憲法84条 (2003.07.13)
「あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。」

えー、「租税」とは普段使わない言葉でございます。
昔、中学で「租庸調」(そようちょう)てえのを習いましたがあれと関係あるのでしょうか?
租庸調とは中国「隋」の時代に始まった税金の制度! 租は穀物で納める税。庸は労働力で納める税。調は各地の特産物などで支払う税。(中学教科書より)
後進国日本でもこの制度を輸入し運用しておりました。私の死んだじいさんは租庸調でお役人に収めていたと言ってました。 まさかね? 
法律の参考書をめくりますと、
「租税」とは狭義には国または地方公共団体が特別の給付に対する反対給付としてではなく、公的欲求を充足するための資金を獲得する目的で、法律の定めに基づいて私人に課する金銭給付をいう。これが通常我々が「租税」なる名のもとに観念している内容であり、各種の使用料、手数料、特許料、そして負担金と区別されるものである。
しかし本条でいう「租税」は狭義に限定されるものでなく、租税と実質的に同じくするもの、つまり公権力により一方的に賦課・徴収される金銭も含まれると解されている。
すると簡単に言えばやっぱり租庸調と同じでんな! 

なお、本条の法律には「条約」「条例」を含むと解されるそうであります。
もちろん法律でこと細かく規定することは困難なので場合によっては下位文書、すなわち施行令や規則のレベルまで落として運用されるものもあります。
いずれにしても法に基づかない税を課してはいけないよ!ということが本条の本旨なのであります。
収入印紙

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税といってもさまざまな種類がありまして例えば「印紙税」なんてのもあります。これを考えたのは昔のフランス人だそうでありまして、今ならまさに『ビジネスモデル特許』として、諸外国から印紙税システムの使用料を頂いて優雅な生活が送れたのに!と悔やんでいるのではないでしょうか 
ちなみに私が作った契約書で貼った印紙に消印を押さなかったのですが、これにはなんと罰金を科せられます! 
印紙税法第二十条  3項  第八条第一項の規定により印紙税を納付すべき課税文書の作成者が同条第二項の規定により印紙を消さなかつた場合には、当該印紙税の納税地の所轄税務署長は、当該課税文書の作成者から、当該消されていない印紙の額面金額に相当する金額の過怠税を徴収する。
私は必死にはんこを押しまくったのであります。
なお、印紙を消すとは消しゴムで消すのではなく、押印あるいはサインでもって使えなくすることを言います。
反対解釈っていいましょうか、言い換えれば
法に基づいた租税は憲法の本旨に則っており異議申し立てする根拠はないようです。

さあ、では消費税はどうでしょうか?
消費税は「消費税法」(昭和六十三年十二月三十日法律第百八号)に基づいて1989年から課税されました。けっして時の総理大臣の気まぐれとか、国税庁のひらめきだけで存在するわけではございません。
大多数の国会議員に支持されたということは大多数の国民に支持されたということでしょう。
社会党も消費税を認めたことをお忘れなく。
それらの政党は今も国民に選出されているのですから総体的に言えば国民は消費税支持といえるでしょう。

ところが今なお全国には「消費税をなくす○○の会」とか「悪税を拒否する会」「消費税反対キャンペーン」あるいは消費税反対を叫ぶ政党(正しく言えば泡沫政党)があります。
本屋でも「本体1000円+悪税50円」なんて笑いを狙っている本を見たことがあります。
消費税反対!と叫ぶ人たちは消費税がなくなればその分税負担が少なくなるとお考えなのでしょうか?

だとしたら幼稚としか言いようがありません!

私もお金を払うのは嫌いで入るのは好きです。でもね、毎日通る道路を作るのも治安を守る警察や救急・消防といった公共サービスの費用、あなたの子供が行く学校の先生の月給や教科書代も、日本を北朝鮮の悪人から守っている海上保安庁の船や保安官たちの費用も誰かが払わなければいけないのです。

それが税金と言うものでしょうが
税金とは決して拘置所の中の代議士やワークシエアリングしている代議士秘書に払うものではないのです。


私はサラリーマンです。毎月の月給から所得税他を天引きといいまして一定割合を引かれます。昔、消費税がなかったときは税額は大きかったのです。
消費税ができてから所得税は減りました。

所得税の税率構造の推移
昭和/平成
49年
59年
62年
63年
元年
7年
11年
住民税の最高税率(%)
18
18
18
16
15
15
13
住民税と合わせた最高税率(%)
93
88
78
76
65
65
50
(消費税は昭和63年施行でそこから税率が減っていることに注目)

さて、消費税を払わない、あるいは減らすならば、減らした分を誰が払うのでしょうか?
日本の税金の割合は図のようになっております。
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名古屋国税局より
下記注記に従い引用させていただきました。
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消費税を少なくすると他の税金を増やすことになります。
どれを減らしてどこを増やすのでしょうか?
いつも私は総量をとらえろと語っております。部分最適化は全体最適とならないかもしれませんよ。


ちなみに諸外国では消費税(付加価値税)はいかがなものでしょうか?
エッツ消費税が外国にあったなんて知らなかったなんて言っちゃいけませんよ。あなた方の大好きな中国にも韓国にもスウェーデンにだってあるんです。
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名古屋国税局より
れえ、日本より相当税率が高いですね!


今、国家財政が厳しいよう〜という悲鳴が聞こえてきます。国民一人当たり何百万という借金があるそうです。

じゃあどうするの?

消費税反対を叫ぶあなたはその代わりに所得税を増やすのでしょうか?
それはちょっとフェアじゃないようです。前に申しましたようにそんな方法は我々給与生活者が大変不利です。
エッツ防衛予算や社会福祉を減らすんですか?
 私はそれより前にしたほうがいいアイデアがありますよ。
まず、中国へのODAをやめて、国連負担金を払うのをやめることです。
(中国へのODAだけで海上自衛隊の維持費用と同じです)
なんで核開発とか宇宙開発をしている国に経済援助をする必要があるんですか?
なんで常任理事国より多額のお金を払う必要があるんですか?
アッ、また頭に血が上ってしまった 

何事もトータルで考えなくてはなりません。消費税を払いたくない、それはけっこうなお考えです。その場合は日本の国家財政をどう成り立たせるかのご提案をお願いします。
私、税金を上げるのを好みませんが、消費税を今より上げても所得税を下げていただいたほうがうれしいです・・・



とりあえず本日の結論としては


日本国憲法の条文には論理がとおっているものがあることが分かりました。
本条は存在意義を認めます。


消費税は憲法適合です。
消費税反対!なら財政再建のご提案をお願いします。
まず中国へのODAをやめましょう。



本日の私の主張に反論がある方は、源泉徴収票、青色申告、過去一年間の家計簿または諸費用などの資料を添付してください。
消費税の増減によるあなたの納税額をシミュレートしてみましょう。
添付資料のないものは却下!

疑問に思った人様からお便りを頂きました(08.08.14)
憲法84条について
こんにちは。少し疑問があったので質問させていただきます。
以前お書きになっている憲法84条についてです。
憲法84条は国民に課税する際には法律(条例以下略)の形式によらなければならない(国民が選んだ議員による合意がなければ課税を受けない)と定めたものに見えるのですが、サイト主さんはその結論で消費税は憲法で認められているという方向に持っていっておられます。
しかし、消費税という税形式が憲法で認められるかどうかの問題は、所得の差によってエンゲル係数等が高くなりすぎることで最低限文化的な生活が送れなくなるおそれがある憲法14条に反するかどうか(個人的には高くなりすぎなければ違反にはならないと考えている。)にポイントが置かれるのであって、憲法84条だけで「憲法が消費税を認めた」というふうにはならないと思うのですが、いかがお考えでしょうか。

疑問に思った人様 お便りありがとうございます。
まずお断りしておきますが、私は憲法とか法律なんぞ習ったことはございません。私が仕事としているISO的な読み方でどうか?という観点で書いております。それを踏まえてください。
第二点ですが、疑問に思った人様は14条と書かれていますが25条と思います。
さて、
 84条:税は法律で決めなくてはいけない
 59条1項:法律は国会の議決による
ということから演繹すれば、消費税は国会で議決されたのだから合憲だということにすぎません。
消費税が憲法25条と矛盾するとは私には思いもよりません。消費税という方法が憲法25条に反するなら、ガソリン税、たばこ、酒税その他昔の物品税も矛盾します。
いやその理屈なら、所得税を違憲だということも可能なようです。
最低限の生活を保証するといっても方法はいくつもあります。そもそも所得によって税制を考慮せよとは憲法に書いてありません。憲法は貧しくても国民が生きていけるように国が対応せよと言うだけであって、方法は決めていないのです。
疑問に思った人様がお書きになった 憲法84条だけで「憲法が消費税を認めた」というふうにはならない のではなく、もともと憲法はどこにも「消費税を禁止していない」のです。より正確に言えば、憲法は税制の枠組みを決めていません。
納税は国民の義務であり、それは所得が低い人には免除するとも書いてありません。いや国民の権利とすべきかもしれません。


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