|
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
|
|||
|
|
弘山晴美、大島(旧姓・田中)めぐみ……。 ともに世界選手権やオリンピックに出場、日本の女子長距離界を背負ってきたランナーである。 日本を代表する2人が奇しくも5qすぎの正念場で、先頭集団からこぼれ始めた。かつて彼女たちが、勝負どころと見て、スパートをかけ、一気に後続を振りきった地点で、逆にじりじりと遅れ始めたのである。 2位集団をちりじりに割ったのは、今シーズン好調がつたえられる若い選手である。あまり名を聞いたこともない新鋭に仕掛けられ、あっさり置き去りにされてしまった。それは日本の女子長距離界が世代交代にさしかかっている現状を象徴するかのような一コマであった。 女子の長距離選手の消長ははげしいものがある。 オリンピックをピックにして4年周期……と視るのが順当なところだろう。オリンピックのマラソンを連覇している日本の女子長距離j陣、シドニーの高橋尚子のあとに、野口みずきが台頭してタイミングよく新旧交代が実現した。 そういう意味からすると、今シーズンは「ポスト野口」の若手の登場を期待してみまもるタイミングになるのである。 駅伝大会を観戦する愉しみ、それは日本の女子長距離の次代を担う大輪をみつけること、その一点にある。 弘山や大島に代わる大器が現れるか。いや、現れてほしい。そんな想いを秘めて、これから半年あまり、駅伝をウオッチングしてゆきたい。
12月の全日本予選にあたる本大会、焦点のひとつは三井住友海上の6連覇なるか!……であった。駅伝になれば無類の強さを発揮する土佐礼子、さらに大山美樹、岩元千明という主力クラスを欠いた今年のメンバー構成、他のチームにもつけいるスキがないわけではなかった。事実、6連覇への道のりはそんなにかんたんなものではなかった。 レース自体をおもしろくしたのはホクレンであった。 波乱をもたらしたのは1区のO・フィレスの快走である。1q手前で飛び出して、あとは「おいで、おいで……」と言わんばかりに突っ走ってしまった。終わってみれば、あれよ、あれよ……の区間新記録の快走である。 後続は三井住友の高山典子、第一生命の垣見優佳を中心にして、3q=9:45というペース。先頭を追ってゆこうとする気迫すらなく、護送集団を形成するというありさま。フィレスとは力がちがうえ、駅伝というチームプレーの重石がある。だから、しかたがないといえばそれまでだが、ちょっと首を傾げて、溜息をついてしまった。 フィレスが後続を53秒もぶっちぎって、レースは伏兵ホクレンを中心に回り始めた。後続集団でみどころのあったのは前出の垣見優佳(第一生命)あたりか。5.4qでスパートすると、一気に集団はばらけてしまった。主導権をにぎって自分から仕掛けた点は評価しておこう。 それにしても弘山は59秒遅れの6位、大島は1分08秒遅れの10位……。世界陸上の疲れもあるのだろうが、それにしては大負けしすぎはしないだろうか。かくして三井住友を追っかける一番手といわれた資生堂は、出だしでつまずき、それどころではなくなってしまったのである。 弘山、大島とは裏腹にベテランで好走したのはパナソニックの杉原加代であろうか。スパートした垣見を追っかけて中継所の手前で交わしたのはさすがというべきだろう。 6連覇をめざす三井住友も、なんとここで1分04秒遅れの9位……と、スタートで後手を踏んでしまった。
ホクレンに快走は2区も3区もつづいた。 2区の根城早織がすっとばした。2位のパナソニックとの55秒差をきっちりキープした。三井住友(山下郁代)は4位まで順位を押し上げてきたが、トップまでは1分04秒……とタイム差はいっこうに詰まらない。 第一生命、資生堂も1分あまりの差とあっては、ホクレンはすいすいと逃げる。3区の赤羽有紀子もひさしぶりに快走した。5q=15:49で16分台のワンジル(日立)やワンジク(パナソニック)を上回るペースで突っ走っている。それが駅伝の勢いというものだろう。フィレスの快走に誘発されて、2区、3区と3区も連続で区間賞をとってしまうのである。 今年も見どころとなったのはやはり3区、渋井陽子の走りであった。 気持ちを全面に出して走る姿は全身から気迫がみなぎっているようで迫力満点であった。4位でタスキを受け取ると、1.7qでワンジルをとらえて、あとは前をゆくワンジクに追いすがって併走、残り1qのスパートであっさり突き放してしまう。さすがと思わせる走りであった。 渋井が快走してもホクレンはまだ前にいる。 3区を終わったところで1分14秒差である。なんと、わずかながらひろがっていた。赤羽有紀子は渋井を上回る快走ぶりはみごとというほかはない。この時点では三井海上の6連覇に不安の影がみえはじめた。
6連覇危うし……。 忍びよる暗雲をふりはらったのが4区の林愛美である。前をゆく井川真由美を懸命に追いかけ、4qという短い距離ながら20秒かせいだ。その差は54秒……。ここで流れは変わった。ホクレンの逃げ足を止めたのは林愛美というわけである。 資生堂も3位まであがってきたが、いぜんその差は1分20秒、第一生命にいたっては6位にあえいであいた。 かくして最長区(11.1q)の第5区を迎えるのである。 5区といえば、かつては駅伝娘の坂下奈穂美、あるいは土佐礼子が無類の強さを発揮して三井住友の勝利を盤石にした区間である。今シーズンは大平美樹がこのエース区間にデビュー、6連覇は大平の踏ん張りしだい……。まさに真価を問われる立場にあったが、新エースはまずまず堅実にこなした。 積極的に突っ込んで、4q=13:04……。じりじりと差を詰めて、折り返しでは45秒差に迫り、タスキ渡しでは26秒……と、手の届く範囲まで追いすがった。 相手がみえるところまでくれば、追っかける者の強さが活きてくる。かくしてホクレン、三井海上のアンカー勝負! 追っかける橋本歩が4qすぎで前をゆく佐々木望をとらえて併走、4.2qで突っ放した。最後に橋本のような選手が残っていたところに、三井住友海上の選手層の厚さを感じる。逆にホクレンのほうはコマが一枚足りなかった。 なんのかんのといいながら、三井住友海上が最後の最後にトップを奪ってしまった。強い勝ちかたではないが、底力を感じさせるレースであった。
大健闘したのはやはりホクレンであろう。 3区までレースの主導権を握っていた。あるいは……と思わせる一瞬もあった。それは1区のO・フィレスの快走がもたらしたものだが、各選手も堅実につないでいた。チーム力は確実に上向いている。第一生命は3区では7位まで順位を落としながらも、最後は3位まで押し上げてきた。その地力には侮れないもものがある。 資生堂は4区、5区ではそれほど差のないところにいたが、最後は力尽きて5位に沈んだ。やはり1区で流れに乗れなかったのが敗因だろう。 ほかに健闘したのは4位のセキスイ、6位のアコムか。セキスイは終わってみればいつのまにか4位に来ていた。高橋尚子らのいた全盛期でも4位が最高だったのに、現状の戦力で資生堂より上にきたのは讃えられるべきであろう。 しまむら(7位)、日本ケミコン(8位)も復活、全日本への出場権を手中にした。前半は上位争いを演じたパナソニックは9位、日立は最終的に10位に終わった。 残るひとつの椅子をめぐって、セガサミーとアルゼーが激しく争い、セガサミーがトラック勝負で決着をつけた。 12月に岐阜でおこなわれる全日本にゆく顔ぶれはきまったが、いまひとつ物足りない大会であった。それは次代を背負う大器の顔が本大会ではみえてこなかったせいだろう。 ★開催日:2004年11月3日(祝・水) さいたま市。埼玉県庁前から上尾市・上尾運動公園陸上競技場まで。49.195K ★天候:出発時 曇り 気温12.5度 湿度63% 北西の風 2.1m ★三井住友海上(高山典子、山下郁代、渋井陽子、林愛美、大平美樹、橋本歩)
区 間 最 高
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
![]() |
|
| Home | 駅伝Home | 駅伝ひとくちメモ |駅伝BBS | 駅伝オフ時評 |
|
Copyright(c) 2002 Takehisa Fukumoto All rights reserved. . |
|
![]() |
|
| Home | 駅伝Home | 駅伝ひとくちメモ |駅伝BBS | 駅伝オフ時評 |
|
Copyright(c) 2002 Takehisa Fukumoto All rights reserved. . |
|