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ディープスペースナイン エピソードガイド
第176話「終わりなきはじまり」(後)
What You Leave Behind, Part II

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・イントロダクション
※1※2※3待機する連邦・クリンゴン・ロミュラン・カーデシア艦隊。
マートクと共に映し出されたロス。『3方面から攻撃する。ロミュランとカーデシア反乱軍で、ジェムハダー艦隊と交戦だ。クリンゴンはブリーンを担当。連邦軍は軌道上にある、武器プラットフォームを叩く。質問は?』
シスコ:「出撃時間は。」
『準備でき次第だ。』
マートク:『輝かしい…戦いになる。』
『犠牲は大きい。死傷者は 4割に達するだろうという見通しだ。地上軍を投入したらどこまで数字が上がるか予測もつかない。』
シスコ:「ドミニオンも苦戦は覚悟しても…一歩たりとも我々を前進させるつもりはないでしょう。」
『そうだな。』
「…出撃しましょう。」
『我らに幸運を。』
マートク:『カプラ。』 通信は終わった。

ドミニオン本部に銃声が響く。
ウェイユン:「創設者。安全な場所へ移った方がよろしいかと。」
女性可変種:「そんな場所がありますか?」 爆発音が響いた。「あっ!」 反射的に女性可変種を守るウェイユン。
ドアが開き、ジェムハダーが撃たれる。撃ったカーデシア人も殺された。
キラがもう一人のジェムハダーを倒した。ガラックたちも入る。
女性可変種:「ああ…。」
銃を向けるキラ。
ウェイユン:「何と、キラ中佐ではないですか。…驚きましたね。」
キラ:「会えて嬉しいわ?」
コンピューターを確認するカーデシア人。「連邦の艦隊がこの星を包囲している。」
キラは女性可変種に言う。「ジェムハダーとブリーンの艦隊に連絡しなさい。…そして降伏するように言うのよ?」
ガラック:「それから地上の部隊にも同様にな。」
女性可変種:「そんなことするものですか。」
ウェイユン:「それより、我が友ダマールはどこです?」
ガラック:「ダマールは死んだ。」
「気の毒に。」
「カーデシア解放のために死んだんだ。」
「まさに無駄死にだ。」
ガラックはウェイユンに近づき、銃を発射した。
倒れるウェイユン。
女性可変種:「何ということをしたの。彼の最後のクローンだったのに。」
ガラック:「そいつは嬉しいね。」
キラは女性可変種に近づいた。「もう終わりよ? あなたの負け。」
女性可変種:「そう? …ジェムハダーもブリーンも、降伏など到底…受け入れないでしょうね? 最後の一人まで戦うわ?」
「それが何になるっていうの?」
「明らかじゃないの。たとえ、そちらがこの戦争に、勝ったとしても…終わった時には大破した船と、死んだ兵士たちが累々と横たわるでしょう。勝利といえども敗北と同じように、苦いでしょうね。」


※1: このエピソードは、DS9 最終話 (シリーズ・フィナーレ) の後編です。アメリカ本国では基本的に 2時間エピソードとして放送されたため、前後編に分けられた際に一部カットがあります。このエピソードガイドでは色を変えた上で、簡単な画像つきで紹介しています

※2: 小説版が発売されています Amazon.com / スカイソフト / Amazon.co.jp

※3: 最終話は 1999年度のエミー賞、特殊映像効果賞にノミネートされています


・本編
シスコはスクリーンを見ている。「中佐、無事でみんな安心したぞ。」
オドー:「ほんとに。」
「状況は。」
キラ:『こちらの生存者は 3名です。』
「ダマールは?」
『死にました。』
「…そこは今、安全なのか。」
『ジェムハダーは攻撃してこないでしょう。創設者を危険にさらしますから。彼女は、ひどい状態です。ただ…座っているだけで、やっとの状態です。』
ウォーフ:「ジェムハダーに降伏を指示する前に死なれると…」
シスコ:「最後の一人まで戦い続けるな。」
オドー:「艦長、私が下へ行きます。行って私が創設者を説得します。」
「…だが説得に応じたことがないだろ。」
「やらせて下さい。人が死なずに済むかもしれません。」
「…いいだろう。…中佐、創設者に、オドーが会いに行くと伝えてくれ。」
うなずき、ブリッジを出ていくオドー。

ベイジョー、炎の洞窟。
ウィンは瓶から杯へ、飲み物を注いでいる。「ここからが儀式の一番大事な部分だわ?」 詠唱を行った後、杯を口に近づける。だがデュカットに差し出した。「飲んで?」
喜ぶデュカット:「光栄だな。」
ウィンは微笑み、デュカットが飲み干す様子を見る。
杯を差し出すデュカット。「君の番だ…。」
だがウィンは液体を捨て、杯も炎の中に投げ込んだ。
意味がわからないデュカット。突然、苦しみだした。立っていることができない。「なぜだー!」
ウィン:「パー・レイスが生け贄をとおっしゃるの。」
「ああ…」
「彼らにふさわしい者。あなたが一番よ。」
ウィンにつかみかかろうとするデュカット。「ああ…ああ…」 仰向けになり、動かなくなった。
ウィンはデュカットの身体に近づいた。「この者の命をパー・レイスに捧げます。その飢えを満たし、燃え立つ炎で御身を解放したまえ! コスト・アモージャン、私は永遠にあなたのしもべです!」

壊滅状態のカーデシア。
待っているキラの元へ、オドーが転送されてきた。「ネリス。」
キラ:「…しばらくね。」
「ああ。」
「気をつけて、信用できないわ。」
「私のことは?」
「信じてる。」
「それさえ聞ければいい。」
ガラック:「オドー。」
「ガラック。」
女性可変種:「元気そうね、オドー?」
「会って頂けないかと。」
「同じ可変種じゃないの。ですが、我が軍を降伏させるつもりはありませんからね。…たとえ一瞬でも弱気になれば…固形種をガンマ宇宙域に招き入れ、偉大なるつながりは…壊滅するでしょう。」
「惑星連邦に欠点があることは私も認めますが、他文化を侵略することはありません。」
「…クリンゴンとロミュランは? どうなんです、彼らも同じだと言えるのですか。」
「クリンゴンとロミュランは、これ以上戦争を継続できる状況にはない。それに連邦が、決して許しません。」
「ドミニオンはこの 2年間、連邦を征服しようとしてきました。…なのに我々の運命を彼らの手に委ねよと言うのですか。」
「はい。」
「…それだけはできないわ。私はそこまで固形種を信じていない。」
「私が気持ちを変えてみせます。」 手を差し出すオドー。「つながって下さい。」
ガラックが近づく。
キラ:「オドー、どういうつもり?」
女性可変種:「私はつながることはできないの。病気のために形を変えられないのです。」
オドー:「つながれば、あなたを治すことができます。」
ガラック:「そいつはやめた方がいいんじゃないですか。」
キラ:「同感よ。」
オドー:「ネリス、心配いらない。お願いです、手を取って。」
女性可変種:「もし治ったとして、見返りは何です。」
「私はただつながって欲しいだけです。」
ガラックは武器を取り出した。「やめるんだ、オドー。」
「ネリス。」
キラ:「ガラック。銃を下ろして…」
ガラック:「そうはいきませんね!」
さえぎるキラ。「いいから下ろして。」
女性可変種は手を伸ばした。2人の手が解け行く。
目を閉じるオドー。
女性可変種の身体は一旦全て液体状になった。そして、以前のような正常な形に戻った。
立ち上がる女性可変種。
ガラック:「どくんだ、オドー。」
オドー:「その必要はない。でしょ?」
女性可変種はガラックに言った。「そこをどきなさい。ジェムハダーに停戦を申し渡します。」
ガラック:「抑制フィールドで拘束すべきだと思いますがね。」
オドー:「心配ない。彼女は逃げはしない。潔く裁判を受けて、全てのことに責任を負うつもりだ。」
女性可変種はコンピューターを操作している。
部屋を出るキラ。「彼女、つながりの治療にガンマ宇宙域へ戻るって言うと思ったわ?」
オドー:「その必要はないんだ。代わりに私が行く。」
「…いつまで…?」
「ネリス…そろそろつながりに、戻る時です。」



カーデシアの街。
廃墟と化し、あちこちで火が上がっている。そしてカーデシア人の死体がいくつもある。
マートクはボトルとジョッキを掲げる。「さあ。勝利の時を噛みしめようじゃないか。勝利に。我々は、よく戦った。」 ブラッドワインを飲む。「ああ…どうした。」
シスコもジョッキは持っている。「飲む気がしなくなった。」
ロス:「私もだ。」
マートク:「…無駄な涙を流す前に思い出せ。ここに転がっているのは、カーデシア人の死体だ。これも因果応報と、いうものじゃないのか?」
シスコ:「それでも死者の前で乾杯する気にはなれない。」 ワインを地面へ注ぎ、ジョッキを置いた。歩いていく。
ロスも同じだ。
残されたマートク。「地球人※4め。カッチキアッチ! ヘ!」 ボトルを直接口にする。

ベシアはドミニオン本部でコンピューターを見ている。「8億人が死亡…。」
ガラック:「そして死傷者の報告は入り続けています。お祝いは言ってくれないんですか、ドクター? 私の追放も正式に終了しました。故郷に帰ってきた。というより、故郷の残りにですが…」
「でもこれは…その…」
「まさに当然の結果になったと言われるかもしれませんね。結局、全くの『無実』というわけではなかった、でしょう? ベイジョーの占領だけでなく、我々のこれまでの歴史は傲慢な侵略ばかりです。ドミニオンと手を組み…アルファ宇宙域を裏切った。ええ、疑う余地はなく、我々は有罪なんです。」
「僕たちはカーデシア人が強い人々だと知ってる。生き続けるよ。カーデシアは生き続ける…」
カット笑うガラック。「ドクター、頼みますから…あなたの我慢ならない連邦的楽天主義は勘弁して下さい。もちろん生き続けますよ。でも私の知っていたカーデシアじゃない。我々は豊かで長い文化をもっていた。文学、音楽、芸術には右に出るものがない。そして今、その多くは失われました。優秀な人材も…生まれながらの才能も…」
ベシアはガラックの肩に手を置いた。「すまない、ガラック。僕はつまり…」
ガラック:「いいんですよ、ドクター。……あなたは親友だ。昼食をご一緒できなくなるのが寂しいです。」
「また会えると信じてるよ。」 笑みを見せたベシア。
ガラックも笑顔になった。「私もそう思いたいですが…どうでしょう。私たちは不確かな時代に生きていますからねえ。」
出て行くガラック。ベシアの表情は硬い。


DS9。
ロス、シスコを初めとする連邦側が見守る中、ヴォルタ人や女性可変種は文書にサインを終えた。
立ち上がり、文書を差し出す女性可変種。「ドミニオンと、惑星連邦連合の戦争は、これで終結です。」
受け取るロス。「400年前、やはり大きな戦争が終わった時、戦勝国の将軍※5はこう言った。『今日、銃は沈黙した。悲劇は終わった。敗北も、勝利も…我々は経験した。その両方から学んだ。戻ることはできない。我々は、この自由と平和を守るために前進するしかない。』」
女性可変種はテーブルを離れた。「後は頼んだわ、オドー?」
うなずくオドー。キラたちの前から去る女性可変種に、保安部員が付き添う。

プロムナードを歩くエズリ。「夜、ヴィックの店行くでしょ?」
ウォーフ:「ああ、もちろんだ。だが私は踊らないからな。」
「頼んでないでしょう?」
シスコはクワークの店から出てきた。「ウォーフ少佐。」 マートクやロスもいる。
ウォーフ:「大佐。」
「今ちょっといいかな。」
「はい。」
マートク:「お前の今後の予定について話し合ってた。」
「…これまで通りのつもりでしたが…。」
ロス:「こういう肩書きがつくのはどうかな? 駐クロノス、連邦大使だ。」
「…外交には向きません。」
マートク:「俺も政治には向かん。だがウォーフ、時に運命は過酷な試練を与えるものだ。来い、クロノスのためだ。俺もお前が必要だ。」
エズリ:「…あなたが総裁に推したのよ? ここで背を向けるなんてできるの?」
ウォーフ:「…上官である大佐の御意見もうかがわないと。」
シスコ:「私としては…」 マートクたちを見る。「後悔するかもしれんが、君が望むなら喜んで送り出そう。」
「…大佐と共に働け、光栄でした。」
「私こそ。」 握手する 2人。
「…お受けします。」
マートク:「素晴らしい。」 笑い、ウォーフの肩を叩く。「一緒にターグ狩りもできる連邦大使だ! これなら、総裁をやるのもそう悪くはないかもしれん。」 シスコたちも歩いていった。
エズリ:「大使就任おめでとう。」 ウォーフの頬にキスする。
ウォーフ:「フン…。」

オドーと歩くキラ。「いつ、出発するの?」
オドー:「…すぐです。」
「つながりの病気を治して、戻ってきてもいいじゃない。」
「…そうですね。」
「でも、戻ってはこないのね?」
「ああ…ネリス。うん…あなたへのこの気持ちは、永遠に変わりません。でも、これが…私の務めなんです。つながりを救わなければ、私の知識を与えて、彼らに…教えないと。あなたたちのことをね。」 キラの肩に触れるオドー。「固形種を信用させるにはそれしかない。」
「あなたが決めたんだからそれでいいのよ? …お願いがあるの。」
「ええ、どうぞ。」
「つながりまで私が、送っていくわ?」
「そうしてくれれば…私もほんとに嬉しい。」


※4: 「人間」と吹き替え

※5: 第二次世界大戦、およびダグラス・マッカーサーのこと。1945年9月2日、東京湾の戦艦ミズーリ上で行われた日本の降伏文書調印での演説より

客と話していたヴィック。「やあ、相棒!」 クワークと握手する。「また『カード』をやりに来たのなら、今夜は忙しい。」 客が次々とラウンジに入る。※6
クワーク:「俺も参加しに来たんだよ。『戦勝記念、さよならオブライエン、さよならオドー…さよならウォーフの会』だ。」
「あっちだ。」
「ああ。」
オブライエンと話すベシア。「ほんとにうらやましいんだって。地球へ行ける。パラダイスへ戻れるんだから。」
ジェイク:「どこに住むか決めた?」
オブライエン:「いやあ、俺もケイコもまだ…迷ってるんだ。」
ウォーフ:「ミンスクは考えたか?」
「候補にはないなあ。」
シスコ:「ニューオーリンズは賑やかだぞ?」
キャシディ:「パリが素敵っていうけど。」
ウォーフ:「ミンスクだ!」
エズリ:「ジャッジアはリオが好き。」
キラとやって来たオドー。「選択肢が山ほどあるようだな?」
オブライエン:「ああ、多すぎて。」 笑う。
ウォーフ:「ミンスクだ。」
ベシア:「まあどこに住むにしても、家族と一緒に楽しく暮らせるさ。」
オブライエン:「ジュリアン、地球じゃ御近所とは言えないが…遊びに来てくれよ。」
「もちろん。」
「それで、一緒に…テキサスへ行こうぜ?」
「二人してアラモ砦の前に立つか。」
「本物のな?」
笑うベシア。
オブライエン:「最高の旅になる。」
ベシア:「ああ、そうだな。」
クワークが近づく。「地球のどこがいい。退屈の塊が自転してるようなもんだ。俺に言わせりゃ、ここに残った方がずっといい。オドーとウォーフもおんなじことだ。」
キラ:「寂しくなっちゃったんじゃないでしょうねえ?」
「冗談! 面倒なだけだね。いろいろ変わるとなあ。」
シスコ:「慣れるしかない。今後この基地も、大きく変わるだろう。…さあ、乾杯だ。最高のクルーに。全員揃うのはこれが最後かもしれない。だが未来に何があろうと、どれほど遠くへ行こうと、我々の…最も大切なものは、常にここにあるだろう。ディープ・スペース・ナインに。」
オブライエン:「乾杯だ。」
ベシア:「乾杯。」
みな乾杯を終えた。
ヴィックの声が響く。「こんばんは。今夜は、我が友人たちの特別の夜です。長い時を共にした。でもこう言います。『全てに終わりが来る』。だからみんなに、この曲を捧げます。」
※7Someday
拍手が起こる。
When I'm awfully low
When the world is cold
エズリを見るウォーフ。クワークもエズリを見る。
I will feel a glow just thinking of you
And the way you look tonight
キラの肩を抱くオドー。
ウォーフはまたエズリを見た。
You are lovely
With your smile so warm
And your cheeks so soft
There is nothing for me but to love you
エズリを見るクワーク。
Just the way you look
Tonight
ヴィックはステージを降りた。
With each word
Your tenderness grows
クワークと握手し、シスコに合図する。
Tearing my fear
Apart
キラたちの前で歌うヴィック。
And that laugh
That wrinkles your nose
Touches my
Foolish heart
Someday
再びステージに戻る。
When I'm awfully low
When the world is cold
I will feel a glow
Just thinking of you
And the way you look
Tonight.
歌い終わり、暖かい拍手が贈られた。投げキッスするヴィック。

炎の洞窟。
倒れたままのデュカット。
詠唱を続けるウィン。「……コスト・アモージャン、おいで下さい! 我がもとに…!」
空中を浮遊しているエネルギー生命体。その中心部が円形の炎を作り、中央から一筋のパワーがウィンの体を直撃した。「あーっ!」 洞窟の壁に叩きつけられ、倒れるウィン。
湧き上がった炎の中から、一つの生命体がデュカットの上を浮遊する。そしてそれはデュカットの中に入った。デュカットは声をあげ、体を震わせる。
見開かれた目は、赤く光っていた。
意識を取り戻すウィン。「ああ…ああっ!」
デュカットの姿が、カーデシア人のものに戻っていた。
起きあがるデュカット。
ウィン:「ああ…どうして!」
自分の手を見て笑うデュカット。イヤリングを引きちぎった。
ウィンに投げつける。

キャシディと踊っていたシスコ。「ああ…」 目を閉じる。
キャシディ:「ベン? どうしたの?」
「今わかった。」
「わかったって?」
「私の役割、使命だ。キャシディ…行かないと。」
「どこへ行くの?」
「ベイジョーの、炎の洞窟だ。」
「私も行く。」
「だめだ。私の使命なんだ。」 キャシディの手にキスし、急いでホロスイートを出ていくシスコ。


※6: このラウンジのシーンには、多数の製作スタッフや俳優が客としてエキストラ出演しています。判別しにくい人もいますが、わかった範囲で別の画像にまとめています

※7: "Way You Look Tonight" 「今宵の君は」
CDアルバム "This One's from the Heart" に収録されています

ランナバウトは惑星ベイジョーに到着した。
炎の洞窟では、デュカットが笑っていた。ひざまづいている。ウィンに話す。「パー・レイスがお前を、彼らの使者に選ぶと本気で思ったのか。ははは…パー・レイスたちはもう間もなくベイジョーを焼き尽くす。」 立ち上がる。「あの天空の神殿も、アルファ宇宙域も。想像できるか? この宇宙の全てが、炎に包まれるのだ! そして、永遠に燃え続ける。ああ…預言者は贈り物をくれたようだ。選ばれし者のお出ましじゃないか。悪魔を退治するため、復讐の天使のごとく送り込まれてきたようだな。」 振り返ると、そこにシスコがいた。
フェイザーライフルを持っているシスコ。「お前が悪魔だと気づくべきだった。」
デュカット:「やれ! 殺せ! できるならな。」
シスコはフェイザーを向ける。だがデュカットが手を挙げると、ライフルは吹き飛んでしまった。
デュカット:「はは…その程度では到底無理だなあ。」 更にシスコを倒す。「ははは…口ほどにもない。そうだ。さあ、こっちへ来い、いいぞう。」
近づいたシスコは思い切りデュカットの顔を殴る。全く効果はない。
デュカット:「さあ、ひざまづくのだ。」
何もしないシスコ。
デュカット:「聞こえただろ、ひざまづけ!」
デュカットが手をかざすと、シスコは耐えきれずにその場に座り込んだ。「何と、惨めな男だ!」
デュカット:「こうべを垂れているのはお前だぞ。」
「ああ…最初はドミニオン、次はパー・レイス。常に負ける側につくのは才能か! ああ…」
「ベンジャミン、長いつき合いだ。負け惜しみはよせ。お互い顔を合わせるのは恐らくこれが最期だろう。腹を割って話そうじゃないか。どちらも勝利と敗北を経験してきた。対極にある二人だが、そろそろ意地を捨て、真実と向き合っていい頃だろう。私が勝ったのだ。お前は負けた。」
「ああ…パー・レイスに、手を出させはしない! ベイジョーにも、天空の神殿にも、それに当然、アルファ宇宙域にもだ!」
「誰が阻止するんだ。」
「私だー!」
高く笑うデュカット。「立つことすらできないのにか?」
ウィン:「わたくしが阻止します!」 コスト・アモージャンの書物を手にしている。
それを高く振りかざす。だが手の中から消えていた。
デュカットが持っている。「まだ生きていたのか。」
ウィンはシスコに言った。「…本を取り返して!」
手を振るデュカット。炎とも生命体ともつかないエネルギーがウィンの周りを取り囲む。叫ぶウィン。
ウィンの身体は焼き尽くされ、消滅した。
デュカット:「さらばだ、アダミ!」
その時、シスコは叫びながらデュカットに体当たりした。
二人は炎の中へ落下していく。燃えさかる火の中を通る。
シスコはデュカットを押し出した。
デュカットが持っていた書物が、二つに引き裂かれる。叫びながら、デュカットは炎の中へ消えた。
落ち続けるシスコ。

シスコは立っていた。辺りには何もない。心臓の鼓動。「サラ? いるんですか? どうなったんです。」
預言者サラ:「選ばれし者は、使命を全うした。」 背後から現れた。
「でも、パー・レイスは?」
「炎の洞窟の牢獄に、つながれた。」
「あの本が、鍵だったんですね。」
「二度と開かない、扉の鍵。」
「デュカットは、死んだんですか。」
「封印された。パー・レイスと共に。…お前の試練の時は終わった。今は休息するがいい。」
「そのつもりです。すぐディープ・スペース・ナインに戻ります。」
「その必要はない。」 シスコの顔に触れる預言者サラ。「我らと共にいるのだ。」



上級士官室で話すエズリ。「大佐の船が、ベイジョー軌道上にあったわ?」
ウォーフ:「炎の洞窟をスキャンしたが、大佐はどこにもいない。」
キャシディにカップを差し出すベシア。「ターカリアン・ティー※8。落ち着くよ。」
エズリ:「ああ、私にも入れて?」
ジェイク:「捜索中止したりしないだろ?」
オドー:「お父さんを見つけるまでな?」
「そうだ、ケンドラ州※9は調べてみた? 父さんの土地がある。見に行ったのかもしれない。」
ウォーフ:「キラ中佐と、オブライエン・チーフがベイジョー全体を再スキャンした。スキャン結果では、ベイジョーにはいない。」
キャシディ:「何かあったんだわ。何か悪いこと、わかるの。…預言者が言ってた。」

キャシディの意識は飛んだ。声が聞こえる。何もない空間。「誰か? 誰かいない? ベン? あなたなの?」
シスコ:「キャシディ。」 姿を見せる。
「ああ、ベン!」 キスするキャシディ。「ほんとに心配したのよ…? …ここはどこ?」
「天空の神殿だ。」
「何だか怖いわ? …帰りましょう?」
「帰れない。今は。」
「どうして? …あ…もしかして…このことね、そうでしょう。預言者が言ってた悲しみってこのことね?」
「説明はできない。複雑なんだ。」
「何が。」
「運命、私の人生だ。私は預言者たちに救われた。選ばれし者になり、これからまだ…なすべきことがたくさんある。」
「ああ…」
「だがまず、学ばなければならない。預言者たちから、学ぶんだ。」
「いつ戻ってこられるの?」
「わからない。一年後か…」
「ああ…」
「それとも、昨日か。だが必ず戻る。」
「…ずっと待ってるわ。」
二人は口づけする。

キャシディの意識は戻った。呆然とする。
ジェイク:「キャシディ? 聞こえてる? ああ…一瞬どっかへいっちゃったみたいだった。」
キャシディ:「お父さんと話してたのよ?」

オブライエンの部屋。
荷物を持ったオブライエンは、モリーを送り出した。出ていく前にもう一度、貨物だらけの部屋を見る。
ふと何かに気づいた。床に落ちていた物は、アラモ砦の人形だった。
手に取った人形を見つめ、微笑むオブライエン。※10
クワークの店に置かれた模型の前でベシアと話す。
ホロスイートでタキシード姿のベシアに銃を突きつける、「ファルコン」役のオブライエン。
ナイフに刺されまいとベシアと共に抵抗する。
医療室でオブライエンの脱臼を治すベシア。
初代エンタープライズ船内にいる二人。ベシアはトリブルを手にする。
二人での食事、ベシアだけ話し続けている。
ラケットボールを楽しむ。
二人で酔っぱらって歌う。
※11
オブライエンは笑った。

マートクは先にエアロックへ入った。
ウォーフは立ち止まる。
初めてシスコの待つ司令官室に入るウォーフ。
葉巻を吸う「デュシャン」。
ジャングルでエズリとキスをする。
バトラフでガウロンと組み合い、弾き飛ばされた。
宙吊り状態でエズリと話すウォーフ。
※12
見上げると、エズリがいた。手を振るエズリに笑顔を見せ、エアロックに去るウォーフ。

オドーは自室でバケツをキラに見せる。
花を入れたバケツを見せるオドー。キラは微笑んだ。
ヴィックのラウンジで踊る二人。
プロムナードで人目もはばからず、キスを始めた。
抱き合う二人。
オドーは本来の姿をキラに見せた。光り輝く。
※13
バケツを抱きしめるキラ。

店にいるクワーク。
ホロスイートでクリンゴン戦士姿のウォーフと一緒にいる。
寒い山でオドーに体を叩かれる。
ジョッキを投げつけようとしたオブライエンたちを、慌てて止める。
耳に薬を入れるロムを見てあきれる。
エズリが投げたボールを取ることができない。あきれるシスコ。
衣装に身を包んだシスコたちを、カウンターから見ている。
※14
思い返すクワーク。

シスコが作った家の模型から、小さな椅子を取り出すジェイク。
キャシディはジェイクにキスした。
椅子を握りしめるジェイク。
釣りをしていたホロデッキで、シスコと共にいる。
プロムナードで抱き合う。
夜のジャングル。笑い合うシスコとジェイク。
泣くジェイクに、シスコは優しくキスをした。
二人でベイジョー船を動かす。
荷物をまとめるジェイクに話すシスコ。抱き合った。
※15
ジェイクは模型の屋根を戻した。

廊下を歩くキラ。「誰にもさよなら言わずに行くの?」
オドー:「ええ、別れのシーンは苦手なんです。」
「…寂しがる人が大勢いるわよ?」
「わかる相手にはわかる。最後に一言二言言ったところで同じです。」
クワーク:「ハー! やっぱりな。」 グラスを手にして近づく。「一緒にこっそり出てくのを見てピンときたんだよ。『あの人嫌いで、気難しい偏屈な流動体生物め、誰にも気づかれないように黙って行っちまうつもりだな』ってね。」 キラは離れた。
「そのはずだったがな。」
「そうは問屋が卸さねえ。」
「ああ、そのようだな?」
「…で? …来てやったんだ。」 キラを見るクワーク。オドーに向き直る。「…俺に言いたいことがあるんじゃないか?」
「例えば?」
「そうさなあ、まあ…『お別れだ。お前とはいいライバルだった』とか、『尊敬できるライバル』とか、そんな感じのセリフがあるだろう?」
「ないな。」
「ない? どういう意味だ!」
「だからないんだよ。お前に言いたいことは別に何もない。」
「長いつき合いで一緒に数々修羅場もくぐったのに、一言も言わずに行っちまう気か?」
「ああ、そうだ。…ネリス。先に船に乗ってる。ハ!」 さっさとエアロックに入るオドー。
キラ:「悪気はないのよ?」
クワーク:「悪気? ヘ、何言ってる。あいつは俺が大好きなんだ。わかんないか? 背中にそう書いてあったぜ?」 グラスをエアロックの方へ掲げ、歩いていく。
キラも入った。

別の廊下では、オブライエンたちが歩いていた。
荷物を運んでくれたベシアから受け取るオブライエン。
抱き合う二人。
ベシアは無言で去り、オブライエンは乗り込んでいった。

辺り一面の液体。たった一つの岩場に、キラとオドーが転送降下する。
キラ:「つながりが、変だわ?」
オドー:「死にかけてる。」
「行ってあげて。」
「ああ…。ネリス、みんなに…ありがとうと伝えてくれ。」
「クワークにも?」
「クワークにもだ。でも誰よりも…」
オドーの顔に触れるキラ。「わかってる。」
オドーはキラの手と、額にキスをした。互いに手にキスし、口づけする。
そしてオドーは、自分をタキシード姿に変えた。
笑うキラ。「オドー。」
オドー:「タキシードが似合うといつも言ってたから。」
キラは蝶ネクタイに触れる。「似合うわ。」
オドー:「この姿で覚えていて欲しい。」
「一生忘れないわ。」
キラの顔に触れたオドー。「さよなら、ネリス。」
握っていた手を離し、そのままオドーは液体の中へ入っていく。手を伸ばしたままのキラ。
手を挙げるオドーは液体化し、偉大なるつながりの中へと消えた。
そこを中心として、どす黒かった液体は、本来の色を取り戻していく。

DS9。
ノーグは司令官室に入った。「中佐、勤務表です。」
キラ:「ご苦労様。昇進おめでとう、ノーグ中尉。」
「どうも。…僕の昇進の手続きが、シスコ大佐の最後の仕事だとか。」
「誇りに思ってくれてるわ?」
「あ…だといいんですけど。」
「貨物の在庫表はまだ?」
「すぐかかります。」 出ていくノーグ。
キラは残された野球ボールを手にした。司令官室を出て、ボールを軽く放り投げる。微笑むキラ。

医療室を出るベシア。「つまりあれは実際、通常の心臓再生過程の一部だったんだよ。どう思う。」
エズリ:「それより今夜クワークの店へ行きましょう? 一緒にホロスイートは?」
「ああ、またヴェガスへ行く?」
「アラモはどうかなって思ってるんだけど。」
「あれはダメだ。」
「どうして…」
「マイルズと、僕のだ。…新しいのはあるよ。テルモピレーの戦い※16。知ってる? レオリダス王※17の率いるスパルタ※18軍の…話でね。彼はペルシャ※19の軍相手に細い山道で戦ったんだ。」
「どうなったの?」
「スパルタ軍は 2日間、決死の交戦をした。」
「そして全滅でしょ。」
「そう。知ってた。」
「勘よ。私たちはスパルタ軍?」
「最期まで戦う。」
「アラモみたいにね。」
「まさしく。」
「その…滅亡願望のこと、カウンセラーに話したことある?」
「必要あるかな。」
「うん、明日予約入れてあげる。」
「今夜はどう?」
「今夜はペルシャと決戦。」

小瓶を手にしたモーンに話すクワーク。「1週間以内に毛が生えてくるって保証つきだ。だけどお前、十分フサフサなんじゃないか? それに、お前さんまで変わらないで欲しいねえ。」
キラ:「クワーク! これはどういうことなの?」 パッドを見せる。
「ああ、こいつは…今週の賭けリストだ。」
「誰が次のカイかで賭けてるの?」
「参加自由だぜ。あんただけに教えよう。ヴェデク・ウングテー※20が、最有力候補だ。」
「ああ…あなただけに教えるけど、賭けは中止よ?」
「何言ってんだ?」
「この瞬間から、基地ではあらゆる種類の賭け事を禁じます。賭けに加わる者を見つけたら、あなたを…15日間拘禁するわ、わかった?」
「15日間!? 枕持参でいいか?」
「クワーク。」
「わかったよ。わかった!」
「よろしく。」 出ていくキラ。
「ヘ!」 モーンに話すクワーク。「ああ…言っただろうが。どんなに変わろうと、変わらないものも、ある。うん。」

クワークの店を出たキラは、2階にジェイクがいるのに気づいた。
窓の外を見つめるジェイク。
ワームホールが開いた。
ジェイクは見つめ続ける。
キラが近づいた。ジェイクの肩に手を回す。
ジェイクはキラの手に触れた。2人は窓の外を見つめる。
宇宙に浮かぶ、ディープ・スペース・ナインの中で。


※8: Tarkalean tea
ベシアが好きな飲み物。DS9第3話 "Past Prologue" 「スペース・テロリスト ターナ・ロス」など

※9: Kendra province
DS9第167話 "Penumbra" 「彷徨う心」より

※10: ここの BGM は "The Minstrel Boy" のアレンジ。TNG第86話 "The Wounded" 「不実なる平和」より

※11: 音声なしの回想シーン。全て過去のエピソードの映像です。順に第170話 "The Changing Face of Evil" 「変節の時」、第115話 "A Simple Investigation" 「オドーの恋」、第14話 "The Storyteller" 「混迷の惑星“ベイジョー”」、第142話 "Inquisition" 「記憶なきスパイ」、第104話 "Trials and Tribble-ations" 「伝説の時空へ」、第67話 "The Die Is Cast" 「姿なき連合艦隊(後編)」、第31話 "Rivals" 「詐欺師エル・オーリアン星人」、第68話 "Explorers" 「夢の古代船」より

※12: 第73話 "The Way of the Warrior, Part I" 「クリンゴンの暴挙(前編)」、第82話 "Our Man Bashir" 「ドクター・ノア」 (実際はウォーフの身体パラメータだけを使ったホロキャラクターですが、その後ウォーフが本当に演じたことがあったのかも?)、第167話 "Penumbra" 「彷徨う心」、第172話 "Tacking into the Wind" 「嵐に立つ者たち」、第168話 "'Til Death Do Us Part" 「偽りの契り」より

※13: 第52話 "The Abandoned" 「捨て子の秘密」、第144話 "His Way" 「心をつなぐホログラム」(2シーン)、第164話 "Chimera" 「仮面の下の孤独」(2シーン) より

※14: 第101話 "Looking for Par'Mach in All the Wrong Places" 「クワークの再婚」、第107話 "The Ascent" 「あの頂を目指せ」、第83話 "Homefront" 「地球戒厳令(前編)」、第88話 "Bar Association" 「ロムの反乱」、第154話 "Take Me Out to the Holosuite" 「がんばれ、ナイナーズ!」、第165話 "Badda-Bing, Badda-Bang" 「アドリブ作戦で行こう!」より

※15: 第1話 "Emissary, Part I" 「聖なる神殿の謎(前編)」、第11話 "The Nagus" 「宇宙商人フェレンギ星人」、第46話 "The Jem'Hadar" 「新たなる脅威」、第75話 "The Visitor" 「父と子」(実際は可能性の未来ですが、似たような経験をしていたのでしょう)、第68話 "Explorers" 「夢の古代船」、第107話 "The Ascent" 「あの頂を目指せ」より

※16: Battle of Thermopylae
紀元前 480年

※17: King Leonidas

※18: スパルタ人 Spartans

※19: ペルシャ人 Persians

※20: Vedek Ungtae

・感想
最後の最後のエピソードは、実質的にエピローグがほとんどという構成です。ストーリーが大きく進展するわけでもなく、最後に大クライマックスが待っているわけでもありません。TNG の悪名高き「悪夢の果てに」以来、禁じ手であったであろう映像をそのまま使った回想まで使っています。
でも泣きました。覚えている限り「父と子」と、このエピソードだけです。他シリーズの最終話も感動はありましたが、今回の比ではありませんでした。性質的に前後編に分けるべきではない展開ですし、今後地上波などで初めて観る方には是非とも後編まで待ってから連続して見て欲しいと断言します (今回 10日以上も間が空いてしまったのは残念。できれば前編も含めて「まるごと」内で初放送にして欲しかった)。ですが、それを差し置いても最高の内容でした。この感覚は最終章だけ、まして最終話だけを見ても味わえるものではありません。176話、1話45分としても132時間に及ぶ長いシリーズを見てきたか、楽しんだかを試される、一種の試金石だと感じました。DS9 はサブレギュラーの面々も素晴らしいですが、重要なのは結局レギュラーなんですよね。
細かい理屈なんてどうでもよくて、ただ素直に「よかった」。最初の視聴でそういう感想をもてたことを、とても嬉しく思います。月並みですが本国・日本版ともに製作に関わった方に感謝します。特に声優陣の質・量共に、このレベルに達する吹き替え作品にはもうお目にかかれないかもしれませんね。

DS9 の途中から企画自体を始めたため初期のエピソードガイドは作っていませんが、ENT との兼ね合いを見ながら手を出していきたいと考えています。来年は放送開始 10周年、DVD も期待されますね。


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