「脱炭素は嘘だらけ」

22.08.04

お断り
このコーナーは「推薦する本」というタイトルであるが、推薦する本にこだわらず、推薦しない本についても駄文を書いている。そして書いているのは本のあらすじとか読書感想文ではなく、私がその本を読んだことによって、何を考えたかとか何をしたとかいうことである。読んだ本はそのきっかけにすぎない。だからとりあげた本の内容について知りたい方には不向きだ。
よってここで取り上げた本そのものについてのコメントはご遠慮する。
ぜひ私が感じたこと、私が考えたことについてコメントいただきたい。


私は読む本をどのように決めるというか、何がトリガとなってその本を読んだのかというと、いろいろだ。
ひとつは電車内の中吊広告だ。週刊誌や小説に全く興味はないが、ノウハウ本、ビジネス本、健康の本などには関心がある。気になったのはその場でスマホのGoogle Keepにメモしておく。
そして暇なときkeepにメモした書名を眺めて、そのときでも読みたいか考える。実を言って一目惚れした本の9割は一過性だ。数日過ぎると、なんで読みたかったのか分からないことが多い。まあ肩こりしたときストレッチ本の広告を見れば読んでみようと思うし、数日経って肩こりが消えれば読む気は薄れる。

読書 そのほか本を読んでいて、そこで引用していることが気になるときは、巻末の引用文献から出典をたどって読む。
引用文献が記載されていない本は、読む価値がない。だって出典を明確にせず引用していたら信頼できない。真面目な話、引用文献を明記しているかどうかは、本と著者の信頼性を測る目安である。

その他、書店や図書館をさまよっていて、たまたま目について気になった本を読むこともある。これは打率が低い。読んで良かったと思うものは3割もない。でもその3割に出会うために金を払う甲斐はある。

とはいえ、定年退職して年金暮らしだから、読みたい本でもすぐ買うわけにはいかない。働いていたときは毎月1万数千円は本代に使っていたが、今そんなことをしたら真面目な話ご飯おまんまの食い上げだ。
私の友人に私と同じ系統の本を読む趣味の人はいないから、その筋から借りることはできない。
だからまずは図書館の蔵書検索だ。住んでいる市の図書館になければ、近隣の市の図書館を探す。今は近隣の市図書館にあるときは取り寄せてもらえる。
以前は市の図書館にないときは、大学の図書館を一般人に公開しているところから借りたが、コロナが蔓延してからは利用したことはない。

中古本を買うのは、金額的にはメリットはあるが、物が増えるのは困るので二の足を踏む。いくら安くても、読んだ後ゴミに出すのは心が痛む。とはいえ不要になった本を売るのも面倒くさい。本棚に置くには場所がない。


前振りが長すぎるといつも言われる。本論に入ろう。
今回お勧めする本は地球温暖化についての解説である。地球温暖化に関する本は、我々人類の終末は近い、温暖化を信じないものは死ぬ、温暖化を信じても温暖化防止に財産を喜捨しないと死ぬ、温暖化を信じ財産を寄付する人のみが22世紀に生き残れるなんて本が多い。
いや本当です。テレビも新聞も、もちろん政府も、危険だ!危ない!死ぬぞ!ということばかり書いてます。
面白いことに自民党のときも、民主党のときも、再び自民党に戻っても、首相も環境大臣も地球温暖化を止めろ!CO2を出すなと語っています。右も左も地球温暖化は怖いのでしょうか?

小泉おやじ ルーピー 鉋音
安倍首相
小泉ジュニア ガースー
地球温暖化を止めろ
なぜ保守もリベラルも同じことを言うの?
アメリカじゃ、共和党と民主党では違うよ

でもこの本はちょっと違います。

書名著者出版社ISBN初版価格
脱炭素は嘘だらけ杉山 大志産経新聞出版97848191139912021.06.221400円

この本を読もうとしたのは、ネットでこの本のレビューを読んだからだ。レビューでほめる人が多ければ読む価値があるだろう。
また貶す人が多ければ本の価値がない場合もあるが、著者の反対派による組織的な書き込みであることも多い。特に地球温暖化とか政治的な著作の場合、それは顕著である。

この本は2021/6/22に出版されたが、存在を知ったのは2021年10月だった。
まず図書館にあるかを調べた。あるにはあったが私の住んでいる市図書館には1冊しかない。
見ると予約者が20人くらいいる。1冊しかないのだから、ひとり1週間として20週間、5か月かかるということだ。今は便利になって、図書館のウェブサイトで貸し出しや予約状況そして自分が行列の何番目かを知ることができる。
今すぐ読みたいが、1,400円はちと高い。アマゾンですぐさまポチッと買うわけにはいかない。仕方がないので図書館にネットで予約した。昨年の10月20日であった。あとは待つしかない。

「本が用意できました」というeメールがきたのは、予約したことさえ忘れた7月25日である。あれから278日、9か月後のことであった。予約したとき待ち人の20人目だったから、一人平均2週間借りていることになる。
「長いお別れ(注1)という小説はあるが、「待ちくたびれた出会い」という小説は聞いたことがない。出会いは待ちくたびれた方が喜びが大きいのだろうか?


著者のご芳名は以前から知っていた。彼は地球温暖化否定論者どころでなく、IPCCの「第4次報告書(2007)」の統合報告書主著者、「第5次評価報告書(2015)」の第3部会総括執筆責任者である。IPCC報告書を書く中心人物だった。

そういう人なら偉大なる山本良一先生のように、ハチマキにロウソクをはさんで地球温暖化は怖いぞ!温暖化地獄に落ちるぞと無知な人たちを恐怖にあおり、温暖化教徒にしようと頑張っているのかと思うと、そうではない。

10年前に杉山氏の「環境史から学ぶ地球温暖化(注2)を読んだ。
2ちゃんでは「3行で言え」というので、それに則ると「地球温暖化はマスコミが言うほど気温も上がらず海面上昇もするわけではない。気温は上昇傾向であるが、過去1世紀と同じくらいである。慌てる必要はなく、地道に対策を進めればよい」という趣旨であった。

そして2021年にも「地球温暖化のファクトフルネス(注3)という本を読んだ。その序文に「地球温暖化に関する報道を見ていると、間違い、嘘、誇張がたいへんによく目につく。そしてその殆どは、簡単に入手できるデータで明瞭に否定できる」とある。
ここで注意! 杉山氏は地球温暖化に反論を述べているのではない。IPCC報告書とマスコミ報道は整合していないと語っているのだ。整合していないとすると、その齟齬はどこで生じたのか?


さて2021年の「脱炭素は嘘ばかり」ではどんなことを語っているのか?
この本でも「地球温暖化は危険でない。それは我々が入手できるデータで明瞭に否定できる」という論理も変わっていない。
しかし過去の本で語っていたことと、この本ではかなりニュアンスが変わっている。従来は観測データなどから気温上昇や海面上昇を考察して、その危険性とか影響を考えた結果、報道と違ってそれほど大きなものではないという主張がメインだった。
この本では主張することがかなり変わってきて、「温暖化が危険だなんとかせねばというのは科学でなく政治的な主張である。だまされるな」というメッセージがメインテーマだ。

それは「地球温暖化を止めようという運動は銭儲け以外の何物でもない、今各国政府が語っていることはみな国家戦略として自国が有利となるための方策であり、そんなのに乗せられた日本政府はババを引く。日本国民よ!覚醒せよ」ということである。
そしてアメリカや欧州では、温暖化が大問題と考えている勢力もあるし、大問題でないと考えている勢力もあり、それは拮抗しているのだと語る。

なんだか今の電気自動車の流行のように思える。電気自動車は温暖化防止の切り札のように考えている人が多いが、あれは日本の車メーカーに追いつけなくなった欧州の車屋が、競争の条件を大きく変えて、捲土重来を狙ったものと言われる。
フォルクスワーゲン 欧州はスキーや水泳が勝てなくなると、自分たち有利にルールを変えるが得意だが、それと同じである。
なにしろあのフォルクスワーゲンが、排ガスデータの捏造までするところまで追い込まれたのだから。

日本のマスコミはどこも一致して、100年後には山本良一が語るような温暖化地獄になると報道しているが、アメリカのマスコミは温暖化が危ないと報道している報道機関もあるし、温暖化など心配するなと報道しているところもあるという。

何事でも疑い深い私はすぐさまパソコンでリベラルなCNNと保守バリバリのFox newsを見比べた。
これを書いているとき(8/1)、まさにカリフォルニア州で今年最悪と言われる山火事が発生している。CNNではそれを地球温暖化のせいだと報道しているが、Fox newsでは淡々と被害や現状などを報道している。
私は地球温暖化で山火事が起きたのかどうかわからない。だがなんでもかんでも地球温暖化のせいだというのは耳にタコができるほど聞いている。
Fox newsで地球温暖化に関する言葉を見たのは、数日前 ペロシ下院議長が台湾訪問することで余計なCO2が出ると書いていたくらいだ。ちなみにペロシは民主党でFox newsは共和党だ。共和党はCO2削減に反対だ。まあFox newsにとって地球温暖化とかCO2は、相手を揶揄するジョークネタなのだろう。


杉山氏の今までの本ではさまざまなデータを上げて気温上昇とか海面上昇などの間違えた解説を指摘してあげつらっていたが、この本ではそういうことはあまり書いていない。もう真面目な科学論議を諦めたのかもしれない。そういうことを語っても、人には響かないと悟ったのかもしれない。
ただ元データに当たれということは過去から変わらず、この本でも何度も書いている。マスコミが危ないと言っても、本当に危ないのか考えろとも書いている。

だがこれは難しい。
天気予報で「雨の降る確率が30パーセント」と言われても、その意味を理解できる人は少ないだろう。
梅雨っていやね
多くの人は難しいことを言わないで、明日雨が降るのか降らないのかはっきり言ってくれという思いだろう。
私のような品質管理とか品質保証を仕事にしてきた人間でもそう思う。ましてや統計など学校で習っただけで仕事とか暮らしで使ったことのない人が、降雨の確率が……と言われても、その意味も解釈方法も分からないのは仕方がない(注4)
多くの人は明日雨が降る確率などどうでもよくて、遊園地に行けるか否か、日差しが強いなら帽子をかぶっていくべきかを知りたいのだ。
残念ながら、そのような確定的なことは誰も教えてくれない。

ところで実はIPCCの報告書には、テレビが報道している2100年の気温上昇は何度になりますとは書いてないのだ。報告書には5つのシナリオ(いくつかの要素を仮定した条件で推定したもの)があり、それぞれにおいて気温や海面上昇がどうなるのかを予測しているに過ぎない。

例えば「IPCC 第6次評価報告書 第1作業部会報告書 政策決定者向け要約 暫定訳(2022/5/12)」の14ページB1.1には
「1850〜1900 年と比べた 2081〜2100 年の世界平均気温は、本報告書で考慮した GHG 排出が非常に少ないシナリオ(SSP1-1.9)では 1.0〜1.8℃、GHG 排出が中程度のシナリオ(SSP2-4.5)では 2.1〜3.5℃、GHG排出が非常に多いシナリオ(SSP5-8.5)では 3.3〜5.7℃高くなる可能性が非常に高い。」
とある。

これを見て、実際に何℃上昇するのか分かる人はいるのか?
私は分からないし、気温上昇が危険なのか危険でないのかも分からない。いや、この文章を書いた人だってどうなるか分かるはずがない。だからいろいろなケースにおいて最大・最少を想定しているいるわけだ。
それを咀嚼して解説するのが政府でありマスコミなのだろうが、彼らはただひたすら地球温暖化がひどくなる、アブナイ、危険、そして対策には大金が必要だ、税金を投入が必要だ、税金を上げねば……と繰り返すだけだ。

ところがそのシナリオを理解するのさえ簡単ではない。シナリオの条件を記述したものの和訳はないようで、私は英文のページ数を見ただけで諦めた。

報道機関が上記の5つのシナリオを解説したのを見たことがない(もっとも私はテレビを見ないのだけど)。マスコミが地球温暖化の話をするときは、常に最悪のシナリオでの最大値を語る。池上彰などはその典型だ。
数年前のことだけど、偉大なる地球温暖化教の教祖、山本良一センセイは海面上昇が50mとか語った。いったい50mの出典はなにか? 彼はファンタジーを語っているのか?
当時のIPCC報告書は第4次だったと思うけど、そんな数字を見たことがない。


そして地球温暖化論者は無敵で絶対に負けない。
だって暑いと地球温暖化だといい、大雪が降っても寒波が来ても、地球温暖化のせいだと言えばよい。
日本では今も「地球温暖化」という。しかし外国では20年前までは「地球温暖化」といったが、今は「気候変動」という。なぜかというと当初予測したようには大気の気温が上がらず、寒波も来た。
それをみて地球温暖化懐疑派が地球温暖化はどこに行ったのかと揶揄した。それでCO2が増えると単純に地球温暖化するのではなく、暑くなるところも寒くなるところが発生するのだ、だからこれからは気候変動と呼ぶと言い出したのだ。
もっともそれをみたトランプ大統領は、呼び方を変えたことを揶揄していた。


では杉山氏が完璧に正しいかというと、言い過ぎというか、勇み足と思えることもある。
本書193ページに「令和2年の環境白書(2020.06.01発行)」の22ページに「2019年の世界各地の異常気象」という図がある。杉山氏はそれについて「寒かったところを隠して、暑かったところだけを赤く塗って示している」と書いている。

その図を下に示す。
2019年世界の異常気象

注:環境白書 令和2年より引用
政府刊行物は、出典を明記すれば特段断ることなく引用できる(注5)

確かにこの図を見ると真っ赤かで、地球はもう終わりだと信じてしまいそうだ。
だがちょっと待ってほしい。日本の環境省がこんな立派な地図を作るはずがない。元ネタがあるはずだ。

探して見つかったのは毎日新聞2019.12.3の記事(注6)でWMO(世界気象機関)が「2019年の世界の平均気温は2016年に次いで過去2番目か3番目に高い年となる」と発表したという記事である。ここにWMOが作成した環境白書の元ネタと思われる気温の地図があり、もちろん説明文で隠されたところも現れている。

WMOが2019年に公表した元の図
WMOの図表

注:WMOより引用
2019 concludes a decade of exceptional global heat and high-impact weather

確かに北米の多くは青色であり、インドネシア周辺も面積は小さいが青色である。
だがこれをもって都合の良い嘘をついたというほどのこともなさそうだ。
令和3年の環境白書35ページにも、令和4年の環境白書21ページにも同様な地図が載っている。もちろん掲載年によって世界の平均気温の元データは新しくなっている。
いずれも説明文が世界地図を半分くらい覆い隠している。しかし解説文で隠されている部分が、客観的に見て不都合な真実を隠そうとしたとは思えない。

もちろん環境白書令和4年版も令和3年版も、この本が出版された2021年の6月には存在していない。だから杉山氏が令和3年版を見て嘘をついたとこの本に書いたのは無理もない。
あるいはひょっとしてだが、2021年に杉山氏がこの本を書いたから、その後に発行された環境白書の令和3年/4年版では、解説文を置く位置を見直したのかもしれない。
故意か偶然かは知らないが、環境省の役人は疑問を持たれないような仕事をすべきだろう。杉山氏が疑いを持つのは当然だ。李下に冠を正さずである。


地球温暖化対策をすると、税金が上がると知る人はあまりいないだろう。
話は違うが、新型コロナウイルス流行で2020年に我々がもらった10万円の給付金は、神様とか仏様のプレゼントではない。とはいえ政府の金庫に現ナマがあるわけではない。
どこから出したかといえば国債です。つまり国の借金です。一人10万円で1億人なら10兆円……大変ですね(鼻ホジ)

2020年、10万円もらってうれしかったけど、最終的にそれを負担するのは……自分
実際には人口は1億3千万人だし、飲食店や事業所への給付もありますから、それ以上の金額になります。更に! 国家公務員が給付金を騙し取ったりしているから、10兆円では収まりません。国民の負担は大変です(注7)

太陽光発電 太陽光発電が素晴らしいかどうか分からないが、実は太陽光発電はまともに計算すれば設備を回収できるほど効率良く発電していない。だからお金をかけて屋根に青い板をつけてもそこから利益が出ない。
だけど太陽光発電を増やすために…なぜなんでしょうか?…政府は太陽光発電を買い上げる金額を高くしている。その高く買い取るためのお金は我々一般人が払っているのだ。
それを「再エネ発電賦課金」といい、電気代の約1割くらいだ。我が家では月々だいたい1,500円払っている。知らなかったら毎月の電気代の通知に「再エネ発電賦課金」の金額が書いてある。

げんこつ そのお金は屋根に太陽光パネルをつけている人が受け取る。太陽光パネルをつけて補助金がもらえて笑顔の人は、我々のお金を搾取しているのだ!
太陽光パネルをつけていない我々は奴隷か! 怒らなければならない、


それと私が疑問を持っていることがある。疑うわけではないが……いや疑っているのだが……それは地球温暖化のシミュレーションソフトが信頼できるかということだ。
温暖化のシミュレーションソフトは、ロトの当選番号を予測する詐欺ソフトと同じような気がしてならない。

当選ロト番号を予測する詐欺ソフトは、実は過去の当選番号を全部書き込んであるだけだという。つまり前回までの当選番号は正しいが、これからについてはまったく根拠のない数字である。そして詐欺ソフトはひっきりなしにバージョンアップをする。だって前回までの当選番号があっていないとウソがばれる。
それで詐欺ソフトを買った人に、お金を払ってバージョンアップしなさいとアナウンスがくる。常に最近の当選番号を書き加えているわけだ。
あこぎなことと怒るより、素晴らしいビジネスを考えたものだと感心する。

温暖化を予測するソフトも、毎年の実際の温度上昇を反映して見直すというから、ロト番号の詐欺ソフトと同じことじゃないかと私は勘繰っている。


この本を読むのをお勧めするが、読むにはある程度覚悟をして読まなければならない。というのはすなおな心で読むと、怒り狂うことを保証する。

そもそも日本はCO2を減らす必要があるのか?
日本が必死に省エネを図りCO2を減らしても、中国はあっという間に日本が減らしたCO2を埋めしてしまう。

2006年の世界CO2排出地図
世界CO2排出地図

2017年の世界CO2排出地図
世界CO2排出地図

上のふたつの図を見比べたら、10年間で日本を含めた西欧諸国は省エネの努力で面積が減っているが、大幅に増えている中国が目立つだろう。
インドも多いというかもしれないが、中国とインドの人口がほとど同じことを考えるとそうは言えない。

上の図より、こちらの方がわかりやすいかもしれない。
主な国別エネルギー起源のCO2排出量の推移グラフ

  • 世界の二酸化炭素排出量、このまま増加させたらやばい
  • 世界の二酸化炭素排出量を調べてみよう

  • 中国が毎年5〜6%CO2を増やしているが(注8)その増加分は日本が1年間に出すCO2の約半分だ。中国は2年で日本一国分を増やしている。スゴイデスネ
    日本が2050年CO2排出ゼロなんて語っています。まず無理でしょうけど仮にできたとして、そのときの中国は、今の中国に今の日本の15倍のCO2を加えた量を出してはずだ。それは今の中国の5倍に相当し、2019年の全世界のCO2排出量の1.5倍になる。
    中国以外のすべての国がCO2排出をゼロにしても、中国だけで今の全世界の1.5倍に
    実際の中国のCO2増加は等差でなく等比(単利でなく複利)だからもっと大きくなる。対して日本は今のところ増加率はマイナスだ。

    日本人が血ヘドを吐いてCO2排出量をゼロにしても全く意味がありません。いや中国以外の国がすべて化石燃料を使うのを止めて原始社会に戻っても、中国だけで地球温暖化は加速するでしょう。
    おお中国に発展を止めてもらえばすべて解決する。


    洋上風力発電というのがはやりらしい。いや陸地ではもう風力発電を作れる場所がなくなって海上しかないのが本当のようだ。
    風力発電 だがこの本では洋上風力発電とは補助金狙いのビジネスであると書く。陸上の風力発電だって補助金なければ儲からない。足りない分は補助金で風車が回っている。それ以上に設置や維持に金のかかる洋上風力発電が補助金なしで回るわけがないと。
    補助金がないと風車が回らないなら、補助金を出さないで風車を作らないほうが環境に良くないですか?

    もしかして再エネ発電賦課金は、海上風力発電のために10倍くらいに増えるかもしれない。原資がないと補助金を払えないからね、そうなると電気代は今の倍になる。
    電気代が今の倍になれば家庭では「ゲームをするな」なんて声が聞かれ、コーヒーショップでは「スマホの充電は犯罪です、充電を見つけたらすぐ警察を呼びます」なんて紙が貼られ、工場は閉鎖されるだろう。もっとも失業すればゲームどころではなく、コーヒーを飲む余裕もないか(笑)

    太陽光発電を日本国民全部が設置すれば……誰もが補助金をもらえず、電力会社は高い太陽光発電の電気の買取を拒否して、各家庭では電力会社より何倍も高い自家発電を使い、日本国民全部が貧乏になる……これが自然エネルギーの社会なのだろう(笑)


    嘘があるのは報道ばかりではない。天気予報士が語ることにも嘘がある。騙されるな!


    「ゼロエミッションを実現すれば」と語る人は多いが、ゼロエミッションが実現可能という証明を見たことがなく、ゼロエミッションを達成すれば、どう良くなるのかも聞いたこともない。
    決して行くことができない神の国や極楽が、素晴らしいと語るようなものなのだろうか?


    レタス CO2が減ると困る人たちも多い。
    ハウス栽培でCO2濃度を上げているのはなぜか?
    GEはガスを使った発電機の排気ガスをハウス栽培に送り込むトリジェネレーションを販売している。
    2050年カーボンニュートラルを実現したら、農産物の大不作が(以下略)


    この本には笑い話も載っている。
    2010年アメリカのグレイシャー(氷河)国立公園に「この氷河は2020年までになくなります」という看板が建てられた。
    😂
    2020年に氷河はなくならなかったが、看板がなくなったとさ、

    私のことですからもちろん調べました。といってもアメリカのGoogleで「グレイシャー国立公園+看板+氷河+消える」くらい英単語を入れて、マウスボタンをクリックだけです。便利なものです。
    そのお話は都市伝説ではなく、ちゃんと実在しました(注9)


    杉山氏はみな無批判に信じて進めば、飢饉とか産業の壊滅とかが起きる、日本は崩壊してしまうと叫ぶ。
    我々は政府も新聞もNHKを信じることも控えよう。もちろん杉山氏を信じることもない。
    釘を刺しておくが、杉山氏が間違っているかもしれず、私はたぶん間違っているだろう。
    じゃどうするのか?
    常に広く世界から情報を収集し、自分が考え、判断しようではないか。騙されてお金や命を失っては悔しいだろう。自分が考えてダメだったなら諦めもつく。


    うそ800 本日の教訓

    日本語の新聞やテレビ、あるいはネットで新聞社NHK共同通信ヤフーニュースを見てるだけではいけない。
    せめてCNNFox newsBBCくらい見ましょう。
    CNNの日本語版とアメリカ版では内容が全然違うのだから、
    英語が苦手だって
    心配無用。英語であろうとロシア語であろうとウェブサイトが表示されたら、マウスの右ボタンで「日本に翻訳」を選びクリックすれば一瞬です。




    注1
    「ロンググッドバイ」レイモンド・チャンドラー、早川書房、1958

    注2
    「環境史から学ぶ地球温暖化」杉山大志、エネルギーフォーラム、2012

    注3
    「地球温暖化のファクトフルネス」、杉山大志、電子書籍出版代行サービス、2021

    注4
    気象庁では降水確率を次のように定義している。
    ・予報区内で一定の時間内に降水量にして1mm以上の雨または雪の降る確率(%)の平均値(%の下一桁は四捨五入)
    ・降水確率30%とは、30%という予報が100回発表されたとき、その内のおよそ30回は1mm以上の降水があるという意味
    降水確率30%とは、30%という予報が100回出れば、その内30回は1mm以上の雨が降るということで、該当地域の30%で雨が降ることでもなく、予報された時間帯で30%は雨が降ることでもないということです。
    だから明日ディズニーランド行くんだけど晴れるのか降るのか?というような具体的なことには無力なのです。

    注5
    注6
    注7
    注8
    注9



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