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「<柊の僧兵>記」
菅 浩江(徳間デュアル文庫)
白い肌を持つ少年ミルンは、自分の運命を呪う。“白い子供”と呼ばれる彼らは、過酷な砂漠で時折生まれる、悪しき伝承によって語られた忌むべき存在だったのだ。しかし、村が謎の侵略者に襲撃され、何故かミルンと、やはり白い肌をもつ少女アジャーナだけが生き残る。二人は真実を知るために“柊の僧兵”を探す旅に出ることにした。
(2000/11/27読了)
「ラビリンス<迷宮>」
新井 素子(徳間デュアル文庫)
男にも負けぬ、村一番の狩人サーラと、聡明で旺盛な好奇心を持つ、神官の娘トゥード。彼女たちには、過酷な運命が待ちかまえていた。6年に1度の生贄の儀……人を喰らう神に捧げられることとなったのだ。そして、神の住む“迷宮”で彼女たちは、予想もしなかった“世界の真実”に出会う。
(2000/11/24読了)
「倒錯の帰結(首吊り島 監禁者)」
折原 一(講談社)
日本海の孤島で起こる連続密室殺人事件「首吊り島」と、東京のアパートの一室での不可解な監禁事件「監禁者」。二つの物語は、袋とじに封印された「倒錯の帰結」によって結ばれる。前代未聞、前からも後ろからも読める本。
(2000/11/23読了)
「ダックスフントのワープ」
藤原 伊織(文春文庫)
大学の心理学科に通う“僕”は、ひょんなことから自閉的な少女、下路マリの家庭教師を引き受けることになる。“僕”は彼女の心の病を治すため、異空間にワープしたダックスフントの物語を話し始めるが……。表題作他、三篇を収録している。
(2000/11/15読了)
「製造迷夢」
若竹 七海(徳間文庫)
薬でラリっていたところを保護された12歳の少女、野中亜実は、ちょうど署に逮捕されてきた万引き主婦のふくらはぎに噛みつき、全治2週間の怪我を負わせてしまう。取り調べで亜実は、かつて主婦が自分を殺したから、転生した自分が復讐したのだと主張するが……。
刑事である一条風太と、人の残留思念を読むことができるという井伏美潮。2人の複雑な関係と、2人の周辺で起こる事件を描いた短編集。
(2000/11/11読了)
「なつこ、孤島に囚われ。」
西澤 保彦(祥伝社文庫)
異端の百合族作家、森奈津子は見知らぬ女に拉致され、離れ小島に軟禁されてしまう。だが、意外にも上機嫌な彼女。紺碧の海は美しく毛蟹は食べ放題で、まさしくパラダイスだったのだ。彼女はこの島を「ユリ島」、向かい側に見える島を「アニキ島」と名付け、誘拐を満喫。ところが一週間後、アニキ島で死体が発見される。妄想癖の強い奈津子は“とんでもない推理”を打ち立てるが……。
(2000/11/07読了)
「流血女神伝 砂の覇王(3)」
須賀 しのぶ(集英社コバルト文庫)
サジェ―妾妃ギュイハムに毒を盛った、という理由で再び投獄されたカリエ。処刑を前に王子バルアンに直訴する機会を得たのだが、彼はカリエの話などろくに聞かず、それどころか、エディアルドとの密通の疑いを調べるためにカリエを抱こうとする。鳥肌をたてるほど抵抗するカリエ。冤罪を証明し処刑を免れるためには、カリエはバルアンを受け入れるしかないのだが……。
(2000/11/07読了)
「クール・キャンディー」
若竹 七海(祥伝社文庫)
「兄貴は無実だ。あたしが証明してやる!」誕生日と夏休みの初日を明日に控え、胸弾ませていた中学生の渚。だが、愉しみは儚く消えた。ストーカーに襲われ重態だった兄嫁が他界し、さらに、同時刻にそのストーカーも変死したのだ。しかも警察は、動機充分の兄、良輔を殺人犯として疑っている!? 果たして、渚の夏休みはどうなるのか?
(2000/11/02読了)
「puzzle」
恩田 陸(祥伝社文庫)
学校の体育館で発見された餓死死体。高層アパートの屋上には、墜落したとしか思えない全身打撲死体。映画館の座席に腰掛けていた感電死体……廃墟の島で見つかった、奇妙な遺体たち。しかも、死亡時刻も限りなく近いという。偶然による事故なのか、手の込んだ殺人なのか? この謎に、2人の検事が挑む。
(2000/11/01読了)

「朱色の研究」
有栖川有栖(角川文庫)
「2年前の未解決殺人事件を再調査してほしい。これが先生のゼミに入った本当の目的です」臨床犯罪学者、火村英生が過去の体験から毒々しいオレンジ色を恐怖する教え子、貴島朱美から突然の依頼を受けたのは、一面を朱で染めた研究室の夕焼け時だった。早速、火村は友人で推理作家の有栖川有栖とともに調査を開始したとたん、新たなる殺人が……
(2000/10/31読了)
「西の善き魔女 外伝2 銀の鳥プラチナの鳥」
荻原 規子(C・novels fantasia)
東の帝国ブリギオンが、亡国の王子を追って砂漠に侵攻!? 女王候補アデイルは真相を探るため、女学校の親友ヴィンセントとともにオアシスの国トルバートに向かう。異教徒と隊商の集うその街で少女と若き傭兵ティガが出逢った時、星明かりの下、白刃が閃いた。帝国の策謀を防ぐことはできるのか。
(2000/10/26読了)
「病の世紀」
牧野 修(徳間書店)
続発する猟奇殺人は、「病人」たちの仕業なのだろうか? 未知のウイルスが起こす、恐怖の奇病の数々。長編ホラー小説。
(2000/10/22読了)
「魔剣天翔」
森 博嗣(講談社ノベルス)
航空ショーで、アクロバット演技中のパイロットが撃たれて死んだ。航空機は二人乗りで、パイロットが座っていたのは後部座席。しかし、撃たれたのは背中からだった……。犯人は一緒に搭乗していた女性記者なのか? 衆人環視の中、成立した空中の完全密室。シリーズ最高難度の謎を、没落した名家の令嬢、瀬在丸紅子とその仲間たちが解き明かす。
(2000/10/20読了)
「占い師はお昼寝中」
倉知 淳(創元推理文庫)
渋谷のおんぼろビルにある「霊感占い所」には、怪異な現象に悩むお客さんがやって来る。彼らの相談に応えて占い師の口から飛び出すのは、三度狐に水溶霊と、珍奇な妖怪の名前ばかり。それらは全部インチキだが、しかし彼の「ご託宣」はいつも見事に怪異の裏に隠された真実を突く。霊感は無いが推理は鋭い辰寅叔父の、昼寝と謎解きの日常を描いた安楽椅子探偵連作集。
(2000/10/18読了)

「八月の降霊会」
若竹 七海(角川文庫)
一通の手紙「降霊会のお知らせ」、全てはそこから始まった。富士山麓の山荘に集められた一見、何の接点もない人々。単なる娯楽でしかないはずの降霊会だったが、霊媒師の口から出てきたのは、誰も知るはずのない招待客の秘された過去だった……。死体、人骨、異様さを増していく山荘。降霊会に絡んだ忌まわしき意図とは? 招待客の点が線で結ばれた時、すべての謎が明らかになる!?
(2000/9/12読了)
「DIVE!! 1 前宙返り3回半抱え型」
森 絵都(講談社)
「おれたちの生活って、いつも採点されたり、減点されたりの繰り返しなんだ。おれ、そういうのを飛込みで越えたくて」。日本ではまだマイナースポーツの水泳競技“飛び込み”。学園生活を送りながらダイビングクラブに通い、オリンピックを目指し始めた少年ダイバーたちの物語。著者、初の「スポ根」小説。
(2000/9/5読了)
「またたび浴びたタマ」
村上 春樹 文/友沢 ミミヨ 画(文芸春秋)
“アリバイが苦いバリア”“伊良部、縞柄が増し、無頼”“浦和で蒔いた、ははは、と母は大麻で笑う”……といった一見、意味不明な44個の回文に素敵なショートストーリーと友沢ミミヨの味のある画が付いた、究極の回文50音かるた。
(2000/9/1読了)

「鵺姫真話」
岩本 隆雄(ソノラマ文庫)
姫森神社には、御神木に宿る『鵺姫様』に25年の寿命を差し出せばどんな願いも叶う、という伝説があった。ある夜、高校生の川崎純は境内で、小学生の男の子が巨大な生首に追いかけられているのを目撃する。耳のあたりからコウモリの羽をはやした生首。それは、まさに絵巻物に描かれている鵺姫そのものだった。一体、この少年は何を願ったのか? そして、巻き込まれた純の運命は!?
(2000/8/31読了)
「星虫」 ★
岩本 隆雄(ソノラマ文庫)
宇宙に憧れ、将来は宇宙飛行士としてスペースシャトルを操縦することを夢見る高校生、氷室友美。そんな彼女が夏休み最後の夜に目にしたのは、無数の光る物体が空から降ってくる幻想的な光景だった。後に“星虫”と呼ばれるこの物体は、人間の額に吸着することで宿主の感覚を増幅させる能力を持った宇宙生物だった。友美もすっかり星虫に夢中になるが……。
(2000/8/31読了)
「機械仕掛けの猫(上)(下)」
トリイ・ヘイデン/
入江真佐子 訳(早川書房)
自閉症と診断された9歳の少年コナーは、ぬいぐるみの猫を決して手放さず奇妙な言葉をつぶやく。その不可解な言葉は何を意味するのか。謎が明かされるにつれて、彼の母親の恐ろしい過去を掘り起こしていく。猫は知ってる、真実が何かを……。現実と空想を巧みに織りまぜ、ふたつの心の軌跡を描く。
「シーラという子」等、子供も題材にしたノンフィクション作品で有名な教育心理学者による、初のフィクション作品。らしい。
(2000/8/28・29読了)
「かくれんぼが好きな猫」
リタ・メイ・ブラウン&スニーキー・パイ・ブラウン/
茅律子 訳(ハヤカワ・ミステリ文庫)
トーマス・ジェファーソン大統領が「独立宣言」を書いた場所として有名な、ヴァージニア州モンティチェロ。その一帯を発掘調査していた研究者が、古い人間の頭蓋骨を発見した。探偵猫(?)ミセス・マーフィーが見つけた頭蓋骨のキズから、それはどうやら100年以上昔に殺害された男性の骨であると判明。かの有名な『独立宣言』で知られる大統領と、その人骨に繋がりがあるのか? おなじみ、クロゼットの住民達は、謎を解明しようとするが……。
(2000/8/16読了)
「依存」
西澤 保彦(幻冬舎)
「ぼくには、実の母親に殺された双子の兄がいたんだ」
匠千暁の双生児の兄を殺した母、美也子が再び千暁の前に現れた目的とは何なのか? 今、最大の危機が千暁を襲う。匠千暁シリーズ第6作。
(2000/8/14読了)
「雪のなかを走る猫」
リタ・メイ・ブラウン&スニーキー・パイ・ブラウン/
茅律子 訳(ハヤカワ・ミステリ文庫)
ミステリ界初(?)の、猫が著者というキャット・クライムシリーズ第2弾。主人公は作者のスキーニー・パイと良く似たトラ猫のミセス・マーフィ。コーギー犬のティー・タッカーと共に、片田舎で起こったバラバラ殺人事件を、そのあふれる好奇心と観察力で解決へと導く。
(2000/8/14読了)

「童話物語」 ★
向山 貴彦(幻冬舎)
永遠の世界からやってきた妖精フィツにとって、地上世界は不思議なところだった。フィツが地上にいられるのはわずか9日間。その限られた時間で、最初に話したひとりの人間を観察し答えを出さなければならない。世界は滅びるべきなのか……。フィツが最初に出会ったのは、きわめて性格の悪い少女ペチカだった。
(2000/7/11読了)
「予知夢」
東野 圭吾(文芸春秋)
16歳の少女の部屋に男が侵入した。「君が生まれる前から、僕たちが結ばれることは決まっていた」それは、男が小学4年生の時に書いた作文。タイトルは「僕の夢」。17年前に男が見たという夢は妄想なのか、それとも……。
(2000/7/6読了)
「女王の百年密室」 ★
森 博嗣(幻冬舎)
女王が統治する幸福で豊かな楽園、“死”という概念を持たず、不満も恨みもない世界で起こった謎の殺人事件。完全なる密室、そして、完全なる犯罪。誰が、どうやって、何のために……? 僕とパートナのロイディは推理を開始する。しかし、住民たちは“殺人”の存在さえ認めないのだった。
(2000/7/5読了)
「ショート・トリップ」 ★
森 絵都(理論社)
“旅”をキーワードにつづられた、超短編集。毎日中学生新聞に「Further sight 旅のかけら」として連載されたものの中から40編を選び、加筆されている。
(2000/7/3読了)

「スウェーデン館の謎」
有栖川 有栖(講談社文庫)
ミステリ作家、有栖川有栖が取材で訪れた雪深い裏磐梯には、スウェーデン館と呼ばれるログハウスがあった。そこで深い悲しみを湛えた殺人事件に遭遇した有栖川と犯罪臨床学者、火村英夫のコンビ。国名シリーズの第2弾。
(2000/6/27読了)
「亜愛一郎の狼狽」
泡坂 妻夫(創元推理文庫)
主人公、亜愛一郎(あ・あいいちろう)は、背が高く端麗な顔立ちの青年カメラマン。その外見に反して運動神経は0に等しく、ドジな行動を繰り返すイマイチ、パッとしない彼なのだが、ひとたび事件に遭遇すると持ち前の独特の論理を展開して並外れた推理力を発揮する。彼の初登場作品となる「DL2号機事件」を含む、短編集。
(2000/6/20読了)
「星の王子さま(オリジナル版)」
サン・テグジュペリ/内藤濯(ないとうあろう)訳(岩波書店)
サハラ砂漠に不時着した飛行士と、本当の事しか知りたがらない星の王子さまとのふれあいを描いた、永遠の名作。作者の生前に唯一、出版されたという1943年の米国版に基づいている。
「心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。かんじんなことは、目に見えないんだよ」
(2000/6/7読了)
「記号を喰う魔女」
浦賀 和宏(講談社ノベルス)
「僕が死んだ時、居合わせた人間達を僕が生まれたあの島に向かわせてください」そう遺言を残して、中学生が自殺した。孤島を訪れた5人の同級生を襲う殺戮劇。死体には全て「逆さV」の記号が残されていた……。
(2000/6/7読了)
「ロシア紅茶の謎」
有栖川 有栖(講談社文庫)
奇怪な暗号、消えた殺人犯人、ダイイングメッセージ、毒殺トリック、“読者への挑戦”付き犯人探し……etc。臨床犯罪学者、火村英生がフィールドワークで遭遇したミステリアスな事件、6作品を収録した短編集。
(2000/6/6読了)

「あいにくの雨で」
麻耶 雄嵩(講談社ノベルス)
町外れの廃墟の塔で、三度起きた殺人事件。高校生の烏兎、獅子丸、祐今は、雪に囲まれたその塔で死体を発見する。死体は、過去の事件の犯人と目され、逃亡していた祐今の父親。現場には、塔に向かう雪上の足跡が残されているだけだった……。雪の密室の謎は!?
(2000/5/31読了)
「46番目の密室」
有栖川 有栖(講談社文庫)
45の密室トリック作品を発表、日本のディクスン・カーと呼ばれるミステリー作家、真壁聖一が殺された。彼は、自ら考え出した46番目の密室トリックによって殺されたのか!? 推理作家、有栖川有栖と臨床犯罪学者、火村英生シリーズの第1弾。
(2000/5/29読了)
「こちら地球防衛軍」 ★
さとう まきこ(講談社)
小学校6年生のぼくとユーリは、ある日、駅の伝言板で不思議な文章を見つけた。「2000年10月2日世界は終わる」世界が終わるまで、あと1週間!? 毎日、書き換えられる文章の謎、世界は本当に終わるのだろうか? そして、その日からカウントダウンが始まった……。
(2000/5/27読了)
「つめたいよるに」
江國 香織(新潮文庫)
現実と幻想の境界を美しく描く童話的世界。「デューク」「桃子」「草之丞の話」などを収録した、9つの短編作品集。
(2000/5/26読了)
「ぼんくら」
宮部 みゆき(講談社)
店子を襲った殺し屋、差配人の出奔、謎の新興宗教騒ぎ……江戸下町の長屋から、ひとりずつ人が消えていく。連続する事件の裏の陰謀に同心、井筒平四郎と超美形少年、甥の弓之助が挑む。長編時代ミステリー。
(2000/5/24読了)
「正月十一日、鏡殺し」
歌野 晶午(講談社文庫)
「カチカチ鳥を飛ばせ」という謎の電話を傍受した予備校生は、そこに犯罪の臭いを嗅ぐ(「盗聴」)。猫マニアの恋人を持つサラリーマンが取りつかれた狂気(「猫部屋の亡者」)などを収めた短編集。
(2000/5/23読了)
「夢・出逢い・魔性」
森 博嗣(講談社ノベルス)
Vシリーズ4作目。「夢の中の女に殺される」……N放送のプロデューサは、20年以上前に死んだ恋人の夢に怯えていた。香具山紫子、小鳥遊練無、瀬在丸紅子の3人は(紫子以外、偽の)女子大生として、彼のクイズ番組に出場することになるが、そこで殺人事件が起きる……。
(2000/5/17読了)
「仮面の島 建築探偵桜井京介の事件簿」
篠田 真由美(講談社ノベルス)
今回の舞台はイタリア。神代教授につれられヴェネツィアにやってきた桜井京介と、それを追ってきた深春と蒼の一行。彼らは複雑な事件に巻き込まれ、さらに2つの殺人事件が起こる。小島に隠棲する謎の未亡人、亡き夫の息子が企てる島の売却、招待した女性ライターの失踪、未亡人に寄りそう女彫刻家の過去……。
(2000/5/17読了)

「乱れからくり」 ★
泡坂 妻夫(創元推理文庫)
玩具会社の部長馬割朋浩は偶然、降ってきた隕石に当たり、命を落としてしまう。その葬儀も終わらぬうちに、彼の幼児が誤って睡眠薬を飲んで死亡。さらに死神に魅入られたように、馬割家の人々に連続して不可解な死が襲う。
一族の秘められた謎と、ねじ屋敷と呼ばれる同家の庭に造られた巨大迷路に隠された秘密を巡って、男まさりの女流探偵と新米助手の捜査が始まった……。
日本推理作家協会賞受賞作。
(2000/4/27読了)
「遠きに目ありて」
天藤 真(創元推理文庫)
成城署の真名部警部は、偶然知り合った脳性マヒの少年の並外れた知性に瞠目するようになる。教えたばかりのオセロゲームは、たちまち連戦連敗、そして、たまたま抱えている難事件の話をしたところ、岩井信一少年は車椅子に座ったまま、たちどころに真相を言い当てた……。
(2000/4/22読了)
「永遠の仔(上)(下)」
天童 荒太(幻冬舎)
1人の少女、久坂優希と2人の少年は、親から虐待を受けて育った。霧の霊峰で3人が起こした“聖なる事件”。その秘密を抱えたまま別れた3人が、17年後に再会を果たした。
優希は看護婦、2人の少年は弁護士と刑事になって、それぞれが一見、平穏な生活を送っていた。だが、過去を探ろうとする優希の弟、そして殺人事件の捜査によって、そんな3人の平穏な日々は終わりを告げることになる。連続殺人事件、優希の母の死、17年前の聖なる事件、その霧に包まれた霊峰に潜んでいた真実とは……。
(2000/4/14・18読了)
「炎の背景」
天藤 真(創元推理文庫)
新宿歌舞伎町で酔いつぶれた「おっぺ」こと小川兵介は、見馴れぬ場所で目を覚ました。傍らには初対面の女の子、通称ピンクルと、もうひとり恰幅のいい中年男。男の脇腹には深々とナイフが刺さっており、とっくに死体と化している様子。山荘の屋根裏に閉じ込められている状況下、ラジオのニュースから、 罠に落ちたことを知る。
突然、爆発した山荘から命からがら脱出した2人は、事件の真相を求める……。
(2000/4/11読了)
「ニッポンの猫」 ☆
岩合 光昭:写真と文(新潮社)
北海道天売島から沖縄県竹富島まで、日本各地の猫が登場。『SINRA』誌連載の「ニッポンの猫」のうち、99年4月号から2000年3月号までが再編集して、まとめられている。
(2000/4/10読了)
「名探偵は密航中」
若竹 七海(光文社 カッパ・ノベルス)
昭和五年、豪華客船“箱根丸”は倫敦に向けて旅立った。兄の命令で海外旅行記を書くハメになった鈴木龍三郎は、その船に乗り込むことに。しかし、のどかなはずの客船に、たまたま名探偵、猫、じゃじゃ馬お嬢様、女冒険家に宝石泥棒や殺人者までが乗りあわせて……。オムニバスミステリー。
(2000/4/?読了)

「空色勾玉」 ☆
荻原 規子(徳間書店)
五歳の頃に鬼に追われた記憶を持ち、今でもその夢を見続ける村娘狭也(さや)。15になった年の祭の晩に、闇(くら)の一族の者が狭也に告げる「おまえは一族の巫女姫『水の乙女』だ」と。そして、水の乙女の徴の勾玉を狭也に託した。
水の乙女、狭也と風の若子、稚羽矢。相反する2人の冒険物語。神々がまだ、そこかしこにいた豊葦原(とよあしはら)を舞台に、『闇』と『輝』の『最後の戦い』を描き出す。
著者デビュー作。
(2000/3/22読了)
「魔法飛行」
加納 朋子(創元推理文庫)
同著者のデビュー作品「ななつのこ」の続編。前作同様の連作短編集で、やはり日常に潜むミステリーを題材にしている。
駒子は、手紙と称した小説(日常で感じた謎)を書き送る。その手紙の内容と、謎の解答となる相手からの返信。それから、未知の“読者”なる人物からの不気味な手紙。その3つで物語は構成される。
(2000/3/20読了)
「夜の子どもたち」
芝田 勝茂(福音館書店)
周りの人間がみな表情をなくし、石のように見えた……登校拒否に陥った5人の子どもたちには、共通の秘密があった。その心を解放しようと、主人公である新米カウンセラーの正夫は、先輩のルミと協力して調査を開始。しかし、彼らの前には「夜」に関係する謎、カレルピーの伝説、Kプラン、と次々に問題が立ちはだかる……。
(2000/3/13読了)
「リアライン」
飯田 雪子(プランニングハウス ファンタジーの森)
主人公、美由は特別に自然を愛する少女。ある日、彼女“が拾われた” 猫にリアラインと名付けたことから、少しずつ、彼女を取り巻く世界が 変わって行く。
異なるふたつの世界。私達がいるところと同じと思われる現代と、精霊や竜が存在するファンタジー、そのふたつを舞台に物語は展開する。共鳴するふたつの世界や、それぞれの世界で生きる魂のつながり、それから、その人達ひとりひとりの思いが描かれている。
(2000/3/12読了)
「りかさん」
梨木 香歩(偕成社)
雛祭りにようこは、おばあちゃんから「りかさん」という純和風人形をもらう。本当は、友達が持っているようなリカちゃん人形が欲しかったのだけど、せっかくおばあちゃんからもらった人形にケチをつける訳にはいかない。それから、ようこと「りかさん」の生活が始まった……。
生きている人間の強すぎる気持ちを整理し、感情の濁りの部分を吸い取る力を持った「りかさん」とようこのふれあいを優しく描いたファンタジー。
(2000/3/9)
「神の子どもたちはみな踊る」 ☆
村上 春樹(新潮社)
阪神大震災から1ヶ月後の1995年2月、震災の被害を直接受けなかった場所を舞台にした、直接の体験者ではなかった人たちの物語。地震をきっかけに、自分が今まで気がつかなかった心の中の深い場所で、何かが起こる。『新潮』連載「地震のあとで」に書下ろし一篇を加えた、著者初の連作短編小説。
(2000/3/8)
「流血女神伝 砂の覇王(1)」
須賀 しのぶ(集英社コバルト文庫)
皇子の身代わりの立場を捨て、ルトヴィアを脱出したカリエとエド。ふたりは砂漠の国エティカヤを訪れるが、罠にはまって奴隷に売られることに……。
(2000/3/8)
「再生のとき」
飯田 雪子(プランニングハウス ファンタジーの森)
「肝だめしに行こう」と幼なじみの翔太に誘われた、果奈。15歳にもなって、何を子供っぽいことを、と唖然としたものの、翔太の弟、洸太に服の袖を引かれて、結局、降参してしまう。そうして幼馴染み3人で行った、取り壊されるのを待つだけの病院、闇の中から、果奈だけに声をかける者がいた。「助けて。私を殺して」と。
(2000/3/7)
「スバル星人」
大原 まり子(プランニングハウス ファンタジーの森)
運命の人、スバル星人と出会った美夜子。宇宙の彼方から来たという彼、スバル星人が、この世界に来た目的とは……。角川書店88年刊の改訂。
(2000/3/4)

「歯医者として、患者として 歯医者は自分の歯をどうやって治すのか」
田宮 賢一(四谷ラウンド)
歯医者に通ってます。で、その通院の帰り、本屋で思わず手にとってしまった1冊だったりします。
(2000/2/25)
「戦争を演じた神々たち[全]」
大原 まり子(ハヤカワ文庫)
もし、経済が意味をなさない程、豊かな世界があったら? 「戦争の起源」等、戦争の本質をあぶりだす短編集。日本SF大賞を受賞した同タイトル作と、その続編「2」がカップリングされている。
(2000/2/15)
「夏の約束」
藤野 千夜(講談社)
大学卒業後、ひた隠しにしていたのにゲイであることを社内に知られてしまったマルオ、そして、その恋人のヒカル。男性から女性へのトランスセクシュアルである、たま代。傷つきながらも、もうひとつの世界で生きる彼らの姿を描く。芥川賞受賞作。
(2000/2/9)
「てのひらの闇」
藤原 伊織(文藝春秋)
2人の男の運命を決定づけたのは、生放送中のスタジオで発せられた不用意な、しかし致命的な一言だった。20年後、その決着をつける為に1人は自決を、1人は闘うことを選んだ。
(2000/2/5)
「王の眠る丘」
牧野 修(ハヤカワ文庫)
少年、戌児が住む流民の町「灰かぶり市」は一夜にして壊滅した。強大な権力を持つ黄武神皇が支配する帝国「霊ノ国」の軍隊が町を襲ったのだ。復讐を誓う戌児たちだが、神秘の力に守られている神皇を倒す方法はたったひとつ。馬奴(ばど)と呼ばれる獣を操る、長距離レースに優勝しないと、神皇のいる天府に入ることができないのだった。
異世界を舞台に繰り広げられる少年、戌児の成長と、彼らの戦いの物語。
(2000/2/4)
「西の善き魔女 外伝1 金の糸紡げば」 ☆
荻原 規子(中央公論新社 C・NOVELSファンタジア)
北の辺境セラフィールドに暮らす、少女フィリエル。彼女の平穏な世界を乱した闖入者、ルーンは、己の殻に閉じこもり続ける非力な少年だった。だが、聖家族を祝う冬至祭の一夜をきっかけに、彼の閉ざされた心の扉は開いて……。
(2000/2/1)

「SAKURA 六方面喪失課」
山田 正紀(トクマ・ノベルズ)
警視庁六方面管区の綾瀬署にある失踪課の面々は、どうしようもないクズばかり。ついたあだ名は失踪課ならぬ「喪失課」。そんな彼らが出会った小さな事件は町が突然消滅するという事件につながっていく。連作短編集。
(2000/1/31)
「黄金色の祈り」
西澤 保彦(角川書店)
荒れ果てた廃校で、天才ミュージシャンが非業の死をとげた。遺体の傍には、昔、無くなったハズの級友のアルトサックス。死の背後に見え隠れする「青春の罠」とは?
(2000/1/23)
「青の炎」
貴志 裕介(角川書店)
こんなにもせつない殺人者がかつていただろうか。光と風を浴びて、17歳の少年は、海沿いの道を駆け抜ける。愛する妹と母のために、氷のように冷たい殺意を抱いて……。
17歳の少年が主人公。愛する妹と母を守る為に、ある男に殺意を抱き、その実行案をふくらませて行く過程が描かれている。
(2000/1/18)
「悪意」 ☆
東野 圭吾(講談社ノベルス)
人気作家が仕事場で絞殺された。第一発見者はその妻と、被害者の昔からの友人。逮捕された犯人が決して語らない動機に、はたして「悪意」は存在するのか。双葉社96年刊の再刊。
(2000/1/16)
「月は幽咽のデバイス」
森 博嗣(講談社ノベルス)
薔薇屋敷とも月夜邸とも呼ばれる豪邸には、「狼男が住んでいる」という奇妙な噂が囁かれていた。その邸内の一室で若い女性が惨殺されるが、そこは完全な密室状態だった。瀬在丸紅子は事件の真相に迫るが……。
(2000/1/13)
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