護憲という欺瞞 2007.05.04

最近、憲法について書いていない。別に飽きたのでも熱が冷めたのでもなく単に忙しいだけだ。仕事そのものであるISOに関することなら日常の感じている問題点や改善提案を書くだけですむ。しかし憲法となると、やはり小一時間は考えなくちゃならない。まあ、そんなことです。
更新が少ないこともあってか、私の憲法論にご訪問遊ばされる方は非常に少ない。毎日30アクセスくらいである。
ところが、今年の憲法記念日にはなんと130回以上のアクセスがあり、そして憲法記念日当日だけでなくここ数日アクセス数が100以上ある。過去の憲法記念日にはどのくらいアクセスがあったのだろうかと記録を見ると06年には51人、05年には44人、04年は40人であった。そしてそれ以外の日はやはり30くらいしかアクセスがありませんでした。
ということは昨今やはり改憲論議がさかんとなり、関心を持つ人が検索エンジンなどをたどってご訪問されたということだろう。いや、どんなホームページ開設者だって誰も来ないよりは見ていただいた方がうれしいのはもちろんです。せめてこのブームが、若者の肩こりのように一日二日で終わらずに、年寄りの肩こり同様に一週間どころかズット続くことを祈るばかり。
ということで、今回の多数(?)のご訪問に対して、本日は返礼の意味で久しぶりに憲法について書く。
もっとも頭が錆付いて憲法が剣法になったり拳法になったりするかもしれない。

毎年、憲法記念日に近づくと保守、革新を問わず新聞も雑誌も憲法について論じるのが日本の季節の風物詩である。都会では大空に泳ぐ鯉のぼりを見ることもめったにないが護憲、改憲の新聞を見ると5月になったと気付くのである。
特に現在、安倍首相は改憲論者であるために、護憲を社是としている朝日新聞はそれを阻止しようと、なりふりかまわず一生懸命である。私は朝日を購読していないが、インターネットで社説と天声人語は毎日読んでいて、その護憲へのあまりの一途さ(いちずさ)に感動して涙してしまうほどだ。  しかしその護憲の中身であるが、大新聞が語るべき論理的なものから一市民の感情論に成り下がっていると感じている。彼らはともかく憲法改正をさせないことに目的があるようで、この国にあった良い憲法を持とうという考えではないようである。

そもそも、護憲、つまり憲法を改正するなという主張は完全にほころんでいると私は考える。
冷静に考えれば、朝日の主張を実現するためにも、社民党の目指すところを実現するためにも改憲が必須である。「なぜ、いま憲法改悪」などと語るようでは非論理的であると叫んでいると同じことである。
だいたい、天皇を否定し、自衛隊反対を叫び、私学助成拡大を唱え、憲法改正法案に反対すること自体・・・憲法違反のような気がする。
放送法第三十二条で権利を主張し、第三条の二の義務を忘れたNHKのようである。

私の言わんとするところは、皇室制度を止めるのも、私学助成を拡大するのも、決して憲法改正をしないためにも、憲法改正が必須であるということである。
護憲とは現時点の憲法の条文を変えないということとは大きく違うということを、日本人みなが認識しなければならない。
護憲とはなにか? というか護憲論者の主張とは
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 ・憲法第9条改正反対
 ・自衛隊反対
 ・皇室制度反対
 ・日米同盟反対
 ・中国よりの政策をとれ
といったところではないだろうか。
これは過去半世紀の護憲主義者の変わらざる政治姿勢でもある。もっとも最後のものはソ連崩壊までは日米安保を止めて日ソ軍事同盟を結べというところが違った。 

しかしながら、日本国憲法は真理でもなく、実用的でもない。
朝鮮戦争が勃発した瞬間に日本国憲法がうそででたらめであることがばれたのである。
だって日本国憲法前文の5行目『日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。』が間違っていることが明らかになりました。
世界には他国を侵略しようとする国がごまんとあるのです。
そして今現在、日本の主権が侵され、日本人が北朝鮮に誘拐されたという拉致問題を解決できずにいるのはどうしてなんでしょうか?
平和主義者はいつも「話し合い」といいますが、これは実質的には北朝鮮の言いなりになろうということに過ぎません。

非核三宣言、「作らない・持たない・持ち込ませない」なんてことを寝言を語っているのではなく、本当の非核三原則、すなわち「作らせない・持たせない・攻撃させない」を実現しなければなりません。
護憲主義者は子供達を戦場に送るなといいますが、彼らの言うとおりにしているとここが戦場になります。
平和主義者はアメリカの軍事行動に反
対し、自衛隊の海外派遣に反対です。
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でも平和主義者は北朝鮮に核を
持つ権利を認めようといいます。
中国は日本に200発の核ミサ
イルを向けているそうです。 bom2.jpg
社会主義の核はきれいだ
なんていうのもうそです。
このような護憲主義者の主張するを考えれば考えるほど、彼らの唱える護憲とは日本国憲法の改正と関係のないことで、ありっていに言えば「反アメリカ、中国の支配下に入ろう」という、社会主義者と称する人々の願望にすぎない。
お間違えないように、自称社会主義者とは社会主義者でもなく社会主義を実現しようという思想でもないのだ。

しかし、ここで社会主義とはなにかということを考えないと、また論議が空理空論となり形而上のかなたに飛んでいってしまう。
quest.gif 社会主義とはなんぞや? といえばたちどころに定義を説明してくれる方もいるでしょう。
しかし、現実問題としてこの世で社会主義を実現したのはソ連だったのか? 中国か? 北朝鮮か? などと考えると、そうお考えになる人はいないでしょう。まあ、スウェーデンとかイギリスを思い浮かべる人がいるかもしれない。
では日本はと言えば真実の姿は社会主義だったと思う。護送船団方式という言い方もある。春闘でも各業界は横並びでどの会社にいてもほとんど同じ給与、休暇、その他の福利を受け取ることができた。大体終身雇用というのも社会主義国家ならではのことではないか。
exp.gif そういう国際社会の常識から離れた悪平等主義というのは過去になりつつあるが、日本は戦後50年社会主義国家、あるいは超福祉国家だったのだ。福祉国家というと異議を唱える方もいるかもしれない。だが、国民所得を超えるものをふるまうことができないのは物理的事実である。日本の富を国民に分配するというマクロから見れば超平等が実現された社会主義、福祉国家だったことは否定できないと私は思う。
福祉の程度をスウェーデンなどと比較するのはおかしい。天然資源に恵まれ人口が少ないところと、日本のように資源のない国土の狭い国を比較することはできない
同時にコスタリカと日本の軍備を比較することも困難なのだ。

そしてまた彼らは現在の憲法を尊重しているわけでもない。
共産党は過去に日本共産党憲法草案というものを公表しており、いまだこれを制式に否定したとは聞いていない。
社民党も天皇を否定している。数年前福島委員長は口が滑ったか、第一条改正を語ったことがある。
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中国の軍艦です
護憲主義者はアメリカ艦船の寄港には大騒ぎして反対するが、中国海軍の寄港には反対しない。
エッツあなた中国の軍艦が日本に来ているのを知らなかったですか?
 マスコミが報道しませんからね、
 なぜ新聞が報道しないのでしょうか?
このように、護憲を唱える人びとが、現憲法が最善であると信じていないことは彼らの主張から明白である。

朝日新聞、社民党、共産党の皆様は、己に正直に護憲という隠れ蓑に隠れないで、なぜ本当の思いを叫ばないのか?
そりゃ答えは簡単だろう。
彼らが本当に目指しているものを叫べば誰も賛同しないからだ。
天皇をなくしますというならともかく、私有権を制限しますなどと語ったものなら、日本中から非難ごうごうであろう。
アメリカとの同盟を廃止する代わりに、中国との軍事同盟とか中国軍が日本に駐留するようになれば、日本人の反発はアメリカに対するものとの比ではないだろう。
なにしろ中国軍は国際法を知らないらしい。そして中国軍が来れば、その次に日本は第二のチベットとなるのは間違いない。
そこまでいかなくても今より中国人犯罪が増えて、それが治外法権になることを考えただけで・・・・
今でさえ中国人、韓国人の犯罪はなかなか報道されないし、報道されてもアジア系というだけで氏名が記されることはない。日本のマスコミが中国人の犯罪を報道しないとことは、彼らの報道スタンスが偏っていることは明らかである。
中国人民解放軍が日本に駐留するのは願い下げだ。jinmingun.jpg
土地収用など無茶苦茶であるのは中国の実態を見れば一目瞭然

護憲とは、彼らが理想とする反対方向に憲法改正をさせないということに過ぎない。
彼らが理想とする方向への憲法改正なら、大賛成だろうことは論を待たない。
朝日新聞は昨日21ページにも渡る社説を掲載したが、この方向への憲法改正なら賛成の社説は紙面に収まらず、冊子になるだろう。 

護憲主義者の思惑とは下図のようなもの
正論派が
強いとき
←改正するのを止めるために護憲を唱える
サヨクの好きな憲法
私有財産の禁止
天皇廃止
日本国憲法
正しくはマッカーサー憲法という
あるべき姿の憲法
自主独立
国民の安全を守る
左派勢力
が強いとき
ああああああ←左に改正は大賛成

護憲とは憲法を変えないことではなく、単に左にひっぱろうとする戦術に過ぎない。
護憲などという甘い言葉で一部の主義主張の拡大戦略を取らせてはいけない。
日本国憲法は日本人のものだ。
平和主義者、自称社会主義者、サヨクのおもちゃではない。
日本国憲法が、世界遺産に値するのか、子々孫々に伝えるべきものか、書かれていることが真理なのか日本人一人一人が考えなければならないことであり、大新聞やサヨクのキャッチフレーズにだまされてはいけないのだ。


本日の結論

護憲とは言葉自体が欺瞞である




たまたま本日、トマトソースさんからお便りを頂いた(07/05/04)
方向は違えど、その心は私と同じで心強く感じたのである 
tomato.gif
トマトソース様のお写真です
アメリカ様に逆らっちゃいかんよ
米国は大切な同盟国だから」と、イラク戦争を支持した連中は、よもやアメリカ様の下さった現憲法を、「押しつけだ!」などとないがしろにしていないですよね?「従軍慰安婦で米国にとやかく言われる筋合いじゃない」などと言ってないですよね?
もちろん私は、米国だろうが日本だろうが北朝鮮だろうが、なんだろが、悪いことは悪いという立場だから、天皇制条項のあるろくでもない現憲法は破棄すべきだと思ってますが。

おお、トマトソース様 お便りありがとうございます。
そうです、あなたのようなお考えは正直で、すがすがしく感じます。すくなくとも護憲主義者のうそを感じません。
天皇反対であるなら現憲法を破棄して、人民民主主義共和国憲法制定を目指しましょう。
私がそれに賛成か否かはともかく、お互いに本音でガチンコ勝負が出来るでしょう。
朝日新聞も、社民党も、共産党もそのように主張しなければ嘘つきです。
でもせっかく書き込まれるなら捨て台詞だけでなく、もう少し理路整然と人を説得納得させるように書くのが礼儀ってもんでしょうが・・久米さんの感化を受けたんですかね

タイガージョー様からお便りを頂きました(07.5.03)
いつも大変お世話になっております。
佐為様が以前取り上げられた大田氏の文献が5月2日の朝日新聞社説に取り上げられています。
http://www.asahi.com/paper/editorial20070502.html 「・・・・・」何が言いたいのかよく分からない社説であります。
tora.gif
タイガージョー様
のお写真です★★
大田氏の文献を引用していますが、この事は日本国憲法に不備がないと言うことを示す物ではありませんし、何の根拠にもなっていないと思います。
さらに憲法改正と民主主義は矛盾する物ではありません。朝日新聞は改憲派=非民主主義者のレッテルを作成しようとしているようです。
もしかすると朝日新聞は「日本は自民党を中心とした一党独裁国家であり、非民主主義国家である」と世界に向けて発信したいのでしょうか?その後、他国から日本は非民主主義国とのフィードバックが来るまで発信を続けるつもりでしょうか?
佐為様!何故日本国民は憲法記念日前日になって大手新聞社から、このような程度の低い社説を提示されないといけないのでしょうか?

タイガージョー様 毎度ありがとうございます。
太田光の本が文献といえるのかはなはだ疑問であります。
あのアジビラが文献ならば、このウェブサイトは宝庫ではありませんか 
日本を悪く言うことが彼らの楽しみなんでしょうか?
誇りを持たない人しかそのようなことはできそうありません。
少なくとも私にはできませんね。

自主防衛論者様からお便りを頂きました(07.05.06)
天皇制を廃止しようとする人たち
先日「護憲という欺瞞」を読んだとき、私がかつて聞いた話を思い出しました。高校の授業で社会科の先生が「近年は憲法九条を変えようとする主張もあるが、実は、憲法第一章を変えよう(つまり、天皇制廃止、ということでしょうか)という主張もある」と言っていました。
当時は、誰かのギャグじゃないですが「そんな奴おらへんやろ〜」と思い、その先生の個人的願望でしかないと思っていました。しかし、自称護憲派たちの本音がそこにあるのだとしたら、あの先生の発言もまんざら嘘ではないな、と思います。
自主防衛論者様 毎度ありがとうございます。
先生といえばそういった思想の方が多いですから、まんざら嘘ではないでしょう。
もちろん、日本国憲法は改正することを定めており、国民の大勢がそういう考えになればそういった決定をすればよいのです。
私は合法的な行為を個人的嗜好で止めるようなことはしません。
朝日新聞にもそういった基本的な考えを理解してほしいものです。
いずれにしても、自分の考えに改正するときは良いとして、自分の好まない方向への改正には護憲を持ち出し、それが通用しなくなると最低投票率を持ち出す(朝日新聞4月19日社説)のようなことは、ダブルスタンダードです。
それは間違っているだけでなく、恥じるべき行為です。

ある高校生様からお便りを頂きました(07.12.14)
世の不条理
前回EUが対中非難決議を出しそうになるのも、とか書きましたが、今度はEU議会に慰安婦問題に関しての対日非難決議案が出されたようです。アメリカと言いオランダと言いEUと言い、どうなっているのでしょうか。やはり、爺さんの言うように、戦争に負けてしまった以上世界の常識とやらは変えられないのでしょうか。
憲法についてもです。私もさい様と同じように、これはもうよく読めばどうにもならない文章で、早急に替えなければ日本は滅ぶかもしれない、とひしひしと感じますが、しかし64年も使い続けて来てしまいました。
電子がマイナスの電荷を持って、電子の動きと電流の動き(+から−へ)が全く逆であるのが不条理だから、何故電子がプラスの電荷を持つと変更しないのか、と言っても、そんなことをしたらすべてが逆になって電磁気学を全てひっくり返さなけりゃあいけないからしかたない、っていう話があります。
実際、憲法も同じなんだと思います。「所謂」憲法学者たちが、それ単体では成り立たない憲法を必死で解釈し、文言そのまま読むことを諦め、解釈に解釈を重ねて現在の運用に至るわけで、私はそんなの不要だから、現在の解釈に似合うような憲法に改正すれば良いだろう、つまり、憲法を読んで誰もがその解釈にたどりつくような憲法にせねばならないと感じているのですが、そんなことをしたら下位の法律なども全部それに応じて書き変えないといけないし(内容を変えなくとも、対応する条文の明示などにおいて)、そもそも所謂憲法学者たちのお仕事が無くなる様な「暴挙」なのでしょう。そんなことをしなくても、今現在の解釈で何とかなってるじゃないか!って言う議論に対して、私たちの主張はどう返せばいいのか、私には見当もつきません。さい様はどうなさるおつもりですか?やはり漸進的に前進してゆくしかないのでしょうか。
ある高校生様、毎度ありがとうございます。
世の中はさまざまな利害関係で動いています。ある高校生様が身に覚えのない「突然貸した金を返せ」と言われたらどうしますか?
「借りた覚えはない」というでしょう。
日本が外国からいろいろと言われるのが問題であるということは、日本が言い返さないことが問題であるということです。
私たちは外国に圧力をかけることも必要ですが、日本の政治家に圧力をかけるべきです。
事実か否かわかりませんが、つい最近小沢一郎が中国を訪問して国家主席にあって感激のあまり声も出なかったそうです。もし事実なら小沢に外国に行く資格はないでしょう。そのような朝貢外交をする人物には政治家たる資格はありません。
ところで「行政法は死なず」という言葉をご存知でしょうか?
日本が戦争に負けて憲法は変わりましたが、その下の法律は実はほとんど変わりませんでした。
変わったのは男女同権とか、民主主義とかいう部分だけです。
当時アメリカが押し付けた民主主義ってのも民主的ではないような気がします。
刑法も民法もほとんどが明治のままに残ったのです。民法を読んでください。カタカナのわけのわからない文章に困るでしょう。
要するに憲法を変えても日常生活に密着した法律は変わりません。だから、ある高校生様 そんなことを心配することはありませんよ。

次の時代を作るのはあなたたちです。
そして良い日本を作れないなら、割りを食うのはあなたたちです。




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