憲法を読みましょう(その15) 2002.06.07
今の日本で「護憲!」「平和憲法を守ろう!」と叫ぶことは正義と考えれおられる方が多いようだ?

でもそれって、本当でしょうか?

まず、「憲法を守ろう!」ということが「憲法を遵守する」ということと同じ意味でないことは皆さんご存知のとおりです。

証拠? たくさんあります。
「憲法を守ろう!」を党是としている政党の幹事長が「天皇制をやめよう」と発言している事実!
少数派であるのに暴力に訴えて護憲を語る卑しさ!
憲法改正反対を唱えるのに「護憲」と表現する卑怯さ!

憲法を改正しようと唱える人たちが憲法違反をしているのだろうか?
憲法に定める手順により改正を唱えているのではなかろうか?
憲法改正派が顔を隠して暴力行為をしているだろうか?
そのような矛盾の指摘たくさんしました。
本日は「護憲論者の方々、目を覚ましてください。」というお願いをいたします。

ところで護憲と叫んでいる方々は、護憲主義の指導者が書かれたものでなく、憲法本文を何度くらいお読みになっていますか?
不肖、おばQは憲法を100回以上200回くらいは読み返し、本日もまた読み返しています。

護憲論者の方々、ぜひ、憲法を読みましょう。
ただ、憲法を正しく読むには作法があります。

いえ、お茶やお花のような流派とか手順は無用です。
ひたすら日本語を読むと言うことです。

憲法の条文以外、なにものもかたわらに置かないことです。
辞書、憲法の解説書、かなが振ってあるのもいけませんね、

  そしてひたすら憲法99条を読み返すことです。
   「憲法は103条だ」なんておっしゃる方、読んでないことがばれちゃいますよ!
  護憲を唱える方々、憲法を100回くらい読み返してください。


憲法分かりません? 決して解説書を見ないでくださいね、

日本語が分からないところがあります。
主語が分からないところがあります。
同じことを繰り返しているところがあります。
使っている言葉が条項によって意味が異なるところがあります。

なぜなんだろう?と感じませんか?
私ならもっとエレガントな文章に書くのに!と思いませんか?
何度読み返しても理解できないところがありませんか?
あなたはこの憲法がいっていることの意味が完全に理解できるでしょうか?
もし、完全に理解でき、不明な点はなかったとおっしゃる方がいたらぜひお便りください。
その時、私は頭が悪いからと思うことはありませんよ、
ふつうの日本人が理解できない文章は日本語じゃありません。
プラモデルの組み立て説明書、携帯電話の取扱説明書、テレビゲームの攻略本、みんな読者に間違いなく理解してもらえるようにと徹底して文章を考えて書いているのです。
いかに憲法に書かれている理念が正しいとお考えの方も「この日本語じゃどうしようもない!」と感じることでしょう。
その事実をまず認めるべきです。


憲法を神格化すべきではありません。

憲法はお経ではありません。

暗誦したり、ただ大事にしまっておけばよい宝物ではありません。

憲法は国家の基本法であるばかりではなく、日本人の行動規範であるのです。

読んでわけが分からない文章ならば、憲法たりえません。


聖書をお読みになっている方大勢いらっしゃるでしょう。
聖書を読んで、前後が矛盾しているところ、主語述語が不明確な箇所を見つけたことがありますか?
私は若い頃、教会に通いました。
新約は3冊読みつぶしました。旧約は1冊ですが・・
今だかって新約・旧約聖書で矛盾を見つけたことはありません。
主語述語が不明な箇所に出会ったこともありません。
卑しくも国家の最高文書である憲法ならば、素人が数回読んだだけで「こりゃ、呪文だ」と言われるような貧弱なものじゃいけません。

私は日本国憲法が粗末なことを日本人として恥ずかしいと思っています。

決して他国に誇るような格調あるものではありません。
まず、その事実を認識してください。

「たとえ、文章が格調がなくとも、その理念は格調高いのだ!」
そう思っていらっしゃる方々もいるでしょう。

先ほど申し上げたように100編くらい読み返してください。
きっとそのお考えは胡散するでしょう。

憲法分かりません?
残念ながら、日本国憲法は文章は格調がなく

記述している内容は主語述語が不明瞭 よって論理は不明確

あい矛盾している箇所もあるのです。




本日のまとめ


護憲派の方々、まず、憲法を読みましょう。

ただし、解説書も見ずに、辞書も使わずに、
  ただ無心に文字を読みましょう。
きっと、日本国憲法の実態を理解できるでしょう。

そして日本国憲法を決して理解できないでしょう。

改憲派の方もお読みになるのは大変結構なことです。





憲法を読めば変わるのか? 2002.06.08
昨日書いたことを早速否定してしまうんですが・・・・・・・

護憲論者が憲法を読めば覚醒するのか?と問われると、

  護憲論者は変わらないでしょう!

なぜなら普通の人は文章を読むときに、
この文章はこう言いたいんだと飲み込み、
行間を読もうとするのではないでしょうか?

キリスト教的に言えば、
行間に意味はなく、書かれた言葉のみが意味を持つ、
十戒というのをご存知でしょう?
神と人との契約ですが、これは絶対守らなければならないけれど、ここにないことは自由にしてよいのです。
    ご存じない方へ mose.gif
  1. 『あなたには、わたしをおいてほかに神があってはならない。』
  2. 『あなたはいかなる像も造ってはならない』
  3. 『あなたの神、主の名をみだりに唱えてはならない。』
  4. 『安息日を心に留め、働いちゃいかんよ。』
  5. 『あなたの父母を敬え』
  6. 『殺してはならない。』
  7. 『姦淫してはならない。』
  8. 『盗んではならない』
  9. 『隣人に関して偽証してはならない。』
  10. 『隣人の家を欲してはならない。隣人の妻、男女の奴隷、牛、ろばなど隣人のものを一切欲してはならない。』
ここに書いてあることをしちゃいけないんです。
でも書いてないことはしていいんです。
奴隷制もいいし、鯨肉を食ってもいいし、裸でいてもいいし、女性差別してもいいし、賭け事をしてもいいし、老人を敬わなくともよいのです。
痴漢は姦淫になるのかな? ちょっと分かりません。
詳しくは山本七平さんの著書をご参考に、


私の文章理解法と言うのはISO9000に関わってから変わりました。
私がISO9000というものに触れたのは1992年のことです。
会社で商売上の必要から『認証を取れ!』といわれてはじまりました。
初めは何もわからず、ただ私たちより先に認証取得した企業の真似をしておりました。

審査にこられた審査員(某審査機関のトップでした)が
「ISO規格というのは書いてある文字をそのまま読みなさい。それ以上でもそれ以下でもありません。」とおっしゃいました。
この方には都合2回しかお会いしたことがありません。
しかし、この方からお聞きした言葉は一語一句今でも覚えており、何かあるたびに参考になります。
審査員がみなそのような見識のある方ばかりではありません。
昨年お会いした方(別の審査機関です)とは規格解釈で議論になりました。
最後に彼は言いました。『私が言っているんだからそうしなさい。』
 失礼ながら私の方がその方より早くJRCAに登録していましたが・・・
もはやJAB(日本適合性認定協会)に訴えるしかなさそうです。
文章とは定義された一語一語を組み立ててひとつの意味を持ちます。
憲法のひとつの条項は、一語一語から組み立てられて、そしてひとつの命題を作り上げます。
形容詞や副詞を多くすると理解しにくくなります。
 その場合は定義を別途定めて本文を短くして、誤解を防ぐようにすべきです。

文章を書く人は常にこれが最善か、誤解されることはないか?、重複はないか?、冗長ではないか?と繰り返し繰り返しチェックし推敲しなければなりません。

同様に文章を読む人も、使われている一語一語の意味は何かを理解して、ひとつの文章を読み解くことが必要です。
ISO規格では定冠詞(a)があるかないかで大議論になるのです。
そして決して行間を読んじゃいけません。

実は、
私は毎日このように駄文を書いておりますが、「あなたは法律をちゃんと読んでいるのか?」というご指摘をいただきました。
はっきり申し上げます。
私はISO的に法律を読んでおります。
「○○をせよ!」とあれば絶対に(絶対にですよ!)「○○をしなくてはならない」と理解します。
しかし「文章に書いてないことはする必要がない」と理解します。
「○○をせよ!」とあるから「△△もするべきかな?」と考えている方は行間をお読みになっているのでしょう。
それは小説を読む作法かもしれませんが、ISO規格を読む作法ではありません。
法律はISO的読解法でないといかんと考えます。
そして法律はISO的読み方に耐えられるものでなければならないのです。

憲法のすべての条項は矛盾なく整合し、無駄な言葉はない、そしてすべての条項に重複はないものであるはずです。
残念ながら、現憲法はそのようなレベルに達しておりません。
でもだからこそ憲法をひたすら読めばその不具合を、矛盾を、改善の必要を感じるのではないかと思います。

しかしながら、ISO的読解法、いえ本当は文字解釈(文理解釈)といって法律を読む方法そのものでもあるのですが、を身に付けていないと、何百回憲法を読もうと憲法に対する認識は変わらないでしょうね、

残念ながら・・・



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主語は何か?(その16) 2002.06.16
憲法を何度も読み返しておりますが、文意が分かりにくいこというまでもありません。
なぜなのでしょうか?
あまりにも格調が高く、私のような無学な田舎者には理解しがたいのでしょうか?

『英語で憲法を読む』という本があります。
憲法を本当に読み取ろうとするなら安いですからぜひお買い求めください。
私、英語の力は中学生レベルですが、日本語より英語のほうが分かりやすいです。

なぜでしょうか?

その理由は簡単です。
主語・述語が明確で単語の意味さえ分かれば意味が理解できないとか、誤解する心配がありません。
一方、日本文(日本国憲法)には主語述語がはっきりしないので要するに意味が分からないのです。

日本国憲法が(あれこれ言おうと)GHQから命令された事実を考えれば、日本語で一生懸命読み、理解しようとするより、英文を読んで理解しようとしたほうが正道のようです。
ということは日本語で理解しようとすることは邪道か(^^)

まず、一番気になるのは主語ですね、
日本国憲法99条にセンテンスが私の数えるところ207ありました。(複文、重文を分けて数えた)
この207の文章の主語は明確でしょうか?
憲法の主語割合


センテンスの約半分は能動態で書かれ、一応主語があります。
約20%の文章は能動態ですが、主語が記されていません。
そして30%の文章は受動態で主語があり、なんと受動態で書かれながら主語のないものもわずかながらあります。
このような文章では読む人によって解釈が異なるのは当たり前でしょう。
受動態であるばあい、真の主語がなければならないでしょうし、形式上の主語さえなければ呪文じゃないですか?

法律を専門に勉強した方のみが憲法を理解できるとしたら、その故をもってこの憲法は欠陥品であると私は断じます。
だって、大多数の国民に理解できない憲法は国家の規範たるを得ませんもんね、
それに勉強した人だけが理解できるということは、憲法原文を理解したのではなく独特の解釈を覚えたということに過ぎないでしょう。
ISO規格では勉強しないと規格が理解できないなんてことはありません。
文章をそのまま読んだことがそのまま規定要求事項(requirement)なのです。
もし憲法を理解するのに○○先生の教えを受けないとならないというならば、
 それは○○先生の解釈を鵜呑みにするということと違いますか?
私は法律なんか勉強したことありません。
しかし、各種届出、手順など今までの経験で法律、施行令を日本語として読んで意味が分からなかったことありません。
だって法律ってそういうもんでしょう?

第二の問題ですが、
原文(英文)で使われている『shall』のニュアンスがまったく日本語版に出ていない!
『shall』って、神様あるいは絶対者が『おまえは○○するべし』と命令する表現です。

これはものすごい、絶対的な命令のニュアンスなのです。
逆らったら人間の罰ではなく、神の意向に反するくらいの重みです。

それが日本文では命令形を避けて
 奪ってはならない → 奪われない
 税金を納めなければならない → 納税の義務を負う(まあ、これくらいは許容範囲か?)
 自由を侵してはならない → 侵されない
となり、原文のニュアンスを弱くして意味不明の呪文としているのです。

ちなみに、ISO規格でも『shall』という単語はたくさん使われています。
日本語の翻訳では『すること』となっており、原文との意味の違いはそれほどなく、あまり誤解はされていません。
今はワードやエクセルがありますから、憲法の和文、英文の電子データをいじっていますといろいろなことに気がつきます。
言葉の検索や類似表現の抽出・比較などあっというまです。
原文の英文Aと英文Bは表現が同じだが、日本文A’と日本文B’の表現はまったく異なるとか能動態、受動態の違いがあるなんてすぐ見つかります。
そしてその違いが、日本語の文章としてより良くなったというより、より分かりにくくなっているような気がします。
暇があればセンテンスレベルじゃなくて単語レベルでその相違や矛盾をじっくり検討したいと思います。
だいぶ昔に聖書全文を電子データ化しコンピュータでさまざまな処理をして矛盾がないか分析されたという話を本で読んだことがあります。
もちろんその結果、まったく破綻がなかったとも聞きました。

憲法の解釈論議の前に、ぜひ一度憲法の文言に矛盾があるかどうかチェックすることをお勧めします。
もっともその時、コンピュータのそばにいるのは危険です。
日本国憲法をインプットされたコンピューターが爆発したり叫んだりするかもしれません(^^)
護憲とおっしゃる方々、
現憲法を本当に語義上間違いなく理解され、運用されるためにも、言葉の表現を全面的に見直さなくてはならないことに同意していただけますでしょうか?
もし、現状のままの呪文ですと、私は憲法の趣旨が誰にも理解されずに化石となってしまうのではないかと懸念いたします。

誰です? 『もともと誰も理解してないよ』 なんておっしゃる方は?



そこで本日のまとめ

正しく日本国憲法を理解するためには、英語版を正とし日本語版は参考用となければならない。
もしそれがいやなら、少なくとも表現だけでも全面的に見直さなくてはなりません。

それとも、
憲法に書いてある内容なんてどうでもよく、護憲!、護憲!と叫んでいればよいのでしょうか?



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