ウィスキーの語源

UISGE BEATHAはどう読む?

 UISGE BEATHA(ウースカ・ベーハ)。これはゲール語で「命の水」を意味する。しかし、この「命の水」を意味するゲール語は幾つかある。USQUEBAUGH(ウスケボー)、USQUAEBACH(ウシュクベー)等がそうである。この中でもUSQUAEBACHはこれを銘柄とするブレンデッドウィスキーがあることからも知っている人は多いだろう。このUSQUAEBACHというウィスキーは数あるウィスキーの中でも最古の歴史を持ち、最高のプレミアムウィスキーとして不朽の銘酒の名を欲しいままにしている。


ウィスキーの元祖

 さて、ウィスキーの語源を考える為には、蒸留という技術の歴史について触れなくてはならない。蒸留の技術はBC3〜4世紀にアレキサンドリアを中心に生まれた錬金術で使われた。この技術はイスラム文化圏の中で育ち、ヨーロッパ全土に広がっていった。この技術を追及していたのが錬金術師であった。彼らは金を造るという目的は結局達成できなかったが、蒸留という技術からスピリッツを偶然造りだしたのである。


 13世紀の修道士兼錬金術師である、レイモンド・ルルはこのスピリッツに対し「神から発散したもので人類のエネルギーを復活させるもの」と言っている。このスピリッツを「生命の水」という意味を込めて「AQUAVITAE(アクアヴィテ)と呼び、ヨーロッパ全土にこれを造り出す技術が広まった。もともとAQUAVITAEは蒸留されてできるスピリッツの総称であったが、ウィスキーの祖である大麦の蒸留酒は、1171年にアイルランドの現地人が飲んでいるのを発見された(詳しいことはHISTORYのページを参照)。アイルランドのゲール人たちは穀物(大麦)を原料としたAQUAVITAEをこの時代から造っており、これがウィスキーの元祖と考えられている。


UISGE BEATHAからWHISKYヘ

 アイルランドに住むゲール人達はこのAQUAVITAEをゲール語で同義語となる「UISGE BEATHA」と呼んでいた。現在知られているUISGE BEATHAの同義語である、USQUEBAUGH等はUISGE BEATHAというゲール語を耳にした人が音を英語風に文字を綴った時にできた言葉らしい。従って、意味は同一で使い分けもないのである。これらのことを考えると、大麦の蒸留酒はAQUAVITAEであり、ゲール人達がそれと同じ意味であるUISGE BEATHAと呼び、時が経つにつれてUSQUAEBAUGH(ウスケボー)となり、USKY(ウスキー)、WHISKY(ウィスキー)と変わっていったと考えられる。


 このWHISKYという言葉が登場したのは18世紀になってからで、1715年にあるスコットランドの本に登場したのが初めてである。日本では1871年に最初の輸入がされているのでその時が初めてと考えても良いだろう。

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