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駒澤の勝ちパターンのはまった! 底力の勝利!
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(2008.11.03) |
観ごたえのあった最終区、アンカー勝負!
いかにも駒澤らしいというべきか。
そういう意味みでは、いかにも絵に描いたように駒澤ペースにはまった大会だった。
駒澤には早稲田の竹澤健介や山梨学院大のモグス、あるいは日本大学のダニエルのように爆発力のあるスーパーエースはいない。だからエースの決手が活きるような展開になると勝てない。
たとえば先の出雲駅伝などが好い例である。最終区のランナーが1分29秒もの貯金をもちながら、日大のダニエルに一気にこられてしまった。
3連覇のかかった本大会、前半は好位置につけながら、じりじりとトップに肉薄、7区でトップを奪うという絶好の展開にもちこんだ。
最終8区のランナーにタスキがわたったとき、トップ駒澤・深津卓也と追う早稲田・尾崎貴宏の秒差はわずか4秒……。はからずもおおかたの予想どうりに2強のマッチレースという構図が実現したのである。
大砲をかかえる山梨学院大は2分05秒もおくれている。さらにモグスならともかく、1年生のコスマスだから、駒澤の深津はそれほどコワイとも思わなかっただろう。後ろから追われる心配はない。
そんなこんなで今回にかんしていえば、駒澤陣営と深津卓也は落ち着いて早稲田との勝負に専念できたはずだ。
深津卓也の1qは2:45、3qは8:34、追ってくる早稲田の尾崎貴宏もけんめいについている。まさに勝負どころである。離されてしまえばそこで結着してしまう。尾崎にしてみれば多少ペースが速いがくらいついて、両者の差は2秒ぐらいの膠着状態……。
だが深津は駅伝巧者である。あわてなかった。あくまで自分のペースでいったのだろうが、4qをすぎて尾崎がじりじりとおくれはじめたのである。
観戦するほうは「両雄対決」と色めき立ったのだが、結果はあっけない幕ぎれとなった。後ろからは山梨学院のコスマスが5q=14:05という驚異的なハイペースで追っていた。10qでは2位の早稲田との差を1分にしたが、やはり前半が速すぎたのだろう。追いあげもそこまでだった。
駒澤の深津は後ろに遠ざかってゆく早稲田との差をじりじりとひろげて、まったくのひとり旅、楽々と8度目制覇のテープをきった。
区間賞は2人のみ、トップに立ったのは7区からだったが、今年の駒澤には昨年以上の底力をかんじさせる。そんなレースだった。
序盤の主役は東洋大がつとめる!
本大会は前半、中盤、後半とレースの主役がいれかわるというかたちで推移、観るレースとしてはなかなか興趣つきないものがあった。
前半の主役をつとめたのは出雲でも前半突っ走った東洋大学である。
まず1区では出雲でも快走した東洋大の大西智也が元気のいいところをみせてくれた。初めてのシード権をねらう第一工業大学の中野良平も出雲でも3区で区間賞をもぎとった走りを再現、両者が主導権をあらそうかたちで幕あけた。
1qは2:50と1区の出だしとしては比較的速い展開ですすんだ。5qあたりの先頭集団は東洋大、第一工業大がひっぱり、後続は駒澤大、早稲田大、明治大、東農大、日本体育大、中央大、京都産業大、中央学院大、山梨学院大、日本大学の13校……。
だが、7qすぎて出雲優勝の日本大学(丸林)がおくれはじめるという思わぬハプニングで波乱の目がきざしてくる。
8q以降は、まるで、がまんくらべのサバイバルレースの様相、8qでは東海大、中央大がおいてゆかれ、10qあたりになると、トップ集団は東洋大の大西智也、第一工業大の中野良平、早稲田の矢澤曜、駒澤の星創太、山梨学院の松村康平、中央学院の鈴木忠の6人ぐらいにしびられてゆく。
レースがうごいたのは13qすぎだった。ここで大西が猛然とスパートをかけると、もう誰も追ってはゆけなかった。
1区をおわって、駒澤は19秒差の2位、早稲田は29秒差の5位、山梨学院大は25秒差の4位、初シード権えおねらう第一工業大は19秒差の3位とそれぞれ好位置をキープしたが日本大学の丸林祐樹は2分25秒おくれの14位と大ブレーキ、はやくも1区で圏外に去ってしまった。
エース意地の走りで勢いをつけるー竹澤健介
2区にはいっても前半重視のオーダーできた東洋大のトップはゆるがなかった。2区はレース全体の流れを決定づける重要な区間とみて、各チームともにエースクラスを投入してきている。
たとえば早稲田は竹澤健介、中央学院大は木原真佐人というように大学のトップクラスの顔がみられ、たとえば東洋の元気者:柏原竜二、明治の松本昂大らとの新旧対決がみどころのひとつでもあった。
疲労骨折をおして出てきたという竹澤健介、事実、出雲でも精彩がなかっのだが、いったいどのような走りをみせてくれるのか。早稲田と駒澤のせめぎあいのほかに、竹澤の動向も気にかかった。
竹澤の1qは2:41ならまずまずというところか。2qすぎでは山梨、第一工業大をかわして3位にあがり、さらに駒澤を追って、2位をうかがう態勢にはいる。だが東洋の柏原の快走は目をみはるものがあった。3qを8:20秒と快調そのもの、その後もゆるぎはなく7qは区間新記録ペースで通過した。
早稲田の竹澤は調子いまひときという感じだったが、悪いなりにも帳尻を合わせるのがエースというものか。少しづつ駒澤の宇賀地強を追いかけ、8qあたりでは併走にもちこみむのだが、さらに背後から中央の木原真佐人がおっかけてくる。
だが東洋の柏原がトップでおしきった。区間新記録にはおよばなかったが、竹澤、木原からを向こうにまわして堂々の区間賞である。
駒沢の宇賀地と早稲田の竹澤の2位争いは最後までつづいたが、中継所手前で竹澤が執念というべき猛スパートでわずかに先んじた。早稲田に勢いをつけたといういみで勝ちのあるラストスパートだった。
2区を終わって上位は東洋、早稲田、駒澤、中央学院が44秒差まででおさまり、本命視されているチームがここで一歩ぬけだした。
3区も勢いにのった東洋がトップをまもったが、28〜29秒差で早稲田と駒澤が追ってきて、いよいよ両雄対決の様相が色濃くなってくる。
主役交代! 中盤は早稲田大学が突っ走る!
4区からの中盤になると主役交代というべきか。
純エース区間にあたるせいもあって、上位、下位ともに順位はめまぐるしく変動して駅伝の醍醐味というべき味わいがあった。
上位の東洋、早稲田、駒澤のせめぎあいとともに、ダニエルを擁する日大、モグスをここに配した山梨が下位から一気に順位をあげてくるのである。
東洋の山本浩之を追うのは早稲田の三田祐介と駒澤の池田宗司、だが7qまではあまり差がつまらない。いぜんとして30秒差をキープ……。
背後からはダニエルとモグスがはげしく追いあげてくる。中継所でトップと3:33あった差をつめて、8qではトップとの差を2分あまりつめて5位までやってくる。
日大のダニエルも1分あまりつめて4人ぬきをはたした。
トップ争いとは無縁の留学生たちの争いを尻目に、レースが動きはじめたのは10qすぎからだった。早稲田の三田祐介が東洋をじりじりと追いはじめた。30秒あった差が13q手前では5秒差になり、そして13,6qでならびかけると、三田は一気にギアアップして山本を抜きさった。7秒差で東洋、8秒差で駒澤がつづいて、4位の中央学院までは58秒差とおおきくなはれていたから、三つどもえの展開となる。
早稲田がここで東洋にかわってトップに立ち中盤の主導権をにぎった。優勝争いは駒澤とのマッチレースという構図がくっきりしてきた。
モグスの山梨は最終的にトップから1:03差の5位まであがってきた。39:32は区間新記録でモグスは体調万全とはいえないなかで快走、3年連続の区間新記録、4年連続区間賞はみごとというべきである。
終盤の主役は駒沢! 6区、7区でアンカー勝負の布石が……
4区で東洋から主役の座をうばった早稲田は5区の高原聖典が快走した。1q=2:55のペースで2位の駒澤以下との差をじりじりと離しはじめる。3.5qで18秒、4qで20秒……。2位以下は駒澤の井上翔太、東洋の森雅也が競り合うかたちになっていたが、8qをすぎて駒澤の井上がスパートをかけて東洋をひきはなした。
10qさすぎではトップ早稲田と2位の駒澤の差は33秒までひらいて、早稲田が完全に主導権をにぎった。
6区にはいっても序盤は早稲田が勢いに乗じて朝日嗣也が好ペースで突っ走ったが、駒澤の高林祐介が中盤からけんめいに追いあげにかかる。8qで20秒差までつめてきて、10qでは17秒までつまり、流れは少しづつ駒澤にかたむいてゆくのである。
6区を終わってトップ早稲田と追う駒澤の差はわずか4秒だった。わずかながらトップを行く早稲田の7区は三戸格、追っかける駒澤は太田行紀、太田は三戸に影のようにくっついてはなれない。
勝負の流れが一気に変わったのは5qすぎである。駒澤の太田が先頭をうばい、こんどは逆に早稲田の三戸が遅れまいとして食らいつく。だが太田が満を持していた。7q手前からその差がじりじりとひらきはじめるのだ。
だが、粘りにねばった早稲田の三戸もみごとだった。そういう展開になれば、ふつうは一気に差がひらくのだが、中継所まえでは追いあげてきてわずか4秒にアンカーにたくしたのである。
かくして冒頭でのべた早稲田と駒澤のアンカー勝負に結着はゆだねられるのである。
駒澤、早稲田! 2強時代の到来か!
駒澤は史上4校目の3連覇、8度目の全日本制覇である。終わってみれば駒澤らしく勝つべくして勝ったということができる。
何よりも選手層が分厚いこと、今年はスピードランナーの顔もそろっている。それぞれの選手が自分の役割をしっかり認識して、誰ひとりとして大きくくずれることがない。出雲のように短い距離をつなぐ駅伝ならともかく、距離がながくなれば負ける要素はみつからない。
2位の早稲田は大きくくずれた出雲の影響が懸念されただけに、みごとな立ち直りをみせた。2位ならまずまずだろう。絶対的なエースともいうべき竹澤健介が万全でない状態でここまでやってきた。まだまだ余力をのこしているとみた。
3位の山梨学院大はモグスを欠いた出雲の結果からみて、今回もそこそこやるだろうとみていたが、3位なら満足だろう。エースのモグスがまだまだ完調ではないだけに、このチームもまだ登り目があるだろう。
4位の東洋は前半を完全に掌握していた。出雲の結果からみて台風の目になるやもしれぬとみていたが、予想通りのレースぶりであった。最終的には4位に甘んじたが、いまや駒澤、早稲田に次ぐ勢力だといっていいだろ。勢いにのればコワイ存在である。
5位の中央学院も安定勢力というにふさわしいレースぶりであった。
期待をうらぎったのは日大であろうか? スーパーエースのダニエルをもちながら、大砲を活かすレースができなかった。1区の出遅れがすべて、それでも最後は6位まであがってきたのは地力のある証拠か。
出雲3位の第一工業大に関東の大学いがいの初シード権獲得の期待がたかまっていたが、最終的には惜しくも7位におわってしまった。それでも箱根常連校の日本体育大、東海大などをおさえたのだからみごとな活躍ぶりだった。
逆に第一工業大にやぶれた日本体育大、東海大学、東京農大、明治大、帝京大などは箱根に出ても、今シーズンにかんするかぎり大きな期待はかけられないだろう。
箱根はやはり駒澤と早稲田のマッチレースか? あと優勝争いにからんでくるとすれば東洋大、中央学院大、山梨学院大あたりまでだろう。
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出場チーム&過去の記録 |
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関 連 サ イ ト |
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