こんちわ。おかえりのすけです。「六月六日に雨がざーざー降ってきてぇ〜」という絵書き唄がありますけど、今回はこの絵書き唄を手がかりにして、北園克衛についておかえりのスケ本を並べてみました。
★2002年は北園克衛生誕百年の年でした。記念して行われたイベントと北園克衛研究誌<キットカットプラス>については編集局のご案内をどうぞ。おかえりのすけが案内するページもあわせてご覧いただきたい。
★2002年秋以降発行された関連書籍や特集雑誌については、このページのしたのほうにまとめてありますのでお見逃しなく。
おかえりのスケ本「北園克衛の写真に隠れていたモノ」の巻。

おかえりのすけ、今回はいきなり暴走。森村泰昌状態(↓)になってますけどダイジョブか。
今日は六月六日なので、毎年恒例の「かわいいコック〜さん♪」を唱ってボク的コックさんを描くのです。ついでに今日は何の日かチェックしてみたら、1978年6月6日に北園克衛ってひとが亡くなってますね。キタソノカツエって、

1978年に白石かずこさんが『詩芸術』で書いていた「北園克衛、往く。啓蒙と美学」を読むと、どうやら詩人みたいです。なるほど、『北園克衛詩集』『北園克衛全詩集』などあるね。
現代詩だから『現代詩手帖』でしょ、って探したら、「記号とフォルム」と題して北園特集が組まれたのは90年になってから。詩だけじゃなくて写真やイラスト、装幀などいろいろやってた人らしい。というか、このひとにとってはその全てが詩ってわけ?ご本人は茶色のベレーをかぶってモダ〜ンなおじさま



作品のなかに自分の姿を見てしまった(↓)ようだがハテ、どうする....
あこがれの限定本をたくさんお造りの佐々木桔梗さんが書いた五行山荘の限定本についての本を見てたら、北園克衛のことがいくつも出てきた。へぇじゃぁもしかしてと思って詩の古書日本一の石神井書林目録を見たらあるわあるわ(『石神井書林日録』『ボン書店の幻』にも登場)、そして高いわ高いわ。「sumus」誌に北園の詩集『眞晝のレモン』を5,000円で手に入れた話が出てたけど、それはつまりオカイドクだったってことみたい。そうか、北園ってすごい詩人さんなのだな。

いっぽう、「レコ屋感覚で古本探し」する人たちのためにという『モダン古書案内』では北園が装丁した本のこと、『骰子』では「ミュージック・コンクレートの言葉ヴァージョンであるポエジー・コンクレートが再認知」なんて前置きのあとで詩人北園のこと、『オードリーとフランソワーズ』では「絶版乙女クラシック」本のひとつとして北園装丁の『キャンディ』が紹介されてたりして、若い人にも人気なのだな。


「SD」って建築雑誌でも北園の本を特集してた。こちらでは「構築物としての美」と表して甘さ抜きで紹介、スッパリと気持良くど真ん中にボクのはーとに。このなかの杉浦康平さんのインタビューでは、『遊』で松岡正剛さん杉浦さんと北園が鼎談したことにも触れてた。これは北園のエッセイ集『2角形の詩論』にも収録されてるよ。

コンクリート・ポエトリィ運動ってのに日本で最も多く関わったのは、エズラ・パウンドとも交流のあった北園ではないかと多くのひとが言う。『円と四角』で向井周太郎さんも。で、60年代終り頃に北園はプラスチック・ポエムってことを言い出して、「鳥の羽で始った歴史はボールペンで終るべきである」「カメラは失敗した一握りの詩の紙屑からも美しい詩をとりだすことができる」なんてことを言って、写真を使った作品を多く発表。『ことばの小宇宙』『回送電車』の表紙にも使われたみたい。


なにやらしたためて失敗した紙を丸めて、サクヒンを作ってる模様。

「北園克衛の作品には、じつはボクが隠されていたのです」
...............おかえりのすけ(c)eno
北園克衛が最期まで手掛けていた『vou』という雑誌は、1978年に北園克衛が亡くなって廃刊となったみたいだが、その後9年かけて追悼集『KITAZONO katue』が完成してるんだ。

この『vou』つながりで追っていくとモーいろんなひとのカッコイイ作品がばんばん出てきてクラクラ目眩。『銀花』の本工房特集号にはvou同人でもあった鳥居昌三さんが作った北園関係の極上の革装丁本が登場。同じく同人であった山本悍右さんの写真展カタログ、田名部信さんの『δ』、森原智子さんや藤富保男さん、奥成達さんの『gui』などなど。奥成達資料室には北園克衛とvou関係のページがあって、北園の自筆手紙なども見れるよ。

かわいいコックさんつながりでここまで来ちゃったけど、なんだかとっても魅力的なひとに会えた気分。今日はもうクラクラだしおなかもペコペコなのでここまでにしときます。コックさん、ありがと!ところでみんなどう思う?画面左、グリーンで書いたボクの見解。感想反論、どんどんちょうだいな。


それぞれのさらなる詳細は、タイトルをクリックして見てね。bookbar4楽天ブックスのカートに進みます。
no.401『現代詩手帖』(楽天ブックス扱いなし/bookbar4所蔵本)
思潮社/1990
佐藤朔、窪田般彌、金関寿夫、児玉実英、安藤元雄、岩成達也、藤富保男、瀬尾育生、樋口覚、川端隆之、白石かずこ、森原智子、諏訪優、ジョン・ソルト、松岡正剛、藤枝晃雄、武井邦彦、山口謙二郎、高橋昭八郎、新倉俊一、鶴岡善久、奥成達(「若い人に凄く人気がある」から特集を組んだという『現代詩手帖』。亡くなった当初は訃報欄にも載せなかったことを記している)。
Note「...だがひとり、北園克衛については、特集はもとより、現代詩の大きな流れのなかで検討し直したことはなかった。鮎川、吉岡のすぐ前の重要な存在として位置づける視点を、いままでもちえなかった。なぜだろう。詩に意味を拒絶し通した北園克衛の栄光と悲惨は、いま私たちに多くのものを語りかける。...」
no.402『詩芸術』(楽天ブックス扱いなし/bookbar4所蔵本)
芸術生活社/1978.8
白石かずこさんが連載していた「ポエトリー・宇宙に飛行するもの」no.8のなかで、北園克衛との出会い、vouのこと、葬儀のこと、そこでの黒田惟理さんのことなど。
編集後記「...詩壇の重鎮であられた北園克衛氏が逝去されました。まことに残念なことでございます。...」
no.403『北園克衛詩集』(楽天ブックス扱いなし/bookbar4所蔵本)
思潮社/1981
編・構成=藤富保男。解説「詩の図学を完成させた詩人」藤富保男。
「...たとえばパウル・クレエの絵のような簡潔さを持った詩を書いた。意味によって詩を作らないで、詩によって意味を形成したのである...」清水俊彦。

『北園克衛全詩集』『北園克衛全写真集』はご購入可。
no.404『五行山荘 限定版書目細見』(楽天ブックス扱いなし/bookbar4所蔵本)
佐々木桔梗/プレス・ビブリオマーヌ/1979
昭和十二年に大竹健二さんが発行した『五行山荘・現代日本限定版書目』に、佐々木さんが追補して発行したもの。北園克衛関係では目録には『戀の唄』(原作マラルメ)『若きコロニイ』などがあり、後半で佐々木さんが『サボテン島』『圓錐詩集』『固い卵』『白のアルバム』『Les Petite Justes』『ヴァリエテ』『マダム・ブランシュ』『L`ESPRIT NOUVEAU』『VOU』『ブラック・レイン』『TRANSITION』『ドノゴトンカ』『詩法』『DES LIVRESー本について』『GALA 』『MAVO』など。
no.405 『石神井書林日録』
内堀弘 /晶文社/2001
P142「北園克衛のいた場所へ」...北園克衛が学生時代に詩を寄せた『鹿火屋』のこと、など。
後述の『石神井書林古書目録』とお間違いなく。
no.406 『銀花』no.98 夏の号(楽天ブックス扱いなし/bookbar4所蔵本)
文化出版局/1994.6
『vou』の同人でもあった鳥居昌三さんが主宰する「海人舎」が造る特装本の紹介。製本は指月社の大家利夫さん。北園の詩集『重い仮説』のほか、北園がデザインしたモザイクを表紙にした詩集を発行していた。
たまたま後述の石神井書林目録56に『重い仮説』(昭和61/限定30部)が180,000円で登場。
no.407 『SD』ー特集「本:20世紀ブックデザインの精鋭」(楽天ブックス扱いなし/bookbar4所蔵本)
鹿島出版会/2000/監修:金澤一志
「北園克衛、奇跡のデザインワーク」として、自装詩集、『VOU』、プラスティック・ポエム、装丁した市販本のことなど。このなかで杉浦氏のインタビューをされた山口信博氏は、氏の個人誌「c/o」no.8(6/6発行)で、金澤氏を編集・執筆にむかえて北園克衛特集号を組まれている。
『SD』にもたくさん掲載されていた北園装丁のハヤカワ・ミステリ文庫はこちらからもご覧になれます。
no.408『ボン書店の幻 モダニズム出版社の光と影』
内堀弘/白地社/1992
1930年代、北園克衛らモダニズム詩人の詩集やシュルレアリスム関係の本を作り、数年後には消え去った幻の出版社を追う。図版多数。
著者は石神井書林店主。
no.409 『sumus』6(楽天ブックス扱いなし/bookbar4所蔵本)
SUMUS/2001
p37「古本泣き笑い日記3」で山本善行さんが、ヤフーの希少本オークションで北園克衛『真昼のレモン』(昭和29/昭森社/330部限定/絵:末松正樹)を入札した話が。
『SUMUS』はこちらから注文できます。
no.410 『回送電車』
堀江敏幸/中央公論新社/2001
表紙写真が北園克衛。
この本とは全然関係ないのですが。 北園克衛の詩集『白のアルバム』からインスピレーションをうけたという maruyama mitsuki さんの写真集『白い箱の中の空』などもどうぞ。
no.411 『骰子』27(楽天ブックス扱いなし/bookbar4所蔵本)
アップリンク/河出書房新社/1999.3
小特集「詩と芸術の蜜月」ーポエジー・コンクレート/サウンド・ポエトリー/ヴィジュアル・ポエトリー
no.412 『モダン古書案内』
マーブルブックス編集部/マーブルトロン 中央公論新社//2002
扉野良人さんがまずp30「オブジェとしての書物をつくりあげる現代詩人にして装幀家・北園克衛の仕事」と題して紹介。p76では「煙草とお酒と粋なコメディ素敵なおじさまの本」として面白グループ満足問題研究会を取り上げ、そこのメンバーでもあった奥成達さんを「詩人で北園克衛の評論もある」とわざわざ説明。
no.413『オードリーとフランソワーズ』
著:山崎まどか/発行:晶文社/2002
「女子的な世界観を基盤としながらも、ガーリィより更にクラッシィでソフィスティケイテッドで毅然としていて基本に忠実で、少女の心を失わずとも十分に大人へとシフト可能。そんなスタンスを私の周囲では乙女と呼んでい」るんだそうです。それはよくわからないが、このなかに北園克衛装丁の本とbookbar4が同居した(紹介された)ことがワタシは嬉しいです。
no.414『キャンディ』(楽天ブックス扱いなし)
テリイ・サザーン著、稲葉明雄訳/早川書房/1965
北園克衛装丁。なかなか手にはいりませんので今回はブックスリパブリックさんのHPから写真をお借りしています。ありがとうございました。
no.415『2角形の詩論』(楽天ブックス扱いなし/bookbar4所蔵本)
北園克衛/リブロポート/1987.8
鍵谷幸信、清水俊彦、藤富保男各氏が編集協力、図版は85年頃に銀座で北園の作品展を行った山口謙二郎氏が協力。造本装幀は戸田ツトム氏。黄色、水色、桃色が、ザラ紙に眩しい本。
no.416『言葉の宇宙6 ー1985コスモス感覚』(楽天ブックス扱いなし/bookbar4所蔵本)
監修:芳賀徹/キャノン販売/1985
日本文化デザイン会議というのがあって、そのなかのひとつのテーマをまとめた冊子(かな?)。北園作品がふんだんに掲載。制作したTBデザイン研究所の代表は山口謙二郎氏(上述)。
no.417『KITAZONO katue』(楽天ブックス扱いなし/bookbar4所蔵本)
北園克衛とVOU刊行会/1988.2 /非売品
序、北園克衛の作品・評論(詩/造型詩/短編小説/シナリオ/俳句/訳詩/詩論/芸術論/VOUくらぶについて)、対談 、年譜、著作目録、北園克衛論、追悼、あとがき
no.418『石神井書林古書目録』56(楽天ブックス扱いなし/bookbar4所蔵本)
石神井書林/2002.2
写真の56号に掲載されている北園克衛関係書籍のほんの一部を列記します。
『圓錐詩集』『戀の唄』『句経』『風土』『黒い火』『若いコロニィ』『火の頬』『黒い仮説』『北園克衛とVOU』「前衛のいい分」(自筆原稿)
カタログ御希望のかたは石神井書林までお問い合わせになってみては。
no.419『relax』67号(在庫は版元サイトにお尋ねください)
2002.8/マガジンハウス
「シンガーソングライターの胸に迫る心の叫びや、ラッパーの鋭利なライムに感動する、つまり最終的には言葉に意味を求めてしまうことに慣れきった日常に、北園の表現はあまりに軽いかもしれない」、そしてその「軽さこそを讃えよ」だそうです。頓珍漢だと思う。
原田治氏主宰の「北園克衛.com」がここで紹介されている。
no.420『没後二十年 西脇順三郎 展』カタログ(在庫は版元サイトにお尋ねください)
2002.9/世田谷文学館
同展は、9/28〜11/4に開催された。
P17 現代詩人会創立記念写真(1950.5)に西脇、北園ら。
p28 北園克衛
西脇順三郎、瀧口修造と共にシュールレアリスム運動の中心的存在であったこと、大正十四年頃、太子堂(世田谷区)に居住していたこと、など。
no.421『現代詩手帖』11(bookbar4所蔵品。古書店にお尋ねください)
2002.11/思潮社
特集 生誕百年 北園克衛 再読 反詩・反デザイン
対談 藤富保男+金澤一志/論考・エッセイ 白石かずこ、新井豊美、村山康男、小澤實、臼田捷治、城戸朱理、坪井秀人、秋元幸人/アンソロジー 藤富保男編/未発表資料 金澤一志編
no.422『カバンの中の月夜』
監修:金澤一志 造本・装訂:山田英春/2002.11/国書刊行会
9ポイントは遠すぎるー北園克衛頌 堀江敏幸/詩としての写真、写真としての詩 金澤一志/北園克衛年譜(金澤一志編)
p141
プラスティック・ポエムの撮影現場に、眼鏡をはずし佇む北園克衛。
no.423『彷書月刊』2002.12(在庫は版元サイトにお尋ねください)
2002.12/弘隆社
特集 北園克衛の副読本
奥成達、あがた森魚、高橋昭八郎、村山康男、和田博文、浅田隆、川嶋勝、重実生哉、内堀弘、金澤一志
<この特集について御執筆を得ました諸家に厚く御礼申し上げます>(p95)
no.424『midnight press』2002冬(在庫は版元サイトへお尋ねください)
2002.12/ミッドナイト・プレス
p114
「北園克衛・モダニズム・100年・今」ヤリタミサコ
北園克衛生誕百年記念イベントについて/「単調な空間」の直接的空間「□」/北園克衛のプラスティックポエム
no.425『評伝 北園克衛』
著者:藤富保男 装幀:山口信博/2003.3/沖積社
1983年、有精堂より発行された初版をもとに、修正加筆して再発行された。以下目次より。生立ちと彼の青年時代/北園克衛の登場/VOUの創刊と兄、橋本平八/詩の驟雨/郷里を想う暗い時代/人の作らぬ詩にむかって/円熟の輪/(四角なニヒリスト)/一本のブルーの細長い線
no.426『季刊 本とコンピュータ』2003春号
2003.3/大日本印刷 トランスアート
p79 
「たぶん明日も、北園克衛」 金澤一志
北園克衛の完全版書誌を制作中の金澤氏。お祖父さまは博報堂本社ビルを建てた建築家であったという。金澤氏による北園克衛詩集の手製ゼロックスエディション各種の写真が圧巻。キンブンはコピー代が高いのでイラストなどは描き写したことも多々あるという。
no.427『かたちの詩学』
著者:向井周太郎 造本・デザイン:原研哉、松野薫/2003.3/美術出版社
向井氏の著作集とコンクリート・ポエトリー選集の二冊組。
p226
「原記号としての色と形地」の項にて、北園克衛「単調な空間」からの引用、他。
no.428『詩と思想』2003.3(在庫は版元サイトにお尋ねください)
2003.3/土曜美術社
特集 モダニズムを読み直す
座談会ー北園克衛とモダニズムをめぐって 内堀弘、黒田維理、奥成達
no.429『ユリイカ』2003.4(在庫は版元サイトにお尋ねください)
2003.4/青土社
特集 詩集のつくり方
p205
「詩集を遺さなかった詩人」内堀弘
前年暮れに亡くなった詩人、小林善雄が生前一冊の詩集も残さなかったことをメインに、北園克衛についても多く触れる。すばらしいエッセイで泣けてきます。
no.430『現代装幀』 
著者:臼田捷治 表紙装画:矢吹申彦 装幀:右澤康之/2003.3/美学出版
p227
「装幀におけるミニマリズムの系譜」の代表格のひとりとして北園克衛をあげ、『ハイブラウの噴水』『郷土詩論』、『未成年』(安部昭)などを紹介。臼田氏は『装幀時代』(晶文社)でも北園克衛に言及している。