ISLAY MALTの特徴

ISLAYと書いて、アイラと読む。よく、酒屋とかに行くとアイレイと書いてあったりするが、アイラと読むのが正しい。かくいう私もはじめはアイラと読めず、アイレイと読んでいた。
アイラ島はインナーヘブリディズ諸島の最南端に位置し、グラスコーから西へ飛行機で35分の位置である。その大きさは600平方キロと日本の佐渡島くらいである。人口も4,000人と少ない。高い山もなく、人工物が少ないこじんまりとした島であるが上空から見ると、牧場の緑と土色の大地がまるでデザインされたように広がる美しい島である。この土色の大地はウィスキー作りに欠かせないピートの原野なのである。
アイラ島の語源はいろいろとあるが、バイキングの言葉で「酒の島」を意味する「エールの島」が語源であるという説がある。私としてはこの説がもっともこの島に似合っていると思っている。


アイラ島には全部で8つの蒸留所がある。密造時代にはもっとたくさんの蒸留所あったと言うが、現在でもこの小さな島に8つもの蒸留所があるのは驚きである。その最大の理由は島全体にあるピート。ウィスキー製造に欠かせないものであるピートが大量にてに入るということは理由として十分であろう。また、アイラ島ではウィスキー以外の産業が無かったというのも一つの理由となるであろう。実際、アイラ島全体が深く蒸留所と関わっている。アイラ島にある蒸留所は以下の8つ。


・ブナハーブン BUNNAHABHAIN
・カリラ CAOL ILA
・アードベッグ ARDBEG
・ラガブーリン LAGAVULIN
・ラフロイグ LAPHROAIG
・ポートエレン PORT ELLEN
・ボウモア BOWMORE
・ブルイックラディ  BRUICHLADDICH




これら8つの蒸留所はすべて海辺に建っている。アイラモルトの個性の一つである潮の香りはこのせいであろう。実際、熟成に使用される樽は潮風にさらし、海の香りを十分につけて使うのである。


アイラ島でウィスキー作りが盛んである理由にはいくつか考えられる。まずは先にも述べたが、島全体に広がるピートの大地。ピートとは石炭になるまえの泥炭状態の土のこと。これを乾燥させて燃やし、麦芽を製造するための燃料として利用している。 次にアイラ島では良質の水が手にはいるというのも重要な要素である。アイラ島は人口も少なく人工物も少ないので手つかずの美しい自然が残っている。そこで生まれる水が良質であるのは当然である。良いウィスキーを作るのには良い水も必要不可欠なものなのである。
更に、ウィスキー作りが最初に伝わったのがアイラ島であったという歴史的理由からという話もある。


アイラモルトは強烈な個性が特徴である。アイラモルトには独特のヨード臭とスモーキーフレーバーがある。更にほのかに潮の香りもする。このようにスモーキーでハードな特徴を持つだけにウィスキーをよく知らない人でも他のモルトとの違いを知ることができる。
アイラモルトの一つの特徴である強いピート香は単に麦芽の製造にピートを使用しているからつくわけではない。ウィスキーに使用している水はピート層の中を流れているため、水自体にもピートの香りが染みついているのである。
そして、もう一つの特徴はほのかに香る潮の香り。この香りのことを海藻のような香りと表現されることもある。それは先にも述べたが、熟成させるための樽を潮風にさらして海の香りを十分につけてから使うからである。このため、アイラモルトはシーフードとよく合うと言われている。


最後に、アイラモルトの強烈な特徴から、有名なブレンデッドスコッチウィスキーには絶対入っている。少なくとも5パーセントほどがブレンドされているという。実際に、私の好きなブレンデッドスコッチウィスキーであるBALLANTINE'Sにもアードベッグが入っている。そのためとは言わないが、私の一番のお気に入りのアイラモルトはアードベッグである。このようにアイラモルトはスコッチの核となる原酒と言っても過言ではないだろう。

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