私は過去より<ISOの預言者>を名乗っている。
預言者と予言者の違いはご存じと思う。
いつの時代でもすべての人に平等・公平はできないから差別される人・虐げられる人はいる。それに怒って世の中の不義・不正を糾弾する人が現れ、彼らは預言者と呼ばれる。神の言葉を預かり、神に代わって語る者という意味だ。というのは為政者を上回る権威の裏付けがなければ私憤にすぎず、為政者を糾弾するには神の声が必要だ。
とはいえ語る言葉が真に神から告げられたことなのか、発言者が考えたことなのかはわからない。
預言者はいつの時代にもいるが、一番有名なのはモーゼだろう。彼が神から授かった十戒だって、神が与えたのかモーゼが考えたのかは誰も知らない。
そもそもシナイ山での出来事を誰が見ていたのだろう? シナイ山に登ったのは、モーゼとその兄アロンだけだったはずだが、旧約聖書を書いたのはいったい誰だ。
同じく神がアダム創ったとき誰が見ていたのか?
実際には預言者が語ることは、妄想か願望だろう。とはいえ妄想や願望を語る人すべてが預言者ではない。
立憲民主党の枝野代表や福山幹事長が、菅首相に「責任を取って首相をやめろ」と言っていたが、菅首相が総裁選に出ないとなると「菅首相はやめないで責任を果たせ」と語る、あれは妄想とも言えない。子供の駄々こねなのか、それとも痴呆症なのか? いったい何なのだ?
他方、一文字違いの予言者は「天から恐怖の大王がやってくる」とか「次の総選挙では立憲民主党が政権を取る」など、未来になにが起きるか語る人のこと。
史上もっとも有名な予言者はカッサンドラという王女で、彼女は恋人であるゼウスの息子アポロンから未来を見る力を授かった。しかし彼女がアポロンから予知能力を授かったそのとき、アポロンが彼女を捨てる未来が見えアポロンへの愛が冷めてしまう。それでアポロンはカッサンドラに<彼女の予言を誰も信じない>という呪いをかけた。これがアポロンの呪いである。
預言者にも似たような呪いがある。それはキリストが語ったとされる<預言者は自分の故郷では歓迎されない(ルカによる福音書4.24)>である。預言者が立派なことを語っても、鼻たれ小僧の時から知っている人たちは馬鹿にして話を聞いてくれない。立身出世した人は昔の知人に会わないことだ。
おっと、私はISO神の言葉を語る預言者であるが、それだけでなく過去よりISO認証の将来を予言してきた。もうこのウェブサイトを20年もやっているわけで、過去に予想したものがどうなったのか、予言が成就したのか、大外れだったかを検証しなければならない。
ところで朝日新聞は語ることの多くが事実と違うので、ネットでは朝日新聞のいう反対をすればうまくいくと言われている。
予言した多くが成就するのを正の予言者とすれば、予言のほとんどが外れるのを負の予言者と呼ぼう。負の予言者は正の予言者と同等に役に立つ。というのは予言が皆外れると保証されれば、それも有用なのである。
予言の半分が当たり半分が外れる予言者の価値はゼロだ。当たるも八卦当たらぬも八卦で全く役に立たない。
さて私は正の予言者なのか、負の予言者なのか、役に立たない予言者のいずれであろうか?
上図に2015年以降の認証件数の推移を追記したものが下図である。緑の横線はQMSとEMSの認証件数のピーク時の70%である。
QMSのピークは2006年の43,564件でEMSは2009年の20,799件であった。それぞれがピークの70%になったのは、QMSは2018年で30,500件、EMSは2020年で14,500件である。
実際はどうだったかといえば、2019〜2020年に複数の認証機関が認定を辞退しJAB認定の認証件数は急減した。このときQMSの認証件数はジャスト70%だがEMSはまだ78%であった。これは認定返上はQMSが70%になったときEMSの認定返上も同時であったと考えると予言はピタリと当たったといえるだろう。
なぜ7割かというと、過去のビジネスなどを見ると売上額が70%を切ると撤退とか身売りが発生するのが経験則だ。一般的に事業における損益分岐点からそうなるのではないだろうか。
ちなみに携帯電話出荷台数がマキシマムだったのは2003年の5,078万台で、その後2007年の4,963万台までほぼ横ばいだった。
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スマホの場合文字 化けするようです |
ところで三菱電機は2008年に携帯電話事業から撤退した。この決断はすごい。NECやパナソニックはスマホ時代まで頑張ったが結局2013年に撤退した。決断が遅い。
現実には携帯電話に限らず、市場がシュリンクしても事業を止めるに止められずってのが多いんじゃないか。
山岡荘八の小説で、信長が濃姫に1度の戦いで1割の兵が戦死したら何回戦えば兵士がいなくなるかと聞く。濃姫が10回でしょうと言うと、信長は笑って兵が7割になるとみな逃げ去っていなくなるという。
おっと、ピーク時の7割のとき認証件数は大幅に減りその後2年間微減である。これからどうなるのかであるが……地震に例えると2019年に地殻の歪みが解消されたので、新たに歪が蓄積するまで現状の微減が続くだろう。そしてまた現状の7割くらいに減ると、再びドラスティックなことが起き、最終的にISO認証が必要な会社……それは6,000社だと思う……で安定するのではないかと考えている。
それまで10年くらいか? 果たして10年後どうなるか?
下図は2013年に書いたグラフである。
注:円弧は近似線である。下図も同じ。
グラフを見て分かるように、ISO本の出版点数は、ISO規格改定と相関どころか関数関係にあると言える。
ISO9001の発行は1987年、改定は1994年、1998年(JIS規格のみ)、2000年、2008年、2015年に行われた。ISO14001は1996年発効、改定は2004年と2015年である。
グラフを見れば改定の翌年に解説本が多数出版され2年後には元に戻っている。
上図は2020年末までの状況だ。年とともにだんだんと出版数が減ってきている。規格制定されてから10年くらいのときは改定内容に関心が高く、改定に合わせねばという思いが強かったのだろう。だが4回も改定が進めば大きな変化もなくまた対応するにも猶予期間があること、それに審査が大イベントからルーチン業務となったことによるのだろう。
特に2011〜2014年の落ち込みは、QMSとEMSの整合化で規格改定が伸びて新しい情報がないから谷になったのだろう。まさに規格改定頼みのISO本出版である。
さてグラフを見れば誰だって翌年何点出版されるか、プラスマイナス2冊くらいの精度で予言できる。いや、予言どころでない、確定だ。
規格改定がなくても環境法規制解説本3種が毎年法改正を反映して出版される。だから次回改定まで年5件くらいで推移するだろう。
2021年9月末時点で発行された本は4点である。10月から12月に発行されても1〜2点だから都合5点か6点だ。
もちろん販売部数は想像つかない。一説によるとISO本は3,000部売れればベストセラーといわれるから多くは2,000部くらいかもしれない。
ちなみに新書は普通7千〜1万部くらい刷られ、実際に売れるのは半分らしい。これは7千から8千売れればベストセラーらしい。売れ残りは産業廃棄物である。印刷会社から出る紙屑は一廃でなく産廃だ。
再版されるものはめったにない。ところで無名の著者は印税率5〜8%しかも売れた分だけ印税を払うとか聞くから、その場合は新書の平均価格が800円弱、5,000部売れて印税1割として20〜40万弱。いくらちゃちな本でも1冊書くには500時間くらいかかるだろう。時給800円なり!
己の主張を世に問うには、本を書くよりウェブサイトでくだ巻いているほうが良さそうだ。
ISO本のようにニッチな分野で新書でなく、書籍で2,000円前後の値付けなら、3千部も売れるはずがないと思う。売れなくても利益が出るようにと高値を付けているんでしょうか?
10年ほど前は、講習会に行くと講師が書いた本を配っていた。売値2,000円として、著者が自分の本を買う(自著買い)ときの買値は普通8掛けだから1,600円だ。テキストだって100ページもあればコピー・製本すれば1部当たり数百円になるわけで、講習会で書籍を配布しても十分ペイするはずだ。
環境法令の本が毎年改定され発行されているのは、講習会用ではなかろうか?
ではISO14001があってなぜ簡易EMSが存在できるのかは……わかりません。
想像ですが、簡易EMSはみな国家規格でなく民間規格とか自治体規格です。だからWTO TBT協定の枠外なんでしょう。そして簡易QMS規格が存在しないのは、それを認めてくれるところがないからではないかと?
簡易EMSだって俺は認めないといえば終わりです。でも○○県が認めてますとか、日本国内では通用するとか言ってるんじゃないですかね(タブン)
簡易EMS規格はいずれも、ISO14001からshallを減らしたような規格だ。そしてまた一番手間がかかる環境側面の決定方法を定型化していたりする。
とはいえエコアクションでは環境報告書を必須としているから、一概に簡易とも言えない。
そして簡易EMSは行政が始めたものや、企業がビジネスとして始めたもの、大学が考案したものなど多種あり内容も多様である。
簡易EMSについて私が初めて書いたのは2010年、そのときはまだ簡易EMSも成長段階だった。だけど私はそれが長続きしないと思った。というのは安く上げようとか環境負荷が少ないからという考えで簡易EMSの認証を受けるなら、ISO14001が安くなれば、あるいは国際的な取引を始めれば、ISO14001に切り替えることになる。いや環境負荷が少ないとか国内オンリーなら、そもそも環境マネジメントシステムの認証がいらないじゃないか?
そう考えると簡易EMSの存在意義は今もわからない。
昔、同僚がムスタングを買うのが夢で、外観が似ている三菱FTO(初代)に乗り、それをムスタングと呼んでいた。そういえばアメリカで昔RX-7がプアマンズポルシェと呼ばれたと聞く。
簡易EMSはプアマンズISO14001なのか?
2012年頃になると、簡易EMSも上げ止まりとなった。でも不思議なことだが当時大学の先生とか東京都のとある区が、独自に簡易EMSを作って認証しようと計画した。当時そんな相談を全く別のふたつの組織から受けた。私はリアルでも 毒舌 率直だから「ありえない」と即答した。
ISO14001の認証件数のピーク(2009年)が既に過ぎ、しかも既存の簡易EMSが伸び悩んでいるとき、新たに簡易EMSを作り認証事業を考えるとは、頭がおかしいとしか思えない。
自動車の時代に馬の蹄鉄を作っているようじゃないか!
あれから10年、簡易EMSは撤退していないが伸びてない。特にエコステージが事業を止めないのは、ISO七不思議のひとつである。
これは議事録の数字を基に作成したものである。
元のデータは2007年までは実績、2008年以降は推定であった。
では今後はどうなるのか? どうなったのか考えた。
私はJAB認定の認証件数と複数(数十)の会社に審査費用を聞いて試算した。本当のことは外部からはわからない。過去も未来も私の見積である。
毎年前年の売上を推定して作成してきたものが下図である。
上の二つの図を見比べると2010年以降は相当離れているのがわかるだろう。
私が試算でした年ごとに売上規模は縮小している。さらに毎年試算するたびに前年予想を下回っている。
もちろん真の売上規模は不明である。過去も現在も未来も私があちこち調べた数字から算出したにすぎない。
売上規模が小さくなる理由は、一つには認証件数の減少であり、もうひとつは審査料金の値下がりである。審査料金は1997〜2001年はほぼ一定であったが、2002年から大きく上に開いた放物線のように急減し、2010年頃から傾斜が小さくなり、2015年頃からほぼ一定となっている。
21世紀になってノンジャブなどの競争が激しくなったことがあると考える。その結果大きく値を下げたが2010年頃には限界まで来たのだろうか?
ともかく、私の予測は毎回はずれっぱなしである。
このときはISO認証やEMS構築は減少していくのではないかと推測した。
その後、EUのRoHS規制などから実質を求めるようになり、形式的なことはどんどん少なくなった。
2020年の状況は数の通り。
注:要求レベルが2年ないし3年で波打っいるのは、企業の調達基準書の見直しがその間隔で行われているからと推察する。
つまり要求が厳しい企業の多いグループと、そうでないグループが交互に改定を行っていると推測する。
ISO認証要求もEMS構築要求も減少してきたが、2015年頃にそれぞれ約15%、50%で下げ止まり今でもゼロにならない。これは形式的にでもあったほうが良いと要求しているのか、それとも実際に効果があると判断しているのか分からない。
私は2020年前にISO認証もEMS構築も要求はほぼゼロになると考えていたので、予測が外れたのは間違いない。
だいぶ前にISO審査員は何名必要かなんてことを試算したこともありました。あれから9年も経ち、認証件数は当時の2/3まで減った。審査員も2/3で間に合うとすれば、パートタイム審査員を含めてQMSが2,200名、EMSが1,400名で間に合うはず。実際はどうなったか知りたいものだ。まあ非常に少なくなっているだろう、今は審査員登録しなくても良いわけだし
本日のお仕事
「うそ800」ではいつも言いたい放題を書いている。言いたい放題であっても発言の責任はある。
そんなわけで本日は過去に私が予想したものの結果を省みた。
まあ、9割方は私が語ったようになったと思います。
ISO認証件数推移は、正規分布の右半分を横に引き伸ばしただけじゃないかなんて言わないでください。いやそう言えるのは今だからであって、今から5年前、10年前にはそうなるのかどうか断定はできなかったわけ。
だから、これから突然ISO9001の認証が爆発的に伸びるとか、突然ポシャるかもしれない。絶対ないとは言えないのが面白いところ。
ISO認証制度の行く末を考えるのも老人の生きがいになるだろう。