コンピュータ室運営日誌


1997年

11月中旬のできごと


シールペタペタの効果(11月11日)
リンクは不思議(11月12日)
子ども任せ(11月13日)
自主研修会のお手伝い(11月14日)
コンピュータを使う意味(11月15日)
サーバーの空き容量(11月16日)
見解の相違(11月18日)
時間がかかるわけ(11月20日)

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 シールペタペタの効果(11月11日)

 久しぶりにコンピュータの授業を行なったK先生から苦情を言われました。

K先生「授業が終わったので,教師用パソコンを終わらせようとしたら,コンピュータのスイッチのところに「さわらない」と書かれたシールが貼ってあったので,困ってしまいました。」

fuku「それは,コンピュータのスイッチじゃなくて,ディスプレイのスイッチじゃないですか? ディスプレイのスイッチは切る必要がないので,間違えて切ってしまわないようにシールを貼っておきました。」

K先生「???」

fuku「ディスプレイのスイッチを切っても,コンピュータを終わらせることはできません。児童用パソコンと同じように,本体のスイッチを押して電源を切ってください。」

K先生「他にもスイッチがあるのですか。本体なんて見あたらなかったけど...。」


 うーん,確かにそうです...。

 児童用パソコンは,ディスプレイの下に本体がありますが,教卓には,教師用パソコン,PC-SEMI,サーバーの3つのディスプレイ(モニタ)が並んでいるだけです。それぞれの本体は教卓の下にセットされているのです。

 しかし,その配置は,1年前の導入時から全く変わっていません。

 この1年間(正確には1年2ヶ月)K先生はいったいどのように授業を行なっていたのでしょうか。(苦笑)


 私たちの学校のシステムは,授業開始時に教師用パソコンからクラス名を入力することにより,ファイルをサーバー内で個別に管理できるようなっています。ですが,ファイルを作成しない授業ならば,教師用パソコンを起動させ,クラス名を入力する必要はありません。

 おそらくK先生はこれまで,学習指導用ソフトなど,保存作業を必要としないソフトばかり使っていて,教師用パソコンを起動させたことがなかったのでしょう。

 ですが,たとえそうだとしても,視線を少し下に向ければ,本体の存在に気づくはずです。「教師用パソコン」と明記したシールも貼ってあります。


 夏休みにペタペタ貼り付けたシールは,果たして役に立っているのでしょうか。




 リンクは不思議(11月12日)
       −2学期のパソコンクラブ−

 6時間目にパソコンクラブがありました。

 ホームページづくりに取り組んでいるのですが,先日ちょっとした操作ミスから,パソコンクラブのすべてのデータを消失してしまい,また一から作り始めています。今日はその2時間目です。

 大幅に予定が遅れることが心配されましたが,子どもたちにしてみれば,一度つくったものを再現するだけなので,それほど時間がかかる作業ではありませんでした。今日のクラブ終了時には,データを消失するまでの5時間分を取り戻し,さらに新しいページづくりに取りかかり始めた子どももいたほどでした。

 しかも当初の試行錯誤により山ほど作ってしまった不要なファイルが,きれいさっぱり消えて無くなったので,気分的にもすっきりしたようです。


 今日はリンクのはり方を紹介しました。使用しているソフトは「ネスケ3.0gold」なのでタグの知識は不要です。子どもたちにとってもそれほど難しい作業ではありません。

 例として,子どもたちの目の前で,パソコンクラブの表紙のページから個人ページにリンクをはって閲覧できるようにしてみたところ,子どもたちからは驚きの声があがりました。

 そうですよね。クリックするだけで別のページにとぶなんて,とても不思議なことです。

 あるいは,ごく簡単な操作で不思議なリンクがはれることに驚いたのかも知れません。(子どもたちがホームページを見るのは今日が初めてではありませんから)


 2年前,初めてホームページを見たとき,リンクの不思議さにとても驚いたことを思い出しました。





 子ども任せ(11月13日)

 先週から今週にかけて,2年生と3年生がコンピュータ室を積極的に利用しています。

 今朝も始業前に「キッドピクス」というお絵かきソフトを使って,2年生の子どもたちが作業をしていました。「親子で楽しむ会」の保護者宛の招待状を作っているのです。

 「親子で楽しむ会」は今週土曜日に開かれるので,保護者に渡すタイミングとしては,少々遅いような気もするのですが,学校からの正式な案内文書はすでに配布してあるので,まあ当日までに保護者に渡すことができれば良いのかも。

 招待することよりも,コンピュータで作った招待状をお父さんやお母さんに見てもらうことにこそ意味があるのでしょう。


 私たちの学校では,表現活動のツールとしてコンピュータを使いこなしていくことを本年度の目標として掲げています。単なる自己満足で終わらせることなく,見せることを目的とした活動を行っていただけることは,大変良い傾向だと思います。



 空き時間に,本年度から私たちの学校に赴任したパソコン初心者のM先生の授業が行われていたので,覗きに行ってみました。

 先々週までは私がお手伝いしてましたが,ワープロ,グラフ作成,描画など,授業でよく使うソフトウェアの操作練習が一通り終わったので,先週からはM先生が一人で授業を行なっています。今は調査した結果をグラフや図に表す授業を行なっているはずです。


 ドアをそーっと開けて,部屋の中を覗いてみたら,M先生の姿が見えません。

 そうじゃなくて,M先生自身も,児童用パソコンで子どもたちと同じように作業をしていました。


 部屋の中に入ると,私の姿を認めた何人かの子どもたちから呼び止められ,早速質問責めにあいました。

 一人の子どもがM先生に質問をしようとしましたが,コンピュータのことはY君かT君(パソコンクラブの子)に聞きなさいと追い返されていました。

 やはり,覗いてみてよかったのかも。

 それにしても,M先生の方針は徹底していますね。すべて子どもたち任せです。

 それでも,子どもたちは何とかやっているわけですから,すぐにやり方を教えてしまう私のクラスの子どもたちより,かえって伸び伸びやれるのかもしれません。


 私が顔を出せば,子どもたちは私に頼ろうとしますが,いなければいないで,それなりにやれているわけですから,M先生の指導方針もそれはそれで良いのかも知れません。




 自主研修会のお手伝い(11月14日)

 授業後,3年生の先生方の自主研修会のお手伝いをしました。

 各種機器の操作方法の紹介と3学期に予定しているH先生の研究授業についての相談を行いました。

 紹介した機器は,マイク,ビデオプロジェクタ,ビジュアルプレゼンター(OHC)などです。これらが使えなくても一応授業はできますが,使えるととても便利なものばかりです。

 ぜひ使っていただくよう以前からお薦めしていたのですが,「難しそうだから」とのことで3年生の先生方は敬遠していました。ですが,今回ついに「覚える決心をした」とのことです。

 3年生は初心者の方ばかりなので,何度も繰り返して丁寧に説明したのですが,いざ自分で使ってみようとしたときに使えるかどうかは疑問です。

 私がやって見せながら説明した後で,先生方に実際にやっていただこうとしたのですが,私が見ている前では,「何かテストされているみたいでやりづらい」と言われてしまいました。無様な姿を見られるのは嫌なので,こっそり練習したいとのことです。

 実際にやっていただいた方が断然早く覚わると思うのですが,それほど恥ずかしいのなら,まあ仕方がないです。


 研究授業の構想については,すでに夏休みの時点で大まかな内容は考えてあります。

 今日は,授業を行うにあたってどのソフトや機器を使えば良いかを確認し,それらのソフトや機器を効果的に使わせるためには,これからの2ヶ月間でどのような技能を先生と子どもたちが身につけておけばよいかを検討しました。


 たった1時間の「見せる授業」のために,半年以上もかけてこつこつ積み上げていくなんて,コンピュータで研究授業を行うことは,初心者の先生にとっては,とてもプレッシャーがかかることなのですね。




 コンピュータを使う意味(11月15日)

 再来週木曜日の公開授業に向けての準備を始めました。

 興味があることについて調査し,図表やグラフを用いながら発表する授業です。今日はまず各自のテーマを決め,調査項目を考えさせました。

 子どもたちが考えたテーマは,「将来の夢」「趣味」「遊び」「給食」「ペット」「習い事」「おやつ」「好きな科目嫌いな科目」「花」「好きなスポーツ」などで,全部で10のグループに分かれました。

 今後,アンケートを実施したり,インタビューをしたり,図書館で調べたりして,調査内容をまとめていきます。


 コンピュータを使ったプレゼンテーションは,1学期に行なった「ミニ新聞」で一度経験しています。

 そのときは,子どもたちは(私も),コンピュータで作品を作ったことに満足してしまい,内容も画面構成も聞き手を意識したものではありませんでした。

 2度目の今回は,自己満足で終わってしまわないように取り組ませていきたいです。

 そこで,子どもたちに要求したことは,

1 聞き手が問題意識を持つような考察を加えるなど,単なる調査結果の発表にならないようにする。
2 画面構成を工夫するなどして,伝えたいことが明確に伝わるように,コンピュータ室の機器ソフトを上手に活用する。


 の2点です。

 コンピュータは,「楽しくて不思議な箱」であるだけでなく,使い方しだいでは,「文房具よりも便利な道具」になりうることを再確認させたいです。




 サーバーの空き容量(11月16日)

 夕方から学校に出かけ,コンピュータ室で作業を行いました。H先生から相談を受けたトラブルを解決するためです。

 これまで何度か日誌に書いていますが,私たちの学校のシステムは,子どもたちが作ったファイルをサーバー内で個別に管理できます。そこでH先生が,社会科の学習を行うために,数十枚の画像ファイルを21の個別フォルダにコピーしようとしたところ,途中で保存が続行できなくなってしまったとのことでした。

 早速サーバーを調べてみたところ,H先生がコピーしようとした画像は1台あたり30メガ近くもあり(笑),そのため空き容量がほとんどなくなっていたのでした。(苦笑)

 このままではH先生が困るだけでなく,他のクラスの授業にも支障が生じます。

 初めは21台それぞれのパソコンのHDに30メガのファイルをコピーしようかとも思いましたが,夏休みに覚えたばかりのネットワークドライブを設定すればうまくいきそうなことに気づきました。

 具体的には,画像ファイルをサーバー内の任意のフォルダに保存し,アクセス権を読み取り可にしておき,クライアント側でそのフォルダをネットワークドライブに設定すればOKです。

 ただし,そうするとファイルの読み込み時と保存時で,ドライブを変更しなければならないので,子どもたちが混乱してしまうことが予想されますが,他に良い方法が思いつかないので仕方ありません。

 21台すべてのクライアントで作業を行わなければならないので少々面倒でしたが,これで500メガ以上のスペースを節約できました。


 今回の件で新たな問題を見つけてしまいました。

 今まであまり意識していませんでしたが,空き容量500メガというのは,個人レベルでは十分なサイズですが,教員・子ども合わせて700名近くを抱える私たちの学校では,それほど多いとは言えないのですね。

 サーバーのBドライブにはまだ1.5ギガの空きがありますが,個別フォルダとwwwrootは,おそらくAドライブにしか設定できない,というか,Bドライブに設定する方法が分からないので,コンピュータ室が今の調子で活用され続けるとかなりしんどい状況になりそうです。


 もう少しやっておきたいことがありましたが,日本vsイランが始まるので今日の作業はここまでにしました。





 見解の相違(11月18日)

 LAN環境での公開ですが,「パソコンクラブホームページ」をスタートさせました。

 とはいっても,ごく簡単なもので,トップページをつくり,そこから個人のページにリンクさせただけです。

 個人ページは,今月初めにすべてのデータを消失してしまい,先々週からまたゼロから作り始めているのであまりできていませんが,工事中のものも含めてすべて閲覧できるようにしました。

 今後「パソコンクラブホームページ」は,毎週のクラブの時間ごとに更新されていきます。誰もが閲覧できるように公開したことにより,子どもたちが今まで以上に意欲的に取り組んでくれれば良いのですが。



 昨年9月の導入以来,コンピュータ室の機器・ソフトの各種設定は,とにかく私の思い通りにやってきました。

 業者さんの基本設定を少しずつ改善しながら今日に至るわけですが,以前は,かなり大胆に変更しても,黙っていれば気づかれることもなく,ましてや文句を言われることなどなかったのですが,最近は,先生方が機器・ソフトの操作に慣れてきたため,良い方法を思いついても気軽に変更することができなくなってきました。

 今日手をつけようとした「ハイパーキューブ」(ワープロ,表計算,描画などの機能を持つ子ども向けソフト)の環境設定もその一つで,私は2つの点を変更したいと考えていたのですが,うっかりT先生に相談した結果,断念する羽目になってしまいました。

 一つは,ユーザーインターフェースの変更です。

 「ハイパーキューブ」にはメニュー形式が,「Windows形式」とキューブ独自の「キューブ形式」の2種類あり,いずれかを選択できるのですが,マニュアルが「キューブ方式」に準拠しているため,これまではデフォルトの「キューブ形式」にしていました。

 しかし「キューブ形式」のメニューは,”ウィンドウの切り替え”と”新規作成”と”履歴”の区別が付きにくいので,ウィンドウを切り替えたつもりなのに,新規作成の白紙の画面が表示されてしまうなど,子どもたちが困惑することも多いです。

 そこで,先生方が「ハイパーキューブ」の機能を一通り覚えたこの時期に,他のソフトと同じインターフェースを持つ「Windows形式」に変更しようと思い,T先生に相談したところ,「せっかく子どもたちが覚えたのにまた混乱してしまう」との理由で,強い反対にあってしまいました。


 もう一つは,画面の解像度の変更です。

 私たちの学校のシステムでは,アプリケーションごとに解像度を変更できるので,「ハイパーキューブ」の解像度をこれまでの640×480から800×600に変更しようと考えました。

 私たちの学校では,「ハイパーキューブ」の画面をそのままスクリーンに表示させてプレゼンテーションに使うことが多いので,一画面に表示できる情報量を多くしたいと考えたからです。

 そこで,この件もT先生に相談したところ,解像度を高くするとメニューボタンなどのサイズが小さくなってしまうことが気に入らないらしく,「子どもたちは大きなボタンの方が好きだ」との理由で強い反対にあってしまいました。

 私は逆にプレゼンに使う場合を考えると,メニューボタンなどはなるべく小さい方が良いと思ったのですが,見解の相違ですね。


 明日のクラブの時間も私は出張で不在です。




 時間がかかるわけ(11月20日)

 今週は,来週の公開授業に向けて,子どもたちは毎日コンピュータ室で作業を行っています。

 「将来の夢」「好きな遊び」「飼っているペット」など,興味があることについて調査し,図表やグラフを用いながら発表する授業を行うのですが,そのための資料づくりをしています。

 使用しているソフトは,子どもたちが最も使い慣れた「ハイパーキューブ」(子ども向け多機能ソフト)です。ワープロ,グラフ作成,描画など今回の作業に必要な技能は,すべて身についているので,今回は私はなるべく口出しせず見守ることにしました。

 当初は,資料づくりなど2時間程度でできないかと思っていたのですが,全グループが完成し終わるまでに結局4時間もかかってしまいました。

 子どもたちの作業の様子を見ていると,文章を入力したりグラフを作成したりする本来の作業よりも,グラフィック機能を利用してタイトルをデザイン文字にするとか,文章の横に挿し絵を挿入するとか,授業とは直接関係ない作業に熱中しています。

 お遊びをしているかというと,そういうわけでもなく,子どもたちは,凝ったタイトルやきれいな挿し絵を挿入することも大事な作業だと考えているのです。そのために2時間でできるはずの作業が4時間もかかってしまいました。


 1学期に取り組んだ「ミニ新聞づくり」では,内容も画面構成も聞き手を意識したものとは言えなかったので,今回は,作業を始めるにあたって,「伝えたいことが相手にはっきり伝わるように見やすい画面づくりをしよう」と話したのですが,子どもたちが考えた”見やすい画面づくり”とは,ピンク色の影付き文字のタイトルであったり,サッカー選手の挿し絵であったりしたわけです。


 そんな風に作業に熱中している子どもたちを見ていたら,必要なことのみを表現した素っ気ない画面よりも,子どもたちの個性がにじみ出ている「にぎやか画面」の方が良いかも知れないと思えてきました。

 にこにこしながら得意そうに話しかけてくる子どもたちに返した言葉は,

「きれいなタイトルがかけたね」
「とても楽しい画面になったね」

 でした。






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