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いちども相手をトップに立たせない! 無類の強さに驚嘆!
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(2009.10.28) |
4年生キャップテンの意地をみた……森唯我
4年生の意地というべきか!
佛教大学の森唯我はタスキをうけるなり、素っ飛んでいった。1q=3:06、1q〜2qも3:06というから、とてつもないハイペースである。中継点では2秒おくれでつづいていた立命館大学が、どんどんと後ろに遠ざかってゆく。追ってくる立命の沼田未知も並のランナーではない。10000mではインカレ2位、ライバル立命にあって小島一恵につぐ実力者である。
その沼田に森は乗じるスキすらあたえなかった。ハナから突っ込んでいって、一気に突っ放すかのようにハイピッチをきざんでいったのである。
1qで5秒の差がひらき、その後も、2位の沼田との差はじりじりとひろがっていった。森のペースはいっこうに衰えるけはいもなく、3q通過では区間新記録を14〜15秒も上回るという驚異的なペースである。
まさに、その名のとおり、ただただ我ひとりトップを突っ走る。まるで過去3年間の鬱憤を晴らすかのような快走ぶりであった。
森唯我……。すでにして1年生のときから佛教大をひっぱる存在であった。全日本にも4年連続で出場している。1年のときは1区で区間4位、2年のときも1区で区間4位、3年のときは今回とおなじ2区に出てきて、区間3位……。それほど目立った成績をあげていない。チーム自体も3年連続で王者・立命館大の後塵を拝した。
その立命館を今回は関西予選でねじふせた余勢を駆ったというべきか。森の走りはまるで別人かとおもえるほど自信に満ちていた。
森は逃げた。ひたすら逃げた。3年連続でやぶれた悔しさ、トリックスターでしかなかった自身の汚名を濯ぐかのように彼女は弾けた。後ろからはもう誰も追ってこなかった。
エースの誇りというべきか、4年連続区間新の小島一恵
2区から3区への中継点では、森はなんとライバルの立命館に31秒もの大差をつけていた。区間新記録をなんと25秒も更新するという快走ぶりであった。2区の森の爆走で佛教大はレースの主導権をしっかりにぎってしまった。いかにもキャプテンらしく、チームに勢いをつける役割をしっかり果たした。
だが、立命館の沼田もデキが悪いというわけではなかった。力通りの走りをしているのである。だが今回は森の気迫の走りが勝ったのである。
佛教大が森唯我ならば立命館は3区の小島一恵である。2区で31秒もぶっちぎられると展開になったのは、立命館としてはやはりおおきな誤算だったろう。追う展開になった3区に登場する小島一恵、相手はユニバの10000m覇者・西原加純である。相手が西原だけにいくら小島でも追い切れないだろう。佛教大の独走がつづくかと思われた。
事実、西原は1q=3:08秒といいう早いペース、小島は比較的ゆったりとかまえていた。1q〜2qは昨年区間新記録をつくったのと同じペース。だが西原はどんどん先をゆき、差はひらいた。中間点ではその差39秒とひらいてしまった。
3区の中間点にして、レースは上位グループと下位グループにはっきりわかれるという乖離現象がうまれていた。優勝争いは佛教と立命にかんぜんにしぼられ、2分以上うしろで名城、日大、城西国際、城西、東農大などがもつれて激しく順位あらそいをくりひろげたいた。
トップ争いは佛教大、西原ががそのまま押しきるかとおもわれたが、4qを過ぎてペースダウン、4q〜5qが3:20とゆるみをみせ、そこから小島の追撃がはじまった。過去3年間すべて区間新記録をつくり、3連覇の立役者であった小島にも意地というものがあろう。
ライバルのゆらぎを見逃しはしない。7qでは39秒差あった差が23秒になり、9qでは11秒と急追してくる。だが西原もそこから必死の形相で粘りぬいた。
小島はなおも懸命に追った。だが、初制覇をめざす佛教大の執念といくべきか。最後は10秒差まで迫ったがそこまで……だった。
結果的にみてエースで追い切れなかったことが、最後までひびいたかたちだが、小島はまたしても区間新記録である。4年連続区間新記録は4年生であり、エースの意地というべきであろう。
森唯我、そして小島一恵……。4年生の意地のぶつかりあいが本大会のみどころのひとつであった。
繋ぎの区間でとどめを刺した!
2区、3区につづいて、見どころはやはりスタートの1区だった。
4連覇をねらう立命館は田中華絵、佛教は石橋麻衣であった。レースは優勝を争う二人を中心にしてはじまった。
1q=3:20というスローの展開で幕あけ、二人が大集団をひっぱってゆくというかたち、二人うちどちらが、どこで、どのように仕掛けるかがみどころになった。
レースの主導権は最初から石橋がにぎっていた。だが、表情を見ると、やや固さがあり、むしろ立命の田中ののほうにいくぶん余裕があるかな……と、思われた。
2qも6:41というからスローの展開がつづいた。レースがようやく動いたのは4q手前あたりだった。佛教の石橋がペースアップすると集団はばらけ、たちまち10人になってしまう。立命の田中はついていたが、佛教の石橋は4.8qあたりで2段スパート、後続をひきちぎり、残り1qで立命館の田中をひきはなした。
中継点ではわずか2秒先んじただけだったが、佛教大・石橋のレースぶりは自身にみちていた。
2区、3区はすでにのべたような展開だったが、4区になってもレースの主導権は佛教大にあった。両雄ともに繋ぎの区間ゆえに、奇しくも一年生ランナーを配してきたが、皮肉にも勝負を決める重要な区間となってしまった。
佛教大の竹地志帆が快走した。2q=6:13は区間新ペース、じりじりと立命館は遠ざかっていった。4区をおわって立命館との差はなんど43秒である。佛教大は5区でも森知奈美がハイペースでぶっとばした。アップダウンのはげしいコースで2q=6:43は区間新記録を大幅にうわまわるハイペース、リラックスした軽快な走りで、むずかしいコースを走りきった。
森は立命館との差をさらに12秒あまりひろげてしまったが、立命館の岩川真知子もわるかったというのではない。両者ともに区間新記録というレベルの高い争いをくりひろげていたのである。
激しかったシード権争い!
2強によるトップ争いも5区でおおよその結着がついた感あり……というところだが、3位は名城大が抜けだした格好、4位以降は城西国際大、東農大、京都産業大、城西大がダンゴ状態、シード権争いもからんで、はげしい順位争いをくりひろげていた。
最終6区になっても佛教大の勢いはとまらなかった。アンカーの吉本ゆかりは1qを3:03という早いペースではいり、その後もペースはおとろえることがなかった。樋口紀子の区間新記録を大幅にうわまわるラップをきざみつづけ、追ってくる立命の竹中理沙を2qでは1分05秒差、4qでは1分23秒差……と、どんどんと引き離してしまう。さすがの立命館もとうとう追い切れなかった。
かくして佛教大は1区からいちどもトップをゆずることなく、最後は予想以上の独走状態になってしまった。アンカーの吉本ひかりは独走になりながらも、自身の目標を見失わなかったのだろう。最後まで攻める気持ちをまちつづけ、堂々の区間新記録の走りで悲願の初優勝のゴールにとびこんでいったのである。
ところで後続4チームによるシード権争いは、5区を終わって、4位〜7位までが大混戦となった。5区を終わって城西国際、東農大、京都産業大、城西の順位であったが。最終区でまたしてももつれにもつれ、最後は5位にいた東農大が7位まで順位を落として、シード圏外に去ってしまった。
驚異! 佛教大の強さ
優勝した佛教大は終わってみれば大会新記録の圧勝であった。3区こそ小島一恵に区間賞をもっていかれて完全優勝こそのがしたが、残る5区間はすべて制覇、さらに2区の森唯我、5区の森知奈美、6区の吉本ゆかりが堂々の区間新記録というオマケまでついた。
予選会でも立命館を力でねじふせたが、フロックでないことをみせつけるかっこうになってしまった。いちども相手にトップをゆずることがないというレースぶり、きわめて価値ある勝利だといる
4連覇を逃した立命館大もデキが悪かったというわけではない。事実、最終記録も大会記録を1分以上も上まわっているのである。各ランナーともに持てる実力を発揮している。ただ今回は佛教大がそれを上回ったのである。
けれどもミスがないのに負けてしまった……となれば、完全に力負けしたという結果になる。立命館陣営としてはかなりショックはおおきいことだろう。
12月の選抜では攻守交代、こんどは立命館大が今回の佛教大のように、攻めて攻めて、攻めまくることだろう。佛教大はそれを受ける立場になる。
立命館がどのようにチームを立て直してくるか。あたらしい王者となった佛教大がどのように受けるか。そういういみで大学女子駅伝もおもしろくなってきた。いずれにしても選抜も佛教大と立命館大による再度の両雄対決になること必死である。
両雄と3位・名城大以下とでは実力的にかなりの差があるのは否めない事実であろう。実業団チームと大学チームぐらいの差がある。レベルがここまでちがってしまうと。もはや両雄とおなじ土俵で論評することは、ちょっと無理な相談だろう。
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出場チーム&過去の記録 |
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関 連 サ イ ト |
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