが、なんと前回の不適合(!)の是正処置をフォローせずに終わってしまい、あっけにとられたことがありました。
ということでまきぞう様のような経験はありません。
ところで内部監査でも審査でも不適合がないというのはおかしいように思います。もちろん完璧な会社もあるとは思いますが、完璧でない方が多いでしょう。
私は二者監査を行う立場ですが、内部監査でまったく問題ないという会社の8割に不適合を見つけています。他方、内部監査で不適合をたくさん見つけ、順守評価でも不適合を見つけている会社ではほとんど不適合を出していません。
誤字脱字とか文言不足なんていう不適合をたくさん出してもしょうがありませんが、実質的な問題は徹底的に洗い出すべきです。そして是正が大変だと考えるのではなく、是正によって仕事を楽にすると考えるべきでしょう。
よく規則通りにしていないとか、決裁者が部長になっているが課長が決裁していないなんて不適合があります。そんなもの規則を直したり、課長決裁にしたりすればみなハッピーになります。
法律違反には実質犯と形式犯に分けられます。実質犯とは殺人とか窃盗などのように実際に被害があり皆が迷惑する事件ですが、例えば廃棄物処理委託契約書の記載事項漏れのようなものは法に定まっていることをしていませんが、誰も被害を受けないもので形式犯といいます。
法で定まっているもは形式犯でも是正が必要です。しかし内部監査では形式犯のようなものを見つけた場合は、大いに会社のルールを見直して、マネジメントシステムを改善していくべきです。
無駄なことをしてはISOの神様の罰を受けてしまいます。


まきぞう様からお便りを頂きました(09.03.03)
負のスパイラル
先々週審査が行われました。予告通り土壌の件で質疑応答があり、つまらなかったです。当時のいきさつを社内資料で説明したに過ぎず、偶然別件で現地に行く用事があったからよいものを、これだけのために2時間と思うと、情けなくなります。事務局がいれば十分でした。しかもこの件はEMSで扱ってません、という?な回答に「わかりました」と答える審査員もどうかと思います。
トータルの審査結果も不適合無し。おぞましいことにここ数年不適合もらってないのです。また前回審査のコメントに対してもチェックなし。このままだと社内で審査自体がとことん舐められていきます。審査や認証が舐められるならまだしも順法や緊急事態対応まで舐められてしまうかも知れず、認証を継続することは会社にとってマイナスであると感じます。
負のスパイラルについてはおばQ様が言われるとおりと思います。脱事務局で、第三者認証だけでは何の意味も無いことに気付かされました。私に何ができるのか悩み所です。

まきぞう様 毎度ありがとうございます。
まきぞう様は言わずもがなでありましょうが、大変なことはたくさんありますね
EMSで扱っていないということ自体、「わかりました」と言えるようなものではありません。
そのような応酬ではEMSはバーチャルになってしまうばかりです。
経営に寄与するというなら、寄与することを実証してほしいですね。
とまきぞう様に申し上げてもお互いに顔を見合すばかり・・・
負のスパイラル、これにきわまれり

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