第24回 fukuiスーパーレディース駅伝競走大会


立命館大学Aが堂々の初制覇!


 第24回fukuiスーパーレディース駅伝は11月09日(日)、実業団、大学、各県選抜46チームの参加で争われ、立命館大学Aチームが実業団チームをおさえて初優勝しました。
 1区で3位と好位置につけた立命館大Aは2区の駒井直美がのこり1qでパナソニック、スズキをかわしてトップをうばい、3区以降のランナーも快走、まったく他のチームをよせつけず、あとは差がひらくばかり。最後は独走でゴールにとびこんでゆきました。
 2位には後半に追ってきた九電工、3位にはスズキがはいりましたが、全般的には学生チームの健闘が目立ち、上位10位のうち6チームを占めるというありさまでした。


◇ 日時 2008年 11月 09日(日)12時10分スタート
コース:福井県営陸上競技場〜堀ノ宮町〜福井県営陸上競技場  日本陸連公認30kmコース
天候:曇り  気温09.5度 湿度87% 風:0m(正午) 
立命館大学A(小島一恵、駒井直美、田中華絵、竹中理沙、岩川真知子、沼田未知)


学生チャンプがまさに王者の走り!
(2008.11.13)
なんとも希有な女子駅伝

 晩秋の福井市街に全国から女性ランナーがつどい、華やかに駈けぬける。実業団チームも大学生チームも、クラブチームも、地域選抜もなんでもござれ……。みんないっしょに走りましょう……というような、めずらしい女子駅伝である。
 ライブ放送ではなくて、深夜の2時過ぎからのビデオ放映、しかも時間短縮された編集画面だから、とてもレース全体を俯瞰するかたちでの観戦はできない。ほとんどが上位3〜5チームぐらいの動静のみしか捕捉できないという、なんとも窮屈な観戦になってしまう。
 それにしても……。
 立命館大学の強さはきわだっていた。2区でトップに立つと、もはや他のチームの追従をゆるさなかった。ケニアからの助っ人をもつ九電工、スズキもパナソニックもまるで歯がたたなかったのだから……。


勝負は1区で決した!

 勝負はすでにして1区で決していた。
 C・ムヤンガ(パナソニック)、P・マチャリア(スズキ)という新顔のケニア人ランナーがいながら、1q=3:19という比較的ゆっくりしたはいり、これでは大学生ランナーもついてくる。
 中盤からはようやくケニア人2人がひっぱる展開になったが、立命館大Aの小島一恵が積極的にくらいついていた。果敢についていったのが功を奏したというべきか。
 残り1qでムヤンガ、マチャリアの競り合って抜けだし、小島がおいかけるという展開、最後はパナソニックのムヤンガが区間を制したが、立命館大Aの小島一恵がわずか14秒おくれの3位につけていた。
 優勝候補の一角とみられていた九電工の1区・江崎由佳はトップから1:15、3位の立命館大Aからも1分もおくれて、なんと14位とほとんどブレーキ状態、はやくも圏外に去ってしまう。
 学生チームの健闘が目立ち、4位には佛教大Aがつけて、トップから40秒おくれれ、5位には名城大Bがつけて42秒おくれ……。
 2区は3qという短い距離だが、ここで明暗がくっきりと分かれた。トップをゆくパナソニックの田鍋舞、2位のスズキ・坂井彩奈は牽制しあったわけでもあるまいが、いまひとつのデキで、後ろからやってくる立命館大Aの駒井直美の姿がぐんぐんとちかずいてくる。
 駒井は1年生ランナーだが、スピードにのって追いあげ、残り1qで14秒あった差をつめてきて、田鍋と坂井をいっきにぬいてトップをうばってしまう。小島の勢いをしっかりうけついで一気にトップに立つのである。
 九電工は2区を終わっても10位、いぜんとして下位に低迷していた。


畏るべき大学1年生ランナーたち

 2区をおわってトップをゆくのは立命館大A、2位は5秒おくれでスズキ、3位は6秒おくれでパナソニックがつけており、3位のパナソニックと4位の名城大Aまでは14秒あまりも差があり、優勝争いは3チームにしぼられたかにみえた。
 だが立命館大Aは3区でも強かった。先の全日本大学女子駅伝でも快走した田中華絵が後続との差をぐんぐんとひろげてしまう。
 さらに4区の竹中理沙も好調な走りをみせ、4区終了時には2位との差を26秒にしてしまう。追っかけていたはずのパナソニックは名城大Bにもぬかれて3位、トップの立命館Aからなんと55秒もの大差をつけれらてしまうのである。
 立命館大と名城大との勝負づけは、すでにして全日本で決している。4区で26秒差の2位まできたが、もはや敵ではない。
 かくして4区終了時点で、立命館大Aの初優勝は決定的なものとなってしまったのである。
 立命館大Aのオーダーには切れ目というものがなかった。5区の岩川真知子も突っ走った。2位・パナソニックとの差を1分16秒までにひろげると、アンカーは1年生ながら学生女子10000mチャンプの沼田未知にタスキがわたる。
 沼田の先の全日本と同じように快走した。軽快なキレのある走りである。髪をゆさゆさとゆれ、ときおり光を撥ねるメガネの奥の眼がするどい光をはなっている。膝にしたがすくっとのびる走りはみごとというほかない。
 最終区には九電工のケニア人ランナー・ワルグルやパナソニックの平良茜、スズキの赤川香織、佛教大Aの西原加純など有力ランナーがいたが、終わってみれば沼田が区間賞をもぎとっていた。


時代が変わりつつあるのか?

 立命館大Aの勝因はひとくちにいえば選手層の厚さというべきか。区間賞は6区の沼田だけだが、あとの5人のランナーはすべて区間3位までにはいっている。しかも1区の小島一恵のみが3年生で、残りの5人はすべて1年生という布陣である。底知れぬ強さというべきか。学生の優勝は10年ぶりだという。
「勝ちにこだわっています。勝ちつづけるために前だけをみつめて走ります」
 立命館大のエース・小島一恵のことばだが、6人のランナーすべてが、そのように肝に銘じているようだった。
 2位の九電工は5区の奥永美香と6区のワンゲルのふたりで、ようやく2位までやってきた。その地力はさすがと思わせるが、優勝争いができなかったうえに、学生チームにやぶれるようでは12月の全日本でもあまり期待できないだろう。
 パナソニックにしてもスズキにしても同じことがいえるだろう。気が付いてみるとベスト10のなかに学生チームが6つも名をつらねている。もしかしたら女子長距離の勢力地図がかわりつつあるのかもしれない。
 それにしても……。
 大学生のレベルがあがったのか? それとも実業団の力が落ちているのか? 今回のレースだけでは、どちらともいえないだろうが、総体的に大学女子のレベルが上向きになっているように思える。
 かつて、高校生のエリートランナーたちは、こぞって実業団の有力チームにはいったが、昨今では受け皿となるチームがすくなくなっている。そこそこ力のあるランナーでも大学で競技をつづけるという道をえらぶケースもふえている。
 大学生でも実業団の選手と互角にわたりあえるランナーがでてこないと、日本女子のレベルの向上はない。立命館大や名城大、あるいは佛教大の活躍は、あるいはそういう時代が到来する予兆なのかもしれない。ぜひ、そうああってほしいものである。


出場チーム&過去の記録

出場チーム






関 連 サ イ ト

福井TVオフィシャル


駅伝TOP
駅伝ひとくちメモ
駅伝BBS






総 合 成 績
順位 チーム名 記  録
立命館大学A 1時間36分17秒
九電工 1時間37分51秒
パナソニック 1時間37分54秒
佛教大学A 1時間38分22秒
名城大学B 1時間38分37秒
スズキ 1時間39分14秒
立命館大学B 1時間39分27秒
京都産業大学 1時間40分51秒
名城大学C 1時間41分11秒
10 ヤマダ電機 1時間41分46秒
11 アコム 1時間42分23秒
12 佛教大B 1時間43分04秒
13 東京農業大学 1時間43分04秒
14 名城大学A 1時間43分19秒
15 北国銀行 1時間43分27秒
16 福井県選抜 1時間43分43秒
17 玉川大学 1時間43分52秒
18 愛知電機 1時間44分18秒
19 小島プレス 1時間45分12秒
20 愛知県選抜 1時間45分47秒
21 長野県選抜 1時間45分20秒
22 新潟県選抜 1時間45分58秒
23 神戸学院大学 1時間46分44秒
24 光華女子大学 1時間47分01秒
25 岐阜県選抜 1時間47分33秒
26 福岡大学 1時間47分43秒
27 石川県選抜 1時間48分32秒
28 大阪学院大学 1時間48分51秒
29 大阪人科大学B 1時間49分17秒
30 中京女子大学 1時間50分07秒


区 間 最 高
区間 距離 選手名 所属 タイム
 6.0 C・ムヤンガ スズキ  18:48
 3.0 桑城 奈苗 アコム   9:16
 4.0 西川 生夏
川井 美佳
名城大学B
名城大学A
 12:42
 4.0 石橋 麻衣 佛教大学A  12:58
 5.0 奥永 美香 九電工  15:57
 8.0 沼田 未知 立命館大学A  25:53

総合成績の詳細はこちら



バックナンバー
22008-2009 駅伝時評プロローグ
第20回 出雲全日本大学選抜駅伝
第85回 箱根駅伝予選会
第26回 全日本大学女子駅伝
第19回 東日本実業団女子駅伝
第40回 全日本大学駅伝
第24回 東日本女子駅伝
第24回 fukuiスーパーレディース駅伝
第20回 国際千葉駅伝
第28回 全日本実業団女子駅伝
男子59回・女子第20回高校駅伝
第53回 全日本実業団駅伝
第85回 箱根駅伝
第27回 都道府県対抗女子駅伝
第14回 都道府県対抗男子駅伝
第6回全日本大学女子選抜
第27回 横浜国際女子駅伝
2008-09駅伝時評 エピロローグ
TOPへ][駅伝TOPへ






Copyright (c) 2006 FUKUMOTO TAKEHISA. All Rights Reserved.