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勝ちたいという意欲がまさった!
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(2010.11.04) |
勝負は第1区で決まった!
勝負はあっけなかった。
結果的にみて第1区のスタート時点で勝敗は決していた。
澄みわたった秋空にとどろく号砲一発、すっとんでいったのは第一生命の勝又美咲だった。いかにも彼女らしいというべきか。ハナから積極的なとびだしていった。1q=3:12というから速い。この時点ですでにしてレースの主導権をしっかりにぎってしまった。
第一生命と好対照だったのは候補の一角・豊田自動織機の森彩夏だった。1.3qですでに勝又を追いかける2位集団からこぼれおちた。いかにも重そうな足のはこびで、はやくも波乱の予感が兆していた。
勝又のペースは落ちことなく2qでは完全にぬけだして2位集団をちぎってしまう。顔つきはひきしまりいかにも精悍な面立ちであった。躯の切れもよく、いかにも力強い走りであった。
5q=15:37というハイペース、すでにして集団をなす後続を100mほどちぎってしまい、完全な独り旅だった。
第一生命が独走、ライバルとみられていた三井住友海上(1区=山下郁代)もおおきく遅れをとってしまったのである。勝又の区間新記録の快走で、早々と1区で初優勝への道筋をひらいてしまった。
勝敗の決め手となるのはひとえに競技者のモーチベーションのありかたにかかっている。ようするに「勝ちたい」という思いが、どれほど強いか……ということである。団体競技ならばなおさらである。勝ちたいという思いにまさるチームが最後にほほえむのである。
勝ちたい……という思いについていえば、第一生命が他のチームを圧していた。出場20回にして悲願の初優勝…それが今回のレースにのぞむ第一生命の選手一人ひとりの思いだったのである。
無事故完走すればすべてのチームに全日本大会への出場権があたえられる。そんな「ゆるい」レースでモーチベーションを高くもてといっても、しょせんはムリな話だろう。事実、全日本の覇者・三井住友海上も前回の覇者・豊田自動織機も、まともに勝負をかけてこなかった。主力といわれる各ランナーもきちっと仕上げてきていなかった。
そんななかで第一生命だけが全選手、ベストにちかい状態でレースにのぞんできていたのである。最初から意気込みそのものがちがっていたのである。
かくして1区は勝又美咲の区間新記録の快走、2位のスターツに25秒の差をつけた。ライバルの三井住友海上(9位)には31秒、豊田自動織機(最下位)には1分09秒もの大差をつけてしまったのである。
唯一のみどころは第3区の攻防!
1区でうまく滑り出した第一生命は2区でも2位との差をキープ、しかし追うべき三井住友海上は順位をひとつあげたが、むしろ41秒とひきはなされ、豊田自動織機もいぜん1分05秒おくれの11位としずんだままだった。
第一生命を追う2位はユニバーサルエンターテイメントと1区・高木千明の快走によって上位にからんできたスターツ、さらにはパナソニック、ヤマダ電機といったところだった。いずれにしても主力をなす2チーム下位に低迷、これらが台頭してきても、第一生命にしてみればそれほど危険のない相手だった。
観戦者の視点からいえば、もっとも見ごたえのあったのは、やはり最長区の3区であった。逃げる第一生命は尾崎好美をめぐって、ユニバの堀江知佳とスターツの徳重佑梨がならんで追い、その後ろからホクレンの赤羽有紀子とパナソニックの吉川美香が並走してつづくという展開であった。
赤羽が吉川をひきつれて第2集団を急追、差はどんどんと詰まり、5q手前では堀江と徳重をつかまえてしまう、だが堀江と徳重もそこから粘りを発揮して、4人が集団をなしてトップをゆく尾崎を追いはじめたのである。トップとの差もじりじりと詰まった。
2位集団に変化があらわれたのは2,5qあたりだった。堀江がスパートをかけて集団を割った。吉川は、徳重は反応したが、赤羽は負う余力がなかったのか、ここで遅れはじめる。
堀江のひっぱる3位集団はトップをゆく尾崎をどんどん追いあげ、のこり2qではお先を射程距離におさめてしまった。そして残り1.3qでとうとう尾崎をとらえ、4人のトップ集団になってしまう。
集団のなかで終始主導権をにぎっていたのが堀江だった。なんどもスパートをかける堀江の揺さぶりに、吉川と尾崎は反応したが、そこまで大健闘の走りをみせてきた徳重がじりじりと遅れはじめ、3人のラスト勝負にもつれこんだ。
最初に勝負をかけてのは尾崎だった。残り400でスパートをかけたが、吉川は1500mの第一人者である。最後はスプリント勝負で尾崎をねじふせて、12.2qという長丁場にもかかわらず堂々の区間賞でパナソニックを4位から一気にトップに押し上げた。
ライバルの自滅で余裕のトップ!
3区を終わって1位のパナソニックから5位のホクレンまで17秒差、第一生命、ユニバーサルエンターテイメント、スターツがひしめきあうという展開だったが、候補の第一生命にしてみれば、それほど危機感も感じていなかったのだろう。終始、余裕をもってレースをすすめることができたのではないか。
なぜかというと、ライバル視していた豊田自動織機(6位)とは1分51秒、三井住友海上(7位)とは1分55秒と逆に大きく差がひらいてしまっていたからである。
事実、4区のベテラン安藤美由紀は落ち着いて走りで、タスキをうけて1qもいかないうちにパナソニックをとらえ、2qではトップを奪ってしまうのである。3.8qという短い距離だが、三井住友、豊田との差はさらにひらいて2分をこえてしまう。この時点で第一生命の初優勝ははっきりみえてきた。
第5区の野尻あずさは3q=9:53というとびだしで7秒をつけていたスターツほかの後続をひきはなしにかかる。スターツにかわってパナソニックが追ってきて、13秒差でアンカーにタスキがわたるのだが、相手がパナソニックやユニバではそれほど怖くもなかったのか。
第一生命の新人・田中智美は2q=6:28秒という快調な滑り出しで、みるみる後続をひきちぎった。そして笑顔で右の人さし指を立ててゴールのテープを切った。
三井住友海上はエースの渋井陽子を配してきたが、伸びきれずに6位のまま、豊田自動織機も脇田茜を投入していたが、9位から順位をあげることもできなかった。
渋井はいまだ目標を見失ったまま、体つきもまるまるとしていて、レースで走る状態にはなっていない。脇田もまた完調とはほどとおい状態であった。
全日本は大混戦必至か?
第一生命の優勝はひとえにモーティベーションの高さによるものだろう。創部20周年で初優勝……というチームの目標がランナーひとりひとりの胸にしっかりきざみこまれていたというべきだろう。出場13チームのなかで、このチームだけが勝とうという意欲にあふれ、しっかりレースにのぞんでいた。
2位のパナソニックは大健闘というべきか。3区の吉川美香の快走によって、いちどはトップを奪った。ユニバーサルエンターテイメント、スターツ、ホクレンを競り落とした後半にもみるべきものがあった。
健闘組をあげれば5位のスターツも最終区では力尽きたが、終始上位からおちることがなかった。第1区の高木千明の好走で、うまく流れにのったようである。
逆に期待はずれは三井住友海上と豊田自動織機である。ベストの状態で出てきてないとはいえ、トップから3分以上もはなされての6位、9位では、あまりにも悪すぎる。ランナー一人ひとりの成績をみても、まともに走れる状態ではなかった。
目標は12月の本戦にあるといえども、現在の状態では、果たして優勝争いできるチームに立て直すことができるのか。果たして、これで間に合うのか? 素人ゆえに、いささか疑問に思うのである。
三井住友海上は昨年も東日本では4位にあまんじながら、岐阜の本戦ではみごとに優勝を果たしている。だが、今年の場合は昨年よりもかなり重症ではないかと。
関東の主力がこのような状態では、全日本大会はまちがいなしに大混戦になるだろう。関東の第一生命、三井住友海上、豊田自動織機、関西のダイハツ、ワコール、天満屋、ほとんど互角の形勢ではないか。ひさしぶりに関西勢が優位に立つ可能性もおおいにあるとみた。
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