審査員物語 番外編27 信頼性(その4)

16.08.22

*この物語はフィクションです。登場する人物や団体は実在するものと一切関係ありません。但しここで書いていることは、私自身が過去に実際に見聞した現実の出来事を基にしております。

審査員物語とは
山田を訪問した翌日である。増田と今猿そして陽子が大学のISO委員会の部屋で話し合っている。
いつものように皆の前にはコーヒーカップがある。おいしいコーヒーがあればひとりでに議論は活気づくというものだ。ひとりしかいなくても、自分の脳内で議論ができる。
コーヒーカップ
コーヒーカップ
コーヒージャグ

増田准教授
「結局、経産省が言い出した信頼性というものは、ISO認証をした企業で不祥事が起きたということでしかないようですね」
今猿さん
「まだそこまで論じる段階じゃないと思います。『信頼性とはなにか』ということについては、まず経産省に問い合わせるべきだと山田さんが語っていたと思いますが」
増田准教授
「そうだけど、今まで知り得たことを考え合わせるとそれ以外ないようだ」
三木の家内です
「ええっと増田先生のおっしゃることは信頼性が低下したということは、要するに実際に不祥事が増えたとか認証の効果がどうとかではなく、認証企業で不祥事があったからということですか?」
増田准教授
「私にはそうとしか思えない。まずISO認証企業において不祥事の件数が増加傾向にあるという証拠がない。ということでそもそも信頼性が低下したと言える根拠がない」
今猿さん
「信頼性がISO認証企業の不祥事と反比例するとは限らないでしょう。ええっと、つまり不祥事そのものが増えていなくても、マスコミの不祥事報道が増えたのかもしれません」
増田准教授
「それも調べた。マスコミが報道した環境事故や法違反は実際には変化がない。これは朝日新聞や読売新聞のデータベースを調べれば明白だ。ああ、環境不祥事全体についてもだが、ISO認証企業における環境不祥事についても同様だ」
三木の家内です
「増田先生、マスコミの報道で不祥事を起こした企業がISO認証していることに言及することが増えているかもしれませんよ」
増田准教授
「残念ながらそれもない。情報共有というか認識を合わせておきたい。まず『環境不祥事』というものを『顕在化した環境に関わる事故と法違反』と定義しよう。
私が調べた結果は次の通り
ひとつ、日本における環境不祥事は過去6年間増えも減りもしていない。
ひとつ、ISO認証企業における環境不祥事は過去6年間増えも減りもしていない。
ひとつ、マスコミが環境不祥事を起こした企業はISO認証していたと報道した件数は過去6年間増えも減りもしていない。
さあ、これらからどんなことが演繹されるだろうか?」
三木の家内です
「そいじゃ信頼性が低下してきたってことはまったくの嘘、嘘と言ってはまずければ事実と異なるということでしょう」
今猿さん
「なんだかワクワクしてきますね」
(ドラゴンボールの悟空のようだ)
なんだかオラ、ワクワクしてきたぞ
三木の家内です
「でも先生、不祥事が増えていないならなぜ突然信頼性が低下してきたと言い出したんでしょう。裏付けがなくてそんなことを言い出したわけがわかりません」
増田准教授
「三木さん、確かに環境不祥事が増えていませんから認証の信頼性が低下してきたということは言えません。しかし先ほど今猿さんがおっしゃったことですが、信頼性がISO認証企業の不祥事と反比例するとは限らないでしょう。つまり信頼性とは真の信頼とは関係ないことかもしれません。例えばISO認証件数が減少傾向になったのは信頼性が低下したのだと言い出したのかもしれません」
今猿さん
「ああそう言えばJABの講演会でのこと、経産省のなんて言ったかなあ〜、そうそう小野室長とか名乗った人が認証件数が減ってきたのは信頼性が低下したからだなんて言ってましたね(2009/6)。
もっとも東大の飯塚教授って人も信頼性が下がった下がったって言ってますが、彼はその理由を示さなかった。飯塚先生の発言は今年の春のJABの公開討論会でしたね(2009/3)」
三木の家内です
「ええっと、ちょっと待ってください。今年の、いや今のISO14001登録件数は・・
陽子はパソコンでJABにアクセスした。
ええっと今現在2万飛んで700件ですね(今は2009年である)。
昨年とほぼ同じか・・・・確かに昨年まで増加してきたけど止まったみたいですね」

ISO登録件数推移
矢印
この物語は2009年である。
今猿さん
「まだ減少してはいないのでしょう」
増田准教授
「とはいえ1997年から2008年まで増加してきて、2009年で増加が止まったら、今後増加するとは思えませんね。なにしろ先輩格のISO9001は2006年にピークになってから減る一方です」
今猿さん
「単純な疑問ですが・・・・登録件数の差分をもう一度差分というか微分すればはるか以前にマイナスになっていたはずですよね。ならばどうして今になって騒ぐのかという気がしますね」
増田准教授
「目ざといですね。実はそれはやってみました。登録件数を二度微分すると2003年からマイナスでした。2003年が変曲点ということです」
今猿さん
「ということは今より6年も前に、いつかは増加が止まりそれ以降は減少するということはわかっていたわけですね」
増田准教授
「そういうことです」
今猿さん
「さっき増田先生はISO認証件数が減少傾向になったから信頼性が低下したと言ったのかもしれないとおっしゃった」
増田准教授
「それは仮定の話です、仮定の・・・」
今猿さん
「もちろん存じています。しかしその理屈であるなら2003年に、今後いつか登録件数が減る、経産省流に言えば信頼性が低下するということが分かっていたはずですよね」
増田准教授
「そうなりますね。ただ・・・・2003年頃は登録件数がどんどんと伸びていたのでそんなことを気にしなかったのかもしれません」
今猿さん
「実は・・・・私がこんな商売を始めたのは前世紀からで、かれこれ10数年になります。当然いくつもの認証機関に知り合いがいます。ハハハハハ、正直言って認証したい企業を認証機関に斡旋して紹介料をもらうというのは私のビジネスであるわけです。そんな関係で審査員ではなく認証機関の営業マンにも知り合いはたくさんいます。
いつだったかははっきり覚えてませんが2000年を少し過ぎた頃、彼らに将来の登録件数の予測グラフなんてのを見せてもらいました。ゆくゆくISO認証件数は減るぞということは彼ら営業マンの共通認識でした」
増田准教授
「ホウ!そうだったのですか。じゃあ私が見つけたことなんて業界では既知のことだったのですね」
今猿さん
「そうです。その認識は営業マンレベルではなく認証機関共通の認識だったと思います。個人が作ったものでなく、将来の登録件数のデータやグラフの載った認証機関名の入った会議資料をいくつも拝見しました。JACB名の資料も見た記憶があります」

注: JACBとは(Japan Association of Management System Certification Bodies)日本マネジメントシステム認証機関協議会のこと
私はコンサルではないが、認証機関の鞍替えの売り込みに来た営業マンは、そういった資料を秘密ですがと言いながら見せてくれた。情報提供すると鞍替えする気になると思ったのだろうか?
増田准教授
「なるほど、そういったことは当たり前の認識だったのか」
今猿さん
「そりゃどんな商売でも市場というか客がいなくちゃ成り立ちません。市場を調べ戦略を考えるのがマーケティングです」
増田准教授
「というと経産省が今までそれを知らず、急に登録件数の伸びが止まったから気にしたということなんだろうか?」
今猿さん
「『産業構造審議会 新成長政策部会・サービス政策部会サービス合同小委員会』っていう長ったらしい名称のものをご存知でしょうか?」
増田准教授
「いえ、知りません」
今猿さん
「昨年2008年に、そこが認証ビジネスについての報告を出しています」
増田准教授
「どんな報告書でしょうか?」
今猿さん
増田准教授
「すみません結論はどんなことでしょうか?」
今猿さん
「第三者認証ビジネスという業界をとらえて、その現状規模の推定、ビジネスの今後の予測、そして規模が大きくはならないだろうという懸念が記載されていました」
増田准教授
「なるほど、ぜひそれを読みます」
今猿さん
「ええと話はその続きなのですが、産構審は経産省が所管する審議会ですから経産省の担当部署は当然登録件数の頭打ちも、将来あまり伸びないであろうことも十二分に知っていたはずです」
三木の家内です
「とはいえその報告は去年でしょう。認証の信頼性云々が言われたのはずっと前からだとおもいますが」
今猿さん
「確かに認証の信頼性が低下したと言われたのは数年前です。
しかし登録件数が減るということは何年も前に知っていたと思いますよ。先ほど申しましたようにJRCAつまり認証機関は2000年を過ぎたときには認証件数は頭打ちになり減少に移ることを認識しビジネスをどうするか頭を悩ましていましたからね。
あるいはその報告書そのものもそういった動向を反映したものかもしれません」
増田准教授
「コンサルをしている人たちもそう認識していたのでしょうか?」
今猿さん
「2000年を10年も過ぎてからもISO認証したいという企業はたくさんありました。今でさえISO認証しようとしている大学もあるわけで」
増田准教授
「ハハハハ、厳しいなあ〜、よほどこの大学が時代遅れ、流行おくれのようだ」
今猿さん
「正直言いまして仕事を頂けてありがたいことはありがたいですが、今2009年でしょう、今からISO認証しようなんて大学は周回遅れでしょうね、もう宣伝効果はありません」
増田准教授
「話を戻すとコンサルさんも2000年を過ぎてから仕事が減ったとか、先行きを心配するようになったのでしょうか?」
今猿さん
「おお話がそれてしまいましたね。それはもちろんです。ただそもそもISOコンサルなんて過去からあった仕事じゃありません。せいぜいここ15年でしょう、それにISOコンサル専業という方も少ないし、どんなビジネスも15年も続いたら御の字だという認識というか覚悟もあるのかなと思います」
増田准教授
「なるほど」
今猿さん
「今思いついたことがあるのですが、ますます話がそれてしまいますがよろしいですか」
増田准教授
「どうぞどうぞ」
今猿さん
「例の山田さんと1年ほど前に飲んだ時の話を思い出しました。
酒の上での話ですが、信頼性が低下してきたということが話題になったのは問題がなくなったから次の問題を見つけたということじゃないかと思うのです」
増田准教授
「問題がなくなったから新しい問題を見つけたと・・・」
今猿さん
「独裁政権、北朝鮮とか中国が内政の失敗から国民の目をそらすために敵が攻めてくると扇動するのは常とう手段でしょう。それと同じかなと思います」
三木の家内です
「ますますわかりませんが」
今猿さん
「アハハハハ、ISO認証制度の問題はいつの時代もありました。時代というほど歴史はありませんがね。
黎明期は審査員の態度が傲慢とかいろいろあったでしょう。2000年を過ぎた頃は審査員のタカリが問題になりました」
三木の家内です
「あっそれ聞いたことがあります。というか新聞で大分話題になりましたね」
増田准教授
「すみません、私は存じません。どういう問題ですか?」
今猿さん
「審査に行って豪華な食事を出されたとか高い酒をお土産にもらったとか」
増田准教授
「そういうことがあったのですか?」
今猿さん
「そんなことレアケースではなく日常茶飯事、どこでも見かけました。ISO認証が欲しい企業側が積極的に饗応したという事情もありました。もちろん審査員側が要求した事例も多々あります」
増田准教授
「なるほど。で今は?」
今猿さん
「あからさまなタカリはなくなりましたね。世間の目が厳しくなりまして、チクられたら大変ですから」
増田准教授
「ええと、そういう問題がなくなったから新たな問題を見つけたということになるのでしょうか?
しかしちょっと待ってください。なぜ問題を見つける必要があるのでしょうか? 北朝鮮、中国なら内政問題から国民の目をそらすために外敵が必要ってこともあるでしょうけど」
今猿さん
「いやいや、たとえ話ですから例えが見合っているかどうかわかりません。
いろいろな要素があると思います。そもそも第三者認証というのは以前話に出ましたけどISO/IAFの共同コミュニケがいう規格適合しているということの裏書でしかありません。
しかしいつしか企業を良くするとかパフォーマンスを上げる、利益につながると宣伝するようになりました。しかし認証しても結果はそうなりません。その事実を企業側が批判したこともありますが、認証制度側がその事実を認めることができず、認証の成果がでないのは企業が規格要求を満たしていないはずだ、規格要求を満たしていない企業が認証しているのは審査で嘘をついたからだと思い込んだのかもしれません」
増田准教授
「うーん、私は詳細を知りませんが今猿さんのおっしゃることを聞くとそうかなという気がします。でもそうだというならその証拠を知りたいですね」
今猿さん
「結局信頼性問題は科学というか論理ではなく社会現象だってことでしょう」
増田准教授
「でもどのような理由で認証の信頼性が低下していると考えるに至ったかは知りたいじゃないですか」
今猿さん
「社会現象というか、ある意味集団ヒステリーのようなものをいくら考えても筋道が見えないのではないでしょうか。それとも社会現象でもそのプロセスを研究したいということでしょうか?」
増田准教授
「ともかく今猿さんのお考えは理屈ではなく、そう思い込む、思い込みたいという状況にあったということですかね?」
今猿さん
「単なる思い付きですが、」
増田准教授
「どうぞどうぞ」
今猿さん
「ISO9001登録件数は減り始めましたしISO14001も今後減っていくでしょう。認証制度が先細りなのは事実です。ですから私自身も先行きに不安があります。認証機関もビジネスの先行きに不安があるでしょう。企業の目的は存続することだとドラッカーが言いましたね」
増田准教授
「わかります、それで」
今猿さん
「脅威があるとき人間のとる行動はその脅威に対抗する、脅威を減じる、脅威を避けるなどいろいろあると思います。しかし対策が思いつかないときは脅威を見ないふりするとか、脅威が自分のせいではないと思い込むようになるのかもしれません」
増田准教授
「今猿さんのお考えではISO認証ビジネスの凋落は認証制度の責任ではなく、企業が嘘をついてダメにしたと信じ込んだ、信じ込もうとしたということですか」
今猿さん
「いえいえ、私の思い付きだと申し上げたでしょう。
私個人のことを言えばですね、私は元々企業でISO担当していました。会社が左前になりリストラされる前にISOコンサルなら家族を養っていけるだろうと考えて独立しました。幸い10数年なんとかやってきました。ISO認証というビジネスはこれからシュリンクしていくでしょうが、あと10年はやっていけるでしょう。そのとき私は60歳、年金はまだですが一般サラリーマンのことを思えば悲劇でもないでしょう」
増田准教授
「個人の場合、なんとか個々に対応できるだろうけど、認証機関としては余命10年と言われると大変だということですか」
今猿さん
「いえいえ、すべては私の想像ですよ」
三木の家内です
「仮にそうだとすると、スケープゴートというか悪役にされた企業は冤罪そのもの、納得できませんね」
今猿さん
「でもね、悪いことをしていない人が冤罪に陥れられたとして、気分は悪いでしょうし冤罪を晴らすのは大変でしょうけど、自分の罪に絶望するとか自分が価値のない人間だと思うはずはありません。
ISO認証の信頼性が低下したのは企業が悪いからだと言われても、何も悪いことをしていない、調べられても困らないと考えればなにも困りません。いやISO認証を止める機会だと思えばハッピーでしかありません」
増田准教授
「ということはISO認証の信頼性など集団ヒステリーで研究の対象にはならないということですか?」
今猿さん
「いえいえ、なにごとでも考えることは重要ですし、私も審査で嘘がまかり通っているなんてことを言われているわけですから心中穏やかではありません。だって私がまともな仕事をしていないということですからね。
ただ、誰か知りませんが権力闘争なのか責任転嫁なのかあるいは愉快犯なのかラクダが砂に頭を突っ込んだのか定かではありませんが、ISO認証の信頼性が低下しているとか、審査で企業は嘘をついていると言われたところで、相手するのはバカバカしいということです」
増田准教授
「バカバカしいと言われても・・・」
今猿さん
「主張に根拠があり論理的であるなら議論する意味はあるでしょう。しかし信頼性の定義もなく、根拠もなく、雰囲気を語っているなら議論になりません。
ポール・ニューマンの身長は嘘だったかどうかは真偽を突き止めることはできますが、ポール・ニューマンはカッコイイという論は否定することも肯定することも不可能です。それは単なる感情であり論理ではありません」

注: ポール・ニューマンの身長は180センチと公表されていたが、過去から疑義が呈されていた。晩年本人は170以下だと発言した。このお話の直前の2008年に没して、本当の身長はどうだったのかと話題になった。定かではないが168くらいらしい。とはいえ身長がいくらであっても彼の映画の価値は変わらない。
ポール・ニューマンの身長の裏を取っていたら、身長の低い俳優は多い。ハンフリー・ボガードは169センチ、ブルース・リーは163センチ、ダニエル・ラドクリフは161センチ、トム・クルーズは163か165らしい。それじゃ俺は西部のガンマンも探偵も空手の達人も魔法使いも無敵のパイロットも演じることができるってわけだ。
ちなみに私がはたちの時168で67歳の今167である。実は退職時は164まで縮んでいたが、定年してからフィットネスクラブのおかげで元に戻った。
増田准教授
「しかし認証の信頼性が低下したと言い出したのは経産省だよ」
今猿さん
「ああそれはもちろんです。ただ経産省は因果関係を言ってませんでした。そう言われた認証制度は、その責任は俺たちじゃない、企業にあるのだと言ったのだと思います。
やはり我々は言い出した経産省に『認証の信頼性とは何か』それは『どのような指標で表すのか』ということを確認し、それが事実か否かをはっきりさせなくてはなりません。
ともかく我々が今まで調べた限りでそのような結論に至る証拠はなかったということです」
三木の家内です
「今まで信頼性についての発言や雑誌記事について調べましたが、証拠、指標を示したものは一つもありませんでした。せいぜいが先ほど今猿さんのおっしゃった登録件数が減ってきたのは信頼性が低下したからだという論だけです」
増田准教授
「うーん、経産省の所管部署にインタビューに行かなくてはならないですね」
今猿さん
「でも今までの話では行くまでもないようですね」
増田准教授
「認証の信頼性など研究に値しないということですか」
今猿さん
「そうではなく、増田先生のような環境問題の研究者ではなく心理学とか政治学の先生の担当でしょう」
増田准教授
「うーん、確かになあ〜
認証件数が減ったから信頼性が低下したのか、信頼性低下したから認証件数が減ったのか、そのへんもわかりませんが、ともかくその理屈ですと信頼性を上げるのは認証件数を上げることとなっておかしなことですね」
今猿さん
「売り上げと利益ならわかりますが、信頼性と認証件数ではねえ〜
論文にならなくちゃ今までしたことは徒労ですね」
三木の家内です
「増田先生、それが結論なら私はいよいよお払い箱ですね」

JABも経産省も主婦連も、ISO認証の信頼性が低下したのは企業が審査で嘘をついたからだと言った。この仕事をまじめにしてきた私は烈火のごとく怒り狂った。しかし私も現役引退して4年が経った。ISOの信頼性が低下しているという論は単なる屁理屈であり、まじめに相手することはないと思えるようになった。客観視できるようになったというよりも、環境ともISOとも離れた日常を過ごした結果、ISOなどまったく無意味、無価値で現実社会に影響がないと認識するに至ったと言ってもよい。
おっと、ならば私は今こそISO批判ができるというものだ
しかしそうは言っても、そんなことを言いだした裏にどのような理由があったかわからない。私個人は認証制度つまりJABやJACBのメンバーが、認証ビジネスが斜陽化していることを認めることができず、俺たちは悪くない、悪いのは企業だと信じ込んだからではないかと思っている。
いずれにしろ私が調べた限りでは認証の効果が低下したという証拠は見つからなかった。もちろん認証したことによって環境管理が向上したという証拠も見つからなかった。
異議ある方はぜひ反論していただきたい。ただ「俺はこう思う」では議論にならないので、「こういうデータから私はこう考える」と言ってほしい。
飯塚先生から公開質問状などを頂けたら最高だな。信頼性云々が議論されていた2010年頃、私は彼にこの問題についてお話を伺いたいと何度かメールをしたのだがご返事は頂けなかった。
実は4年ほど前、外堀通り神楽坂の交差点でばったりとこの飯塚先生とすれちがったことがある。あのとき、声をかければよかったと・・後悔先に立たず

うそ800 本日の疑問
まず主婦連がなぜ「ISO認証企業は私たちの信頼を裏切った」と語ったのか私は理解できない。
注:主婦連事務局長 佐野真理子、2010/2/23、JAB環境ISO大会講演での発言
というのは主婦連は「ISO認証企業は信頼できる」とか「ISO認証企業から買いましょう」なんて言ったことがない。

それでは「ISO認証企業は私たちの信頼を裏切った」というのは理屈に合わない。なぜなら信用している人を裏切ることはありえるが、信用していない人を裏切ることはそもそもありえない。
もうひとつの疑問は、あれだけISO認証の信頼性が低下したと騒いだにもかかわらず、その後JABも経産省も主婦連も、信頼性が今どうなのか全く問題にしていないことだ。信頼性の推移をJABや経産省は世間に対して報告する義務があるだろう。ちなみに2016年現在も、ISO認証の信頼性は低下したという発言を聞く。信頼性が低下したままなら彼らはなにも努力していないということだ。
そういうことを考え合わせると、ISO認証の信頼性が低下したという発言は、なにか政治的な交渉に使われたというか、誰かの立場を強化するための口実ではなかったのかと思う。
ところで「誰か」とは誰なんでしょうかねえ〜



外資社員様からお便りを頂きました(2016.08.24)
ご無沙汰しております。 外資社員です。
主婦連の信頼性のお話を伺って、こんなページがあったのを思い出しました。
http://www.jab.or.jp/accreditation/system/
まぁ素敵、JAB博士と適子さんですって!!!!
一般の人にも親しみやすいようにと考えて、こんなページを作ったのでしょうね。
ここを読んで、なるほどと思う点もあるのですが、何か不思議な点もありました。
「判断する拠り所があると良い」なるほど、その通りなのです。
主語などを文脈から補えば「消費者が購入に辺り」なのだと思います。
もしそうだとすると、「ISO認証が消費者が購入する場合の判断の拠り所」になるという事が前提になっているのだと思います。
言い方は違うのですが、その後に「"ISO 9001"は品質、"ISO 14001"は環境に対する企業の取り組みを判断する拠り所になるものです。」と書いてあります。 少し食い違いがあるのは、「消費者の判断基準」=「(品質と環境への)企業の取り組み」が前提になっている点です。

このページの文章の巧みな所は、主語が省略されている点です。
その次に「すばやい改善で信頼を回復し、その後の信頼性向上につなげる活動を進める事もできます」と書いてあります。
文章の流れから主語を補えば、「企業は」なのでしょうね。
信頼を回復するという事は、信頼が無かったという前提なのでしょう。
更に条件節を補えば「認証をしていない時は」という条件が暗示されますが、どういう状態が信頼が無いかは書いていないのです。

最期に「信頼できるしくみがあるか、あなたに代わって確かめます」とあります。
これも主語が省略されているので、主語は「認証機関は」なのでしょうね。 でも書いていません。

次のページには、もっと興味深い事が書かれています。
「利用する側も「認証」を確かめることで、信頼できる製品やサービスを提供してくれる企業を、簡単に見つけることができるようになるわけです。」 まぁ、なんと素晴らしい仕組みでしょう。
という事は、消費者の信頼=認証だと暗示しておりますね。

さて、ここで主婦連の信頼のお話に戻ります。 今までのロジックで考えると「消費者の信頼=認証」が正しいとすれば、主婦連のお話もツジツマが合います。つまり、認証を取り消される企業は消費者の信頼も無くなるという訳です。
もちろん、その前提条件として、「消費者の判断基準」=「企業の(品質や環境への)取り組み」が正しい事と、 かつ 消費者の信頼=認証という事も必要なのだと思います。
この部分は暗示されているだけで明記されていないので、私のような天邪鬼は納得できないものを感じたのです。

外資社員様 毎度ご指導ありがとうございます。
JABもいろいろと工夫しているのですね、2ちゃんなら「乙」というところでしょうか。
  2ちゃんで「乙」とは「しゃれていること」ではなく「お疲れ」という意味です。
消費者の信頼=認証かですが
外資社員様は「主婦連のお話もつじつまがあう」とおっしゃいますが、その前提として主婦連が「ISO認証した会社の製品は信頼しろ」と言わなければならないと思います。実際に過去そのような発言、広報はありませんでした。
だからISO認証が問題になったのを見て「信頼を裏切られた!」と叫ぶのは筋違いかと思いました。もっともコンニャクで窒息スルゾーと騒いだレベルですから、そのようなお門違いもしょうがないのかもしれません。
ちなみに主婦連がコンニャクで窒息すると大騒ぎしましたが、実際には、もち、団子、寿司、パン、ご飯の順でコンニャク、コンニャクゼリーはズーと下位にあります。私たちは餅もご飯もパンも食べずに餓死するほかありません。
ともかくISO認証は消費者の信頼を得る以前に、周知されていません。まあ、だからこそこのような広報活動をしているのでしょうけど。
ただ企業間取引においてさえISO認証は刺身のツマ程度なのです。一般消費者がISO認証を参考に商品を選ぶという時代は来ないように思います。

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