第6回全日本大学女子選抜駅伝競走大会



立命館大がまたしても京都対決を制した!

 第6回全日本大学選抜女子駅伝は12月23日、茨城のつくば中央公園から筑波大陸上競技場までの6区間30.67qのコースで、先の全日本大会の上位12チームに学連選抜8チームを加えた20チームが参加して行われ、立命大が1時間38分33秒と過去の大会記録を1分も上回る好記録で6連覇をとげました。2位は3秒差で佛教大。3位には前回とおなじく名城大が入りました。
 立命大は2位でたすきを受けた3区の小島一恵が区間新記録の快走で首位をうばい、佛教大に25秒、3位の名城には32秒の差をつけると、後続のランナーも自分のペースで戦いを有利に運び、そのままゴールまで駈けぬけました。最終区で佛教大の西原加純が意地をみせて猛追、しかし3秒およばず、今回もまた2位に甘んじました。


◇ 日時 12月23日(祝-火)12時0分スタート
◇ 場所 茨城県つくば市
◇ コース つくば中央公園〜茗渓学園〜筑波宇宙センター〜筑波大学本部棟〜大穂交差点〜筑波大学病院〜筑波大学陸上競技場 6区間30.67q
◇ 天候:晴れ 気温:07.50度    風:北0.2m
◇立命館大学(竹中理彩、駒井直美 小島一恵 田中華絵 岩川真知子 沼田未知)



 その差は3秒、だが力の差は歴然!
(2008.12.27)

息づまるアンカー勝負に見ごたえあり!

 逃げる立命館大、追う佛教大……。
 前回、そして今年の全日本とおなじように京都対決となった。
 逃げる立命館にアンカーは1年生の沼田未知、そして追いかける佛教は2年生エースの西原加純である。
 5区を終わってトップの立命館と2位の佛教までは20秒であった。
 19秒差だった前回とはほぼおなじ秒差だが、今回はおっかける相手がちがっている。前回、トップをゆく立命館は2枚看板にひとり樋口紀子だったが、今回は1年生の沼田未知である。
 1年生ながら日本インカレ10000mチャンプながら、西原は2年生の意地にかけても負けられないところだ。事実、西原にしてみれば、昨年の樋口よりも組みしやすいとおもっただろう。
 西原は昨年とおなじようにけんめいに追った。走ると色白の顔がポッと赤らんでくる。沼田は我関せず……とばかり無表情で逃げる。ロードを弾む手鞠のように軽快なピッチである。
 だが、差はみるみるつまった。3.3qで10秒、もはや背中がおおきくみえてくる距離である。
 中間点では9秒……。だが沼田にあせりの色はない。1年生ながら、すべては予定通りといわんばかりに、素知らぬ顔をしている。
 最後の1q、差は4秒差までつまった。結着はトラック勝負にもちこもあれるのか?
 西原は最後の力をふりしぼる。顔をいっそう紅潮、眼を見ひらいて……。鬼気せまる風貌というべきか。ポーカーフェイスで逃げてきた沼田もさすがに表情がゆがんでくる。だが後ろをふりむかない。
 沼田、そして西原……。まさに死力をつくしたせめぎ合いというべきか。
 だが……。西原はまたしても主役をうばえなかった。
 わずか3秒……。立命館大が先んじて6連覇のテープをきった。
 苦しげにゆがんでいた沼田の顔にいかにも1年生らしい無邪気な笑みがはじけた。


前半で抜けだした主力3強!

 6連覇をもくろむ立命館大に、佛教大、名城大あたりがいかに肉薄するか? 興味はまさにその一点にあった。相手をみくびっていたというわけでもないだろうが、立命館陣営は前回優勝メンバーの上級生3人をごっそりはずして、6人のうち5人まで1年生を起用してきた。
 佛教、名城にしても、つけいる余地は十分にあり……とかんがえるのがふつうだろう。 佛教はだいたいいつも1区で遅れをとるという失敗をくりかえして、チャンスをふいにしてきたチームである。今回、うまく滑り出せば、衆目をあっといわせるシーンは十分あるだろうとみて、とくに1区を注目していた。
 立命館の1区は1年生ながらエース候補の竹中理彩、佛教は石橋麻衣、ともに5000mは15:50前後の選手で力の差はほとんどないにひとしい。
 1q=3:15、2q=6:30……。スローの展開ではじまり、城西国際、名城、佛教、立命館、京産などがいれかわりたちかわり先頭に顔を出してくる。城西国際の中村萌乃あたりが主導権をにぎろとしたが、集団のまま4qを13:01で通過する。
 先頭集団は4q手前で7チームぐらいになり、そのあたりからようなくペースがあがり、満を持していた立命館の竹中がスパート、だが追ってきたのは佛教の石橋ではなかった。京都産業大の伊藤恵だった。
 4,8qで竹中は2段スパートをかけるが、伊藤はくらいつき、逆に中継所ではわずか1秒先んじた。伊藤がいかにも伏兵ぶりを発揮して快走、京都産業大は1区で思わぬトップに立つのである。
 主力どころでは名城が4秒遅れで3位につけ、佛教大は9秒おくれの5位と絶好の好位置につけた。区間構成が全日本の場合とはちがうだけに、かなりきわどい勝負になることがほのみえてきた。


エース小島が本領発揮!

 2区にはいると1qすぎで、トップの京産(賀元あすか)を追ってきた立命(駒井直美)、佛教(平井恵)、名城(浦川有梨奈)が集団になっておそいかかり4校がひとかたまりになる。
 1.5qで京産がおくれ、3強のトップ争いとなるが、2.3qすぎて駒井と浦川がぬけだした。両校のはげしい先頭争いがつづいたが、最後は名城の浦川がぬけだした。区間新記録の快走で名城はトップをうばうのである。
 トップの名城と2位の立命館との差はわずか秒、佛教大は3位で12秒遅れ……という形成でエース区間の3区が幕あけるのである。
 立命館は昨年とおなじようにこの3区にエースの小島一恵を起用してきた。3区で貯金をしこたまつくって、そのまま逃げ込もうとおう思惑である。
 名城は西川生夏、追う小島一恵である。小島は今回もまた眼をみひらき、髪をふりみだして阿修羅になった。1qは3:04と速い。後続は京産、佛教、城西国際が集団をなしている。
 小島は2qで西川をとらえて並走、2,3qでひとたび小島はゆさぶりをかけるのだが、西川ははなれない。2人のはげしいトップ争いで後続はとんとんとはなれてゆく。
 トップ争いに結着がついたのは3qすぎだった。小島がぬけだすと、もはや西川には追いすがる余力はなかった。
 立命館大は予定どおりというべきか。3区で今回もやすやすとトップに立って、後続との差をどんどんとひろげていった。
 うしろの3位争いを制したのは佛教の森唯我、だが名城との差をつめてきたが、首位の立命館との差は32秒にひらいてしまう。
 それにしても、3区の区間新記録が続出である。
 区間1位の小島一恵、2位の後藤奈津子(日大)、森唯我、4位の西川生夏、5位の岡部有香里(城西国際)と5人もが区間新記録を出している。トップの小島一恵はなんと40秒も自身の区間記録を更新しているのである。
 佛教大はここで32秒と立命館に差をひろげられ、結果的にそれが最後までひびいたのだが、森唯我も区間新記録をはじきだしているのだから、悪い出来ではなかった。小島が速すぎたということだろう。
 3区でトップをうばった立命館の4区は田中華絵、追う佛教大は出田千鶴だが、ともに区間新記録で同タイム、差はつまらない。5区にはいって佛教大は吉本ひかりが区間1位で追い上げ、ようやく立命館を20秒差までに追ってくるのである。
 かくしてアンカー結着にゆだねられるのだが、20秒というのは微妙な差だけに観るレースとしては最高の演出というべきであった。


3強時代とはいえ、1強がぬけた存在に……。

 立命館大は6連覇……。6回大会で6連覇だから、いまだいちども負けていないということになる。小島一恵という絶対的なエースがいるうえに、いかにも選手層が厚い。昨年の優勝メンバーをはずして、あえて1年生を5人もつかってきた。
 本来ならば全日本制覇しているのだから、卒業する4年生をはじめ上級生をつかってくるのがふつうだが、昨年のメンバー3人をごっそりとはずしてしまう。それで、負ければ言い訳がたたないところだが、勝ってしまうところに、このチームの底力のすざまじさがある。アンカーの沼田の調子はいまひとつにみえたが、そでれも区間記録を大幅に苦心してしまう。当分は立命館時代がつづきそうである。
 2位の佛教大、今回にかんしていえば、失敗はなかった。わずか3秒……、先んじられてしまった。現状にかんしていえば力を出しきって負けたといえる。後半の3区間は連続して1位をうばい追い上げたがおよばなかった。それだけに、逆に3秒といえども、それ以上の力の差があるような印象も否めない。
 3位の名城大もアンカーの川井美佳の区間5位、3区の西川生夏は区間4位だが区間新記録を出している、それいがはみんあ3位以内に名を連ねている。それぞれ好走、ほとんど実力通りの走り、相手が強すぎたというべきか。
 健闘したのは日本大学だろう。今回も全日本ほどのことはなかったが2人の留学生がまり動かなかった。けれども後藤奈津子が快走、最終区で4位まであがってきた。
 5位の城西国際も全日本のときより2つ順位をあげてきた。1区の中村萌乃の飛び出しで流れにのったようである。
 逆に順位をおとしたのは東京農業大と玉川大の2校である。前半の遅れを最後まで挽回できなかった。
 そえにしても……。
 立命館大は強すぎる。勝負はきわどかったが、立命館に強さがひときわきわだち、底知れぬ力をみせつけられた大会であった。


出場チーム&過去の記録

出場チーム
城西国際大学女子駅伝部
玉川大学女子駅伝チーム
東京農業大学陸上競技部
名城大学陸上競技部
仏教大学陸上競技部
大阪体育大学陸上競技部








関 連 サ イ ト

テレビ東京







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最 終 成 績
<順位 チーム名 記  録
立命館大学 1時間38分33秒
佛教大学 時間38分36秒
名城大学 時間39分20秒
日本大学 時間41分53秒
城西国際大学 時間42分13秒
東京農業大学 時間42分17秒
城西大学 時間42分27秒
玉川大学 時間42分29秒
日本体育大学 時間43分01秒
10 関西学連選抜 時間43分17秒
11 白鴎大学 時間43分54秒
12 中国四国学連選抜 時間44分12秒
13 関東学連選抜 時間44分13秒
14 京都産業大学 時間45分56秒
15 順天堂大学 時間46分10秒
16 九州学連選抜 時間46分24秒
17 東海学連選抜 時間47分13秒
18 東北学連選抜抜 時間49分03秒
19 北信越学連選 時間50分25秒
20 北海道学連選抜 時間52分29秒



区 間 最 高
区間 距離 選手名 所属 タイム
5.0 伊藤  恵 京都産業大学  16:06
3.0 浦川有梨奈 名城大学佛教大学   ◎9:25
5.5 小島 一恵 立命館大学  ◎17:07
3..5 田中華絵
出田 千鶴
立命館大学
佛教大学
◎11:12
6.0 吉本ひかり 佛教大学  19:38
7.67 西原 加純 佛教大学  ◎24:31



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