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日時計 2001. 5月

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2001.0531(木)
購入本
池内了/『科学は今どうなっているの?』/晶文社

 こんなにおかしな天気のままでとうとう5月も終わってしまう。日本の四季ってなくなってしまうのだろうか。

 アリソン・アトリー『農場に暮らして』を積ん読本の山から取り出して読む。これはすごい、のめり込んでしまいそう。小さな少女が深く暗い森を行くシーンから始まる。子どもの頃読んだ『小さい牛追い』『牛追いの冬』なども思い出してしまう。

 久しぶりにbk1に数冊の注文。だって近所の書店に何にも欲しいものないんだもの。

 仕事関係の書き物。今日はあほらしい委員会で口を開かないようにじっと忍耐して、終わったとたんに胃が痛くなった。まったく、おじさんたち、机にはいつくばって知らん顔してるなら委員になんかなるなあっ!

2001.0530(水)

 アリソン・アトリー『西風のくれた鍵』(岩波少年文庫)読了。6編の短編集で、かなりファージョンと共通するテイストである。ファージョンのファンである私としてはもうすっかり参ってしまい、昼休みの職場で誰もいないのを幸いに、ベツシーのように「ひざをかがめて会釈」を訳注の通りに実演してみたり(「左の足をひき、ひざをかがめて、体位を低める」)、胸がいっぱいになるので思わず本を抱きかかえたり、ついには目に涙をためるを通り越してぐすぐす泣いてしまったり、もう大変。クルミのからを上手に彫って作った小さい馬車…中には緑のコケがひいてあって、御者は月の光の鞭をもっている…欲しいっ。優しいピクシーにお嫁入りしたポリーが人間界に帰ったときの悲しみ、それを慰める夫。帰宅して娘にこの中の「幻のスパイス売り」をお勧めしたところ「うーん、いい話だ…」とのお墨付きをば頂いた。

 私もしぼう中に別ルートから情報がありましたわよ>『魔法使いハウルと火の悪魔』が宮崎駿の次の作品になるかも、というお話>「日豪プレス」の記事。結構はちゃめちゃなウィン・ジョーンズのキャラクターが宮崎駿にかかるとどうなっちゃうんだろ?ちなみに彼女の作品はどれも強力お薦めっ!

2001.0529(火)

 まだしぼう中。数回繰り返して降った日中の雨がものすごいこと。一時は水煙の上がるような激しさに、4階の窓から見てもすっかり景色は白く煙っているのであった。幸いに最初に降り始めたとき、もしやと思って自宅に電話を入れたらまだ連れ合いがいたので、洗濯物に被害なし。しかし家の中は湿気だらけで閉口だ。娘も言うように、雨それ自体は好きなんだけれど、髪がくちゃくちゃになってどうしようもなくなったり、眼鏡が雨粒で曇ったり、服が湿って足にまとわりついたり、家中どうしようもなく洗濯物くさくなったり、そういう付随するもろもろのことがたまらない。うう五人分の洗濯物の量と言ったら!

2001.0528(月)

 しぼう中。ZZZZZZZ…。

2001.0527(日)
金、土の購入本追加
佐藤哲也/『ぬかるんでから』/文藝春秋
グレアム・グリーン/『第三の男』/ハヤカワ文庫epi
コーマック・マッカーシー/『すべての美しい馬』/ 〃
J・L・ボルヘス/『ボルヘスの「神曲」講義』/国書刊行会
赤江瀑/『虚空のランチ』/講談社ノベルス
紙谷歌寿彦/『はじめての人のためのかんたんPerl/CGI入門』/秀和システム

 朝からすごい雨。いつも日曜というと自主的に起きてTVアニメを見る次男が珍しく起きない。そのうち声をかけると「頭がくらくらする〜」と、顔をゆがめて涙ぐむ。たいした熱もないがこのおかしな陽気に体調を崩したか。頭痛では辛かろうと鎮痛剤を与えると昼過ぎまでぺったり眠り、午後にはビデオを見る元気が出てきた。明日行けるかどうか、やや微妙。

 明日は次男の小学校の家庭訪問なので掃除。学校からのプリントには「玄関先で5分」とある。来ていただかなくて結構、あるいは面談が必要なら学校に出向きますと申し出ても、決められた行事だからそうはいかないと言われるのである。玄関先でと言われたってまず家に上げない人はいないからそのために掃除する負担、(文字通りなら)たった5分のためにわざわざ休みを取る負担、担任はあちこち離れた家から家へと移動するからまず予定の時間通りにはならないのを待つ負担、などマイナス面の方が大きい。まして家に入らないと謳うならよけい家庭訪問の意義なんてないのに、なぜ続けるのか全く疑問だ。家庭訪問はんたーい。

 『SFマガジン7月号』(まだ5月なのに)のキース・ロバーツ作品と関連記事読了。中でも「ぼくのステーション」("The Lordly Ones")が私の好きなロバーツらしさがよく現れていて、読了してしばしため息。アニタも、ケイティもぜひちゃんとシリーズで読みたい!「東向きの窓」はどうしても時代を感じるが、ホラー作品なのでむしろプラスに働いているように感じた。読み応えのある高野史緒のエッセイをはじめ皆さん思い入れが深くていらっしゃる。ハヤカワさんよ真面目にロバーツ出せ〜!

 プログラミングを全く知らない私、必要があっておべんきょう。結城浩『Perlで作るCGI入門』(ソフトバンク)を勧められたがたまたま書店に基礎編がなく応用編しかなかったので『はじめての人のためのかんたんPerl/CGI入門』なる、帯には「超がつくほどかんたんな」とあるCD-ROMつき入門書を買い込む。手に取るときは気恥ずかしいくらい「超」「かんたん」が目に付いたのだけれど、このくらいがちょうどだったかも(*^_^*)

 あっ『スターガール』読了。彼女の行動が天真爛漫と言うより奇矯に感じられ終始ピンと来ない。とはいえ一種不思議な読後感がある。アーチーの出てくる場面は好き。

2001.0526(土)
購入本
榊佳之/『ヒトゲノム』/岩波新書
魯大鳴/『京劇入門』/音楽之友社
奥泉光/『鳥類学者のファンタジア』/集英社
柴田元幸編訳/『夜の姉妹団』/朝日文庫

 目に付くようにと思いテーブルの上に『20世紀F3 60年代』とアトリー『西風のくれた鍵』を置いておいたのが仇で、食事がなかなか終わらない次男が見事にお味噌汁をひっくりかえして大被害>みやさーん。自業自得なので文句も言えない(泣)。

 掃除、洗濯など週末の行事をいやいやして、午後連れ合いとauショップ、その向かいのユニクロに行く。たむらしげるの絵がいっぱい入った新機種に変更したのである。これまでの機種はなかなかスマートで無駄がなくて気に入っているのだが、ミーハー心が勝った。その後久しぶりに東武百貨店の旭屋に行く。のち点心を食してから東京芸術劇場で大連京劇団の「覇王別姫」を見る。一昨年に初めて京劇を見たのが同じ京劇団の同じ演目だが、会場がサンシャイン劇場から芸術劇場の中ホールに変わって、いくらか演出も変わったようだ。虞姫が客席に向かって「忠臣や私の意見を聞かない項羽は困ったもんだ」という表情をして見せたり(うーん)、最後の川のシーンで霧をかけて見せたり。舞台に近かったので目の演技がよく見え、それこそ眼力に圧倒された。項羽はいっそう貫禄を増して、いよっ、千両役者!と言う感じだが、やはりこの作品の主人公はなんと言っても虞姫ね。しかし悲しいかな座席の関係で、剣舞の最後に虞姫が項羽の剣を抜いて自害してしまうシーンが、驚いて走り寄る体格のよい項羽の陰になって全然見えなかったのであった。それにしても武将たちの鎧姿(旗付き)はほんとにかっちょいいぞ。ブラボーの声がたくさん飛んでいた。

2001.0525(金)
購入本
『SFM7月号 キース・ロバーツ特集』/早川書房
芸術新潮 バルテュス』/新潮社

 先日仕事がらみで知り合った製薬会社の人から、アルツハイマー治療薬の資料を頂く。メリット・デメリットのバランス、投薬管理など。

 一部の公共料金ほかが引き落とされている銀行口座をしばらく放って置いたら、「引き落とし不能」の通知が来てしまいそれと思い出す。残額にせんひゃくえん。連れ合いが管理していたのに何故か半年ほど前に任されて(押しつけられて、とも言う)しまったのだ。通帳は持っててあげるから、中味は以前の通りに振り込んでよね。

 『SFマガジン7月号』は期待のキース・ロバーツ特集だ。早速全部読んだ!と言いたいところだがそうも行かない。とりあえず「サー・ジョンのお守り」と、新連載「デッド・フューチャーReMix」を読む。この連載は面白くなりそうだ。わーん、また『パヴァーヌ』読みたくなってしまった。それにしてももっとキース・ロバーツ邦訳希望!

 途中で止まっていた『スターガール』ほんのちょっとだけ読み進める。学校のみんなに無視されていることを主人公が感じ始めるあたり。

2001.0524(木)

 Go Liveのver.5がキャンペーン中だったのでオンライン購入。なんでまた?今度職場でHp作成講習会というのがあるのだが、その際使用するのがこれとHomepage Builderなのだ。だから概要をつかんでおかなくては。ビルダーのほうは初心者向け程度なら感じでわかるけれどGo Liveはわかんないぞー。と言いつついじってみる。知らずに巨大なテーブルタグが出来る、というのはこれのことね。いやはやほとんどテキストだけの私のサイトには無用の長物。

 職場主催の講演会。職場から目と鼻の先の、キャパ1400の大ホールは、いったいどの程度埋まるのだろう、と危ぶんでいたところにこのしつこい雨だ。閑散とした講演会になってしまうのね、と思っていたら、なんと続々人の波となり、ガラガラなんてとんでもない、優に1000を超える入場者となって、レジュメや無料配布物が品切れになる有様。使わない予定の3階も急遽開けることになり、突然3階担当となった私は、何度ロビーと3階を行き来したことか。つ、疲れた。もともと講演会レポートを書く係なのに、何故こんなに体を使う羽目になったのやら。

 というわけで今日もまた睡魔と仲良し。異動してから目に見えて読書量が減っている。お願い私に本を読ませてぇ。

2001.0523(水)

 見事に一日雨だった。美術館友達と上野へ行く。幾分遠い方から、と都美術館のアール・ヌーヴォー展へ先に行ったのが間違いだった。ほっとするほどすいていて、ゆっくり見られたのはよいが、見終わったのが11時前、さて西洋美術館へ向かおうとすると、たった今出てきた会場の、入り口は人でぎっしりになっているではないか。いやーな予感で都美術館の外に出ると、来るわ来るわ、途切れなく後から後からこちらを目指してやってくるおばさま方の人波。いったいどうしたというのでしょう。案の定西洋美術館は、馬鹿混みではないが、ゆっくり鑑賞という感じではない。しばし「どうする…?」と思案したが、いやまだ会期があるから思い切って今日はやめておこう、近日中に朝いちで来よう、と決定。やや早いがおなかがすいたので、友人がかねてから連れて行ってやりたいと言っていた人形町の親子丼「玉ひで」に向かう。開店間もないが既に小雨の中行列が出来上がっている。どうもおなかの大きい人が多いと思ったら、ここは水天宮の近所でもあったのだ。30分ほど並んで食べる親子丼は半熟ふわふわ熱々で、ちょうど歩きっぱなしですいたおなかにあっというまに収まってしまった。帰りがけに京漬け物「近為(きんため)」人形町店で、茗荷漬、なたわり漬、グリーンボールの浅漬など仕入れる(何でもどこでも自サイトがあるのね)。曰くありげな店が裏通りにも散見されるこのあたり、下町の風情で好きだ。雨足の激しい中、自宅に帰ろうか職場に戻ろうか悩んだが、自宅の鍵を持っていないことに気づく。上の子たちが戻るまで家に入れないことが判明し、それまでどこかをふらふらするにしてもこの雨では、と職場に戻ることに決定(むー)。戻れば戻ったで、納品の遅れていた液晶ディスプレイが届いており、その設置、ほかAcrobat5.0のインストールなどをするうちすっかり夕方になる。

 『20世紀SF4 1970年代 接続された女』読了。中身の詰まったこれが万人受けするとは決して思えないし、単純にこういったものを愛好する読者としての私は別にそれでかまわないと思う。読んでいる最中にも「こういうのが売れるには我々はどうしなくてはならないか」なんて思いを抱きながら読むのはちょっと哀しいやね。私はとりあえず別次元として考えたい。読みかけの3集からぼちぼちさかのぼって読む予定。今日に限って言えばしにそうに眠いのであと一文字も読めそうにない。

2001.0522(火)

 昼近くになり小雨が降ったり止んだりする。明日から2,3日は雨模様らしい。夕方帰宅したとたんに雨足が激しくなる。今年の5月は5月らしくないまま梅雨に突入するのだろうか。

 ようやく『軽症うつ病』を読了。うつ病とは想像しにくいようなうつ状態はどのようなタイプの人に起きやすいか、その治療、本人と周りの人間の心得。

 先日から『20世紀SF』の3と4を交互に読んでいるので、それぞれの読了をはかる。でもこの前から積んである岩波少年文庫『西風のくれた鍵』のタイトルが呼ぶのよぅ〜@ヒデヨシ。

 昨日、今日とFMでバロックハープのアンドルー・ローレンス=キングとその仲間の演奏が聴けた。今日の相方ポール・ヒリヤーはなんて美声なんでしょう。歌うために生まれてきた、と言うところ。うう最近演奏会とご無沙汰、禁断症状が出そうだ。

 今朝の読売朝刊、「アルツハイマー病の発症防ぐ物質を発見」てほんと。日本で唯一認可されているアルツハイマー治療薬であるエーザイのアリセプトも、よく効くグループとそうでないグループとに別れる傾向にあって、しかも効果があまり長続きしないし、何割かには副作用もあるようだ。今日職場で新たに親がアルツハイマーという人を発見、潜在的に結構いるのねえ。うちと同様の症状らしい。

2001.0521(月)
購入本
北野勇作/『昔、火星のあった場所』/徳間デュアル文庫
矢崎在美/『ぶたぶたの休日』/ 〃
佐藤史生/『天界の城』/ハヤカワ文庫JA
ブライアン・ステイブルフォード/『地を継ぐ者』/ハヤカワ文庫SF
倉阪鬼一郎/『四重奏 Quartet』/講談社ノベルス

 暑い一日。職場ではついにエアコンをかけるが、今度は効き過ぎ、そのせいか先週から不調のおなかがまたしくしく痛む。先週不調だったときは点心を食べに行き、今日は連れ合いが出先で頂いてきた佐世保牛(米沢牛と並ぶおいしさ)。なぜに不調の時にはおいしいものが待っている?食後次男とゴミ捨てに出ると、涼しい風が吹いていたので、気持ちが良くてそのままあたりを一回り散歩する。最近は帰りがけっこう遅くても空はまだ明るいので、星とはとんとご無沙汰だ。久しぶりにゆっくり見る夜空は、ぼやっとかすんで、辛うじて東の空に見えていたのはベガだったろうか。

 昼休みに『軽症うつ病』が終わりに近づいたので、帰宅後今日こそ読みあげるぞ、と手提げを探るが、哀しいことに職場の机上に置いてきてしまったらしい。今月はどうも読書が捗らない。短編はそれなりに読んでいるので、意識としては少ないながらも結構充実しているようには感じているのだけれど、冊数としてはここ二、三年の最低にちがいない。

 4月の終わりに次男の保護者会があったのだが、職場のミーティングが長引いたので欠席してしまった。先週金曜日に帰ってきた次男が、「きょう写真配った、みんなもらってたけど(自分のは)なかった」と言うので、何のことかとよく聞いてみると、どうやら入学式の記念写真らしい。あっ、もしやその欠席した保護者会のときに掲示してあったのかも、と思い、その後に配られたはずの保護者会資料を探す。というか、資料は配られなかったのだ。問い合わせようと頭の片隅で思ったきり、ついそのまま忘れてしまっていたのだった。クラス便りにでも写真のことが書いてあるかと探したが、私の見落としではなくてやっぱり何も書いていない。そこで担任宛に連絡帳に質問を書いてやったら、翌土曜日、次男が帰るより早く担任から電話がかかってきた。写真の件はやはり思った通りで、写真屋さんの電話番号を聞くことで解決したのだが、釈然としないのは保護者会資料の方である。「欠席した方の分までたくさん持って帰られる方もあったので、残っていないんです」と担任は言うのだが、上の子たちの時には、欠席者には必ず後日配布されたのに、この担任はそういう措置をとらないのか。欠席者こそ配布物が必要だろうに(まあ私もころっと忘れていたのではあるけれど)。それに配布物(文書)の控えも取っていないのか?一挙に不信感がふくらんだぞ。と言いつつ、今日その文句を書いた連絡帳を次男に持たせるのを忘れた私。

2001.0520(日)

 からっとした上天気に、洗濯機を切れ目なくまわし、布団や枕を干し、植物に水やりをし、衣類の片づけ&処分をする。洗濯物は面白いように乾くし、寝具はお日様の匂いで一杯になるし、夏がこんなにドライならほんとに好きなんだけど。さすがに日が西に回り4時頃をすぎると室内にいてもちょっと動くと汗がにじんでくる。最後の仕上げに母の所に本などを移動しに行き、ついでに最近の日課・お財布の中身数えをして帰る。セールスのお兄さんたちにお駄賃をあげちゃいけませんよ>おかーさん

 『軽症うつ病』の続き。 何事にもずぼらな私は、落ち込んでもうつ病にはなりそうもないらしいと多少がっかりしつつ(何故だ)読み進んでいたが、途中で「あっ、私はこれかも」と心当たる性格が出てきたので、俄然軽症うつ病患者の視点になったつもりで我がことのように読んだり。

 フレデリック・ッポール『ゲイトウェイ』が出てきたので裏表紙のあらすじを見ると、舞台設定は明らかに覚えがあるしヒーチー人にもなじみがある。これが出た頃は年子の上の子たちが4,5歳の頃で、どちらかというと読書からは離れ気味だった時期だ。読み始めたきり途中までで、読了していないのかもしれない。

2001.0519(土)
購入本
ボブ・カラン/『ケルトの聖霊物語』/青土社

 午後地下鉄で青山のピンポイントギャラリーへ(青木美和ウォーターカラーイラストレーション展)。原宿まで歩いてJRで帰るが、5時前に電車が池袋にさしかかったときいきなり夕立が降ってきたのをいいことに、リブロで時間つぶし。後で聞いたらほんの15分くらいで止んだのだとか。帰ったら7時だった。

 『ワードを捨ててエディタを使おう 第2版』を一応読む。買ってすぐにQXを使い始めたのだが、とりあえず必要なところを拾い読みしていたのを、おおよそ初めから目を通す。

2001.0518(金)

 久しぶりに以前の職場の隣の部屋のおねえさまと昼食を摂る。しばし情報交換。良く晴れて暑いことは暑いが、日傘を差していれば大丈夫なくらいだ。暑がりの私、今から夏物着てどうするの、と自分で首を傾げてしまうが、まもなく5月も下旬である。ゴールデンウィークが終わるとほんとに5月はあっという間に過ぎ去ってゆく。一年で一番良い時期なのに。

2001.0517(木)

 ほ、本を読む時間がないっ。と言いつつ何故にぱそ子の前を離れない>私

 ご飯を食べるのがとにかく遅い次男につき合いながら笠原嘉『軽症うつ病』の初めのほうを読む。笠原嘉は以前から好きだが、まだご健在だったとはしつれいいたしました。優しい言い回しが、好きです。

 今からこんなに暑くてどうするんでしょう。まだ湿度が低いのが救いだけれど、暑い〜。

 河出文庫の20世紀SFシリーズは、SFになじみのない人に決して読みやすいとは思えませんことよ>にじむさん。私は抵抗ないし好きだからオッケーだけど、概観・精選してあるからって、この読み応えは必ずしも読みやすくはない。

2001.0516(水)
先日の購入本
ウィリアム・サロイヤン/『ディア・ベイビー』/ちくま文庫
笠原嘉/『軽症うつ病』/講談社現代新書

 傘をさそうか、さすまいかと言う程度のわずかな雨が降っていた朝だが、出勤ぎりぎりで雨は上がった模様。日中は曇りという天気予報に折り畳み傘を持って出る。マンションから出て道を渡り向かいの公園にはいると、わずかな風に一斉に若葉から雫がこぼれる。木立が続くので傘を取り出してさす。石けんの木、と子どもの頃呼びならわしていたエゴの木の花が一緒にこぼれ落ちて、黒い地面に吸い付く。

 昼近くに気づくと、窓の外は盛大な雨ではないか。都庁まで行かねばならないのに、何たること。うんざりして、大江戸線の都庁前駅を目指すことにする。JR新宿駅を利用するより時間はかかったが、都庁前駅は都庁に直接繋がっているので、地下鉄を降りてからは全く濡れずに済んだ。おまけに、地下からエスカレータで1階ホールに上がるとそこは噂に聞くエレベータ前。便利この上ない、というか都庁御用達の大江戸線だから当たり前か。目指す上層階の会議室に、開始数分遅れてようやく到着する。大きなドーナツ型のテーブルを囲んで、思ったより大人数が集まっている。もう机の前は一杯で、周りの補助椅子に空きを見つけて座る。落ち着いてからよく見ると、いい席に座っているのは本庁内部の人ばかり。外部の人は上着などの持ち物や傘でそれとわかる。えらい雨の中を出向いてきたのにデンと上席に座ってるのは内部の人間ばかりかい、とも言いたくなるよまったくこの雨じゃ。危惧にもかかわらずお目目ぱっちりで1時間お勤めし、帰路に就くが、職場の最寄り駅に帰り着いてみると先ほどの雨はたった今止んだ、と言う風情なのであった。

 せっかく乗った地下鉄では、大江戸線の新しい椅子のせいか猛烈な眠気が兆して、討ち死に。あー貴重な読書時間がもったいない。結局昨日今日で『20世紀SF3 1960年代 砂の檻』収載「リスの檻」(ディッシュ)、「砂の檻」(バラード)読むにとどまる。『20世紀SF4 1970年代 接続された女』はしばし行方不明になっちゃったのだ(その後物陰に落っこちているのを無事発見)。
 前者は、同じようなシチュエーションの作品はいくつもあるだろうが、この『2001年宇宙の旅』の終わりに近いシーンを彷彿とさせるような密室に、主人公(ディッシュ)がどういうわけで幽閉されているのか、自分では全くわからないと言うような状況のものはほかにあるのだろうか?食べる(飲む)ことは非常な快楽として描かれるが、それ以外には読むことと書くことが主人公には与えられている。この二つを剥奪することは作者の方のディッシュにはさすがに出来なかったのだろう、などと考えるのはちょっと横道で、主人公が書いたものを読んでいる(外部の)我々がいる、と言う事実こそがいわばオチのようなものになる。SF的状況でなくても書けるようには思えたが、私にはこの方法が面白く、心地よく読める(最終的には習慣や好き嫌いの問題なんぢゃよ)。後者は、淡々とした、静かな、たとえばシュート『渚にて』を思い起こす作品だ。打ち棄てられた発射整備塔、火星ロケットの錆びた破片。火星の赤い砂が次第に押し寄せるこの舞台は、しかし○○なのだ。ブラッドベリの火星とも違うけれど、「火星の赤い砂」とはやはり今でも魔法の言葉で、そう唇にのぼせてみるとぴりぴりっとかすかな電気の走るような気がする。こういう作品を私は美しいと思う。なんと静かな傑作だろう。

2001.0515(火)

 次男の遠足。1年生と2年生の合同遠足である。どこへ行くのかと思っていたら、先日持って帰ってきた遠足のしおりに、「○○公園」と、保育園でも何度か遊びに行った、子供の足で30分ほどの公園の名があった。車酔いする次男には有り難いと同時に、いかにも「えんそく」という名の通りで、なかなかいい選択だ。水遊びが出来て、アスレチックや巨大滑り台もあって、子どもたちには人気の公園なのだ。願ったりの上天気で、めいっぱい楽しんできた模様。

 10時、12時、3時、4時、とほとんど切れ目なくミーティングや会議。お昼の会議はいやだよ〜。せっかく休憩=読書タイムを取ろうと思ったのに。結局最後のが終わったのが6時。会議ばっかりして何も進まないぢゃん>上司のみなさん。おまけに明日は新宿の巨大お化け屋敷に行く羽目に(;.;)。どうか雨よ降らないで。あっ、その道中本が読めるわね。

2001.0514(月)
購入本
日下三蔵編/『怪奇探偵小説傑作選 4 城昌幸集』/ちくま文庫

 娘が、「母の日にごちそうしてあげる」と先日から言ってくれていたので、今日終業後待ち合わせて池袋へ。といってももちろん彼女があれこれ店を知っているわけではないので、うろ覚えの点心の店「中国茶館」へ行く。この辺だったような…と角を曲がるとあっさり目指す店が見つかる。親切そうなお店のおばさんに「色々食べたいのだけれど、どうしたら一番いいかしら?」と訊くと「90分食べ放題にしなさい、一人2500円で単品よりずっといいよ、おいしいの見てあげるよ」と言いながら、早速メニューをめくって「これ?これもね?」とメモメモ。あっというまに11品のご注文。それぞれの品はたいてい一個ずつなのだが、凍頂烏龍茶を飲みながら、次々出てくる点心を平らげると、さすがに1時間でぴたっと食べるのが止まってしまった。娘「100パーセント満腹」。土曜から三日連続で食べ過ぎで体が重い。それはともかくありがとうね>娘

 食後8時過ぎ、外へ出ると昼間の暑さはすっかりおさまって、気持ちの良い初夏の夜の風情である。腹ごなしにちょっと歩こう、と言いつつ目指すところは芳林堂である。階段を上る足取りもいやに重いのであった。

 まだ読み途中の『20世紀SF4 1970年代 接続された女』は、巻頭に戻り表題作。いかに覚えていないかを痛感する。山岸真氏の解題が、とても熱が入っていると感じた。改めて作者の死が報じられたときの衝撃を思い出す。常に読者の数歩先を歩んでいた人なのだと今更ながらに思う。亡くなって何年もたつが、今でもそれは同じだという感を強くする。

2001.0512(土)〜0513(日)

 土曜昼前から法事の準備、1時から叔父の四十九日、続いて義父の七回忌。和尚さんは声が良く迫力もあり、本当にお経が上手である。本堂はしばらく行かぬ間に床暖房が入り座布団の代わりに椅子がずらりと並んでいる!なんとまあご親切な事よ。年寄りが多く集まるお寺には本当に有り難い設備だ。おかげで私も、今まで法事ではしっかりお経の響きを漏らさず楽しんでいたのに(ほんとか)、今回は初めて居眠りをば。

 さあその後が責め苦だ。和尚さんが張り切って省略なしにお経を詠んだので、長引く長引く。故人とも長年のつきあいだったので、ご講話も念が入っている。2時から場所を変えて会食のはずが、3時、3時半とずれ込む。食事が終わったらもう4時半過ぎ。この後親戚だけで夕食というのが7時半から。品数を減らしておいしいものを、と言うはずぢゃなかったの?「もうご飯をお持ちしてよろしうございますか」と聞かれ、思わず「ご飯いる人〜?」と問うが、もちろん返事はなく、有り難くご辞退する。しにそう。温泉につかって就寝。

 翌朝、食堂にて(うえっぷ)、「お粥もございます」と言われ迷わずお粥。きらめく日差しのもと、散歩、買い物で腹ごなしをし、昼食に備える。これはおいしい焼き鳥屋さんのお昼なので、食べないわけには行かない。食い意地の世界である。食後流れ解散。

 昨日今日と、風は比較的涼しいが日差しは夏に近い強さである。山は今まさに笑い、山桜がそろそろ終わりかけという頃。帰りの混雑を考えると早く帰路に就く方がよいのだが、あまりの天気の良さに、小一時間ドライブをする。山はまだ木立を通してずっと先が見通せる程度の緑の量で、標高が上がるとその色彩が柔らかくなってゆくのがよくわかる。下の方では既に葉の出そろった感のつよい落葉松が、上の方ではまだまだ芽吹いてまもなくという具合で、それが本当に目を奪うほどの鮮やかさである。落葉松の芽吹きは美しいと聞いてはいたが、ちょうどそれを目の当たりにするのは初めてだ。ほんの数日、あるいはちょっとした標高差、気温の違いでお目にかかれない事も多いのだろう。帰りたくなーい!を連発するのであった。夕方帰り着いた東京は、まるで夏。当然、夕飯は抜きである。土日は全く本は読めず。

2001.0511(金)

 怪しいと思っているうちに、昼時になりものすごい雨足の雷雨である。小一時間続く。それよりは短時間だが、その後2度ほど繰り返す。まだ5月なのに。

 雷雨の間隙を縫って、ぱそ子が到着。だいたいの設定は業者が済ませてくれたが、結局職場内部のネットワークが繋がらない。この部署はサブネットが組んであるのでそのせいで他の部署とは設定が違うらしいが、まだこの部署でMeを導入した人がいないのでどこをいじったらいいのか「自分でやってみてください」と言われる。ネットワーク管理者の発言かい。そう言われてもわかんないよそんなの(;.;)

 のどがこそばゆく時々まとめて咳が出るが、それ以外は風邪は峠を越した模様。終業時刻にあわてて帰宅し、昨夜出来なかった荷造りをして、子どもたちと一足先に新幹線で信州へ。連れ合いは出先から自宅へ戻り、車で深夜到着。

 車中で昼間読み終わった『20世紀SF4 1970年代 接続された女』収載「七たび戒めん、人を殺めるなかれと」を早足で読み直す。とても心惹かれる作品なのだが、もうひとつ(か二つ)よくわからない。

2001.0510(木)

 五月のかぜをつかまえた。

…というわけで、死亡中。11日(金)夜から13日(日)昼まで、信州で法事のため不在になります。しくしく。

 理研の研究員がアメリカでアルツハイマー関連のサンプルを盗んだ(らしい)件、まずいんでないかい、色々と。

2001.0509(水)
購入本
『MOE 6月号』/白泉社
山田正紀/『チョウたちの時間』/徳間デュアル文庫

 『MOE 6月号』には、たむらしげるの「フラッグマン」という小絵本が挟み込みになっている。たむらしげるが手縫いで作成した、ファンタスマゴリアの世界が描かれた旗の数々なのである。なんて楽しいことを考えるんでしょう。ちくちく、お針仕事をしているたむらしげるさんの姿を想像する(*^_^*)

 「情けを分かつものたちの館」読了、深々とした読後感。この『20世紀SF4 1970年代 接続された女』はなんだか1〜3に比べて買ってすぐ読んでいる人が多いような気がする。自分が今読んでいるからよそでも目に付くのかもしれず、あくまでも「気がする」だけではあるが。つまみ読みしていたはずがいつの間にか全巻読破のつもりになっている。

 すっかり忘れていたが、SFセミナー本会で、新しいカバー絵の『占星師アフサンの遠見鏡』サイン本の最後の一冊を購入したのであった。面白いこと間違いないのに出版当時は売れ行きが良くなかったのでその続編も出なかったとのこと。増刷されたこの機会にぜひ読んで、続編を出してもらいましょう!

2001.0508(火)

 昼前から天気予報通り雨。梅雨みたいなしつこい降り方。10時から、1時から、2時から、4時からと、立て続けにミーティング(疲)。職場を出るのが7時になってしまい、子スズメ2と大スズメ1に電話して家の近所の中華やさんで食事。今日はパソコンのディスプレイを見る時間が少なかったので目の疲れが俄然少ない<あたりまえ。

 『20世紀SF4 1970年代 接続された女』からビショップ「情けを分かつものたちの館」の途中。硬質な暗い輝き。これは「空」とともに初訳。

 SFセミナー本会にてモンモランシ氏より購入の「Void Which Binds」byアンサンブルから氏の"Cryptonomicon"レビュウをば拝読。ボビー・シャフトウって♪ボービーボービーシャーフトウ♪って歌ね?この作品、とっても面白そうなので翻訳希望。『薔薇の名前』『エイト』『ランプリエールの辞書』などが引き合いに出されているのでは興味を抱かずにはいられない。

2001.0507(月)

 流行の(*^_^*)一回休み。ちょっと睡眠不足すぎ。『20世紀SF4 1970年代 接続された女』からライバー「あの飛行船をつかまえろ」読んだ模様(頭が寝ている)。60年代〜70年代SFは、やっぱり思い入れが深いです。

2001.0506(日)

 普通の日曜日を過ごす。思いの外天気が良く、喜んで大物の洗濯に取りかかり全自動洗濯機を5回まわした。強い日差しに驚き、薄いインド綿の長袖シャツに、ツバが日光に当たると紫色に変色するサンバイザーを「装着」して外に出る。3時過ぎからマンション裏のちょっと穴場の静かで緑一杯の公園に次男と行く。昨日の野川公園でも見かけたが、ここでも桐の花が真っ盛りで、独特の甘く奥ゆかしい匂いを吸い込む。アゲハが何匹も飛んでいる。この時期の私の楽しみは野ばらの花だ。奥の方にひとかたまり、立派に蔓を伸ばして咲いているのを発見し、帰りがけに少し失敬して、後で玄関ドアに下げたごく小さい籠にミントと一緒に挿した。あずまやの陰で涼みながら持参の冷たいクマザサ茶で喉を潤す。次男はコマ回しをしていたがそのうち小さいアリンコの観察に熱中し始めた。クッキーのかけらをやっては「クッキー、にんきだね!」と喜んでいる。見るとたくさんいるアリンコというアリンコが、どれも小さいクッキーのかけらを持って、例の歌のようにあっち向きこっち向き走っている。明るく静かで、暑くて涼しい、緑に染まったエアポケットのような時間。日が幾分傾いてきた頃管理人のおじさんが「そろそろ門を閉めますよ〜」と園内を回る。4時半。

 帰宅してもまだ日光で一杯の静かな時間が体中に詰まっている。WOWOWのファントムメナス日本語版(録画)を見ている次男を放って『スターガール』の続きをちょっと読んだが、はっと「そうだ、眠くないうちに英語よもうっ!」と、"Artemis Fowl"に手を出す。読み始めって、なかなか捗らないのよね、と言い訳しつつ…目を覚ましたらご飯の準備の時間になっていた。7ページ(;.;) そのほか『20世紀SF4 1970年代 接続された女』からはラファティ「空(スカイ)」を。今読むとそれほどぶっ飛んでいる感じではないように思ったが、それは昨日のベイリーではむしろアイデアの割に(アイデアのせいで、の方が適当か)頭の固さというか時代のくびきを感じさせられたのとは対照的な意味で、のこと。

 夜再びファントムメナス(字幕版)。母親と別れてクワイ・ガン・ジンについてゆくアナキンの所で現れた長男が「こいつお母さんと別れたくないのに別れちゃったから悪いやつになっちゃったんだ」と言う。「そうなの?」と訊くと「そうだよ!ずっとこのあとお母さんお母さんって言ってるじゃないか!それが迷いに結びついて、迷いが恐れに、恐れが悪につながるんだ!」と妙に力説する。「そ、そうなの?」「そうだよっ!見てりゃわかるじゃないかっ!」と言って去る。何なんだ〜?その後確かにそう言うせりふをヨーダが吐いていたけれど、そこの所に結構こだわってない?>長男

2001.0505(土)

 久しぶりに野川公園に足を延ばし、新緑の中でのんびり…と思いきや、フリスビーならぬフライング・リングと言う直径30cmくらいの平たいリング投げに興じる(疲)。このリング、本気で投げるとびっくりするほど飛距離が伸びる。何でも300mくらい飛ばせるらしい。次男が投げても相当飛び、何回かあたりの木の枝にひっかかって難儀する場面も。あー面白かった!連れ合いが次男の一輪車の特訓をしている間『20世紀SF4 1970年代 接続された女』からバリントン・ベイリー「洞察鏡奇譚」を読む。じっとしているとTシャツ一枚では幾分肌寒い。緑の中でSFでもないかなと思い『スターガール』に乗り換えるが、頭はすっかりSFづいているようで今ひとつ乗り切れない。意外に緑陰の読書にSFは向いているように思えた。夕食後続きを半分くらいまで。主人公の少年はハイスクール2年生なのだが、訳文からすると小中学生のような印象がぬぐい去れない。これが乗れない理由かもしれない。

2001.0504(金)
購入本
中村徹/山岸真編/『20世紀SF4 1970年代 接続された女』/河出文庫

 朝から晴れ、風がひんやりして本当に気持ちよい一日である。空一面の紫外線が見えるようでもある。一日娘のお買い物のおつきあいなど。「子供の日、でしょ!」そ、そんなものが連休中にあったとわ。池袋パルコの地下やP'パルコの、強烈なボリュームで客の意識を麻痺させる戦術の店に連れてゆかれる。どっこも同じ赤や紺のシマシマや水玉のシャツ、スカート。個性なんてあるのか?店員の「いらっしゃいませぇ〜〜〜」という独特の喉を閉めた発声に疲れる。ついでにとか言いつつ自分の服も仕入れる。いえこれはもちろん別の所で。

 ソウヤースタープレックスを読了。SFらしいSFで、宇宙の広大無辺さと深淵を、つまりその空間的時間的広がりを一挙に感じさせてくれた。いわゆるSF的ガジェットや理屈がたくさん出てくるが、別にその理屈がわからなくても全然大丈夫、十二分に楽しめるというとっても親切な作品(だと思う)。銀河系外宇宙のところが好き。ファーストコンタクトについてはうまく行き過ぎだけれど、「こうあらまほしき」姿ということでよろしいのでは>MZTさん。そのぶん既知種族間での摩擦が読者に理解しやすい形で提示されている、ということでしょう。読みどころについては巻末の解説に項目が列挙されているのでそちらに譲る。

 あまりせりふでは活躍しないが素晴らしい働きを見せるのがイルカ族である。以前から私はかわうそ、アシカ、アザラシ、ビーバー、ペンギンなどの水陸両用動物(ん?)が水中を泳ぐ姿が大好きである。本当にきれい、じつに賛嘆に値する姿だと思っている(これが魚となるとちょっと違ってきて、というのはどうも海がダメなのだ。魚は何だか気持ち悪いし、だいたい深海から何か得体の知れないものが出てきそうではないか)。子どもたちが小さい頃、私も一緒にスイミングをやっていて、ドルフィンキックを教わった。バタフライはなかなか苦しいものだけれど、子どもたちと潜って遊ぶときには、この体全体をくねらせて泳ぐイルカ泳ぎが実に楽しいものだと言うことを発見したのである。だって、水中で3次元的に自由自在に向きを変えられるのだもの。イルカになって、魚になって、エラ呼吸が出来るような気すらした。海が怖い私も思い切ってダイヴィングを始めようかと思ったくらい。さて宇宙船スタープレックスに乗り組んでいるイルカ族は、身軽な探査艇を操縦する名人である。その操縦は、水槽に入った彼らのヒレなどにセンサーをつけることにより、その泳ぐ姿をシミュレートする形で行われるのである。だから探査艇は宇宙空間で実に見事なイルカ・ダイヴを見せてくれる。無意味に燃料を食うが、そうやって飛ぶのが面白いのだ!彼らが一所懸命センサーに鼻先を押しつける姿も魅力。
 見方を変えれば、この飛行の気持ちよさや、巻末近くでイルカが人間に対する考えを述べるあたりは、表面的・類型的なイルカのイメージを出るものではないので、物足りなさがあるとも言える。そうしたつっこみを入れ始めるならば多分あっちもこっちも、あれもこれも、と言うことになってしまうだろう。ガラス人間とか、暗黒物質も(*^_^*) けれども私としては作品の全体的な心地よさのほうに軍配を上げたいし、読者が心情的に共感しやすい、問題点を理解しやすいという点でソウヤーのやり方は有効だろうと思う。確かにこの作品は映像化されたら楽しいだろう。あと残るソウヤー作品は『フレームシフト』だが、4月からこっち、すっかりソウヤー月間になってしまったのでちょっとお休みするかも。

 今日届いた『20世紀SF4 1970年代 接続された女』からプリースト「限りなき夏」(新訳)、夏つながりでヴァーリイ「逆行の夏」を読む。前者は美しいです、文字通り絵のよう。ティプトリーJr.を思い出す。またライバー「あの飛行船をつかまえろ」という邦題は実に素晴らしいと思っている。原題"Catch That Zeppelin!"と、直訳なのだけれど、言葉の魔法の一つ。

2001.0503(木)

 雨。こんなに連日天気の悪いゴールデンウィークというのも珍しいように思う。昼からお茶の水でのSFセミナーに参加、午前中はそのために池上永一へ質問事項など書き出したりしよう、と思っていたら、なぜか今日は仕事をしないことに決めたらしい連れ合いが、突然掃除を始める。なんでや〜。2時間ほどおつきあい、結局出かける直前までその後始末にかかってしまい、あわただしく用意をして出かける。あいにくと本降り。会場に着くや、志村さんが見せてくださったのが折り紙製「アフサンの遠見鏡(伸縮自在)」!いやー、「折り紙の殿堂入り」もの。遠見鏡つきアフサン、チョコエッグコレクションと一緒に飾りたい。

 一齣目はいきなり私にとっての今日の本命、池上永一「レキオス、翔ぶ」である。一見フツーの少年のように見えた池上氏は、いったん口を開くや、そのぶっ飛びぶりを発揮し、司会の鈴木力氏はすっかり毒気を抜かれっぱなし(がんばれ、チカラっ!)。聴衆は笑いっぱなし、受けまくり、私は何度涙を拭いたことか(>レポート)。終了後舞台袖に『風車祭』を持ってサインを頂きに行ったが、意外にふたたびフツーの感じにもどっておられ、サインも大変几帳面に書いてくださった\(^o^)/

 二齣目以降は追ってレポ(するかも)。最後の「『SF』とのファースト・コンタクト−瀬名秀明、SFに対するアンビバレントな思いを語る」は、スライド40枚を用いた、学会発表のパロディのようなもので、これまた笑い涙。「これはSFじゃない!」は今日以降禁句のこと。データの統計処理お待ちしてます。

 諸般の事情により、閉会後あわただしく帰宅。ご飯くらい一緒にみんなと食べたかったよー。

2001.0502(水)

 またまた今日も曇り〜雨、夜になって本格的に降ってきた。4月の気温が高すぎたにしても、今になって吐く息が白いほどの寒さとは、いったいどうなっているのだろう。

 先週の火曜に職場でぱそ子を発注、納期が6日と言われたが、その後でちょうど連休を挟むことに思い当たった。その後業者からはいっこうに連絡がないけれど、いったいいつ届くのやら。不便なんですー。

 『スタープレックス』を読んでいると、何となくどこか既視感が、あるいは既読感があるように思える。それはどこの世界だったろうと、ぼーっと意識を解放していると、どうやらラリイ・ニーヴンのような気がする。特に似ているというわけではないのだが、そう言えばソウヤーは先日のインタビュー@カナダSFで、ラリイ・ニーヴンの異星人が好きといっていたのを思い出す。

2001.0501(火)
購入本
オリヴァー・サックス/『サックス博士の片頭痛大全』/ハヤカワ文庫NF
ニール・スティーブンスン/『
スノウクラッシュ(上)(下)』/ハヤカワ文庫SF
トーベ+ラルス・ヤンソン/『ムーミンコミックス10 春の気分』/筑摩書房

 帰ってきた次男がランドセルをおろしながら言う、「ママ、今日は体操着いらないって言ったけどみんな持っていったよ」 「え、どういうこと、体育がないのに月曜日には持っていくことになってるの?」 「…そう。」 このあたりで、もしや?とひっかかる事あり。昨晩は帰宅が遅かったので、特別に私が時間割をそろえてやったのだ。「月曜日は、こくご、こくご、おんがく、せいかつ、っと。」 …何も言わずに時間割を確認する。
\(~o~)/きょうは火曜日だぁ〜。ごめんよ息子。

 ソウヤー『スタープレックス』読み始め。SFセミナー特別編でソウヤーの訳者内田昌之さんにお目にかかったが、まだ学生のような感じの青年然とした方。そうと教えられて「わっかい〜!」と小声で叫んでしまった。訳文の日本語のこなれ具合が気に入っているのだが、ご本人を見てなぜか納得したのであったよ。

 波津彬子のサイト「波万波」が稼働!(リンクフリーではありませんという但し書きがある>http://www15.u-page.so-net.ne.jp/rj8/namippa/)たいそう美しうございます。姫も。

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ニムの木かげの家
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最終更新
2001.12.31 01:11:42