TEXT:004:2013/10/06

R.I.P. ぼくとみんなのエグゼクティブ・プロデュサー


このテキストは、任天堂社員でもなく、任天堂の取引先でもなく、多大な寄付をした大学の人間でもない、お金をもらった側ではなく、多くのお金を支払ってまでプレイした側ではあるが、みんなを代表はしていない1ゲーマーとしての、多くの伝説的任天堂タイトルのエグゼクティブ・プロデューサーへの死を悼むテキストである。

ぼくらにとって、Yamauchi Hiroshi 氏は、第一に、任天堂を世界的企業に育てた社長ではなく、フォーブスに載る大富豪でもない。ある時期までの任天堂タイトルをクリアして、エンディングロールが流れていくと、最期にエグゼクティブ・プロデュサー、Hiroshi Yamauchi と表示される存在だ。

激戦ののちにクリアして、ほっとしつつ画面を視ていると、なんどその名前を見たことか。思わずあ、まただと、デジカメで撮って、後からなんで撮ったか悩む時も。

伝え聞くところによると、当人はほとんどゲームをしないのは知られているようだ。最もゲームをしないエグゼグティブ・プロデューサーが、もっとも多くの名作を世に出す、エグゼクティブ・プロデューサーということは、Hiroshi Yamauhchi氏 が喜びそうな事象だと思う。

自分が理解できないということを理解する強さを持った稀有な性質。ゲーマーが彼に感謝の言葉を端的に表すなら、昇進をありがとうでもなく、契約をありがとうでもなく、多額の寄付をありがとうでもない(むしろ小遣いをむしりとられた)

冒険を、希望を、感動を、そしてゲームする歓びを、生きる歓びを、ありがとう。Hiroshi Ymauchi氏、あなたがいなくなって、世界は少し退屈になってしまいそうです。任天堂100周年の時に、特別なことをしないことの理由を尋ねると「99と100とどう違うんですか」と言ったと言われるあなたはもういない。

でも「死と生も体験してみると大差なかった、死んでも生き返らないと誰が決めた」、とか言って、生き返ってくるのもアリですよ。あなたらしく独創的じゃないですか。
R.I.P. 任天堂エクゼクティブ・プロデューサー!

bitnik.jp:桜尚航生


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