第16条 (2004.01.25)
「何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、何人も、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。」


書いてある文言を素直に読むとまさしくそのとおりでご異議ございません・・・・・と言いたいのですが
すねたジジイにはやはり疑問がふつふつを湧き上がってくるのです。
  • 損害の救済
    まず「損害の救済」の相手が良く分かりません。
    公務員、法律云々となれば相手は政府とか国家機関となりましょうが誰から受けた損害なのかこの文章からでは不明です。
    英文でも同様です。
    しかしここでは国家あるいは国家機関、行政機関による損害に違いありません。
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    実はアメリカ憲法にはあまり受身形は使われておらず、ほとんどの文は主語のある能動態で書かれています。
    じゃあマッカーサーが作った憲法なのに英文でさえなぜ受身が多いのか? ということですが・・・・わかりません。
    本来ならば、文章を"The Government shall not ・・・・・"とすべきです。

    しかし損害を与えた相手が国家あるいは国家機関であるならば、損害の補償については第17条・第40条・第29条3項で規定しています。
    この条項ではこれらとは異なる状況を述べているようには思えません。

    各条項はどういう役割分担になっているのでしょうかquest.gif


  • 公務員の罷免
    第15条第1項 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。 」と定めています。国民固有の権利でありながら、再度ここで「平穏に請願する」権利を語る必然性があるのでしょうか?

    更に私は気に入らないのですが、なぜ「請願」しなければならないのでしょうか?
    私たち国民は、自分たちの税金で雇っている公務員を「罷免する権利」を持っています。
    「お代官様!年貢を軽くしてください。家には寝たきりのばあさんがいるんです」などと白砂に平伏してお願いすることはありません。
    「私たち納税者は働きの悪い公務員を解雇する。悪事を働く公務員を起訴する。」と言えばいいのです。
    よって、この文言におおいに異議ありexp.gif


  • 法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正
    主権とは本来は国民一人一人が持っているものであると、憲法前文にあります。
    そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。(憲法前文より)
    なんで法律やその他が気に入らないときに「請願する権利がある」という「ありがたい御言葉」をいただく必要があるのでしょうか?

    とんでもないexp.gif

    私たちは「法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正」が気に入らなければ大声で叫び、裁判所に訴え、最後には官公庁に乱入して実力行使をする権利を有します。

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アッツ、あまり熱くなることはありません。
実はこれ自衛隊海外派遣に反対する平和団体とか環境保護団体が常日頃実施されていることなのでヒトコト申し上げたしだいです。 


  • 第二番目の文章の主語は誰か?
    「損害の救済」と同様にといいますか、この場合は特にといいますか、「差別するのは誰」か不明確です。
    もちろん英語原文にもありません。
    nor shall any person be in any way discriminated against for sponsoring such a petition.
    本当は"by the Government"があるはずなんですが
    しかしまあ憲法が国民と国家の契約ですから「国家」があることにしておきましょう。
    そうしますとこれは国家が差別してはいけないということであって、周りの人、民間団体が差別しても憲法違反ではありません。
    いえ当たり前のことなんですが、現実の世の中には政治的な紛争後に反対派から差別されるのは憲法違反であるなんて語ることがありますので、
    自分と同じ意見の人と異なる意見を持つ人を同じく扱わない、付き合わないとう差別行為が清いか芳しくない(かんばしくない)かはおいといて、そういったことまで憲法が規制していることはないでしょう。


  • ところで国家が上記請願を受けたときに差別する根拠はもともとなさそうです。
    前にも申しましたが、主権は本来国民が均等に保有しているものであり、それを国家機関が預かって運用しているに過ぎません。
    woman4.gif 預金者の金を預かっている銀行が、その運用を誤って顧客に損をさせたりすれば執行役あるいは担当者が弁済するのは当然ですし、違法行為あるいは過失があれば刑事罰を受けるのも当然です。
    そのとき、執行役あるいは銀行が訴えた個人を差別したらそれこそ主客転倒、認識間違いもはなはだしい。

    同じく我々が政府に預けている権力をばかな公務員がおもちゃにし不始末をしたときは、ご本人及びその監督者の首に縄をつけて市中引き回しすることになんのご異議がござろうか!
    ・・・と、両手を広げて首を回す・・・
    ★★★★大向こうからぜひお声をかけてください。 

私は高校をでると、機械製図工として仕事に就きました。
機械製図というのは簡単に言えば「三角法」で形状を書き示すわけですが、当然たくさんの寸法数字、材料記号あるいは注意書きを書き込みます。
このとき、同じところの寸法を決して二重に記入してはいけないというのが約束事なのです。
じゃあ特定の箇所の寸法がどこに書いてあるか分かりにくいじゃないか? 正面図と側面図あるいは平面図にも描いておけば読みやすいのに・・・・
そうじゃありません。一箇所しか記入しないで誰にでもすぐ分かるところに寸法を記入する、それが機械製図工の腕の見せ所じゃありませんか。

えっつ、何の関係があるのって?
この日本国憲法って、同じことを繰り返し繰り返し書き続けているんですもん、
こんな図面を書いていたら上司に呼び出され「君、機械製図工が合っていないんじゃないか? 今ならまだやり直しがきくから」と一月分の給料を押し頂く羽目になってしまいます。



はい、本日のまとめです。

「こんな非論理的な文章では単位は
認められない。再提出を要する」



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