*この物語はフィクションです。登場する人物や団体は実在するものと一切関係ありません。
但し引用文献や書籍名はすべて実在のものです。民明書房からの引用はありません。
1924年1月 ![]() 今年、ドロシーはもう一つ生み出そうとしている。それは第三者認証制度である。だが育児に明け暮れ新潟から動くことがままならず、心中かなり焦っている。 気はもめるが、自分は動けずやきもきするだけ、どうしたらいいだろう。 同じ頃、伊丹は宇佐美の猛攻撃を受けていた。 ![]() | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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「伊丹さん、第三者認証制度は産業発展には必要不可欠なのです。ぜひとも立ち上げたいのでご協力願えませんか。最低、発起人に名前だけでも・・伊丹さんのお名前があれば賛同者が増えます」
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「宇佐美さん、私は納得していないことはしたくありません。品質保証が重要とは理解しています。しかし第三者認証制度というものが必要なのか、そこが理解できないのです」
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「伊丹さんはもう2年も前からそこに拘って進歩がありませんね。旋盤の刃物を改良するとか、潤滑方法を改善するのは品質や生産性にものすごく貢献します。それと同じく第三者認証制度というものが品質や生産性向上につながると思いますよ」
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「第三者認証制度が品質や生産性向上につながる理屈を説明してください」
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「まあ、そこは検討中ですが・・・」
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「私は品質向上の方法論というのはいくつかの段階を経ていくと思います。 初めはとにかく完成見本なりスペックなりを明示して、それを目指して仕事させます。 次に作業方法を具体的に文書なり絵図で示すことだと思います。それにより誰も同じ方法で作業ができるようにする。 次にその工程のいくつかのポイントで管理するポイントと管理すべき指標を明示して一定範囲に維持すること。それによってバラツキが少なくなります。 最後に管理方法を考えて、インプットやプロセスに変動があってもアウトプットを維持するような仕組みにする、そう思います。 最後のレベルが品質保証だと思いますが、それよりも上の段階がどうなるのか、そこんところが分かりません。それが第三者認証制度なのですかね?」 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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「ええと、今の伊丹さんの論で進めるなら、その管理方法が適正か、管理方法が維持されるだけでなく改善されているかをチェックする仕組みを構築することと言えませんか?」
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「おっしゃることはわかります、それは必要でしょう。しかしそれを社外の人による第三者認証制度として行わなければならない理由はなんでしょうか?」
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「例えば新規取引先を探しているとき、購入者は伊丹さんのおっしゃった最終段階の会社を望むわけですよ。しかし社外の人は供給者である会社がどの段階にあるのか分かりません。そこで第三者認証制度の出番になります。客観的な第三者が供給者を審査して最終段階にあることを確認してくれれば購入者は安心して取引できるわけです」
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「安心とはなにかといえば、この人は信用できると太鼓判を押せば済むことではないでしょう」
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「えっ?」
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「私は、立派な免状よりも、もし間違いが起きたら損失を補償しますよといってくれたら安心しますけどね。 第三者認証制度が信頼されなければ存在価値はない。信用されるためには、保証人が補償するという一点にあるのではないですか?」 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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「それも伊丹さんは2年前からおっしゃってましたね」
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「第三者認証制度がお墨付きを出したものに瑕疵があったとき、何も補償しないなら信頼されないと思います。信頼されない制度は存在価値はありません」
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「そして伊丹さんは存在意義がない制度などわざわざ作ることはなく、それに関わりたくないわけですね」
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「それも2年前と変わっておりません。 おっと、それからもっといろいろと検討することがありますよ。漏れのないようにね」 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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「他にもとは?」
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「今までのお話を聞くと、宇佐美さんが思い描いているのは、機械加工とか組み立てがメインのようです。製造業に限っても業種が多々あります。 宇佐美さんにしても私にしても、造船とか航空機の審査なんてできないでしょう。それ以前に品質保証項目が違うかどうかも分かりません。考えることはたくさんありますね」 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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「なるほど、審査する業種に見合った審査員が必要ですな」
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1月下旬、中野は帝太子の要望を受けて「料亭さちこ」で一席設けた。出席者は帝太子、中野、伊丹夫婦、さくら、高橋閣下、岩屋、それに工藤である。● ● 帝太子とは現皇帝の長男で次期皇帝、中野は現皇帝の妹の息子で帝太子とは従兄弟になる。従兄弟とはいえ上下というか主従の関係になる。 ![]() 岩屋については、帝太子のお庭番として使ってほしいと考えており、今夜はその顔つなぎのつもりである。岩屋も今は将官だから帝太子に会っておかしいことはない。 工藤は向こうの世界の報告をしてもらうために呼んだ。 例によって帝太子が来る前に憲兵隊が伊丹邸の内外を捜索し、その後邸宅周辺の警戒に当たる。帝太子は前後に警護を従えて国産自動車に乗ってやって来た。 1924年には未来から取り寄せた自動車を参考に、この時代のアメリカ車よりもエンジンも懸架装置も室内も先進で快適な車を生産している。実は国産車の方が輸入車よりも高級車と認知されているのだ。ただ国産車のマーケットシエアが小さいことが問題だ。一般の裕福層やタクシーは安くて大きいという理由でアメリカ製が多い。数が出なければ値段が下がらず、値段が下がらなければ数が伸びないというわけで、国産車の生産台数は思うように伸びていない。それはもう技術やブランド信仰ではなく、国産車メーカーの努力不足だと中野は思う。宣伝広告や貸し出して使わせるなど営業努力の余地は多々ある。いや輸出だってできるんじゃないかな? 皆そろうと早速飲み始まる。岩屋と工藤は帝太子とは初対面であるが、帝太子も気さくだし岩屋たちも引っ込み思案ではないから、すぐに和気あいあいとなる。 ![]() | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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「今日はさ、さくらを誰が手に入れるかという討論なのだ。中野が養子にしたと聞いて一瞬ギョッとしたが、まだ手続きはしてないっていうじゃないか。 俺と中野が唾を飛ばして議論してもしょうがない。皆さんの声を聴きたいね。まず高橋閣下はどう思いますか」 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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「さくらはかわいいからワシの孫にするわ、殿下にも中野さんにも渡さん、アハハハハ」
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「真面目に思うことを申し上げますと、みなさん自分のお立場から考えていますが、さくらさんから見れば、皇族とか高官の身内になるのは辛いものでしょう。 皇族は英語で言うとセレブというのでしょうか、国民は皇族に憧れているわけです。憧れる者には高潔さを求められ不埒な行いは厳しく糾弾される。言動も行動も常に監視され、写真を撮られても一般人ではないから文句も言えない。皇女であれば友人付き合いも買い物もましてや結婚などは個人の希望など通りません 中野宮家の王女なら皇女よりは緩いでしょうけど、一般女性のような自由恋愛など不可能です。高橋閣下のお孫さんにしても、誰と付き合っているとか破談したなんて新聞に載るでしょう。そういう生活は気楽なものではありません。 最善の形は伊丹さんの養女にして、過去の小沢さんの貢献に報いるために学校や生活に国費で援助するのがベターじゃないですか」 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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「おっしゃる通りです。だけどさくらの戸籍を作るのを考えると、一般人の伊丹さんより帝族の私の方が処理は楽かなと思います」
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「外国生まれの娘を養子にしたという形なら元の戸籍を調べるのが大変ですから、一般庶民の養子でもごまかしがきくかもしれません」
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「なるほど、外国まで調査に行くのは大変だ。しかしその場合でもご本人と周りの関係者は、しっかりした台本を作っておいてボロが出ないようにする必要がありますね。元住んでいたことにした町にいた人に会うかもしれない」
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「あのう、今実際に感じていることですが・・・例えばコーヒーが飲みたいと思った時、中野様のお宅では・・」
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「中野様のお宅じゃない、さくらの家だよ」
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「さくらは庶民よねえ〜、主人が側使いに敬語使ってどうすんのよ」
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「まあ、俺なんかそんな暮らしを40数年してきたわけで、いずれ皇帝陛下なんて呼ばれるんだろうけど、この身分に生まれて良かったと思ったことはないよ」
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「そういう意味では私の方が束縛は緩いし帝族の特権はあるし、いいとこ取りの人生ですね。
![]() 我が家は文官の家系だそうで、オヤジに陸軍士官学校も海軍兵学校も受験させてもらえなかった。だけど三十頃に軍人になりたくて、当時の陸軍大臣に掛け合って陸軍中佐にしてもらいました。そして陸軍のプロジェクトで面白そうなことを任せてもらっていて、たまたま岩屋さんから伊丹さんの情報が入り、付き合って10年、いや、楽しい人生でしたし、この国にも貢献したと思います」 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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「そういうことを聞くと、俺は実につまらない人生だ。中野と違い街をぶらぶらすることもできず、うーん、さくらは中野の娘になるのが一番かもしれんな。 中野が庶民でないくらいは我慢してもらうしかあるまい」 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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「岩屋さん、どうした?」
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「侵入者がいるようです」
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「この屋敷を1個小隊が囲んでいて、屋敷内にも憲兵がいる。警戒はしっかりしていると思うが」
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![]() ![]() 岩屋が立ち上がってふすまを左右に大きく開いた。 開いたふすまの向こうに、パンツスーツを決めた40くらいの女性が正座している。 ショートカットした髪は明るい紫だ。 ![]() | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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「髪の毛が尋常じゃない、貴様はバケモノか?」
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![]() | ![]() ![]() 「酷いことをお言いですね、バケモノと言われたのは初めてです。この髪はお気に召しませんか」 ![]() 女がそういうと一瞬にして髪の色が紫から漆黒になった。 ![]() | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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「なに、それ素敵、どうして色が変わるのですか?」
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「今はそんなこと話している場合じゃないと思うので後でね、 私はみなさんが向こうの世界と呼んでいるところから来ました。いろいろとお話したかったのですが、たまたま役者がそろっていたのでちょうど良いと思いました」 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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「たまたまというのは、ずっと監視をしていたということですかな?」
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「監視とは聞こえが悪い。話し合いの機会を待っていたのです」
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「まあ、そんなとこでは話しができません。こちらにおいでください」
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「中野さん、怪しい者を近づけては・・・」
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「一個小隊が守っている中に出現したんだから、出没は自由自在でしょうし、我々を殺すのも簡単でしょう。反対に我々がこの人を拘束することはできそうない」
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「まあ、そんな危ないことはしませんよ」
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「中野の言うとおりだ。どうぞこちらへ」
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![]() 皆はテーブルの一辺を開けて、そこに女は座った。
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「ええと確認しますが、この度この世界とつながった秋津洲国から来られたのですね」
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「伊丹さんはもう何度も調査に来ましたね。私どもは伊丹さんの最初の訪問のときに気が付いて、それから何をするのかずっと観察してきました。紳士的な方で安心しました」
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「そりゃどうも、私は気が付きませんでした」
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「先日、岩屋さんや工藤さんもいた会議で、異世界から侵略されるのではと議論していましたが、同じことは私たちも考えました」
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「それは話が早い。お互いに忌憚のない意見交換をしたい。とはいえ、そちらの方が情報的にも武力的にも圧倒的で、対等な立場ではないですけど」
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「おいおい、せっかく来てくれたんだ。まずはそちらにお話をしていただこう」
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「私はカンナと申します。向こうの代表と考えてください。交渉というよりも説明するためにおじゃましました。では話をさせていただきます。 まずご心配されている侵略ですが、私たちはこの扶桑国というか、こちらの世界を侵略する気は毛頭ありません。ご安心ください」 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
![]() | ![]() 「それはありがたい」
![]() そういってグビリと酒を飲む。 カンナが現れてからも酒を飲んでいるのは、帝太子だけだ。さすがである。 ![]() | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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「そしてみなさんが向こうの世界に関わるのをお断りします」
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「書籍を購入することもいけないということですか?」
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「書籍購入はもちろん、秋津洲国に来ることもです。そもそも自分たちで考えず、外から科学技術を取り込むのは倫理上まずいでしょう。それに世の中の発展を歪めてしまいます」
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「ということは別の世界で関東大震災が起きたことを知って、その対策をするのもまずいということになりますか?」
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「そうです。大局的に考えていただけば、そういう行動は歴史の流れをゆがめてしまうことは理解できるでしょう」
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「とはいえ今までの経験から、他の世界で起きたことが必ずこの世界で起きるわけではありません。そうであっても他の世界の出来事を参考に起きた場合の対応を考えることは当然です。今回だって準備をしていても、地震は起きなかったかもしれない。いや異世界の情報がなくても、過去の地震の発生状況から、近い将来大地震が起きるのは予想されていた」
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「確かに別の世界の出来事が100%同じく起きるわけではありません。しかし他の世界を参考にすることは、抽選でズルをして当選するようなものでしょう」
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「防災といかさまは違うでしょう」
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「ともかく私どもの希望は、お互いに干渉しないことです。それが最善なのはご理解いただけたと思います」
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「ええと・・・既に入手した情報や技術も放棄しろということですか? それを実行するのはもう不可能です」 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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「伊丹さんがこの世界に来て10年、既に国内外に大きな影響を与えてしまった。今更それを払拭することはできません、現状是認するしかありません」
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「しかしどう考えても貴国の情報を得て我々の世界を変えることは、貴国に影響を与えません。なぜ悪いのでしょう?」
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「私たちは神でありませんから善悪ではありません。そういうことは寝覚めが悪いといいますか、してはいけないと思うのです。 ええとこの世界にもノーベル賞があると思います。時代が進んでいる世界から入手した知識を自分のものとしてノーベル賞をもらってもうれしくないでしょう」 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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「大災害を避けることと技術を得ることは同じなのかなあ〜、釈然とせん」
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「発言することをお許しください」
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「許す」
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「殿下に感謝を」
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「おふたりともなにをのどかなことを・・・」
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「カンナさんが拘るには強い理由があるはずです。ところが今までの説明には、良心に訴えたり、既に起きたことは是としたりと一貫性がない。ということは判断基準は論理ではなく主観的な利害のようです。演繹するとカンナさんの世界は秋津洲国ではなく未来の扶桑国と思われます」 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
![]() 皆、えっと驚いてカンナを見る。 カンナは一瞬ぎょっとしたのちにこやかに笑った。 ![]() | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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「さくらは賢いね。その通り、私は秋津洲国が今回の異変の直前までつながっていた200年後の扶桑国から来ました」
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「カンナさんは、私たちが過去に外乱を与えてタイムパラドックスが起きるのを恐れているのね?」
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「おっしゃるようにタイムパラドックスというテーマがありますね。昔に帰って自分の親を殺したらどうなるとか、 今まで私たちは別の異世界とつながっていました。それは時間が違うのではなく、似てはいるけど因果関係のない別の世界です。ですから私たちも物や情報のイン・アウトを気にしませんでした」 ![]() ![]() ●Windows10で2000年版のVISIOが使えなくなり、エクセルで書きましたが、四苦八苦 ![]() | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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「しかし今回の異変で、私たちが残された秋津洲国が新たにつながったのは、私の世界の過去だったのです。私たちは伊丹さんとゆきさんが調査に来たときそれに気が付きました。お二人が来てすぐに政策研究所に何度もお邪魔して、伊丹さんたちが来てからの10年間の記録を読ませていただきました」
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「オイオイ、ウチの警備はどうなっているんだ!」
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「カンナさん、それで?」
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「正直驚いたのは、向こうの製品を持ちこんで使うとか、そのままコピーしていないことでした。向こうの製品や技術を咀嚼して、こちらの技術を向上させて作り上げるというアプローチに感心しました。まさに地に足のついた活動です。 特に伊丹さんの行動様式に感心します。先進のテクノロジーとか知識を教えるのでなく、それに至るための考え方とか創意工夫の方法論を教え広めていることにです」 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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「確かにノギスをこちらに伝えるにも、完成品を持ってくるのではなくサンプルを作り原理と有効性を教えただけだ。あとはこちらの連中が自発的に進めた」
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「伊丹さんに初めて会ったとき、伊丹さんは向こうの技術を持ち込むと干渉によって異常が起こるのではないかと心配してましたね。伊丹さんの本分は、知識で勝負ではなく知恵で勝負ということなのでしょう」
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「逆に伊丹方式でなく単なる製品や技術の導入だったら、扶桑国はこれほど発展しなかったでしょう。修理できなければ機械の寿命がくればおしまい、理屈が分からなければ新規開発はできず、論理的アプローチを体得しなければ新たな発明発見はない。大事なのは発明発見ではなく、発明発見する考え方なのです。 いずれにしても伊丹さんの登場によって扶桑国は発展するための土壌を得て、今までもこれからも持続的に発展します」 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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「すまん、ちょっと話題を変えて、教えてくれ。第二次大戦はどうなるのかな? 我が国は滅びることなく永続できるのか?」
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「それを教えること自体、この世界への干渉ですけど、私が扶桑国人であることは、この国が200年後も存続している証左です。ご安心ください、中国の支配下にはなりません。 それと戦争は第二次大戦で終わるわけではありません。第二次大戦の帰結に関わらず、この国はそれから何度も戦争して、勝ったり負けたりします | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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「あい、わかりもした」
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「アイザック・アジモフの小説をご存じでしょうか?「ファウンデーションシリーズ」とも「銀河帝国の興亡」ともいう」
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「存じております。その本は異世界探検者の必読書になっています」
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「私たちがハリ・セルダンのように未来のシナリオを描き、子孫に託すことは可能でしょうか? | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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「不可能でしょうね。解明されていませんが、アジモフが考えたより人と国家の決断と行動は複雑なのです。かって幸子さんはそういうシナリオを描くのが政策研究所の仕事と語ったようですが(第48話参照)」
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「若気の至りならぬ、無知の至りでしたか」
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「過去10年間の伊丹さんの国からの情報だけでなく、秋津洲からの情報によって200年後の世界が作られたと考えられないか」
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「確かに伊丹さんの影響で今日があり、今日があって200年後があると思います。しかし現実に扶桑国の過去に来たことに気が付いた以上、わざわざタイムパラドックスの実験をしようとは思いません」
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「でも私たちがこの世界に与えてしまった影響はそのままでいいというカンナさんの論理はずるいですね。結局私たちの10年間の干渉があった方がないよりも、メリットがあるから是とするわけでしょう。タイムパラドックスなど屁理屈です」
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「ワシも納得はできないな。我々が20世紀の日本の技術や戦術を知らず、ブルネイ作戦などが失敗していたらカンナさんはそれでも良しとしたのかどうか。今からでも変えようとしたかもしれん。結局いいとこどりではないか」
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「そうかもしれませんね。でも今まではあなたたちの存在を知らず、その結果を自然なものとして認識していたわけ。一旦気が付いたからには、そこからそれなりの対応をすべきではないかしら」
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![]() 遠くで電話が鳴った。 少しして女中頭のテツがふすまの陰から「工藤様にお電話が入っています」と声をかける。 工藤は席を外す。 ![]() | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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「心配している事があります。教えてください。扶桑国の人が過去を改変されたら困るというのは分かりました。しかし秋津洲国のあなたたち以外の人、イギリスやその他に相当する国の人が、この世界に来て過去の自国を盛り立てようとすることはないのですか?」
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「そうそう、それは重大な懸念だ」
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「その可能性はありません。理屈は分からないのですが、一つの世界に別の世界からドアを設けると、ドアを作った人以外は新たにドアを作れないのです | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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「秋津洲国とのつながりが切れるまでは安心というわけか」
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![]() 工藤 ![]() ![]() | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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「何事かありましたか?」
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「ゆきからでした。毎日向こうの世界とのつながりを確認しているのですが、先ほどすべてのドアが使えなくなりました」
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「最初に申し上げましたように、この話し合いは交渉ではありません。私がお邪魔したのは不干渉のお願いではなく、お宅のドアを閉鎖することのお知らせと理由の説明です」
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「それじゃカンナさんも帰れなくなるのですか?」
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「いえいえ、私がこちらが作ったドアを破壊したので、向こう側が新たドアを作れるようになりました。既に私の帰り道はできています。そしてこちらからドアを作ることはできなくなりました。 これからは、みなさん自らが発明発見したことと、今まで入手した異世界の情報だけで歴史を歩んでいただきます。 もちろんまた異変があれば状況は変わるでしょうけど、それは何百年後か」 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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「質問がある。我々に異世界に干渉してはいけないといいながら、あなたたちは扶桑国から秋津洲国、そしてこの扶桑国に来ていた。そして我々に干渉するなという干渉をしてきた。それはダブルスタンダードではないのか?」
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「私たちは存在を隠して観察するだけです。みなさんが博物館にいって、化石や遺物を眺めるのと同じです。ですから過去に影響を与えません。私たちは純粋な科学的好奇心です」
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「私はこの世界で生きていく覚悟を決めました。カンナさんは干渉しない観察者だというなら、寂しい人生になりますね。祖国に帰ることもできず、その国に同化することもできず」
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「それは異世界探検者が覚悟しておかねばならないことです」
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「カンナさん、もうひとつ重大なことがあるのだが」
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「なんでしょう?」
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「本日の宴席は、ここに取り残されたさくらの保護者を決める会議なのだ。歴史ではどうだったのだろう?」
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「アハハハ、それは極めて重大なテーマですね。さくらは中野様のご令嬢になります。そしてアメリカの大学院に行き優秀な成績を修めます。それから先は言えません。 その代わり置き土産に、皆さんが関心ありそうなことをいくつか話しても許されるでしょう。 帝太子殿下は2年後に皇帝に即位します。今上陛下は永らく病床にありますから、そのお覚悟はされていますよね。 大恐慌は3年後の1927年に起きます。ノモンハン事件は1930年に起きます。その発端も経過も石原莞爾の小説(95話)通りでしたので、予言者と呼ばれます。彼はアメリカの有名大学や皇国大学の教授を歴任します。晩年には東洋のトインビーと呼ばれます。でも正しくはその逆でトインビーをイギリスの石原莞爾と呼ぶべきでしょうね。 第二次大戦がどうなるかは、あと10年もすると石原とさくらが国際政治シミュレーターを作りますから、それで試行してください。でも人々はその結果を外交や軍事行動に反映するので、永遠にシミュレーションと現実は一致しません。 後々 第三次世界大戦も起きますが、みなさんには無縁ですよね」 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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「そのお話からはシミュレーションするまでなく、第二次大戦も石原さんの小説通りに進むのですね」
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「おや、そう聞こえましたかね」
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「なるほど、これが中野の言うさくらの賢さか。最小の情報から論理的に推論する」
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「科学技術が進歩するせいか、世の中の動きが加速されイベントがどんどん前倒しになるのだな。ワシの出番は10年後ではなく3年後になるのか。今からケインズやニューディール政策を勉強しておこう | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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「これからもカンナさんと話をすることはできますか?」
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「できません。ただ一方的に私に伝えることはできます」
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「おお、ぜひその方法を教えてください」
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「さくらが、子孫にカンナと名付けられた女の子がいたら渡すようにと手紙を残すことです。私はさくらの7代めになります」
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「えー、カンナさんは私の子孫! 7代めなんて想像もできない、私の先祖は4代前までしか遡れないのに」
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「さくらがショックを受けなくて良かったわ」
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「カンナさんはさくらの手紙を受け取ったのですか?」
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「もちろんです。それを伝えることも今回の目的ですから。タイムトラベルのパラドックスを起こしてはいけません」
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「子孫がいるってことは、結婚して子供を産んで、私生活も幸せだったのでしょうね」
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「さくらは幸せな人生を送るのですか?」
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「悲しみ苦しみのないことが幸せではないと思います。高い目標に挑戦し艱難辛苦を重ねても、それを幸せと感じる人は幸せです。 おっとご心配なく、困窮するとか国を追われて亡命するわけではありません。石原が天才であるため、まわりの研究者はかすんでしまうのです」 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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「さくらが幸せならそれで良い。良い人と巡り合えることを祈るよ」
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「さくらがワシの娘にならずとも、息子の妃になるという希望はある」
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注1 |
「世紀の恋」と言われたエドワード8世の事件はこれより後の1936年のお話 明仁陛下も徳仁殿下も眞子内親王も世紀の恋なんだろうけど、本人も周りも幸せになったのは明仁陛下のケースだけのような気が・・ ![]() | |
注2 |
日本人は過去70年戦争も軍事行動もしていないから、恒久的な平和というものがあるという妄想を持っている。そんなことはない。アメリカも中国も平均数年で戦争や軍事行動をしている。 ![]() 要するに、戦争をしない外交とか、戦争をしない国など妄想に過ぎない。妄想で生きている国はいつかは滅びる。戦争はしないことに越したことはないが、戦争ができる国でなければ滅びてしまう。 参考:ウィスキー・オン・ザ・ロック ![]() | |
注3 | ||
注4 |
異世界への通路はひとつの運営者しか開設できないというアイデアは「ワイルドサイド」(スティーブン・グールド、早川書房、1997)にある。その理屈は、通路を作り運用するためには一つの宇宙のエネルギーを使うので二つ目は作れないという理由だった。誰もストーリーを作るにはそういう規制が必要になるようだ。 ![]() | |
注5 |
史実では大恐慌に対応するために、1931年に犬養毅に頼まれて半分引退していた高橋是清が大蔵大臣になる。このとき高橋は77歳だった。 麻生財務大臣(2018年で77歳)と同じとはいえ、100年前の77歳は今の感覚なら80代半ばでお疲れさまとしか言いようがない。しかし彼は手品のような策を打ち出して日本を恐慌から脱出させた。 三橋貴明はこのときの高橋を高く評価している。 「コレキヨの恋文」三橋貴明・さかき漣、小学館、2012 ![]() |
何と第三者審査の話から、タイムパラドックスの話とはびっくりです。 >第三者認証の必然 真打登場です、待ってました!!! 確かに、ここでお書きにように、それが必要なのか、それによるメリットが何かによりますね。 品質の裏付けであれば、サンプルで確認も可能ですし、業界で基準を作っても良いと思います。 現代におけるISO第三者認証の問題は、国内では殆どの業界の中で品質水準が保たれているにも関わらず、それが必要なのかという根拠に凝縮される気がします。 こちらの世界でも、医療機器、航空や交通関連、兵器など、命にかかわる部分については、強制的な法規認証もありえますが、業界を問わず第三者による品質の認証が必要かと言えば、選択が必要とおもいます。 この問題を煎じ詰めれば、認証を受ける側のコスト対効果になりますので、それは業界、会社、製品によって異なるのでしょうね。 >さくらの戸籍 細かい話で済みません、もし皇族になるならば戸籍法ではなくて、皇統譜令による皇族譜への記載となりますね。 異世界ですから、違っても構わないのですが。 >カンナ:「私たちは存在を隠して観察するだけです」 少し気になったのは観察者効果もあるから、あなたの存在が影響を与えるのでは?と思いました。 すでに、この場の人々には知られていますよね。 記憶を改竄できるならば、問題ないのですけれど。 |
外資社員様、毎度ありがとうございます。 田舎に帰っておりましてお返事が遅くなりました。 その1 第三者認証というものは突然現れてきたわけではありませんでした。ご存じのように二者間の品質保証協定というのは原子力、電力、国鉄、NTTなどでは1970年代からあり、一般のOEMなどBtoBでは1980年頃から普通に締結されるようになりました。 とはいえ品質保証協定の内容が多種多様であったので、共通化、標準化してほしいという気持ちはあったと思います。それがISO9000sだったのでしょう。 私の経験では1990年代初頭に品質保証協定の代わりにISO9002を認証しろと言われたのが関わりの初めでした。それからほんの数年でISO認証することが品質が良いという誤解が蔓延したのが堕落のはじまりだったのか?そこんところは分かりませんが、ISO9001は1994年改定で第三者認証というものを前提としたもに変わりました。 この性格の変化というか、利用のずれがなぜ起こったのかということは、私は想像はできても分かりません。ということでこの架空の世界でなぜそういう変化が起きていくのかという思考実験をしていきたいと思います。 その2 おっしゃるとおり皇族に戸籍がないのではなく皇統譜というのがあります。なんと一般人が閲覧できるのですね。 戸籍も皇統譜も原本を書きなおすとかは権力あるいは実務担当者を動かせばいくらでも修正は可能でしょう。この物語でも伊丹夫婦の戸籍は書きなおしたことにしています。 私が思ったのは、一般人であれば興信所とかを使えば幼馴染、クラスメート、元同僚などを聞き取り調査することによって過去をあぶりだすことはできると思いました。皇族となれば調査そのものをさせないということが一般庶民より実行可能かと思いました。それだけです。 その3 不確定性原理においては観察することによって影響されるということですが、量子の世界だけでなく人間のレベルであっても観察するだけで被観察者への影響はあるでしょうね。 まあ、積極的な意志で他を動かすか、見るだけというのの違いはあるのか? どちらにしても仮想の設定の話で、なんとも? それとほとんどのタイムトラベル物において、過去からの手紙を受け取った子孫(イクイバレント)は先祖にお手紙を出してほしいというメッセージを伝えるのがオヤクソクなので、そのシチュエーションを採用しました。でもそれって予定調和でしょうね。となればいかなる方法でも歴史は変えられないということになって矛盾を解消されない・・まあタイムトラベルが可能になったとき検証してもらうしかありません。 |