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最終区、アンカー勝負で東京が競り勝つ!
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(2008.11.10) |
久しぶり! 藤永佳子に笑顔よみがえる
逃げる新潟の村山愛美(玉川大)、追っかけるは東京の藤永佳子(資生堂)その差はわずか7秒……。後ろは1分以上もはなれている。誰も追ってはこない。近年めずらしく両者の一騎打ちとなった。
名前だけなら藤永佳子に敵うまい。高校3年のときから、すでにして日本を背負うランナーだった。天才ランナーといわれ、世界陸上にも出場した。駅伝では向かうところ敵なしというありさまであった。
だが、筑波大にすすんで3年のとこから故障に泣いた。資生堂に入ってからも満足なレースが出来ていない。悲運の天才ランナーといわれて、10年がすぎていった。
駅伝は名前ではない。それだけに若い村山にもつけいる余地があろうかと思われた。だが、勝負はあっけなかった。
1q=3:15ではいった藤永はダテにに歳はくっていなかった。さすがに駅伝巧者である。ゆっくりと新潟・村山のうしろにつけて、1q手前では早くも村山をとらえてしまったのである。
トップに立った藤永、あとは自分のペースで王者の走り、追いすがる新潟の村山はじりじりと後ろに遠ざかっていった。
後続で展開されるはげしい2位争いなどにかかわりなく、タスキをゴールに運んでいった藤永、天才ランナーといわれたときより、穏やかになった横顔、終始ほほえんでいるようにみえた。
それにしても……、勝負というのは非情なものである。
藤永においてゆかれた新潟の村山愛美、8区の中継では1分あまりおくれていた神奈川と千葉が背後からひたひたと迫ってくる。
宮城の町田祐子、千葉の永田幸栄、神奈川の大谷木霞が3位集団をなして背後から追ってくる。その差はどんどんとつまってくる。5q手前で永田と大谷木がぬけだして、とうとう8.5qでは2位の新潟をのみこんで2位集団となる。そして9q手前で永田がスパートして集団を割った。
かくして新潟は4位まで順位を落とした。今回の新潟は1区でトップに立ち、完全にリズムにのった。2区以降も東京とめまぐるしくトップ争いを展開、8区を終わってトップでタスキをもらっている。
今回の新潟は1、3、4。8区で区間賞、5、6、7区で区間2位、他のランナーも区間3位、4位と、きわめて堅実に走っている。だが、最後の競り合いで4位に沈んでしまうのである。
先手をとった新潟が最後まで優勝争い
注目の第1区は新潟から「ふるさと選手」枠で出場したスターツの高木千紗が快走した。スタート直後から集団をひっぱりはじめ、1q=3:16だから、まずまずのペースとくべきか。
2.6qあたりではトップ集団は10人から12人というところだったが、すこしずつこぼれおちたゆき、3qでは7人ぐらいになったところで、東京の高吉理恵(三井住友海上)と新潟の高木千沙(スターツ)がとびだした。
ともに先の「東日本実業団駅伝」を走っている。高吉は2区(3.15q)に出場して区間3位、高木はエース区間の3区(11.95q)で区間7位であった。
6.795qならば、高吉に分があるかとおもわれたが、高木はスピードランナーである。昨年は2区(4q)で区間賞をもぎとっている。
トップで並走状態になってから、高木の勝負は早かった。3.6qでトップをうばってしまうと、そのまま中継所になだれこんだ。
2位には3秒差で東京がつづいたが、優勝候補の一角とみられていた神奈川(渡邊美紀)は47秒おくれの10位、千葉(宮崎翔子)も同じく47秒おくれの8位と出遅れてしまい、結果的には最後まで優勝争いには絡んでこれなかった。
2区では3秒差につけていた東京の西尾千紗(スターツ)がトップとの差をすこしづづ詰めて、2.9qで新潟の中村萌乃をとらえてしまうのである。連覇をねらう東京は2区で早くもトップに立ち、2位の新潟との差は27秒、勝負はここで結着したかにおもえたのだが……。
ところが、新潟の息の根はかんぜんにとまってはいなかった。3区では新潟の藤石佳奈子が区間賞、またしても東京の背中がみえるところまでやってくるのである。
3区をおわって神奈川はトップから1分10秒おくれて4位、千葉はなんと1分48秒もおくれて10位に低迷していた。
意外に健闘していたのが埼玉だった。3区を終わってトップから33秒おくれの3位である。1区で6位、2区では後藤奈津子(日体大)が区間2位の快走で一気に2位まで押し上げてきて、3区、4区を終わっても3位につけていたのである。
千葉、神奈川は序盤で圏外に去る!
千葉、神奈川はおくれ、3位の埼玉もじりじりと後ろに遠ざかり、4区以降は完全に東京と新潟のマッチレースとなった。
4区は中学生区間だが新潟の横山みわが、18秒差でトップをゆく東京都をはげしく追いかけた。キレのいい走りで、その差をぐんぐんと詰めて、1.3q地点で前をゆく東京を抜き去り、逆に29秒もの差をつけてしまうのである。
5区では東京が強かった。野尻あずさ(第一生命)が2q手前で新潟の渡辺智子ととらえて再びトップを奪い返して、逆に27秒の差をつけた。
下位に低迷していた千葉もようやく5区になって眼をさましたのか。永田あや(豊田自動織機)が区間1位の踏ん張り、トップと48秒差の3位までやってくる。
6区、7区でも東京は強かった。6区では阿部ゆかり(八王子高)が2位との差を33秒とし、7区では大槻みちるが区間賞、2位の新潟との差を42秒として、完全にふりきったかにみえた。
ところが今回の新潟はしぶとかった。8区の中学生・蓑口めぐみが快走、42秒差をどんどんと詰めてきて、2.8qすぎて東京をとらえて、またまたトップに立ってしまう。かくして8区から9区の中継点ではトップが新潟、7秒おくれて東京がつづくという展開でア冒頭にのべたンカー勝負がはじまるのでる。
ちなみに神奈川はようやく3位、千葉は4位と順位をあげてきたが、1分以上の大差があり、優勝争いからは完全に圏外に去っていた。
地方チームゆえの宿命に泣く!
東京の勝因は何だったのだろう? ハタと考え込んでしまった。絶対的なエースがいたわけでもない。あえてあげるならば選手層の厚、高校生の健闘……あたりだろうが、終わってみれば勝っていたというのが正直なところか。あえて、あげるならばライバルの千葉と神奈川のデキがいまひとつだったのに助けられたというべきだろう。
健闘組みの第一は新潟であろう。区間賞獲得4つは東京を上回っている。1区の高木千明の区間賞で一気に流れにのってしまった。優勝が手の届くところまできながら、最後の最後で4位としずんでしまった。優勝争いしての4位だから、千葉の2位、神奈川の3位よりもはるかに価値がある。
勝てなかったのは、やはし地方チームゆえの哀しさである。有力実業団をもたないために、10qの最長区間を走る選手にめぐまれないのである。全長距離の4分の1にあたる10qをしめる最終9区を走れるランナーがいなくては優勝できるわけがない。
かつて福島もなんどかいま一歩に肉薄しながら、最終アンカー勝負で、あえなくやぶれ去っているのである。せっかく上位争いしてきても、最終のアンカー勝負で下位に沈んでしまう。いわば地方チームの宿命なのである。
期待はずれは千葉と神奈川だが、前半、中盤がわるすぎた。序盤で1分以上もおいてゆかれては、すでにして優勝圏外からこぼれおちている。
今回、大きく順位を落としたのは茨城である。前回4位から14位とおおきくくずれてしまった。5日に高校駅伝の予選がおこなわれており、埼玉と同じく、高校生のトップクラスが出場できないうえに、実業団の日立の選手たちも調子いまひとつだったのが原因だろう。
本大会は高校生、あるいは中学生が実業団のトップや大学生とともに走るところに意義がある。だが最近は実業団のトップクラスはあまり顔をみせることがない。それはスケジュール面からみても、かなりの無理があるからだといえる。
繰り返しになるが、開催時期を再検討する必要がある。開催の意味を再考すべきだろう。
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出場チーム&過去の記録 |
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関 連 サ イ ト |
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