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現在、世界をみわたして長距離王国といえばアフリカ勢だが、なかでもエチオピアとケニアが双璧をなす。 「駅伝の世界一を決する大会」を謳い文句にしている本大会でも、毎年のようにこの両国ははげしくしのぎを削っている。 とくにエチオピアのアベック優勝は3年もつづいている。エチオピアは毎年、世界クロカンの上位入賞選手やトラックで実績のある第一線級の選手を送り込んでくる。まともに走られれば日本選手はとても歯が立たないのである ケニアが勝てないでいるのは、まさに7不思議のひとつであった。ケニアはトラックやマラソンでも世界のトップクラスにある。エチオピアのオーダーと比較して、それほど遅れをとっていないにもかかわらず、男子は過去7年、女子は10年以上も優勝から遠ざかっている。本大会で勝てないでいるのは、駅伝への対応が遅れているせいもある。実力はあっても駅伝の走り方を知らないから、レースでは遅れをとってしまうのである。 ケニアは昨年あたりから、そういう反省点に学んだのか。戦法を変えてレースにのぞんできた。 現在、日本の高校や大学にいる留学生、あるいは実業団チームのなかには、ケニア人選手は数多い。そこで、この在日のケニア人を中心にしてナショナルチームを編成してきたのである。 日本の陸上界にあって、駅伝の環境になじんだ選手たち、かれらは駅伝の走りかかたというものを熟知している。しかも各チームの中軸をなす選手ばかりだから、額面どおりに走られればどうなるか。結果はあえて言うまでもないだろう。 男女ともにケニアは前半から突っ走った。 男子も女子も2区から独走状態にもちこみ、危なげなく逃げ切ってしまった。3連覇しているエチオピアですら、まったく歯が立たないというありさまであった。駅伝の本場、日本で学んだ学習効果をフルに活かしたというべきだろう。
本大会は今回からリニューアルされ、男子は従来の5区間から6区間になり、女子はもともとの6区間に変わりがないが、5区と6区の距離が変更されている。 区間編成の変更は国際陸連公認の駅伝コースに準拠して行われたもので、今回は国際陸連公認コースによる最初の競技会ということになる。 区間編成の変更によって、男子の場合、これまでの最長区は12.195qだったが、2区と4区の10qが最長となり、あとは1、3、5の奇数区が5q、最終区が7.195qで構成されるようになった。 区間が短くなったので、いままでよりもさらにスピード駅伝の要素が強くなり、男子に関していえば、日本にとって不利に働くのではないかと懸念されたが、果たして結果はいかがなものであったか。 男女ともに1区の攻防がすべて。レースの見どころとしては、いかにも大味のレースになってしまった。 男子の第1区はケニアのJ・M・ダビリが飛び出し、アメリカのR・ホール、エチオピアのG・ブルカがつづくという展開で幕あけた。日本の松宮隆行は4位集団をねばり強くキープ、中盤までは学生選抜の田子康宏も食らいついていた。 レースが動いたのは3.3qすぎで、先行するケニアにアメリカとエチオピアが追いつき、トップ集団を形成、最後はアメリカのホールとエチオピアのブルカにマッチレースとなり、最後はほとんど同時にタスキをつないだ。 アメリカはエチオピアを押さえて3位に入る健闘ぶりだったが、1区のR・ホールのもたらした好リズムによるものだろう。 日本の松宮隆行はエチオピア、アメリカ、ケニアにつづいて4位、だが12秒差なら上出来の部類か。
男子の場合もレースが決したのは2区だが、最も見ごたえがあったのが、この2区=10qである。 エチオピアのA・ディンケサ、アメリカのM・ゴンザレス、さらにケニアのM・マサシが加わって序盤は激しいトップ争いに終始した。 注目すべきは日本の佐藤悠基(東海大1年)の動向だった。トップ集団の後ろからひたひたと追ってくる。1.3qすぎで12秒差を一気に詰めて、あれよあれよ、トップ集団に追いついたのである。 4qすぎでディンケサとマサシにスパートをかけられると、さすがについてはいけなかったが、実業団のトップクラスにひるむことなく渡り合った。久しぶりに大器の風貌にめぐりあったようで、清々しかった。 さて、マサシは5.6qでスパート、エチオピアのディンケサを振りきった。あとは独り旅、タスキ渡しでは46秒者大差がついていた。 佐藤はその後も粘った。最後は落ちてきたディンケサに遅れること、わずか5秒で佐藤敦之にタスキを渡した。27分52秒は堂々の区間2位である。この佐藤の積極果敢な走りが後続の日本選手たちを奮い立たせることになる。 エチオピアは3区のベケレをしても、わずか10秒しか差が詰まらず、4区では逆に2分以上もの差をつけられて、4位に沈んでゆく。日本は佐藤敦之から家谷和男へとつないで2位にあがり、アメリカもエチオピアを交わして3位にあがってくる。 エチオピアはリズムを失ってしまったのか。5区のM・ゲネッティ、6区のG・ゲブレマリアムの追いあげも不発、最後まで4位から浮上できなかった。 日本は1分51秒差の2位である。4区の家谷和男、5区の細川道隆、6区の大坪隆誠も持てる力を発揮した。エチオピアの出来が悪すぎたせいもあるが、今回の顔ぶれからみれば、まあ、上出来というべきか。
女子は1区からケニアが主導権をにぎった。 2qすぎてケニアのP・オンゴリ、エチオピアのG・ブルカが抜けだして、マッチレースの様相、ロシア以下のチームは45秒以上もちぎられてしまった。 2区にはいるとケニアのE・ワンボイが快走、宿敵のエチオピアを43秒も引き離してしまい、ここで早々と勝負を決してしまうのである。 本大会の目玉選手のひとりであるP・ラドクリスは、この2区に登場、9位でタスキを受けると、1q=2:55のハイペース、たちまちフランス、オーストラリアを追い抜き、1.6qでは千葉選抜、日本を交わして4位まであがってきた。今回も区間賞はとれなかったものの、首を前後に振って、体を前に、前へと運んでゆく独特のフォームで見せ場をつくってくれた。 もうひとりの目玉選手ケニアのC・ヌデレバは4区に登場した。2位と32秒差でタスキを受けとった彼女は、エチオピアのB・ベケレとの差を10秒開き、ケニアの優勝を決定的なものにしてしまった。ラドクリスと同じように。区間賞こそとれなかったが、流れるようなフォームで世界のマラソンランナーとして、その健在ぶりをみせつけてくれた。 ケニアは5区でエチオピアに21秒差まで迫られたが、アンカーのE・キムウエイが強かった。18歳ながら日本の駅伝育ちのケニア人である。 エチオピアをぶっちぎってケニアに14年ぶりの優勝をもたらした。
日本女子は最終的にケニアから3分10秒遅れ、エチオピア、ロシアにつづいて4位に終わり、前回の2位を下回った。 駅伝世界一を決める大会……と、喧伝しているが、その主催国の日本は、レースを勝ちに行くチームづくりをしていないから、まあ、これぐらいが順当なところか。 とくに女子の場合、ナショナルチームといえ、寄せ集めの集団という観がある。12月の全日本をひかえてる。主力選手を出場させて、消耗させたくない……というのが、各実業団チームの本音だろう。 それにしても今年はヒドイ。出場した選手たちは、それぞれ特徴ある選手にちがいないが、長距離で実績のある選手は大島めぐみ……ぐらいなものである。 京セラだけは大会役員に名を連ねているせいか、2人の選手を出してきたが、それでも主力はきっちり温存している。杉森は中距離の選手で長距離は未知数、早狩実紀は好きな選手のひとりだが、世界を相手に5000Mを走れる選手ではない。 主催国が本当の意味でのナショナルチームでのぞめない。千葉国際が本来の意味が失われつつある大会ならば、いっそうのことやめてしまったほうがいいだろう。 そんななかで収穫は4区=10qに出場した石井智子だろう。いかにも上り坂の若い選手らしく、果敢に攻めた。あのヌデレバを押さえて区間賞をもぎとったのは評価しておかなくてはなるまい。 男子は佐藤悠基、女子は石井智子……。本大会をきっかけにして、明日を担う新し力として育ってほしいものだ。 ☆ 余談ながら、フジテレビの駅伝実況、いつものことながら、あまりにもひどすぎて、ついつい苦言を呈したくなってしまう。 番組づくりがいかにもいいかげん! 駅伝は上位だけではなくて、下位の順位変動も興味ぶかいものがあるのだが、先頭だけしかスポットを当てようとしない。タスキ渡しも上位のみしかフォローしない。放送車も2台しか使わないという手抜きぶりには、なんとも恐れ入ったしだいである。 もっとひどいのは実況のアナウンサー、あきれかえってしまった。名誉毀損で訴えられかねないので、あえて誰とは言わないが、職業意識というものをうたがってしまう。 まず、駅伝のこと、選手について何も知らない。 知らなければ、事前に入念に勉強すればいいのだが、何もやらずに、のうのうと顔を出している。その厚顔ぶりは眼に余るものがある。もっときめ細かい番組づくりをのぞみたい。 開催日:2002年11月23日(火) 千葉県総合スポーツセンター陸上競技場をスタート・フィニッシュとし、ポートタワー・千葉マリンスタジアム・幕張メッセ・幕張ベイタウンを通る世界陸連公認コース 男子6区間 女子6区間42.195km ★天候:曇り 気温16.9度 湿度58% 東北東の風2.5m(12時現在) ★日本チーム 男子(松宮隆行、佐藤悠基、佐藤敦之、家谷和男、細川道隆、大坪隆誠) 女子(杉森美保、西尾摩耶、早狩実紀、石井智子、大島めぐみ、長尾育子)
区 間 最 高
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