かりそめ事務局 2007.02.24

私は現在(2007年時点)のISOマネジメントシステム規格第三者認証スキームの精度、信頼性に疑問を感じているが、それは審査機関に対してだけでなく、組織側のスタンス、ISO担当者に対しても同様である。
以前、カリスマ事務局なんてことを書いた。
そこでは、私はカリスマ事務局というものの価値が理解できない、いや正確に言えばカリスマ事務局なんて意味がないと語った。
じゃあISO事務局はどうあるべきか? 理想のISO事務局とは? というのが本日の論点である。

ISO事務局なんてものを、ISOに縁のない方、家庭の主婦、学生さんなどは知らないかもしれない。
簡単に言えば、今の時代はほとんどの会社や自治体はISO9001とかISO14001の認証(審査登録)をしており、その認証のお守り役としてISO事務局という部署を設けているのです。もちろんそれは課とか係という会社職制の場合もあるし、担当者が一人だけとか専任者ではなく兼務者だけという場合もある。
ISOに関する本や雑誌を見ると、事務局というのは大変なお仕事らしい。むずかしい知識が必要で、仕事量も多く、ISO審査前になると徹夜なんかもするらしい。 
いったい彼らはどんな仕事をしているのだろうか?
ISO事務局とはマネジメントシステムの維持改善をしているらしい。らしいというのは、私がISO事務局の仕事の内容とかその目的とか意義をよく分からないからです。
いえ、ISO事務局ってのはたくさん目にしておりまして、「私はISO事務局をしています」なんて誇らしく語る方も多数存じ上げております。正直申し上げまして私自身がISO事務局を長年・・実は数年ですが ・・していたのです。
そんな私ですが、私はISO事務局の仕事が重要とは思えない、事務局のお仕事に誇りを持つ理由も理解できないのです。

ISO事務局のお仕事ってなんでしょうか?
いや事務局というのは膨大な量のお仕事をされているようです。その重責を担っている方ならその仕事に誇りを持つのは当然ですね、納得いたしました。

しかし、刑事コロンボではありませんが、ちょっと引っかかるんですよ・・・
会社だけではなくこの世に存在するすべての自治体やNPOなどの組織には、ISOなんてものが発生する前から存在しており、それらの組織は己の存在目的を果たすためにいろいろな機能が必要であり、それを担う部門があったはずです。まあ、私が日本中の企業・団体を知っているわけではありませんので、そうでない組織もあるとは思いますが・・・
ほとんどの会社に総務部ってのがあります。規模が小さければ総務課と称しているかもしれません。行政とか近隣住民との外部コミュニケーションは、この総務部が担当しているはずです。市役所から市民一斉清掃に参加してくださいと依頼を受けたり、町内会から祭りに場所と酒を協力してくれとか荷物を運ぶ車の出入りで通学する子供が危ないので改善してくれと要請を受けたり、法に基づく行政への届出をするとか・・そういったことの窓口はこの総務部あるいは総務課が担当しております。
労働基準監督署の対応、税務署の対応、保健所の対応、貸しビルであればビル管理会社との協議、オフィス町内会への参画など、みーんな総務部・総務課のお仕事であります。
「総務部総務課山口六平太」ってマンガがありますが、そんな総務のお仕事の悲喜こもごもをだらだらと描いたものです。
すると、ISOの審査登録機関の対応は基本的に総務部・総務課がするべきではないのでしょうか?
いや、そのような品質や環境の問題は総務部門の仕事ではないなんておっしゃる方がいるかもしれません。でもね、ほとんどの会社では公害防止統括者の届書を環境部門で作成しても窓口は総務部長・総務課長がしているのではないでしょうか? 環境担当部門が直接、市当局に届けている会社を私は知らない。
まして、最近は個人情報管理やプライバシーマークあるいは労働安全衛生なんてものにも審査登録もありますが、これらは総務部で担当されているところが多いようです。すると品質も環境も審査機関の『窓口』を総務部・総務課が努めて悪いこともないようです。
どうせ、審査機関対応のお仕事と言っても、社内関係者のスケジュールと会議室を押さえて審査日程を決めること、必要な資料を取りまとめて提出する、費用処理する程度のことしかありません。遠慮なさらないでください。
まれに審査費用の値引き交渉をする事務局もありますが、ほとんどの事務局員はビジネスのイロハを知らないようでそのようなことを思いつかないようです。
ちなみに自治体は審査機関に対しても審査のたびに入札するそうです。これこそあるべき姿ではないでしょうか?
これに反対することは独禁法という逆鱗に触れますよ dragon.gif
品質方針とか環境方針を作るのは事務局の役目でしょうか?
うそ800の品質方針
お客様の要求だけでなく、広く社会的要求を受け止めて品質基準を設定します。
この品質基準を、提供するサービスの品質のみならず、すべての業務の品質に展開しその向上を図ります。
CSRを含め私たちが提供するサービスによって社会に貢献しブランド確立を図ります。
うそ800代表 任田佐為

思い付きで作りましたんで、予告なく変わる事があります
そんなものと言っちゃいけませんが、方針とは経営者その人が考えて作るべきです。だって日本中の経営者と自称・他称される方は、その組織のトップになりたくて艱難辛苦に耐え、成果を出した結果、はれて頂点に立ったのですから。そんな自分の思いを全員に伝え実現を図りたいのではないでしょうか?
その思いを形にするのも経営者のお仕事と言うか、それこそが経営者のお仕事ではないのか?
お客様にどのような品質を提供するのか! 事業を運営するに当たり環境にどう配慮するべきか! 事業のプライオリティはどうあるべきか! という思いを形に書き表し、社員がそれを実現するというのが会社の仕組みそのものです。
ISO事務局が作ってきた案にサインするとかハンコを押すだけの方は、経営者と称してはなりません。

会社の規則や各種文書を作るのは誰でしょうか?
会社によって文化が違いそれぞれのルールがあるでしょう。しかしその基本原則は規則を使う人が作るということです。

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ISOなんて現れる前から文書はあり、文書管理もあったのだよ
法律だって所管しているのはそれに関係する省庁であり、法制局がお守りをしているわけではありません。
もちろん、ISO事務局の仕事を定める規則ならISO事務局が作成し維持するのでしょうが、ISO事務局がなければISO事務局の仕事を定める規則がいらないことになります。 

文書管理!
ISOが発祥する前から文書はあり、当然文書管理というお仕事はISO規格がこの世に現れる前からありました。そしてこれこそ総務部のお仕事と相場が決まっています。製造業においては、技術製造に関わる図面や規格類の管理のために技術管理とか文書管理という部署をおいているところもあります。
なにもわざわざISO事務局が文書管理をしなければならないことはなさそうです。

内部監査の計画や実施
まず内部監査をするためにどんな会社にも監査部とか監査役が置かれているはずです。そういった部署あるいは機関こそ監査をすることがお仕事ですから、わざわざISO事務局が監査を計画したり実施する必要がないような気がします。
もちろんそういった仕事の分担は会社ごとに決めればよいことですから、品質監査は品質保証部門が行います、環境監査は環境管理部門が行います、情報機密監査は総務部が行いますと決めてもよいのです。しかし、その情報は監査役とか監査部に報告し、最終的に経営者に伝えることになるでしょう。
品質監査であろうと環境監査であろうと、監査役が知らなくてはいけません。
ヤ!「品質監査の報告書を監査役に提出していない」なんていう声が聞こえたような気がしますが・・・

環境法規制をISO事務局が調査して表にまとめているなんて会社があります。
え! そうなんですか?
製造部門はもちろん、営業部門にしても、資材部門にしても自分の仕事において関係する法規制を知らずに仕事をすることはできないでしょう。営業部門は公取法や下取りに関すること輸出管理などたくさんの法規制に関わりますし、資材部門も民法、下請法、印紙税法その他たくさんの法律に関わります。
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この世の中には輸出管理の規制を知ってか知らずか、輸出してはいけない国に高度技術製品を輸出して、幹部が逮捕された会社もあります。それって単なる脱税とか殺人といった犯罪ではなく、日本という国家を転覆させようとする非常な重罪ですよ。
そういえば超一流企業の幹部がセクハラで訴えられ話題になったこともあります。この方は法律を知らなかったのか? 欲望に負けたのか? 謎です。
製品に関わる法規制、環境に関わる法規制、公正取引に関する法規制・・なんてわざわざ色分けすることもなく、そういった事業を遂行する上で関係する法規制すべてを守らないと手が後に回ってしまいますし、懲役や罰金刑がなくても指名停止とか違反した会社として社名公表なんて恥をさらすようになってしまいます。
なんでわざわざISO事務局が法律を調べて、各部門にお知らせしなければならないんでしょうかね〜
ISO事務局ができる前は法律を知らなかったなんて、口が裂けてもおっしゃらないとは思いますがね 

順守評価
正しくは『遵守』と書くべきなのだろうが、国鉄の『順法闘争』以来、日本語が乱れISO規格をJIS化するとき読めない人がいるという理由で『順守』としたと聞く。
日本語を乱れさせたのは国労の責任なり(キテレツ大百科のコロ助の言葉)
最近では内部統制なんて言葉がおおはやりだが、元から会社の仕事が正しく行われているかを確認することは必要な機能であった。だからISO規格が順守評価なんて書く以前から、遵法を確認することをしていたはずだ・・・もしかして、していなかったのでしょうか?  
だったら、その以前からしていたことを順守評価といえばよいのであり、わざわざISO事務局がしなければならないお仕事ではない。

ISO事務局がしている仕事というものの棚卸をすれば、すべてが従来からある職制の部門が担当する仕事のように思える。
俗にISO14001で本来業務を取り入れるなんていわれますが、立ち止まって考えて見ると、ISO事務局のお仕事とはすべてが他部門の本来業務ではなかったのでしょうか?
ISOのための仕事なんてあるはずがありません。ISO規格で要求している仕事はすべからく昔からしていた仕事であるはずです。ならば、過去よりそれぞれの担当部門が粛々と業務を行っていたはずです。今更その仕事をする部門を作る必要などないではありませんか?
同様に会社のルールも、ISO対応の規則があるようでは、まだISOの仕組みが内部化されていないということでしょう。会社には仕事を進める上で必要な規則(手順書)があります、社員はみなそれに従って仕事をしています、ISO規格で要求していることはすべて以前から規則で定めていることですので、仕事も意識も変わりません。そういうのが本来の会社ではないでしょうか?
そうでなかった会社は猛省しなければならないということです。
いよいよもってこれがISO事務局の仕事だっていうものはなさそうです。
ISO事務局っていったい何をする部門なのでしょうか?


本日の結論

どう考えても、ISO事務局というのは不要である。
カリスマ事務局もいらないし、そうでない事務局も全部いらない。
どうしても事務局を作ろうというなら、かりそめ事務局が一番良いようである。


カリスマ
ギリシア語の「神のすばらしい賜物」が原義で、一般的にそのすばらしい賜物であるずば抜けた才能を持つ人という意味で使われる。
かりそめ
重大ではなくその場限りといった意味 man2.gif
かすり
部分的に染めた織り糸で織った布で昔はもんぺの布地はほとんどかすりだった。それで私たちが子供の頃、話がちょっとはずれたときに「かすりのもんぺ」と言った。これは関係ないか 


ふっくん様からお便りを頂きました(07.02.27)
お久しぶりです。
かりそめ事務局・・・いや、カリスマ事務局ですか?なかなかです。
私も最初の頃はISO事務局などというものをたいそうなものの考えていましたが、このサイトでいろいろ勉強(洗脳?…これは失礼しました)させていただいて、本当にこんなもの必要なのか?と考えるようになりました。私の会社ももちろんあって、私一人が守していますが。もっとも、これもある意味「かりそめ事務局」で普段はほとんど何も活躍していない。粛々といろんな部署で仕事が進んでISOの審査数週間前になると思い出したように出てきて、ISOに合うように書類を整理するというある意味「かりそめ事務局」ですが(笑)
そしていわゆる不適合を処理したらまた消えていく・・・ある意味理想的ですね、これで仕事が回りさえすれば。
さぁ、私も粛々と自分の仕事をやろうと考えるのでありました。できうることなら、ISOの前にどたばたしないようにすることが私の義務なのでしょうか?

ふっくん様、うれしいじゃありませんか!
私と同じお考えの方が増えていくことが、日本のISOを良くすると信じております。
私がISOに大反対であると誤解されているかもしれませんが・・・実際私を諌めようとお便りをくださる方もたくさんいらっしゃるのです・・・私はISO9001やISO14001の価値を高く評価しております。それだけでなく、第三者認証制度をまともにしようと、眠る時間も削ってこんなウェブを維持しているのです。
世の審査機関あるいは審査員から受講料をいただきたいくらい 
ふっくん様 ぜひあなた様のお考えを伝道し、大乗ISO教を広めていきましょう。
ISOの明日は明るいぞ!



事務局無用論 2007.10.06
アイソスを読んでいたら、07年10月号から「マネジメントシステムを使い倒す」というタイトルの特集が始まった。
第1回は「ISOのための仕事はいらない」である。
なんか内容はこの「かりそめ事務局」で書いたことそのまんまという感じですね。
ひょっとして対談者はこのウェブをご覧になったのでしょうか?
まあ、どうでもいいんですけど、第二回目はズバリ「ISOのための事務局はいらない?」だそうです。
この稚拙なウェブサイトをご覧になられた方々、私の拙文は大アイソス誌を先んじているというものすごい内容なのですよ 
ぜひご愛読されたし

ところで・・・
第三回は、所見報告書をまともに書けという特集にでもなるのだろうか 
このウェブサイトを見ていれば、ネタには困りませんよ



外から見たISO その6
ISO事務局の誇り 
2008.11.02
世の中にはISO事務局であることに誇りを持っていらっしゃる人々がいる。というのはこのウェブサイトに「私は念願かなってISO事務局になった」とか、「ISO事務局から異動を打診されて困っている」とお便りをされた方もいるし、実際にお会いした方がISO事務局はすばらしい仕事だと語っていたこともある。
彼らはISO事務局の仕事が好きだというだけでなく、価値ある仕事と認識されていることは間違いない。なぜならそういった人々は話の節々に、ISO事務局は他の職務に比べて上位にあるようなニュアンスがにじみ出るからである。

ISO事務局であろうとなかろうと、特定の職種あるいは職業に就いているということをもって誇りだという理屈があるのか? とまずそんな疑問を持つ。
woman6.gif 例えば弁護士、医師という一般的に高度な技能や知識が必要と思われている職業の人々は、その職業であることだけをもって誇りを持つものだろうか?
そうではないだろうと思う。その職業において立派に職責を果たしているということに誇りを持つのではないだろうか。いかなる職業であろうと立派に仕事を果たしているなら誇りをもつだろうし、一人前に仕事ができないなら、あるいはその職業が社会に貢献していなければ、誇りを持つどころか恥ずかしいことだろう。
強盗や詐欺師はその職業に誇りを持つべきなのか? なんて突っ込みは大いに歓迎する。 
残念ながら、総務省の日本標準職業分類では犯罪者あるいは犯罪を職業とみなしていない。
強盗や詐欺師が本業の場合、逮捕されるとその職業は通常は無職あるいは元○○と表記される。
現実には医療過誤で失職する医師もいるし、業務において着服や恐喝をして刑事罰に問われた弁護士もいる。アメリカではミスの多い医師は医療事故の保険を受けてもらえず、医者という仕事を続けることができない人がいると聞く。日本でも以前薬剤師の調剤ミスが報道されたが、そういった方は刑事罰を受けず薬剤師免許を失わなくても雇ってくれる薬局はないだろう。

まあ一般論はおいといて、とりあえずISO事務局の誇りについて論じる。
会社でISO事務局を担当している者が、経理とか営業とか製造などの仕事に比べて、ISO事務局であるがゆえに誇り高い仕事であると言えるはずがない。
実は、私はISO事務局とは経理とか営業とかその他の部門に比べて、一段低いとまでは言わないが、重要でない、正確にいえば必要ない部署であると考えている。その理由は以前、事務局無用論で語ったとおりである。
会社で不要な業務をしているなら、己の仕事に誇りを持つはずはないと思う。いやそれどころか、ISO事務局であることは恥じるべきではないのだろうか?
まあ、ISO事務局と言っても会社によって、事業所によってその仕事はさまざまだろうから、一概には言えないが・・・

しかし、前述したように世の中にはISOマネジメントシステムというものがなにかものすごく素晴らしいものだと勘違いしている人がいるようで、ISO事務局になりたがる人も多い。
組織の一員として誇りを持つということは、組織に貢献しているという根拠あってのことだろう。貢献度合と処遇の関係はむずかしい。貢献と報酬の大小関係は会社の経営にとっても従業員満足にとっても大きな要因ではあるが、従業員が己の仕事に誇りを持つか否かは、処遇と関わりない貢献しているという自覚によることだろう。
貢献していない、なくてもよい職務なら、その仕事において何をしていようと組織に貢献しないわけで、当事者がそう認識しているなら誇りを持ちようがない。
無用な仕事をしていて誇りを持つか?なんてこと考えいて、昔読んだ「やさしい死神」というのを思い出した。間違えないようにブラウンのだよ
古い本でもう手に入らないかもしれないので違反を覚悟でアラスジをいうと、殺人鬼が病気や逆境にあって生きがいや誇りを持たない人を探して殺しつづける。その犯人は狂っているのか限りない善意からなのか?
しかし疑問は、なぜそれほどISO事務局がすばらしい仕事だと思うかということだ。
真にそう考えているなら、なぜそう考えているのかを検討することも意味があるのかもしれない。人間はなぜ勘違いをするのか?とか、どんな仕事でも自分の仕事は重要だと思うのはなぜか?という研究テーマになるだろう。
経理とか営業とか資材というお仕事と、ISO事務局とは何が異なるのか?
    思い当たる理由としては
  1. ほとんどの人が何をする部署だかわからない。
    資材は物を買うところ、経理はお金を計算するところと誰でも知っているが、事務局は何をしているのか謎に包まれている雰囲気がある。
  2. わけのわからない言葉を使う仕事で、難しい仕事だろうと思われている。
    わけのわからない言葉を使っているということは、担当者自身も仕事の中身を理解していないのかもしれない。
  3. ISO審査というイベントで会社に不適合がないようにすることは非常に難しいらしい
    もっとも不適合がないのが良いことかどうかさえ分からないのだが 
  4. 他の部門にあれをやれ、これをしろと命令する部署で、社長室に次いで権限がありそうだ。
    これも仕事の中身がわからないという1番目と関連する。
  5. 審査とか内部監査とかで表舞台に現れるのできっとすごい仕事なのだろう
    などなど
まあ、勘違いも甚だしいと申し上げておきましょうか 
ISO9001が出現した1987年以前から日本にも世界にも株式会社をはじめ多様な形態の企業やNPOあるいは行政機関が存在していた。そんな組織は当然であるがISO事務局なんてものを持たずに、何の問題なく存在していたのである。
ならばISO事務局は無用であると結論して良いのではないか?
いやいや、外部から審査が入るのでその対応として専門部署を置く必要があるなんておっしゃいますか?
どの会社にも消防署は年に1度くらい点検に来る。なにしろ非常階段に物を置いたり、ないしょで建築基準法違反の工事をしたりしているところはうじゃうじゃあって、火災発生時にそういうために死者が出たと報じられることは多いですからね。でも消防署対応事務局を置いている会社ってあるんでしょうか?
よりISO審査に近似的な業務として、お客様から品質監査にくるという会社も多い。そういうところは客先A様事務局とか客先B様事務局なんておいているのか?
もちろん、客先が官公庁で受注量が多いところでは専門部署を置いているところはある。

無駄な仕事をしているということは、他部門の人々に食べさせてもらっているということだ。そういう人を俗にごくつぶしという。
ごくつぶしは誇りを持てるのか? これはまた新しいテーマである。

「外から見たISO」と銘打ちながら、外じゃないだろうと叱責が飛んできそうだ
まあ、今までよりは少し外側、せめて境界くらいにはなったかと・・・
しかしだんだんとISOネタから離れていくような懸念も・・・
お断り
私にISO事務局が勤まるのか?とか事務局をしたことがあるのかと疑った方々へ
私はISO9001がはやる前から品質保証業務を担当しており、品質保証の一人前であると自負している。
ISO9000に関しても黎明期から担当しており、ISO9000s認証の事務局となったのは片手以上、ISO14001認証の事務局・事務局長も片手はした。
まあ、歳とって卒業したというわけだ 



WIND様からお便りを頂きました(08.11.06)
おばQ様 ご無沙汰しております。WINDでございます。
標記の件に関して、本日は私の意見と言いますか、考えを述べさせていただきます。
その前に…おばQ様はなんと申しましょうか、裏表のないお人というか、回りくどい言い方をしない方ですね。
以前若輩の私からの相談にのっていただいた時、自分でおっしゃっていましたが、本題のコラムを一読した時、本当にそれは思いましたよ。
最近暇な時、ペルソナというゲームをしているんですが、このゲームのテーマが面白く、もう一人の自分、認めたくない裏の自分と向き合う力を『ペルソナ』という力に変え、戦っていくゲームなんですが、おばQ様はペルソナという仮面をかぶっていなさそうに感じましたよ。

閑話休題…
本件、正直自分のことを言われているような気がしてなりませんでした。
当サイトは毎回更新されるのを待ち遠しく、楽しく読ませていただいておりますが、正直に言います。
少し不快に感じさせる文章でした。ISO事務局不要論に関しても読ませていただきましたが、それ以上にショックを感じさせる文章でした。
一番にISO事務局の仕事と経理・営業の仕事を比較させていたからです。
仕事に優劣ってあるんでしょうか?無駄な仕事っていうのは後からわかるものではないでしょうか?
そして私が考えるに、無駄な事の積み重ねが、結果として組織を、企業をいい方向へ向かせていくものなのではないでしょうか?
それはISOだろうが、経理だろうが、営業だろうが、関係ないのではないかと思います。
無駄な事ってのは無駄じゃないのではないのではないでしょうか?
例えば自分のしたいことがなかなか思うように実現しないとします。それを何とかうまくいくように試行錯誤します。
結果的にうまくいく為に100の方法があったとします。
しかし、99試してみたところ、うまくいかず、100個目の方法を試し、自分のやりたいことが実現したとします。
要するに宝探しです。99の無駄の後に自分の目指していたことを実現させる。
これって無駄でしょうか?それは無駄じゃないと思いませんか?仕事ってそういうものなんじゃないでしょうか?
それはISOとかそういう次元の問題じゃないと思います。 論点がずれてますかね?
それともう一つ、以前おばQ様、私に著しい環境側面をお尋ねになっておりましたね?
お答えします。もっとも大きな著しい環境側面は『環境商品を売ること』です。これは、最近環境問題がよく言われており、メーカもそれに対応した地球に優しい製品を提供に当社に来ております。
それを客先に売ることによって利益という環境影響を見出すのです。
(約1割は紙ごみ電気その他ですがこれらはなしのつぶてです)
その営業のバックアップが当社の環境担当事務局の主な仕事という事になります。
この仕事の一端を私も行っております。ISO専任という形で。私は現在は事務で、営業には出ておりませんからできることと言えば、営業の方とコミュニケーションをとることで、環境商品の新製品の情報を得たり、営業の方主催の環境商品説明会に進んで参加して、都合があって参加できなかった方に教えることができるよう商品スペック仕様を身につけることだと考えておりますし、上長からもそれが一番大事なこと(営業とのコミュニケーション)だと言われております。
(上長は公共営業の課長兼務、課長はISO9000の方がどちらかと言えば専門)
こういう形で営業の方の支援を行う、それがそんなに無駄な仕事かつ不要なのでしょうか?
むしろ必要だとお考えになりませんか?
ここで書かれているように、誇りを持つほどまで驕るつもりはさらさらないですが、かといって恥じるべきという言葉がどうしても不快でならないのです。そして、経理や営業と比べて1ランク下に…という言い方も気になって仕方がないです。
なぜ、ここまで私が言っているかと申しますと、以前申したことがあるかと思いますが、私は入社5年目というまだまだ修業中の身だと考えてますが、短いスパンであれども、経理・人事・電力営業・ISO専任と仕事を転々としてまいりました。
そして、私の同僚にこのような道を進んできたものは一人もいません。それが珍しいのか、私の仕事の不出来なのかまだまだ行方はわかりません。
会社が適材適所を探しているのか。仕事ができないから転々とさせ面倒を見てもらうしかないのか。
上長、支店長は後者としてみなしているようで、相当な事を言われてきました。
そのたび落ち込む毎日が続きました。勿論その責任は自分には全くないわけではないでしょうが。
それでもせっかく与えられた仕事、責任をもって職務を全うするのは当たり前のことだと思います。
そのつもりでこれまで経理・人事・電力営業・ISOとやってきましたし、今もそういう気持ちでおります。
1〜2年で転属しているのでまだまだ勉強中の身であることは否めませんが。

こうして様々な仕事を短期間で甘い酸っぱいを味わってきた私だからこそ、不快に感じるのです。
実際にその仕事をしてきたわけですから。専任としての仕事につき約半年とちょっとしかたっておらず、本当にこれからですが、その時期にこの文章を読み、自分の考えをおばQ様に知っていただきたく思い、執筆させていただいたのです。

他部門に食わせてもらっている…これって経理や人事、環境担当事務局の仕事もそうではないでしょうか?
私の仕事は商社なのですから、営業の稼いだ利益から食わせて頂いているのは当然です。
そして営業経験がある私ですが、電力というのはなかなか利益がふるわず、赤字の課の代表とも言われてます。
そういう意味では黒字の課に食わせてもらっていることにはなりませんかね?
本件での書き方では、営業における赤字の課もISO事務局の仕事も無駄扱いとなり、食わせてもらっていることにならないでしょうか?
そういう意味では他の経理・人事・総務も無駄な仕事は食わせてもらっている扱いになりませんか?
確かに赤字の課が食わせてもらっている、事実でしょう。でもなんとか頑張ってカムバックできるよう努力する、結果的に赤字になってしまったとしてもその過程は無駄なのでしょうか? ISO事務局の取り組みも同様です。
やっても意味がない、だからしない、なぜ?無駄だから。これは違うと私は思います。 理由は上記で述べた通りです。
こう書くと、経理はお金の管理・人事は社員の管理で営業を補佐している、と言われそうですし、そのようにお書きになられていたと記憶しますが、ISO事務局は当社は営業支援・環境商品を売ることのサポート…等で支援していることにはなりませんか?
当社のスローガンは全員営業と言われています。様々な形で営業をしている、あるいは支援をしている、だから無駄なジョブなんてものはないと思うのです。
ISOのアの字も知らない方に教えてあげることだって大事なことです(新入社員向けが代表的)。
日常業務で忘れかけている方への教育も然り。
そして、営業で忙しく、アンチISOな方もいっぱいいます。そして事務局の理想は本来業務と、ISOとの一体化であり、それを目指して今試行錯誤しています。
なかなかうまくいかず、苦情を受け、ISOがあるせいで仕事が増えたとのこえもききますが。
これを何とかすることだって事務局の任務でしょう。事務局を撤廃すると他の課に負荷が増えると思います。
そう考えれば、環境担当事務局は非常に大切な仕事を抱えていると私は思います。
もちろんそれが、驕りになることは絶対にいけませんが。
以上が、私の本件のコラムに対する考えです。
いかがでしょうか? 趣旨を取り違えているでしょうか?
さまざまな仕事を短期間であれ経験した私ですが、思ったことは「無駄な仕事なんて1つもない。今自分に出来ることを精一杯やることが大切」な事です。
以上が、今回のコラムに関しての私の考えでございます。
 …若造が生意気な口叩くんじゃないョ!とお思いになったかもしれませんが、一若造の意見として受け止めて頂けると幸甚です。
おばQ様のサイトの大ファンだからこそ、長々と自分の考えを書かせていただきました。
失礼いたしました。これからも更新を楽しみにしています。
ともにISOを愛でていきましょう。
 それでは失礼します。

WIND様 毎度ありがとうございます。
私の勤めている会社ではISO事務局がありません。それでも困らないんですよ。
環境実施計画、それは各部門で作って活動を進めてくださいな。進捗フォローや是正活動はその部門で一生懸命して頂戴。それは職制が推進することですから管理責任者のマターじゃないです。全社でまとめることはしておりません。
教育訓練、そりゃその部門部門で考えてやってくれればいいんじゃない? もちろん力量のない人は上長が困るから一生懸命教え育てているはずですよね。もし教えなくてもよい仕事なら著しい側面ではないのでしょう。
コミュニケーション、そんなもの以前から職制を通じて行っているはず、外部コミュニケーションなら総務部のお仕事であることは決まり切っていること。
内部監査、監査部が環境に関してもしっかりと監査しているでしょう。それで不足かしら?
順守評価、それは各部門の上長が日常管理でしているはず。
とまあ、非常に単純明快でございます。
もちろん、毎年の審査の際には日時の交渉とか、社内のエライさんの予定を確保するという仕事はあります。まあ、誇りを持つほどではありませんね。

WIND様 ひとつ提案をします。
あなたがなされているお仕事を分析して、他の部門の本来業務であるというものはその部門にお任せしたらどうでしょうか?
そして最終的に自分の仕事をなくしたら、会社から評価されると思います。
私の意図が理解できませんか?

ぶらっくたいがぁ様からお便りを頂きました(08.11.07)
【ISO事務局】
「ISO事務局」といえば、私の名刺には「ISO推進室」と書いてあるのですが、実はこれが大キライです。一刻も早く改称してしまおうと考えております。
「ISO」を「推進」する? はあ? ISOって、わざわざ専任部署を作って「推進」しないといけないシロモノなんですかってことです。
「ISO事務局」の方がまだマシです。私的には「経営企画室」のつもりなんですけどねえ。

ぶらっくたいがぁ様 お久しぶりでございます。
おっしゃる意味よくわかります。「オレはISOとかじゃねーんだ、社長の片腕で会社の経営の方向を決める重要な部署なんじゃい」ということですね。
ところで、ISO推進てどういう意味なんでしょうね?好きキライという前に、私は意味が良くわかりません。
ISO認証を推進するといってもいろいろありそうです。認証機関の営業支援活動なのか? それとも社内の活動を強力に推し進めるのか? それなら何をどこまでと?疑問は尽きません。


のんきなとうさん様からお便りを頂きました(08.11.08)
ISO事務局の誇り
おばQ様 「ISO事務局」とは何か?について、「管理責任者」とは、「内部監査」とは、いう点を含めて考えてみました。独善的です。御笑覧ください。
●管理責任者とは?
「ISO9001 5.5.2」で管理責任者は次の責任及び権限をもつと規定されています。
a)品質マネジメントシステムに必要なプロセスの確立、実施及び維持を確実にする。
b)品質マネジメントシステムの実施状況及び改善の必要性の有無についてトップマネジメントに報告する。
c)組織全体にわたって、顧客要求事項に対する認識を高めることを確実にする。
わかりやすく書き換えると次のようになるでしょう。
a)業務に必要な作業の確立、実施及び維持を確実にする。
b)業務の実施状況及び改善の必要性の有無について社長に報告する。
c)部門全体にわたって、顧客要求事項に対する認識を高めることを確実にする。
このように管理責任者はとても偉いのですね。会社の事業の推進者にあたります。従業員が10人位の会社ですと社長でしょう。50人位ですと取締役、200人くらいですと事業部長に相当するのではないでしょうか?
少なくともISO事務局内の役職ではない、と思えます。

●内部監査員とは
誰が内部監査員になれるのかについて、「9001 8.2.1」は、「監査員は自らの仕事は監査しないこと」としています。
客観性、公平性が確保できれば、あなたが先輩社員の仕事を監査する監査員になることも可能です。ただ会社では上位の役職者が部下を監査するように職務規定に定められているはずです。したがって部長は課長の仕事を監査します。社長は部長の仕事を監査します。監査は計画され、実施され、報告され、記録されているはずです。つまり普通の会社の仕組みで内部監査は実施されており、内部監査員も選定されています。ISOがことさらに要求しているものではありません。小さな会社ですと内部監査部などを別組織として設ける必要はありません。なぜなら、社長が、自ら、管理責任者である部長を監査しているからです。
しかし、会社が大きくなると、たとえば、管理責任者が10人くらいになると、この監査は社長の手に余ります。そこで内部監査部を設ける必要が生じます。内部監査部の部長は、事業部長(管理責任者)を兼任することはできません。なぜなら、管理責任者は自らの仕事を監査することはできないからです。したがって、内部監査部長は、社長直属であり、社長が任命しなければなりません。内部監査部の仕事は、各事業部長が業務上の職務を果たしているかどうかを監査することです。課長や係長あるいは担当員が日々の仕事をこなしているかどうかを監査することではありません。それらは事業部長の仕事です。大きな会社であれば内部監査部はあるでしょう。ISOが要求しているものではありません。

● ISO事務局とは
ISO事務局は、内部監査部の下に位置づけられるものではないでしょうか? 内部監査部長が、ISO事務局長を兼任するのも良いと思います。
ISO事務局を通じて内部監査部にISOの考えをとりいれ、ISOを内部監査の活動に生かすことがISO事務局の存在意義ではないかと思います。
あってはならないのは、管理責任者(事業部長)がISO事務局長となることです。こうなると、事業部内でなされるべきの日々の監査、そのサポートがISO事務局内にお手伝いとしてもたらされ、本来の職務である、事業部長を監査する(これは理想でしょうか?)、ということができなくなります。

のんきなとうさん様 毎度ありがとうございます。
同意!というところもありますし、どうかなあ?というところもあります。
お互いに気心が知れてきたと思いますので、ヨイショだけでは建設的ではありませんからね
●管理責任者についてはおおむね同意!です。
●内部監査員については結論は同じですが、ちょっとニュアンスが違います。
まずどの会社も、会社法(以前は商法など)に基づいて監査役と監査部というのが法的義務でした。(もちろん会社の形態によってはいろいろありますが、日本の大半の株式会社においてはこのパターンでしょう)
次に内部監査員は被監査部門以外であれば誰でもよいはずですが、一般の企業では部課長の経験者で専門家を専属の監査員にしているところが多いです。もちろん、経理だけでなく各種法令、情報管理、環境、品質などそれぞれの専門家を確保していると思います。(私の知る限り)
●ISO事務局になると大きく違います。
私の考えでは存在不要のものですので設置することもありません。もちろん事務局長もいりません。ですから内部監査部との上下関係も存在しません。
審査対応としては、環境であれ、品質であれ、総務の担当者が認証機関との窓口業務をすれば事足りると思っております。
という前提でありますので、管理責任者がISO事務局長になるとか、事務局長が内部監査をするという発想が出てこないのです。
のんきなとうさん様とはやはり育ちが違うのでしょうか?

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