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日時計 1998年11月 日記

本を読んでいるうち、いつのまにか日が傾いてしまっている・・・なーんて生活いいなア!

<1998年> 9月 10月 11月 12月<1999年> 1月


981130(月)  
  購入本:   なし

 日付が変わるか変わらないかの時に舞い込んだメイルあり。いそいそ開けてみると、そこにはおいしそうなバースデイ・ケーキが……!!ありがとうデデさん!!

 長野まゆみ『雨更紗』読中。『魚たちの離宮』を継ぐものである。うん、面白い!

981129(日)  
  購入本:   なし

 朝、5時半おき。長男が、ウォールクライミングの講習に秦野まで行くのに、新宿7時半集合なのだ。おべんと持ちなので早起き。

 こちらはいとこの結婚式なのだ。湯島天神での挙式である。9時を過ぎてしまいあわてて同居人が車を飛ばし、集合9時半にセエエーーフ。なんだか毎日、滑り込み。田舎からおじ、おば、いとこたちが勢揃いしていつもの元気の良さである。挙式、披露宴ともそれなりに無事済んだのだが、最近の結婚式って、カラオケばっかり?若い子たちが4グループくらいへったくそな歌を聴かせるのには閉口した。女の子たちはまだ華やかでいいのだが、問題はひとりでグレイを歌った男の子。
 きみ、友人の結婚式に、一応お祝いに歌を頼まれたのだから、一言「おめでとう!」を言えないか?!名前を紹介されたらそれっきりでいきなり歌うんだもんなあ、あきれた。まあ、当人たち全然気にしてないからいいのかしら。

 夜、1日早い誕生日祝いをしてもらったあと、きのうも息子が急に釣りに行くと言って4時おきだったので、超眠い。2回ほどうとうとしてあとはばったり、寝る。昨日も今日も本は1ページも読めずじまいで、空しい。うう。

981128(土)  
  購入本:   長野まゆみ 『新世界1st〜5th』   河出書房新社

 消防設備(スプリンクラー、火災報知器、ベランダの避難等)の点検が入るので、家中物置と化しているところをなんとか片づける。触れなば落ちん状態の押入をあけようとするお兄さんをすんでのところで止めて、お探しのスプリンクラーは隣の納戸の天井にあることを教える。間一髪!(と言う程じゃないか)。

 またまた午後は学校説明会である。11時半に出るというのに、このぐうたら娘は鉄砲玉で、朝どこかに行ったきり戻ってきやしない。なんだかんだでようやく12時に家を出る。ちょっと遠い。新宿まで出て、小田急線で目的の駅へ。駅を降りるとそれとわかる同じような親子連れがぞろぞろ歩いているので一緒の方向へ。校門を入るとジャスト1時、滑り込みセーフである。会場で受付をしているといきなりパイプオルガンの音が!ひえー、この学校ってパイプオルガンがあったのね!なかなかの演奏に、急ぎ足で入ってきたわたしたちの呼吸も整う。

 今日は割に暖かいのに風がものすごく、キャンパス内の大けやきも盛大に葉を落とし、わたしたちはと言えば体感温度が低いので身を縮めて歩く。帰りがけ、商店街に古本屋を見つけ、「寄りたいナー…」と娘をお誘いする。
 ここで、帰ろうとするときに出入り口の脇にひもでくくられた『新世界』全5巻を発見。1冊だけ帯がないが、別にかまわないし、最後の2巻は今年の発行なのだが、5冊で定価の半額以下である。安いのか、高いのか、よくわかんない。でも文庫だって新刊は1冊500円なんてざらだもの、「よっしゃー」と買い込んで遠路はるばる抱えて帰ったのであった。重かった!帰宅後、机の上や周りに解体新書よろしく堆く積み上がった本の山をなんとかすべく、努力。

 新刊で、順次読む本。旧刊で、同じく。古楽関係。新書で読むもの。ハーンのひとくくり。文庫、新書で後回しのもの。人から借りて、読まないといけないもの。愛蔵本。取っておく書類、捨てる書類。等、床の上にいくつかの山ができて、机上はなんだかすっきり!気持ちいいねえ〜(まるこちゃんの声で)。さて、どこにしまおうかなー、とまず一山抱えて本収納場所へ。
 引っ越してきて壁面はあるのだが、実家に一部屋本部屋として占領しているので、ここには本棚を増やさせてもらえないのである。壁面いっぱいの本棚、ひとめで蔵書が見渡せる部屋、あこがれなんだよう。
 で、とりあえず本をおしこんである棚へむかう……ないー。しまう場所が。右往左往するだけで、「とりあえず」しまうところが全然ないのである。処分する本も、ないのである。
 溢れた
 どうしてこんなことに…と、呆然と本の山を抱えて立ちつくすのであった。って、どこかに押し込まなくては!いやいやいやいや、疲れました。

981127(金)  
  購入本:   なし

 忘年会の季節である。といっても忘年会の予約のこと。いつもだいたい私より一回り近く年上の女性が幹事役であるが、ことしはなぜか彼女が組合役員やらPTA役員やらを率先してやっていて、おまけに受験生がいるというのでわたしにお鉢がまわってきたわけ。うちにも受験生、いるんだけどな、それに受験生と幹事、関係ないやんか、ぶつぶつ。つい「…」なんて字句が脳裏に去来する。
 ずるずるのばしのばしにしていたが、やっと候補の店の電話がわかり、希望の日に予約が取れた。よかったー。正職員は5人という小さな所帯だが、非常勤とバイトさんが加わって10人。今年は全員参加である。すごーい。テレビにも出たという木更津かなんか直送のお魚のお店である。忘年会はいやだけれど、うちの部屋の人たちは食べるだけで、2次会とかカラオケとかないから、ま、いいか。
 12月にはいると5日は息子の同級生の母親6人の集まり、通称婦人会、7日がこの忘年会、8日は職場のリクリエーション(互助から補助金が出る)で、清酒「沢の井」の醸造元がやっているという料理屋へ、奥多摩まで足を延ばす。何でも東京に蔵元があるのはここと、狛江の一軒と、もう一つくらいなんだそうだ。これも5人。同居人の地域のテニスの会は子供たちが受験生のところが多いので、男どもオンリーの忘年会になるらしい。なんでや??

 さて8日が済むといよいよぐうたら娘の志望校決めである。私なんて高校も大学も迷わず一つずつしか受けなかったもんね、今考えると高校落ちてたらどうしていたんでしょうと、おっそろしい。
 それにしてもいろいろな意味で中学校の当てにならないこと。親がすでに学校不信である。私は脳天気な、学校大好き人間だったので、公立中学がひどいと言っても、ある要件は満たしているでしょうと思って呑気に構えていたら、娘が入学して、えっ?とおもうことが続き、これは何?と目をぱちくりしているうちに2年の担任の言動に「公立中学は全く当てにできない!」というだめ押しをされ、それ以来中学に足を向ける気がなくなってしまった。ひどいいじめがある、とか暴力ざたがある、とか言うことではない。教師が、だめなんである。それも教師個人の問題と言うより、文部省の問題である。教師個人ではいかんともしがたい位、中学の教育はおかしい。子供の数が減ってきているのなら、まずクラスを小編成にして、生徒に対する教師の比率を上げるべきだ。しかし現在の教育行政はこれに全く逆行している。廃校、統合などが先行し、教師の数を増やして教育の質を上げようと言う考えなぞ、ない。今の社会が抱えている大きな問題の多くが、このことによって解決されるだろうことはわかっているではないか。専門家は、経済効率の何の、とおっしゃることでしょう。でも、いつか発想を転換しなければならないのではないの?高校の英語教師(いまからン十年前)が、「これからの時代はエデュケイションです!」と叫んで、われわれに藁半紙何枚もにびっちりとタイプされた手製の教材を渡したものだ(その題名が「Education」であった)。
 ぜーんぜん信頼できない先生に3年間つきあわされ、その手になる内申書が入試のかなりの部分を占めるって、ちょっとしんどくないか…。ぶつぶつ。(今日はぶつぶつモードでスミマセーン)

981126(木)  
  購入本:   須藤真澄   『ゆず』   秋田書店

 きのう今日の風や空の気配は、晩秋ではなく確かに初冬のもの。急に木々も梢をあらわに見せ、枯れ葉がくるくると舞い落ちていく。日中も寒くなってきた。
 職場のMacに、「ゆず」などの須藤真澄のアイコンを使っているが、今日その古本を見つけたので購入。また、貴重本と銘打ったコーナーに、大島弓子のが何冊かあったが、そういえば「綿の国星」で出会って以来、過去の作品も一生懸命揃えて読んだっけ!だから、めぼしいのはだいたい持っているのだ。彼女のキャラクターの中によくロングヘアーで見事にウェーブがかかっている女の子が出てくる。その髪型がしたくてしたくて、結局したんだけれど、のちに「どうしてその髪にしたの?」と知り合いに尋ねられて理由を説明したら、「ほんとにそうしちゃう人って、初めて見た!」とあきれられた。そうかなあ?
 それと、「グレープフルーツ」という雑誌が10冊くらいあって、1冊400円だったのだが、これ懐かしいなあ。ナンバーは一桁のはなくて、みな二桁だったが、ちょっと欲しかったぞ。

 昨日職場で「中世ヨーロッパの動物観の形成」という題でのレクチャーが行われた。東大の助教授(名前メモるの忘れた)が見えてのものだったが、中世の友である私としてはぜひ行かなくては、と勇んでいったんだけれど…。なんと言っても基礎医学系が中心の聴衆に対し、どのレベルに話を設定したらよいか、絞りきれなかったんですね(なんて好意的な私)。はいはい、どこかで聞きました、それで?なるほど、もっとも。で、どうして?というわけで、なんかぼんやりした輪郭の話しか聞けずに、つまらなかったなあ。
 先年国連で採択されたという動物の権利の宣言に端的に見られるような、人間と同等とも言える権利を動物にも認めるというような考え方が、古代・中世からのキリスト教的動物観(家畜←→野獣)のどこから出てくるに至ったか、というのが話の枕だったと思うのだけれど、単にその時代時代の動物観・自然観を述べるだけで、なぜ?どういうわけで?がちっともなかったんだもの。一方で激しい動物虐待があるとおもえば一方で狂信的ともみえる保護運動があるという理解しがたい現象を述べておきながら、それに対する解釈なりなんなりがされるのかナーと思う聴衆の期待には応えることなく終わった。うーんがっかり。動物慰霊祭のために行われた講演だから、ハーメルンのハの字くらい出てくるのかなあと思わないでもなかったんだけど、あれは動物観のレクチャーには結びつけにくいかもね。一橋の先生じゃないしするからね。とにかく、しっかりしてくださいセンセイ。という出来であった。

 長野まゆみ『新世界5th』読了。どういうところへ行き着くのかと、終着地点に向かってとにかくどどっと読んでしまった。この最終巻が出たのが今年の夏、単行本5冊の長いシリーズである。はあっ、疲れた。つい先日(11月初め)に出た『碧空』は打って変わってさわやかモードだったが、こうして作家も自らのバランスを取っているのだろうか。これでめぼしいところはかなり読み終えたので、あとはぼちぼち穴を埋めて行きましょうかね。
 そう思って机周辺を改めて見直すと、いやーこれはこれは。危なげな山がいくつもできている。長野まゆみばかり読んでたから、その間に買ったのが「これはどうすんの」状態である。ちょっとマズイわね、とっつあんが台湾から帰ってくる前にちょっと片づけて置かねば〜。

981125(水)  
  購入本:   B・W・オールディス   『突然の目覚め』   サンリオ文庫
      テリー・ビッスン   『世界の果てまで何マイル』   ハヤカワ文庫SF
      ミシェル・パノフ、他   『無文字民族の神話』   白水社

 古本屋にて『突然の目ざめ』が1000円ならまあ妥当かなと購入。ビッスンは持っているけれど目録落ちとのこと、200円だったので連れ帰る。
 『無文字〜』は白水社の復刊のうちの1冊である。

 無文字民族というとまずアイヌを、そしていわゆるアメリカインディアンを思い浮かべるが、この厚めの本では後者にはたった16ページほどしか割かれていない。ほかに思い浮かべるのは、アラスカ、シベリア、オーストラリア、アフリカなどか。この本にはオセアニア、東南アジア、ウラル、シベリア、エスキモー、北・中央・南アメリカ、アフリカの諸民族の神話が取り上げられている。民族の数で言ったら、無文字民族の方が多かったのだな。
 アボリジニの神話を下敷きにして書かれたライトソンの連作『ウィラン・サガ』(ハヤカワ文庫FT)が面白くて、ほかのライトソンの作品を読みあさったこともある。長い年月を経た大岩や地面そのもの、水や動物などは言うに及ばず、あらゆるものに精霊が宿るーと言うか精霊そのものである世界。世界の新しい認識法を知ったようで、価値観を揺さぶられる気すらした。
 神話じゃないけれど、カルヴィーノ『イタリア民話集』(上下、岩波文庫)がすごく面白くて、そのあとに出た『シベリア民話』も読んだのだが、やはりホラ、太陽に遠い国じゃありませんか、起伏に乏しくて面白味には欠けましたね。確かに、別な面白さはあったんだけれどね。
 『おれは歌だ、おれはここを歩く』(福音館書店)と言う絵本はアメリカインディアンの詩を絵本にしたものであるが、なかなか面白いよう。これもやはり価値観というかものの見方の角度が何十度かずずっと変わる気がする。星野道夫に一種の啓示を与えたエスキモーの神話も同じ。これらがあって、このちょっと堅そうな本を購入したわけである。

 今日から土曜まで、同居人が台湾出張である。この前の時に仕入れてきた烏龍茶がとてもおいしくて、おちびを含めみな気に入っていた。一月ほど前になくなってしまったので今度買ってくると威張っていたが、出発間際になり、買いに行く時間ないかも、と元気ない声。「日本で買ったら高いんだよー。」と言って、先日つなぎに100g2000円と言うのを買ったが、全然違う。茶葉のにおい、くしゃくしゃの形、色、淹れたときの水色、香り、味、やはり向こうで買ってきたものが断然良い。さいしょは独特の苦みと渋みに、舌がレロレロ、って感じだったが、慣れたら甘みが何とも言えない。買ってこられなかったら悲しいなあ。メイルオーダーのルートを作ってくるように申し渡すのだった!

981124(火)  
  購入本:   葛野浩昭   『サンタクロースの大旅行』   岩波新書
      オーソン・スコット・カード   『奇跡の少年』   角川文庫
      コミックファンタジー   26号(休刊)   偕成社

 ひどいでしょう、「コミックファンタジー」、ますむらとか坂田靖子とか森雅之とか、「ハム研」とか「振り袖いちま」とか、いろいろあってたのしみにしていたのに、ニャンと休刊なんだって。ゆるせないーっ!娘も「ひどいー」と叫びました。
 読書スピードが落ちているので夜は時間をとりたかったが、なかなか寝付かないおちびに付き合って墜落睡眠。やっぱりだめだったわ。

981123(月)  
  購入本:   なし  

 天気予報ほど良い天気でなかったきのうは私の気分もぱっとしなかったが、今日はまた晴れ、気持ちがいいので散歩がてら風邪ひきおちびと洗濯やさん〜パン屋さんへお買い物。帰りがけうちの向かいにある公園の中の子供動物公園に寄る。時間を決めて餌をやって良いことになっており、おちびのご要望で後刻りんご、にんじん、小松菜(高いんだぞ)を持って再訪。

 昨日、実家で本棚をちらっと点検。去年引っ越したあとの片づけがちゃんとできていないままである。文庫もおおざっぱにSF、ミステリ、岩波、サンリオ、ちくま、福武、その他といった程度には分かれているが、なんといっても「おおざっぱ」。とんでもないところにとんでもないものがまじっている。
 きのうは、私のもっているブラッドベリをひと所にまとめたいなあ。ヴァーリィ『残像』はどこだ?新潮文庫の『スペースマン』などのアンソロジーはちゃんとあるか?というあたりが眼目であるがホンの30分位の持ち時間である。。
 ブラッドベリはとにかくたくさんあるから、全部手元にあるかどうかすら定かでない。見えるところから感じとして半分くらい発掘。『残像』はすぐ見つかった。アンソロジーはその他『幻想と怪奇』もあっちこっちから集合させる。いつかきちんと整理できる日が来るのでしょうか!?
 結局、自宅に持って帰ったのは、『残像』、『たんぽぽのお酒』、『アザー・エデン』である。最後のものはハヤカワ文庫SFで<イギリスSF傑作選>と銘打たれ1989発行、タニス・リー、オールディス、ホールドストック、ムアコック、キース・ロバーツ(!)など14編の純イギリス産SF短編が収録されている。後書きは大森望さまで、「このアンソロジーはぜったいにおもしろい」とわざわざゴシック体で書かれている。10年前というとまだ学齢前の上の二人の子たちとの戦争のような日々で、読んだのやらなにやら記憶が定かでない。題名は覚えているし、どうも読んだ形跡はあるのだが。そのうち読み返してみようと思い、持ち帰った。『アザー・エデン2』は出たのだろうか、いまTRCで見たら見あたらなかったが。

981122(日)  
  購入本:   なし  

 長野まゆみ『鳩の栖』読了。なんでも次の新作はこの短編集収録の最後の2編『紺碧』『紺一点』の続編になるんではないか?という情報あり。同『新世界4th』、ヴァーリィ『バービーはなぜ殺される』等、並行読み中。

 なかなか母の誕生日お祝いをする時間がとれなかったが、何日か遅れで午後ケーキ持参でお茶しに行く。例の(長野まゆみサイン会の日に買った)ショッピングカーがプレゼントである。装飾品を買ってもあとで「使わない?」と戻ってきてしまって興ざめだし、洋服も「こんな若いの」とあんまり着てもらえないし、食べ物もあれはコレステロールが、これは糖分が、脂肪が、などとぜんぜんだし、カップの類も「私はお茶っていうものは飲まないねえ」が自慢だし、…んなわけでタネ切れ。結局、スリッパ、エプロン、手提げ(袋物)、マフラー、あたりをぐるぐるローテーションすることになる。

 夫の母は対照的に、上にあげたものは何でもオッケー。選びがい、あるよー。数年前に連れあいを亡くし、一年ほどはなんだかぼーっとしていたが、今や住まいも女性らしく模様替えし、七宝焼き(額などの大作!)、木彫(住んでいる地方独特のもの)を生活の2本の柱にして、したいことがいっぱいあって、もー大変。いきいきうきうき、いいよねえ。
 この母はびっくり、私と同じ誕生日なのだ。それまでも、それからも、同じ誕生日の人って出会ったこと、ない。いつかというと、チャーチルと同じ。または例のナマズの殿下、つまり(名前がすばらしい)秋篠宮とおなじといった方がよいか。この方、ほんとにすてきな名前をもらっちゃって、どこが秋篠の風情なんだか、なんて言ったら叱られてしまいそうですが。というわけで私もまもなく誕生日。やだなあー。

 しかもやはり数年前、この母の弟の連れ合いが交通事故で亡くなり、その命日がおなじ11月30日なんである。
 
この叔母は事故後いわゆる植物状態になり、十日ほど後に息を引き取った。最初に病院に駆けつけたとき、生命維持装置のシューシューというひそやかな音だけが聞こえる静かな病室に、叔母は血色の良い顔で静かに眠っていた。普段からあまり顔色の良くないひとなのに、そうして横になっているときの方がずっと元気そうにさえ見える。「おばさん!ねむっていないで、早く起きてよ!」髪をなでながら声をかける。見える範囲での外傷はほとんどなく、快復の見込みのない状態とは思えない。手を取ってさすると、ずっしり重く暖かい。ほんとに暖かい。…と思ったら、とたんに涙が出てきた。こんなに温かい手をしているのに、元気そうなのに、もう脳は回復不能な状態なのである。頭では十分理解できるが、心はそれを受け入れられない。
 臓器移植の難しさは、実にここにある。職業柄、もうこの状態では生きていないのに等しい、快復の可能性はなく、この一瞬一瞬にも脳神経の接続は次々と切れていっているのだと理解している。だが、このマッスとしての存在はちゃんとここにあるではないか。その重み、暖かさ、姿はここに厳然としてあるではないか。そして、家族や親戚をつなぎ止めるよすがとしてこの場所にいるではないか。
 数日が過ぎて、このあとどうなるか、どうするかに周りのものたちの話題が移っていった。叔父ももう叔母に回復の見込みはないことを知っている。とりあえずこの、子供のいない叔父を皆がどういう役割分担でまいにち支えていこうかということが問題である。医者の方はあと何日かしたら、呼吸装置の取り外しについての話を持ち出すことになるらしい。できるだけ長く叔父を支えていこうという話になったが、そんな状況を知ってか知らずか、ごく安定していた叔母の病状は急変して、叔父に看取られて息を引き取った。臓器移植が話題になるたび、叔母の暖かい手が胸に甦るのである。
 

981121(土)  
  購入本:   長野まゆみ   『雨更紗』   河出書房新社
      たむらしげる   『ファンタスマゴリア』   架空社
      たむらしげる   『スターヘッド』   架空社

 またまた今日も、ぐうたら娘の学校説明会である。正門につくなり生徒たちの元気良い「こんにちはあー!」のシャワーに圧倒される。ひやー、受付から、説明会場までのご案内は皆在校生たちの役目。教職員の一通りの説明のあとにはまた在校生たちの学校生活に関する説明と、生徒のみなさん大活躍である。うれしそー!生徒会の役員たちが出てくると隣席の娘が無言でひくひくしている。どうしたの?
 なんと生徒会長が、同じ中学出身の2年先輩に当たる、かっこよさで評判だった男の子だと判明したのだそうだ。もうそのあとの校舎見学のあいだ中、「○○先輩いないかなー、ワクワク」の連発である。まーったく、なにを求めて受験する気なんだか。つかれたび(古すぎ)。

 道々、花屋の店先にポインセチアの赤と緑が目に付きだしたなあと思ったが、本屋もほかの売場に先駆けてを揃え始めている。そんなコーナーの一つに、たむらしげるの2冊が平積みしてあった。なかなかお目にかからないのでついお連れしてしまった。映画『クジラの跳躍』公開に連動して増刷でもしたのかと思ったが、そういうわけではないらしい。かなり大判なのでクリスマス向きという判断なのかしら?お茶しながらゆっくりよみましょっと、嬉しいナー。

981120(金)  
  購入本:   なし  

 このところ晩秋らしい良い天気が続いているが、今日はいちだんと寒い。自転車を漕ぐ手に手袋をはめた。帰宅してからもなんだか肌寒さを感じるようになった。今年は気候のせいか、木々の色づきもいまいち、いま二といったところだが、ようやく落葉樹はそれらしい色が目に立つようになってきた。と思ったらすでに大分葉が落ちている。
 天に向かってのびのび枝を広げるけやきが好きだ。キャンパス内の二階建ての建物が何棟か今年になって取り壊され、跡地は暫定的に駐車場になっているが、いままで建物に遮られてあまり目に付かなかった丈高いけやきが「ここにずっといましたよ!」と呼びかけてくれる。思わず、おおい!と手を振る。けやきはまだ、それほど葉を落としていない。けやきの紅葉は、武蔵野の秋色である。
 いっぽう桜はどこもかなり早くから落葉している。いつの間にか淋しい枝になってしまった。いちょうはまだ青いままのものが多い。以前は光化学スモッグやらなにやらのせいで夏のうちから青い葉を惜しげなく落としていたが、最近は大気汚染もやや沈静化してきたか。今年はこの分では黄葉しないまま茶色にすがれて落ちて行くのかもしれない。

 ヴァーリィ『バービーはなぜ殺される』旧版にて読中。短編集『残像』は、タイトル作がすごーく好きで、読後、ものの感じ方が変わった気すらしたものである。『バービー〜』は、初版当時食わず嫌い、つまり単にバービー人形自体が好きでないので、手を出さなかっただけ。でもとてもソンした。読んでおけばよかった。『ミレニアム』良かったんだから読めばよかったのよね、今日のご教訓、食わず嫌いは禁物です。
 某サイト周辺でブラッドベリが話題にあがっているけれど、ほんと
ブラッドベリは私にとっても別格。いま改めて語るまでもないと言うか、語ればつきないといったらいいか。でもまた読み返したくなってしまった!

 保育園帰り、やや時間に余裕があったので図書館に寄り『新世界4th』『新世界5th』『鳩の栖』(長野まゆみ)、『ペチューニアの たからもの』(おちびに)を借りる。なぜか私の貸し出しカードが行方不明になっちゃったので、おちびのをお借りしました。きょうも一日、頭が痛くなるくらい眠かった。いまも眠い〜〜。寝よ。

981119(木)  
  購入本:   なし  

 なにやら朝からぼーっと眠い。これはまずい!だって、今夜は北とぴあ音楽祭、ヒロ様のベートーヴェン・第2夜なんだもの。どうして眠いかと言えば、もちろん昨日朝の3時に起きだして夜道を徘徊したからに他ならない。
 年齢を重ねるに連れて急に運動したあとの疲労や痛みは翌々日に現れるようになるが、まさか眠気も?筋肉痛の方はちゃんと理論的な説明があったはずだが、眠気のほうにはそんな理屈、あるかなあ?
 何とか寝ないで1日の仕事がおおよそ片づき、4時半からのラボ・ミーティングでは、気がつくと一瞬の睡眠に引き込まれているのであった。

 でも、よかったー!ヒロ様のお姿の前には、睡魔なんてどこへやら、お目目ランラン、つま先パタパタ、体はルンルンで、楽しい楽しい2時間半(!すごいでしょ、7時開演でアンコールが終わったのがぴたり9時半)。ヒロさんには珍しくいかにも力演、最後の「大公」を弾き終えると「やったねッ!」て感じの紅潮した笑顔で元気よく立ち上がるヒロさんでした。でもとなりの席のお兄さんとか、前の方のお兄さんとか、やたらに心地よさげに椅子から落ちそうに寝入らないで欲しかったわね。終演後、去年に続いてことしもお話しできてうれぴーな!しかし、16日にも身をもって感じたことは、ここのホールの椅子はなぜこんなに疲れるんだあ。こ、腰が…。

981118(水)  
  購入本:   なし  

 朝から流星群の話題ばかり。あと30分くらい粘っていれば、例の火球が見られたらしい。4時頃家に戻ってうだうだしているとき、うちの前の公園内のグラウンド(人がいーっぱいいた)から歓声が聞こえたので、なんか見えたかまたは中高生たちがなんか遊んで盛り上がったか、どちらかだろうと思ったのだが、やはりなんか見えたのね。流星雨を期待したのだが、極大は日本の昼間、ヨーロッパ方面で見えたのだってね。残念!
 高校生の時、季節はたぶん夏から秋と、白鳥座が見えていたのだったと記憶する。帰宅途中、ごおっというガスの燃えるような音がするので空を見上げると、南から北へ夜空を横切るように火の玉が飛んでいった。空いっぱいという印象だったが、冷静に考えるとたぶん視直径は90度くらいだったのかもしれない。オレンジ色でかなり大きく、音まで聞こえたなんて、あれきり見たことはないが、記憶に残る光景であった。天の川もけぶる程には見えないものの、十分流れをたどれるくらいには見えていたあのころ。東京都下でのことである。

981117(火)  
  購入本:   なし

 昼休み、『兄弟天気図』読了。長野まゆみが一応子供の読者を想定して書き下ろしたもの。表記はそれなりに難しい漢字などを避けている。下町(水天宮)あたりを舞台にした、ノスタルジックな物語である。私も数年、千駄木あたり(東大農学部からあがって団子坂にいたるあたり。団子坂は漱石の坊ちゃんに出てくる)に住んでいたので、肌に感じるものがあった。

981116(月)  
  購入本:   イタロ・カルヴィーノ   『レ・コスミコミケ』   ハヤカワ文庫SF
      ジェフリー・アッシュ   『アーサー王伝説』   平凡社 イメージの博物誌23

 朝、職場に着きしばらくすると、回覧の書類を見ていた同僚が「この今日の職員研修って、出なくちゃいけないのは誰々?」その声に、あわててカレンダーを見直す。全員が5年以内に受講し直さねばならない研修のひとつで、たまたまうちの研究室は今回全員該当しているのを、ころりと忘れていたわけ。午後2時から5時まで、「同和問題に関する研修」である。同和行政とは、とか同和問題の実態に関する講義とか、「身近にこんな思わぬ差別がビデオ」上映なんかが行われるのが常である。あ〜あ、午後の大半がつぶれちゃうから、午前中はデスクワークに変更(と皆口々につぶやいて座り込む)。

 で、時間になり「しょうがないなー」モードで三々五々講堂に参集する。レジュメ、参考資料をぱらぱらめくると、「同和」の字に混じって「植木等」の文字が目に付く。なんだこりゃ?

 講師は川村善二郎氏とおっしゃる、東京経済大講師などを務める70歳の方であるが、60歳ほどにしか見えない。いや〜この方の話が面白かったのだ。
 少年時代の戦争体験がどのように自分に近・現代史研究の道を選ばせたか、どのように人権問題、その中でも同和問題(川村氏は部落問題という言葉を使う)にテーマを決めたかという事から語り起こし、人権運動家でもあった植木徹之助との出会いへ話はつながっていった。この植木徹之助が、植木等の実父なのである(ちなみに川村氏は植木等の実妹の夫)。
 話は帰化人(最近は渡来人と言うのだそうだ)の歴史とその広がり、ある有名人を例に挙げて、その祖先のひとつがどのように時の権力から「エタ」とされたか、など、とどまるところを知らぬげに自在に広がる。
 観阿弥・世阿弥から、赤城神社、太秦のいわれ、秦野市の地理、武蔵の国高麗郡の金子氏が狛江氏と戦い、その中から深大寺が興された話、その他諸々、出てくるわ出てくるわ。
 そしていかにそもそもの身分制度が蔑視とは無関係なものから始まったかに話は移り、さらに様々な差別ーー部落差別、女性差別、障害者、老人、ハンセン病患者、HIV患者等々に対する差別とはすべて人権侵害問題にほかならない、と明確に述べられ、それぞれにたいして別個の解決のための理論が必要であると言われる。
 あーおもしろかった!
 過去にも何回か義務的に受けた同様の研修は、いったい何だったんだ?

 さて終業後、今日は今年のハイライトのひとつ、バロックヴァイオリンの王子様、ヒロ・クロサキ様のコンサートである。王子の北とぴあで毎秋行われる「北とぴあ音楽祭」の一環として行われるもので、今年は2夜にわたりベートーヴェンプロが組まれた。王子様も来年は40歳であるが、相変わらずの楽しくてたまらないといった笑顔と、美しく伸びやかな音、すんなり長く強靱そうな指の作り出す小気味よい音程と弦にぴったり吸い付いた弓さばき。ううーん、ハナマル、五重マル!!!フォルテピアノとチェロもなんか一緒に舞台にいたような気がするけど、気のせいかも。あらごめんなさい、「ロンドン・ピアノフォルテ・トリオ」なんてりっぱな名が付いてたわ。ごめんごめん。

 またも長野まゆみ『白昼堂々』読了、さらに帰宅後その続編・新刊『碧空』読了。淡々とした筋運びと語り口が良かった。かなりすきですね。主人公の凛一の物言いなどに、むかしの誰かの小説を思い起こすんだが、うーん、誰だろう!コミックになりそうな設定と筋であるが、先日言及したフェア本挟み込みのリーフレットにその辺のことがちょろちょろっと書かれているので、「長野先生これをコミックにしてー!」と叫びそうな人はちゃんと読むべし。
 『新世界』でちょっとぞんざいな感じの文が目に付いたが、この2作ではいかにも長野作品らしく隅々にまで手の入った丁寧な文章になっている。字づらのような記号的側面に頼る部分より、文章自体の力が勝ってきているのではないか。うん。

 今日は古本屋から上記2冊お連れしたのだが、カルヴィーノはいわゆる布教用。誰か欲しい人がいたらお譲りします。
 この店に、しばらく中井英夫全集がどさっとあって、これってなんだろうなあと思い、
有里さんがお好きなので先日お訊ねしてみた。今日それは忽然と消えていたが文庫のところに数冊、中井英夫のものがあったので手に取ってみる。ぎょ、高いぞ。2000円。これもだ。これも、2500円。この分厚いのは4500円。ひえー、すごいのね。恭しく棚にお返しする。創元社から文庫版全集が出ているようだからそっちを見てみよう。

981115(日)  
  購入本:   小松左京   『結晶星団』   ハルキ文庫

 この何日か、いわゆる小春日和と言うのか、暖かすぎるくらいの陽気で、日中外にいるのが本当に気持ちよい。今朝はきのうのような突発事故もなく…あ、そうだ、夜更かし娘が寝坊して塾に遅刻した…日曜らしいのんびりした朝だったァ!家の中を片づけている間、手持ちぶさたの長男に次男を公園に連れだしてもらうよう頼むと、二人とも嬉々として出て行く。その姿をベランダから見下ろしながら洗濯物など干す。わたしも昼前に散歩をかねて、戻ってきた次男と洗濯やさん方面へ。自転車で風を切るのが気持ちよかった!
 今月は、二人の母親たちと私の、3人の誕生日が集中している月である。母たちへのプレゼント選びはいつもいつも頭の痛い問題で、今回もこれという決め手が全くないままタイムリミットが近づいてしまった。しょうがないから午後からプレゼント探し。というのは池袋に行くためにくっつけた理由のようなもので(確かに理由ではあるのだが)、実は例の長野まゆみサイン会に行ったのだ。連絡さえ良ければ家から15分で池袋には着けるので、熱烈ファンの方には申し訳ないがお気楽モードで出発。

 サイン会は東武百貨店内の旭屋書店にて午後1時よりの予定である。同居人は、ぱそぱそ仕事をしているので、おちびと、友人に振られて手持ちぶさたの長男を連れて出ることになったため、到着したのは1時20分頃であった。
 私が持参したのは、『夏至祭』『銀河電燈譜』『魚たちの離宮』の3冊である。『魚たち〜』は現在品切れ、別称絶版なので、もし1冊だけと言われたらこれにしようと思って実家から持ってきたのである。ところが行く途中、財布からサイン会の整理券をとりだして見ると、「サイン会整理券 『少年万華鏡 三日月少年漂流記』 『カンパネルラ』」とわざわざ書いてあるではないか。ぎょぎょ、サインしてもらえるのはこの2冊だけってこと?『夏至祭』は旭屋で整理券がなくなったあとに発売されたものだし、もしだめだったらせっかく行っても骨折り損のくたびれもうけだと、がっかりしつつ会場に着いたのであった。

 どこでやってるのかな?ややっ、ありゃー、すごい人!こちら最後尾、みたいな感じで整理の店員が何人も出ている。急遽かり出されたから状況を把握してないよ、なんて知り合いの客に話している店員もいる(「誰のサイン会?」ときかれて返事に詰まる者もあり)。3列縦隊になって、3かたまり半ぐらいの行列が待機している。たいていの人が『三日月〜』か『カンパネルラ』を手にしている。最後尾の位置を訊くついでに、どの本でも良いか尋ねると、長野まゆみの本ならばどれでも良い、けれども本人の希望で一人1冊にしてほしいとのこと。では迷わず『魚たち〜』ですね。

 だいたい見た感じ20代前半かなという感じの女の子たちが中心のようだ。それにくっついてきたらしき男の子たちも結構いる。女の子連れはもちろん多いが、さすがに男の子連れはいなさそうかな。女性でもあまり年上の感じの人は目に付かない。デヴュー10年なら、25歳で出会ったって今35歳でしょう、いそうなものだけれど、やはり若いひとみたいにサイン会にまでは来ないのかも。女性ならちょうど幼児を抱えているような年代だから来にくいと言うこともありそうだ。
 しかし私の後ろにいるのは35から40歳くらい(もっと?)の男性で、一人で来た様子。3冊ほどを抱えて、しきりに身を乗り出して長野まゆみを見ようとしている。なんかすごーく一生懸命という感じがむーんと伝わってくる。年季の入ったファンかも。まえにいる若い男女二人連れは、もしかしたら男性の方が熱心かもしれず、順番が近づいたとき「本ではなくて色紙を用意してきたのでそこにサインしてもらえるか」と尋ねたのは男性の方だった。

 ご本人は、写真で見るのと同じ感じ、写真の方がすこし細おもてかな、の優しげな色白の人。ひとりひとりに丁寧にかつにこやかに対応しておられ、なんか可愛らしくていい感じ。隣に座ってサインするページを用意する係りの女性の方が、ゼーゼー、髪を乱してがんばっているのとちょっとした対照である(耳猫通信社の方と判明)。
 私が『魚たち〜』を差し出すと、長野さん、「あ、これね、」というふうな反応で、ちょっと嬉しそう。見返し部分が濃い色の紙なので、どのページを用意したらよいか、先ほどの女性が迷っている。「そこがいいんじゃないの、」とご本人の指示で開かれた白いページに、まず細長いクリアガラスの電球が光っている絵柄の青紫色のスタンプが押され、その上に重ねる形で、Mayumiと筆記体のサインを頂いた。
 「これ、絶版になってしまって、」というと「そうなの、文庫になってしまうと絶版ていう形になってしまって、」というお返事。単行本には著者の描いた絵が折り込みのように入っているので、「でも美しい絵がみられないのが残念です、」と言うと、「ええ、画集を出す計画もあるんですよ、」とファンには嬉しい話である。
 最後に握手を求めたが、手の柔らかい感触に、日頃髪振り乱して働いている私は、文筆業ってやっぱり優雅なのかしらねー、とつい手を引っ込めぎみであった。どこからあの文章が出てくるのかしら、という感じはある。外面に関わらず、内面の勁い人なんでしょうね。

 サインをもらっても数メートル離れて遠巻きにして動かないファンのみなさん。カメラを手にしている人も多く、時折フラッシュが光る。って、わたしもデジカメなんか持っていったんだけど。でもその場所ちょうど通路なので、シャッターを押そうとするとすぐに人が横切ってしまい、不調。見守るみなさんの目がじーっと熱っぽい圧力があり、それもなんだかどちらかというと沈黙モードでちょっとすごい雰囲気であるサイン会のスナップはこちら。
 大貫妙子のコンサートがすごいって聞いたことがある、彼女ファンの中では「女神様」って言われていてあがめられているわけ、コンサート中に咳の一つでもすると、みんなにものすごい目でにらまれてしまって大変なんだって、私も結構彼女好きなのでわかる気がするけれど、今日のファンたちってそういう感じに近いと思う。整理券を持っていないひとの列というのも作られていて、ハンカチを握りしめてほとんど泣かんばかり(やや創作)の女の子とかも見えて、順番が回ってくるのかと心配でたまらない顔、顔。

 いやー、私はそのあとしばらく店内を徘徊していたのだが、2時の時報が聞こえるとサイン会終了のアナウンスがされ、わき起こる拍手。でもバックグラウンドはずーっと静かなのよね。書店でのサイン会って、誰のでもあんな感じなのかな?ううむ。
 そのあとの4時からの川崎のサイン会に直行でしょう、作家先生もターイヘン。手だって腫れてしまうかも、ともかくもご苦労様でした、ファンの心を改めてぐっとつかんだことでしょう。にわかファンみたいな私にも、たくさんの作品を読む励みになったのは確かである。

 でもって、もうひとつの大目的は、ひとりにはルームウェアのセット、ひとりには軽量ショッピングカートと言うことで一件落着。あー、くたびれた!

981114(土)  
  購入本:   長野まゆみ   『夏至祭』   河出書房新社
      長野まゆみ   『銀河電燈譜』   河出書房新社
      B・W・オールディス   『グレイベアド』   創元SF文庫
      スズキコージ   『エンソくんきしゃにのる』   福音館書店

 第2土曜なので子供たちも休み。ひさしぶりに少し寝坊する。午前中は洗濯して掃除して、天気がいいから外にでて、午後は娘の学校説明会、なーんて考えながら、とりあえずのんびり気分で朝食。フンフンフーン、と鼻歌もまじる。
 娘に「じゃあ午後は2時からだから、余裕をみて12時半過ぎたら出ようね、ヨシ!」なんて言ってから、念のため、と学校説明会の日程一覧表をみて確認。えーと……2度見直してカレンダーと見比べて、…ややっ!「ちょっと、ちょっと、今日何日!?14日だよね?」カレンダーに娘が書き込んだ2時ではない、11時からではないか。
 時すでに9時半。ひえー、洗濯物も干してない、まだ目もちゃんとあいてない、ごはんも食べかけ、 etc.,etc. !!!あわてふためいて、息子におちびを押しつけ、洗濯物を干し、様々なものをまき散らしつつ母娘そろって家中駆け回って出かける支度。丁度きたタクシーをつかまえて何とか出発。…あーー、びっくりした!運良く最短ルートで行くことができ、一応余裕で到着した。ついてたー。ゼーゼー(しかしすごい人数だ)。

 とりあえず池袋まで戻ってお昼にしようか、と言うことにする。ふと思いついて、久しぶりに目白のコーヒー&ケーキやさん「L(仮名だよん)」に行くことに決める。ここは、目白通り沿いのビルの2階にあって、お店のYさんが窓辺で焼く自家製のケーキがとおってもおいしいのである。今日はベーグルサンドのセットと、りんごの焼き菓子を。この2年ほど、クリスマスはここにお願いしたケーキを食べる。ことしはどんなケーキを用意してくれるのか、楽しみ!

 本来ここで帰ってもよかったのだが、娘が過去問を買うというので成り行きで池袋東武の旭屋へ。デヴュー十周年記念・長野まゆみフェア協賛の書店で彼女の本に挟み込んであるリーフレットというものが、一部で話題になっている。先日来たときには目に付かなかったが、今日は長野まゆみコーナーが目立つところにできて一通りの単行本が揃えられており、うわさのリーフレットに初めてお目にかかることができた。フェアは河出、光文社、作品社、集英社の4社が参加しており、リーフレット作成は河出である。
 このリーフレットには長野まゆみのロングインタヴューと「完全プックリスト」が載っている。作品は、作者の手を離れたときから一人歩きするものではあるが、やはりこのリーフレットを入手した読者(というよりむしろ年若い「ファン」)はことに、インタヴューを正しく読むべきである。彼女やっぱり若いときに渋澤や足穂ばっかり読んでいたというのに納得。
 じっくり読みたいと思い、2,3回繰り返し図書館から借りた『銀河電燈譜』と、少年万華鏡シリーズ『夏至祭』を購入。でも少年万華鏡シリーズにはリーフレットはつきませんという但し書きの旗が立っていました。河出のケチ!だいたい傑作(ちょっと言い過ぎか)『魚たちの離宮』なんかを品切れにしておきながら、その一方で長野まゆみのファンクラブの募集をするなんて、本末転倒もいいとこである。
河出はまじめにやれー
 単行本にして44冊のうち、品切れは5冊。うーん、これを多いとみるかどうか…。初期の6冊のうちの2冊が含まれているが、私は実家で確認したところこの6冊は購入していたので、とりあえずよかった。でも最近までそのうち3冊しか読んでいなかったのだ、ハッハ。

 同居人が、「ハードディスクをうごかすドライバ」の、新しいのと言うのをもらってきた。このなんたら言うドライバが幾分合ってないので、時々止まるのだろうと言うことらしい。どんなもんでしょ。とりあえずぱそこんとの1週間の別離はないことになって、ひとまずよかったー。

981113(金)  
  購入本:   長野まゆみ   『碧空』   河出書房新社

 息子の所属する部活のバスケットボール部が、新人戦で何年かぶりに3位に入賞した。それでなぜか親対象の、顧問とコーチを囲む「祝勝会」というのが企画され、普段は特に協力的ではない私も、しゃあない、一度くらい行くべーかと参加。…やっぱり止せばよかった。

 『新世界3rd』読了、図書館本『白昼堂々』に突入。

981112(木)  
  購入本:   星野道夫   『星野道夫の仕事』1   朝日新聞社
    季刊    『怪』 第零号〜参号   角川書店

 出版前に注文したのに出版されてだいぶたってもこないので、催促しようかなと思っていた表記の本が到着。写真展を2度目に見に行ったとき、星野さんを知らないという友人を引っぱっていったのだが、星野さんの経歴をかいつまんで説明したところ「じゃあ新作はないのね」と言われた。そのとき初めて、もう彼のとった新しい写真というものは存在しないのだと実感させられた。

 家へ持って帰り、そこらに出したままごはんの支度をしていると、おちびがとことこやってきて後ろの方を指さしつつ、うろ覚えのような口調で「ほしのさんの…」という。上の空で「え?」と問い返すと、私を引っぱっていって机の上を指さす。そうだ、わたしが「星野さん、星野さん」と言っているので、4歳の頭の中にも染みついたらしく、ひとめ見てわかるようになったのだ。「そうそう、よくわかったね」と開いてやると「星野さんいる?」ときく。星野さんが写っている写真を見せてやると、安心したように「いた!」と笑って、あとは自分で一生懸命みていた。

981111(水)  
  購入本: BePal 12月号      

 『夏至祭』が1冊だけ、近所の本屋にあったので買おうかなと手に取るが、表紙に印刷むらがあったのでやめ。この本屋、長野まゆみは棚に単行本数冊と文庫版だいたいひと揃いはあるのだが、この『夏至祭』を含む初期作品集「少年万華鏡」シリーズも、最近出た新作『碧空』も、1冊もおいてないのだ。近くに女子大の寮や看護学校の寮もあるのだが、売れないのかなあ。
 『新世界2nd』を昼休みに読み終わったので、忘れないうちにと『新世界3rd』を借りる。過去を覚えていないイオは、『テレヴィジョン・シティ』のアナナスを思い出させる。長野まゆみ関係のサイトを見ていると、やはり初期の作品のイメージを受け継いだ『天体議会』などの系統のものに人気があるようだが、「そっち方面色」の強いものはどうなのだろう。話題に載せにくいということもあるだろうが。

 昨日から「頭痛い」「のどが苦しい」と訴えていた長男、今日はついに休み。きいてみればきのうも苦しいのに部活(バスケ)やったとか。うーん、もう。子どもが病気の時に思うように休みが取れないのも、つらいものがある…。
 きのうは娘の学校の三者面談だった。一番最後のコマだったが、担任の男性教師、「個人的事情であまり延長できないんです」と、なぜか早く切り上げたいという態度が見え見えで、もうちょっと腰を据えて聞いてくれよともどかしい思いをする。3時頃からずーっとじゃ疲れるよなあ(うちはなんと6時半近くから)と多少の同情はしたものの、やはり不満だ!でも帰りながら娘が「先生、事情って、きのうから子どもが入院しているらしいんだよね。」と、ぽつりとつぶやく。そうかあ、それでどうも話がかみ合わないと言うか早とちりばかりして感じ悪かったのかあ!仕事とはいえ、そんなとき人のうちの子どもの事なんて、かまっちゃいられないわよねえ。…でもよりによって大事な面談の時に、おたがいに困ったことだー!

981110(火)  
  購入本:   なし      

 ご愛用の「窓98」搭載ぱそこん、なぜかしばしば、「なんにもしないのに」いきなりフリーズする。過日もノートンで断片化のカイショーをさせてそのまま終わるまでほっておいたら、なんと途中で止まってしまい何時間かが無駄になってしまった。ほかにも、いったい何度泣いたことでしょう。そしたら同居人が「点検に出すように話つけてきたから」と言う。いったいどこをどうチェックすると直るんだか。「どのくらいかかるの」と訊くと「持って行っちゃうから1週間くらい。その位いいんでしょ?」思わず絶句・フリーズする私に「今度の土曜日くらいに、いい?」と追い打ち。もはやぱそこんなしじゃあ、生きて行けない体なんだあー。来週1週間、どうやって暮らして行けと言うんでしょう。

981109(月)  
  購入本: 今日はなし。   先週いくつか抜けたので追加    
      宮部みゆき   『クロスファイア』上・下   カッパノベルス
      増田 正   『英国のカントリーサイド』   集英社
      母の友   12月号   福音館書店
      こどものとも   年少版 『メキシコのいちば』     〃

 そうなんです、『クロスファイア』先週友人にそそのかされて買ってしまった。
 『英国のカントリーサイド』は、何年来欲しいと思っていながら、しばらく前にようやく思い立って注文したもの。

 この所、面談シーズンで、先々週の土曜は娘の塾の、今日はおちびの保育園の、明日は娘の学校の三者面談である。「12月にこっちも面談あるって、きょう言ってたよ」とは上の息子。あーあ、年次休暇が…。

 図書館から予約本の電話があったので、保育園からの帰りに取りに寄る。まだ長野まゆみシリーズである。今日昼休みに読み終わった『新世界1st』、他館の本なのでもう少し借りていたかったが返却し、代わりに予約本の『白昼堂々』を借りた。11月5日発売の新刊『碧空』がその続編だというので、まず前編を読んでからと思って。あと1冊余裕があったので『新世界2nd』も借りる。『新世界1st』は、今まで読んだ中でもっとも文章に弛みが感じられるものだった。緊張がないというか、ただメモ的に書き進んだだけで磨かれていない文章が散見されたといったらよいか。ストイックな趣きさえある文章が彼女の身上だと思うのだが、それが全く感じられず、美しくない文があちこちにあるという印象。『2nd』でどうなってゆくのだろう?

 借りている間おちびは児童書のところのテーブルで絵本をご鑑賞。今日は時間が比較的早いので、待っていてくれたお礼に2,3冊お読みする。ふと思い出して後ろを見ると、ちょうど『な』の棚の前である。背表紙を目でなぞっていくと、おっ、ありました、『ナージャとりゅうおう』、うれしいな。「1冊おまけに読んであげるね!」母の気が入るとおちびも真剣に見てくれる。蓮の花の化身になって、仙人のところに修行に行くことになりました、おしまい、と終わって解説を読むと、おお確かに『封神演義』が種本であると書いてある。発行は1990年で、すでにそのとき講談社文庫版の翻訳が出ており(88年)それについての言及がある。ふーん、こんなとき、世の中にはいろんな本があって、知らぬは私ばかりなりと、自分の浅はかさを再認識しちゃうのである。

981108(日)  
  購入本:   カーソン   アイルランド音楽への招待   音楽の友社
      長野まゆみ   『行ってみたいな、童話の国』   河出文庫文芸コレクション
      たむらしげる   『銀河の魚』   メディアファクトリー
         〃   『クジラの跳躍』   メディアファクトリー
      ユリイカ   98年9月号 特集『西遊記』   青土社

 雨が降るはずで降らなかったきのうから天気が持ち直し、今日は良い天気で朝から嬉しくなった。だが、さあ一日どう使おうかなと思う間もなく、長男が服を買いに行きたいという。最近娘が、もっと服に気を使えの、何のとうるさく言うので、多少はその気になったらしい。この機を逃してはと思い、内心こんなにいい天気なのにィとチョー文句たらたらだったが、仕方なしに買い物に行くことにする。しかも午後は都合さえつけば池袋のげいじつ劇場に行きたかったのに、おちびを見ている人がなくてこれも断念。恨めしや〜。

 洋服売り場に行ったはいいがやっぱりちっとも洋服に興味なんかない息子に、何とかちっとは見目よい服をあてがって、どっと疲労した母娘であった。昼食後、塾に行く娘と別れたあと、息子どもと池袋西武リブロをうろうろしていたら、児童書のコーナーに「復刊!たむらしげる」という棚ができているのを見つけた。従来リブロポート(つぶれた)から出ていた本がメディアファクトリーと言うところから順次復刊されるとのことだった。新たに出たのはとりあえず上記の2冊と『うちゅうスケート』である。ほかの、架空社などから出ているものはと見たが、2,3冊しかなく、重たくもあるのでやめ。
 『クジラの跳躍』、グリーンがほんと綺麗です!11月14日に渋谷の某大書店でサイン会があるとの情報である。行きたくもあるが、その日もまたちょうど同じ時間に学校説明会なので、行けず。映画『クジラの跳躍』は見たいのだけれど、レイトショーオンリーなのでこれもだめそうだなあ。

 ところで「M印良品」であるが、なぜあそこの店員はいつでも、どれもこれも愛想がなくて気が利かないのでしょう。レジが混んで長い行列ができていても、なかなか閉めてあるレジをあけようともしない。人手がないのかと思えば、レジの向こう側では何人かの店員がずらっと並んで、レジの状況も知るものかは、ゆっくりもったりタグの整理かなんかをしている。また、品物について訊ねても、無表情なまま「ありません」とか言ったきり知らん顔。重ねて訊くと「ちょっと待って下さい」と、待たせること待たせること。等々。店員教育しとんのかまったく。と、ここで言っても始まりませんが。池袋店だけかしら。

981107(土)  
  購入本:   尾崎 翠   定本 『尾崎翠全集』上・下巻   筑摩書房
      幻想文学   34 特集・ケルト幻想文学誌   幻想文学出版局
        44 特集・中国幻想文学必携   アトリエOCTA

 午後から娘と学校説明会にゆく。私が通った高校と校風が似ているので、おっかさんとしては気に入ったんだけれど、どうなりますか。

 終了後その足でおとっつあんが出ている某アマチュアオケ演奏会々場に行くが、打ち上げに合流するのをやめて、近くの三省堂お茶の水店に寄る。久しぶりだわい!ファッション雑誌にひっかかっている娘をほっといて、1階を徘徊する。平台に石井桃子全集3があり、手にとってどうしようかナーと逡巡していると、その隣の本の題が目に飛び込んできた。『尾崎翠全集』…!?見間違いかと、2度見直す。いやー、知らなかった!出版されることを全く知らずにいたのだ。
 最近、知る人ぞ知る詩人の金子みす
ゞは、ハルキ文庫に入ったし(金子みすゞ童謡集』)、迂闊にも知らなかったが国語の教科書にも取り上げられてもいる。それで、一瞬金子みすゞの全集かと思ってしまったのだ。それにしてもいやはや何とも!上下巻2冊で全部であることにホッとし、迷わず(じつは重いのと高いのでちょっと迷った)買い。でも抱え上げるのはもう少しほかを見てからね。
 ほかをゆるゆる見ていると『幻想文学』が初めて目に付いたのでー今までも見ていたんだろうが、気をつけて見たのはほんとに初めてー上記2冊を買うことにする。尾崎翠全集2冊と一緒に抱えてレジへ行くが、レジのお姉さん、ちょっとあなたちゃんと店員?重い本を今にも取り落としそうな手つき、スリップを抜く際に函にかかっている帯がはずれてしまい、かけ直すのにもちぎり取りそうな有様。その他色々もたもたもごもご。名札を見る限り社員のようだったけどなあ。しっかりしたまえ。ふん。

 その後息子二人と合流して、家の近所のお好み焼きやさんで夕食にする。ふん(なぜか演奏会場以後、腹いせモードの私であった)。

981106(金)  
  購入本:   中島 梓   『美少年学入門』   ちくま文庫

 昨日思い出した『ナージャと竜王』の話、TRCで検索したらありましたありました。『ナージャとりゅうおう』(講談社)まだ在庫あるかなあ!品切れとは書いてなかったのでさっそく注文出してみよう。

 『テレヴィジョン・シティ』下巻読了した。重かったよう。

 夜ノートンをかけたら、そのあとキーボードの設定が変になっちゃって、日本語変換がちゃんとできない。どこをどう直せばいいんだか?夜中に帰ってきた同居人、再起動したらなんともなかったよと事も無げ。ノートンは嫌いだー。

981105(木)  
  購入本:   なし      

 昨晩寝るときにちらっとカレンダーを見たら、11月5日のところに「葉加瀬太郎」と書いてあった。って、自分で書いたんですけど、ころっと忘れていたのだ。近所の区立ホールでコンサートがあるというので、話の種に行ってみようかと思いチケットを取っておいたもの。以前芸大の学生たちで作っていたグループ「クライズラー&カンパニー」でヴァイオリンを弾いていた人。グループは解散して、ソロ活動をしている。ToshiとCDを出したりしているとか。最近はセリーヌ・ディオンのツアーに同行したと新聞にも出ていた。
 一緒に行こうと思っていた同居人は、大阪日帰りになってしまい、行けず。仕方ないので同居人その2(女、15歳)に一緒に行こうとお願いして、チケットの元を取ることにした。
 …で、行って帰ってきましたが、いつもあんなもんなのかな。(本を読んでいた方が…。)
 以前聴いた、ジャズヴァイオリンの大御所・ステファン・グラッペリはよかったー!大御所なんて形容が似合わない、すてきな人でした!でも亡くなってしまってがっかり。

 その同居人は、コミック版『封神演義』12巻を買ってきたが、先日11巻を見つけて喜んで買ってきた息子「どうして11巻が出てすぐに12巻が出たのかなあ」と悩む。なんだかはやっているみたいだものね。

 で、同居人が「『ナージャと竜王』ってアニメあったでしょ」と言う。
 中国のアニメだと思うのだけれど、偶然TVで2回見たことがある。効果音がまるで京劇(ジャン、ジャン、ジャン!)だった。凛とした目元のナージャがけなげでかわいかったのだ。また、近所の行きつけの小児科の待合室に、ほとんど同じ絵柄と内容の絵本がおいてあり、行く度に好きで読んでいたがある時ぱったり見あたらなくなってしまい、残念に思っている。つまり、かなり気に入っている話なのである。

 昔、中国のある偉い軍人の奥方が身ごもったが、赤んぼうは何年も生まれてこない。やっと生まれてきたのは玉で、その中から飛び出してきたのが、ナージャ。仙人が現れて、魔法の玉と布を授ける。あるとき、少年になったナージャは海で遊んでいたが、難癖をつけに来た竜王の息子を玉でうちころしてしまう。さあ怒った竜王は、ナージャの父の都に攻めあげ、ナージャの命をもらわねば都を海で呑み込んで滅ぼすと迫る。ナージャは涙をのんで命を差し出すが、のちに蓮の花の化身としてよみがえる…。

 絵本の解説に、この話は古くから伝えられている話だが、ちゃんと原典があって、何たら言う怪奇物語を集めた中国の古典に載っていると書いてあった記憶がある。で、なぜ同居人がこの話を持ち出したか?同居人、なにやら自慢げに1冊の文庫を開いて「ここに出ているんですね!」。
 それは(やっぱり)『封神演義』だったのである。講談社文庫版上巻197ページ、「陳塘関にナタク誕生す」である。「ナタク」は漢字検索で探したが、なーいのでカタカナ。読んでみると確かにそうらしい。名前も似ているし、大筋も同じ。でもアニメ(絵本)と違って、ずいぶんふてぶてしいヤツだ。ちょっとしたエピソードかと思い、立ち読みしていてはっと気がつくと、長い。50ページがこの話に費やされている。うん、これなかなか面白いかも知れない。もう少ししたら読もうかな。しかし絵本の解説に出ていたのって、これだったんだろうか。もう一度あの絵本とアニメが見たい!

981104(水)  
  購入本:   S・マーロウ   『幻夢 エドガー・ポーの最後の5日間』   徳間文庫

 月曜日に休みを取ったので、仕事が片づくのが6時半を回ってしまった。夜になっても今日は暖かい。もう11月だというのに、半袖である。

 休んだ日に、出入りの本屋さんが来て注文の本を置いていってくれたが、この頃ちょうど来るときに会えないため、毎月15日〆の精算がまだできていない。今度会ったときがこわーい。今日の購入本もこの本屋さんからのもの。予想に反して結構厚い。厚いと言えば、何で京極夏彦ってどれもこれもまるで聖書のように厚いのだろう。本は自分の都合のよいようにどんどんばらして読んでしまうという人がいたが、あれを読むときは私もそうするような気がする。
 厚い本を引きちぎるというと思い起こすのは、昔なつかしキングコングである。哀れキングコングがサーカスの見せ物になろうと言うとき、そのサーカスで、筋骨隆々の男が電話帳のような本を力任せにまっぷたつに引きちぎっていたっけ。あれ、キングコングじゃなくてターザンだっけ?

981103(火)  
  購入本:   月刊 MOE 12月号

 ゆうべ、あーあしたも休みで何よりだわい、中学の文化祭をふらふら見に行けばいいんだわ、なんて感慨をいだきつつのんびり食事の支度なんぞしているときに、そばで手伝いをしていた息子が何気なく「明日はお弁当か…」とつぶやく。私「ええーっ!聞いてないよ!」ほとんどパニックである。
 さっき覗いた冷蔵庫は、このごろの野菜の品薄にともない、青物は使い切っちゃったし、トマトも人参もなくなったし、野菜と言ったらネギとキャベツだけだ。蛋白源はあるけど、どーしよー!それに食後はゆっくりパソコンの研究をしようと思っていたんだゾ。「聞いてないよ、何にもないよ、知らないよ!」の連発をする私であった。ゼーゼー。

 今朝はめでたくお弁当の支度も済み、中学の文化祭へゆく。なんて良い天気!「上着着ていく?」とおちびに聞いたら、「半袖で大丈夫ってラジオで言ってたよ!」とおりこうなお答えにびっくりする。自転車で坂道をこいでいったら、汗かいちゃった!
 合唱コンクールとやらを聴き、演奏のずっこけぶりにときどき笑っちゃいそうになる。
 娘のクラスはこのところ男子と女子の仲が険悪で、「サイテー!」なのだそうだ。演奏前のクラス紹介で、その実態と、最後まで練習がうまくいかなかったことが述べられ、さらに担任に向かって、この場でどれだけ力が出せるか、金賞が取れなくても担任の先生の評価さえもらえればよいとの呼びかけがなされた。そして異例の「ファイト!オー!」のかけ声。日頃娘からあれこれ、どんなに男子がひどいか、我慢も限界が来て時にはつい売り言葉に買い言葉で応酬してしまうこと、討論会がもたれたこと、などなどを聞いていたので、男子も女子もそれぞれに屈託を抱えてこの日にもつれ込んだのだろうなあと思うと、自分の中学時代の同じような切なかった思いとだぶってなんだか急に胸が詰まってしまった。夕方帰宅した娘は「銀賞だった!」と報告。私も「涙が出そうになっちゃったよ!頑張れーって言ったんだよ」と白状する。

 中学の帰りに買った月刊MOEは、第2特集が長野まゆみである。私は今彼女を「再発見」した(ている)わけだが、奇しくもデビュー10周年だったのだ。まもなく新刊は出るはで、ファンはにぎわっている様子。当方の進捗状況は、「テレヴィジョン・シティ」上巻を終わり下巻に突入。いやー、重い。もっと彼女の世界(とイメージされるもの)は軽い、美しい、哀しい、雲母のきらきら、少年、自動人形、等々という感じばっかりかと思っていたが、いやはやじぇんじぇん違います。ファン層って若い子が多いようだけどいったいどこがよくてファンしてるのかな?わかってファンしてるのかって聞きたくなっちゃうなあ(おいおい、君は分かってるってか?)。あーん、ファンの方々にしばかれそう。様々な長野まゆみグッズ(を取り扱う店)とか、作品に出てくる食べ物を出す店とか、いろいろあるのだと知りました。MOEによるとCD(「少年アリス」と「天体議会」がドラマ化されてCDになっている)ジャケットのひとつが、井上直久のイバラードの絵ではあーりませんか。思わぬところでリンクしているのに驚く。そうかなあ、一見似てはいるけれどちょっと長野まゆみとイバラードって、違うぞ。どろどろ系の長野作品を知らなくとも分かるくらい違うと思うが。
 さ、続きをよもうっと。ところで本屋で『クロスファイア』、超能力の話と聞いたのでよほど買おうかと思ったのだが、厚さに逡巡して今日のところはやめた。もっとも紙質のせいもあるのだが…。次の機会ね!

981102(月)  
  購入本:   なし

 風邪が治らないので、連休の谷間思い切って休む。とか言いつつ久しぶりに美容院へ行ったのである。1年ぶりだー!しばしのんびり。けれどカット、パーマでやはり4時間である。この時間に、本読んで、また本読んで、本屋行って、また本読んで…(たまった家事を片づけるというのは当分でてこない)。あー、もったいない!でもあさって、職場へ行くと休んだ分のしわ寄せがきつそう!

 帰宅して、寝ればいいのにやはりパソコンの前へ>ビョーキ。

981101(日)  
  購入本:   なし

 11月になってしまった。今月は毎土曜日、受験生の娘につきあって学校説明会に行かねばならないようだ。うー。
 娘はお友達と、下見をかねてナントカ高校の文化祭に。帰って来るや、「チョー時間かかって、あんなところ通うのいやだ!」よくきいてみれば、丸の内線で新宿の先に行くのに、なんと池袋から丸の内線の新宿方面行きに乗ったんだって、いくら何でもそれはいやになるでしょうね(ローカルネタ)。

 先日買った、HTMLの本をちらちら拾い読みする。そーか、Uさんがメイルで教えてくれた事って、これかあ、などと少し視界が開けてくる。エディターを使わない人が結構いると言う理由がわかるような気がする。勉強しようっと。でも本読む時間と、ページ更新するための時間と、減っちゃうしなあ。ううむ。

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ニムの木かげの家
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最終更新2001.02.04 16:51:47