ニムの木かげの家日時計 2001. 8月

 
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2001.0801(水)

 昨晩、図書館で借りてきた『西の魔女が死んだ』(楡出版)を、小学館版、新潮文庫版と比べながら読んだ。と言っても具体的に違うのはおしまいの所だけ。時たまルビが異なっていたりする(「堪(た)える」と「堪(こら)える」とか)が。作者の…作品の意図が一番良く現れていてしかも紙面の雰囲気がもっとも作品にあっているのが、楡出版のものだと思う。小学館版だと、肝心の所が「え?」という感じになってしまうおそれ大なのである。もともと決して厚い本ではなく、読み返すのは何回目かなのだけれど、今回は主人公・まいやおばあちゃんの心理に非常に添って読めたように思う。前回まではどうしてもおばあちゃんの暮らしぶりやまいへの魔女修行に目がいってしまったのと、舞台であるおばあちゃんの家やその周りの情景が、たぶん梨木香歩が風景の描写があまりうまくないということがあってなかなか浮かび上がりにくいため、そちらに読みとるエネルギーが割かれてしまったのだったが、今度は本当にすんなりと登場人物の行動や発言が胸に落ちた。本の作りのせいがあるのかもしれない。いずれにせよ、やっぱり私には大事な作家だと再認識した。新潮文庫では、『西の魔女〜』の最後の部分で名前の出てくる新しい友人ショウコと、まいの交流を描いた短編「渡りの一日」が併録されている。この短編初の書籍化になるので、それ自体はめでたいのだが、『西の魔女〜』のもつ完成度とやはりその雰囲気からみて、登場人物が重なるからと言って併録せず、『西の魔女〜』だけで完結させて欲しかった。でもそれを言うには関連作が別にまとまって書籍化されなくちゃなあ。熱烈希望!

 『丘の家、夢の家族』読了。予備知識なしに読んだが、これは非常に良かった。ママが16歳の時に生まれた女の子シーオは今9歳。ママはまだまだ大人になりきれず、仕事も生活もいい加減で、二人は時にはものもらいをして糊口をしのいでいる。シーオは本が大好きで、図書館で片っ端から古いファンタジーを読みあさっているが、学校生活自体は苦痛でしかない。新しいボーイフレンドが出来たママはシーオを姉の所にやっかい払いするが、その途中フェリーの上でシーオはずっと切望してきた「家族らしい家族」に出会う。同年代の子どもらと思いがけず仲良くなった彼女は、新月に向かって願い事をする。と、夢ではないか、シーオは本当にその家族と一緒に暮らすことになり、信じられないような幸せの中に置かれる。そして何ヶ月かたつと…。

 彼女が読むのは、ナルニアとか、『若草物語』とか、ランサムとか、『シャーロットのおくりもの』とか、ピーターラビットとか、いろいろ。

新しい本をえらぶのは、宝探しのようなもので(…中略…)でも、たいていは問題をかかえた子どもを描いた話か、ぞっとするような表紙のついたホラー小説で、シーオはそういう本は好きではなかった。

 でも、シーオはりっぱな「問題をかかえた子ども」だし、墓地にちゃんと幽霊も出てくる話なのであるよ。解説に、シーオが読む『ハーフマジック』は実在の作品だが邦訳されていないとあるが、これって『魔法半分』(ハヤカワFT)じゃないのかな?

2001.0802(木)
購入本
恩田陸/『上と外6』/幻冬舎文庫

暑さをおして銀行経由で本屋に行ったが、恩田陸『ドミノ』は見あたらず。『上と外5』がまだ娘で止まっているので、上と外6』を読むのは少し先になりそう。

 昨日の『丘の家、夢の家族』つながりで、イーガー『魔法半分』を読み直す。いわゆるエヴリデイ・マジックである。上から順にジェーン、マーク、キャサリン、マーサの4人のきょうだいが、魔法のコインを拾うが、このコインは願ったことの半分しか叶わないので、勢いに任せて願いをかけてしまうと大変なことになってしまうのだ。「今すぐうちに帰りたいわ!」と願うと、突然帰路の半分の所に立っていたりするので、なんでも2倍だけ願わないといけないのであるが、これが難しい。「無人島へ行きたい」という願いは「無人」が叶って「島」はだめというわけで、行った先は砂漠。ほかにも、サー・ランスロットと馬上試合をするは、マーサの姿が半分消えて幽霊のようになってしまうは、大騒ぎだ。飼い猫のキャリーがしゃべれるといいのにと願うと、キャリーは「アタシニャー、オニェガイ、ソトヘ、ニャク」なんて半分ヒト語、半分ネコ語をしゃべり始めたり。
 『丘の家、夢の家族』のシーオはどちらかというと古いファンタジーが好きなのだが、中でも、きょうだいが出てくる作品に強く惹かれているので、この『魔法半分』も大好きなのである。それに『魔法半分』では、4人きょうだいのお母さんは夫に死別し新聞社でバリバリ働いているが、魔法のおかげで本屋のスミスさんと出会い、最後にはふたりは結婚して子どもたちに新しいお父さんができるのだから、若すぎる母以外には父も家族も知らないシーオにはひとしお思い入れのある作品なのだろう。

2001.0803(金)
購入本
池上永一/『風車祭』/文春文庫 
ダイアナ・コールス/『アリーテ姫の冒険』/学陽書房
O.R.メリング/『夏の王』/講談社
キャロル・マタス&ベリー・ノーデルマン/『マインド・スパイラル1 スクランブル・マインド』/あかね書房

 このまえWinでそれと知らずにウィルス(Sircam)をばらまいた副●長から、原稿のフロッピー(これはMac)を頂く。新しく入ったG4で早速読む…と、いきなりNorton Antivirusの「ウィルスを検出しました。削除しました」のメッセージ。仕方ないので、いやいやご注進にうかがうと、「Macは全然インターネットにつないでいませんから、ウィルスに汚染しているはずはありません」と自信たっぷりにおっしゃる。フロッピーやMO経由で汚染するものも多い、と説明すると心底驚いたように「そういうウィルスもあるんですか!」とおっしゃる。いろいろな学会関係でディスク類がたくさん手元に集まるので、不要になったそれらを再利用しているとのこと。以前、共用のスライド作成用Macのウィルス汚染が原因でずいぶん所内に被害が広まったこともあったのに、それも知らないとは。副●長〜、お願いだからMacにも自前のアンチウィルスソフトを入れてねぇ〜。副●長はアンチウィルスソフトを誰かから借りることばかり考えているけれど、ライセンス違反であると同時に、頻繁にアップデートしないとだめなんだからさ。「上のかたが率先してきちんとアンチウィルスソフトを入れていただくと、下のほうもちゃんとするようになりますから、その観点からもよろしくお願いします」と精一杯持ち上げて帰る。疲れるー。多少お金がかかってもちゃんと全所的にアンチウィルスソフトをあてがわないといけないと思うのだが、予算を決める側がこういうふうだといくら説明しても通じないので困る。このかた、部下と折り合いが悪いので、Macに詳しい部下を頼ると言うわけに行かないらしいというのも一因らしい。お気の毒だけど何とかしてよね。

 買ってはあったがずっと懸案の十二国記『月の影 影の海(上)』を読み始め、数mm読んで「面白ーい!」と叫ぶ。あとは一気に夜中までには上巻読了。

2001.0804(土)

 寝ても寝てもまだ寝られる状態のこのごろである。夕方から花火大会へ。今年は知り合いのおかげで、優待席で見られることになった。ご一行様十数人を率いる先導の旗はちょっと何だが、席取りをしないでも見られるという実(じつ)を取ることにする。着いてびっくり、なんとそこは打ち上げ場所のまさに真ん前。どうしてあの人もこの人も誘わなかったかと悔やまれる。こーんな特等席と知っていればお誘いしたのに!「夕方にはバケツをひっくり返したような大雨になる」というおそろしい天気予報は有り難くも外れて、夕日も美しく、開始時刻になる頃には雲も風に流されて次第にすっきりした空になってきた。あまりにも目の前なので、頭の上に覆い被さらんばかりの大きさとなって広がる花火には開始後いくらも経たないうちに首が痛くなる有様。視界に花火がない時間がほとんどないくらいの連発に継ぐ連発だ。川風はちょうど良いくらいの涼しさで、しかも風向きもおあつらえ向き、ビールもうまい。この時期の花火見物が夏のちょうどピークで、この日と立秋を過ぎるとあとは長い夏の下り坂という感じになる。

 『月の影 影の海(下)』を読むが、ひたすら眠いのは本のせいではないと明記しておこう。

2001.0805(日)
購入本
川口啓明・菊池昌子/『遺伝子組換え食品』/文春新書
アンドレ・ピエール・ド・マンディアルグ/『薔薇の葬儀』/白水Uブックス
ミシェル・リオ/『踏みはずし』/ 〃

 まったく別の予定があったのに、諸般の事情&バテ気味のため取りやめ。次男は学童保育の行事後2年生のお友達と近所の公園のジャブジャブ池で夏休みらしく過ごす。ところが、今週後半キャンプだということもあり今日は骨休めだったはずが、連れ合いが言い出して夕方から突然『ジュラシックパークIII』に行くことに。「夏休み映画」を順調に消化中だぁ。今日は次男本位で日本語吹き替え版である。たまにはしょうがないや。これがコンパクトでテンポが速くて余計なことがなくて、大変良かった。前2作では技術的なところに対する驚きが大きかったが、今回は、島に到着した初っぱなから、林に突っ込んだ飛行機がどでかいスピノサウルスに文字通り蹂躙され、息つく暇もなくティラノザウルスとスピノサウルスの肉弾戦になって、余計なことを考えることなく単純に恐竜のド迫力に引き込まれた。監督が変更になったのが良い方に働いたのかもしれない。ただ、エリック少年が根城にしていた装甲車を後にするとき、扉を開けっ放しにしていったのはどういう意図か?たった一人で恐竜の島を二ヶ月も生き延びてきたもののすることではないように思う。でもってまたもやプテラノドンが次作への期待をつなぐ役目を。滑空じゃなくてしっかり重そうに羽ばたいていました。

 ええと先日知り合いにも聞かれたし、今日読んだ『猿の惑星』の文庫解説にも「チャールトン・ヘストンがゲスト出演」と書いてあったのだが、そうだったのか?最後のあれのモデルが彼だったとか(*^_^*)

2001.0806(月)
購入本
ジョン・ベレアーズ/『闇にひそむ影』/アーティストハウス

 通勤の途中に見かける大きな真っ白いさるすべりの花が見事。

 一気に『月の影 影の海(下)』読んじゃって、すっかりはまる。家事の合間にも立ち読み座り読み。勢いで次作を読みかけるが、直接続きじゃないのにハッと気付き、とりあえず新刊の消化に戻る。十二国の世界がまだ読者にも陽子にも全然分かっていない、その道のりがなかなか良かった。それに、おぉ、リーピチープ!大好きなんだ!>楽俊ね。ちょっとエンディミオンだったりもして。ああ次が楽しみだー。

 突然『闇にひそむ影 ルイスと魔法使い協会』に行く。帯の「ハリー・ポッターの20年前からルイスの活躍に世界が熱狂した!」は、もういい加減にやめませんか。

 データ入力のアルバイトに来たびじん大学4年生英語学科、翻訳ミステリがお好きだとのこと、Myscon関係サイト教えちゃおうかな。

2001.0807(火)

 当人はその自覚がないのだが、この涼しさで寝冷えか、のどとおなかが何だか具合が悪い。ちゃんとおなかには夏掛けをかけて寝ているのだけれど。それにしても一日ベランダの水やりをしなくても大丈夫というこの涼しさはどういうのだろう。確かにクーラーいらずでラクチンではあるが、やっぱり夏は暑くなくちゃ。でもそこそこにね。

 『闇にひそむ影 ルイスと魔法使い協会』あっという間に読了。前作よりネタが単純だけれど、むしろこちらの方が焦点が定まっていて好き。ルイスって思いっきり弱虫。ただのコインと思ったものが実は強力な魔法のコインだった。そして知らず知らずルイスはコインにとりつかれてゆく。そのあたりの怖さが、この作者ただ者ではない。

 昼休みに読んだ『アリーテ姫の冒険』は、ずいぶん以前読んだけれど、今回読み直しても現代の作品としてはそんなに変わっている話という印象はなく、別段「フェミニズム」云々とこれひとつを取り上げなくっても良かろうにと思う。お話としてはそこそこ面白い。フェミニズム的に突っ込んだらいろいろ言えるのかもしれないが。あとがき類にちょっとしらける。思い入れは分かるが、作品そのものに語らしめよ、ってところ。

  アレッサンドロ・ボッファ『おまえはケダモノだ、ヴィスコヴィッツ』は大変に面白い作品だ!連作短編集で、各編には、あるいはヤマネ、あるいは豚、オウム、海綿などなど様々な生き物として主人公ヴィスコヴィッツが登場する。機知に富んだ文章にはしばしば笑わされるが、決して皮肉には陥らない。イタリア語の言葉遊びも面白く、全体に気持ちの良い健康的な印象がある。作者はもともと生物学の出身だそうだ。これがデビュー作ということだが、ぜひ次もまた訳されて欲しい。カバー、各章の扉絵などは大好きなスズキコージである。

 十二国記のキャラクター紹介他が詳しいのはこちらのサイトで良かったのかしら>詳しい方々

2001.0808(水)

 昨晩、ここを更新してから、どれどれ次はどんなかな?とちらっとだけ見るつもりだったのに、結局読み始めてしまい、今朝はおかげで目がしょぼしょぼ。はい、十二国記続き『風の海 迷宮の岸』昼休みに読了。結局そうなんだろうと思った解決になったのだが、「苛烈な目で景麒を見据えてただ一言、それでも自分は王だろうか、と問うた」驍宗に思わず目をしばたたく。ううう、それから饕餮はあのライラレンかロマルブか。もうツボ。黒麒ぃ、いじらしすぎる。次に読む本はもうほかに決まっていたのだけれど、この主従のことをつらつら思い出しているとどうしても意識は十二国記に向かってしまい、ついに『東の海神 西の滄海』に突入。王気にひかれる麒麟ていうところ(殴)
 それにしても、1作目はホワイトハート版と講談社文庫版と両方手元にあったので、評判の高いホワイトハート版で読み、次からは講談社文庫版で読んでいるのだが、確かにホワイトハート版のほうがなぜかいい感じ。私は必ずしもこの手のイラストは好きというわけではないし、紙質も決して良くはないのにどうしてだろう?

 昨日のヴィスコヴィッツ、リスぢゃなくてヤマネの間違い。書きながら何か変だなあと言う気はしたのだけれども。眠い頭で豚と一緒に思い出したので、豚>ドングリ>リスと連想した模様。訂正しました。

* 緑陰に避暑のため土曜まで不在になります。と言っても天気予報によれば今日は9月下旬の気温だそうなので、一体どこが避暑か。ところで緑陰という言葉はかなり好きな言葉である。小学校の時、夏になると数駅先の某大学からの「緑陰教室」のお誘いのプリントが配られた。ケストナーの『飛ぶ教室』の枕の部分、つまり作者が夏のアルプスの麓で、いちめん緑の草木や子牛やお花畑に囲まれながら、なぜかクリスマスのお話を書くというシーンがあるが、「緑陰教室」というのもきっと緑したたる木々の下に思い思いに机を置いたり寝そべったりして夏休みの宿題をしたりするんだろう、なんて想像していたのだ。あとで思うと、多分単なる夏休みの塾みたいなものに過ぎなかったのだろうけれど。

2001.0809(木)〜0811(土)

 恒例のキャンプ@戸隠。当初の予定では8日からだったのに1日減ってしまいがっかりだが、現地で聞くと8日までは雨で天気が悪かったとのこと、到着した9日の昼過ぎにはちょうど雨が上がって、その後滞在中は晴れたり曇ったり、まあまあの山がちの天気で、それなりの気持ちよさを味わえたのでよしとしよう。

 戸隠でお蕎麦を食べるなら、奥社入り口のその名も「奥社前食堂」がおすすめ。普通のざる、とろろに加え、辛み大根蕎麦がよい。ここのお蕎麦は、蕎麦というものの力強さを感じさせてくれる。それと忘れちゃならないそばだんご(*^_^*)。次点は中社から少し上がった鏡池バス停の「そばの実」。

 さて緑陰の風に吹かれて『東の海神 西の滄海』を読了。六太のキャラクター設定のせいもあって、前作までの落ち着きぶりに比べて、マンガ的要素満載だけれども、泣かされる場面が続く。

 お次は、最近続編『夏の王』がでたO.R.メリング『妖精王の月』を、もう一度味わいたくて再読する。がああっ、良かったですやっぱり。16歳のカナダ人のグウェンは、久しぶりにアイルランドに住む仲良しのいとこフィンダファーのもとを訪ねる。夏休みを利用してふたりの幼い頃からの「秘密の夢とあこがれ」である「別世界に通じる扉や通路」を探しに、アイルランド中を旅して回る計画なのだ。とある出会いに引かれて、二人はいにしえの塚山の中で眠るが、その夜フィンダファーは妖精にさらわれてしまい、グウェンは彼女を取り戻す旅を始める。こちらの世界と妖精界とは、普段気付かぬだけで実はあやうく重なり合っているのだ。めくるめくような妖精たちとの夜の騎行、すさまじくも美しい、生死も善悪も時をも超越した妖精たちの世界。ときに妖精たちは、ジーンズをはき白いTシャツを着たミュージシャンの一団としてアイルランドの町のパブに現れる。妖精界に手を貸す7人の友も魅力的だ。本当に強く願えば、求め続ければ、妖精界への思いは通じるのだろうか。妖精王フィンヴァラが人間になったその後のお話という続編『夏の王』も楽しみ!

2001.0812(日)

 だるさと肩こりと頭痛を良いことに一日ごろごろする。昨夜から読み始めた『夏の王』を、頭痛が本格化する前に読了。この作品もやはり愛の物語だ。続編と言ってもフィンヴァラのその後を直接扱った話というわけではなかったが、『妖精王の月』で大きな役割を果たす妖精界の7人の友のうちの何人かがちらりと姿を現し、特にあの素敵な「おばば」は主人公ローレルに大事なアドヴァイスのひとつを与える役として登場する。現実的で行動派のローレルと妖精界を愛するオナーは、気性こそ違え切っても切れない双子の姉妹だった。しかし1年前アイルランドでローレルが無理矢理誘ったハンググライダーで、オナーは墜死してしまい、ローレルはそのショックから立ち直れずにいる。オナーはローレルにも明かさなかった奇妙な事柄をたくさん記した日記を残していたが、ローレルは苦い思いでそれを暗記するほど読み返していた。日記の記述に引かれてローレルは1年ぶりに妹の事故現場に立ち戻ってみるが、それが妹と再び会うための探索行の始まりとなったのだった。前作に比べ、さらによじれ複雑な展開をする物語となっており、ローレルやイアンは妖精界と戦うと同時に、深く自分自身と向き合う苦しい戦いを強いられる。妖精国の7年ごと(人間界と妖精界の時間の流れは異なっている)に海の上に姿を現す常世の国ハイ・ブラシル!西方の海の常世の国というものはなんと激しいあこがれをかき立てるものだろうか。また登場人物中ガレー船を率いる海賊女王グレイスが魅力だ。
 さらに次作"The Light-Bearer's Daughter"がPenguinから出ているらしいのだが、AmazonでもBolでもひっかからないのよう(;.;)

 でもって十二国記『風の万里 黎明の空(上)』に行ってみる。頭痛でキャンプの片づけも出来ないんだけど頭痛薬を友に何とか読書だけはね…。

2001.0813(月)

 今日まで夏休みである。一日片づけと掃除に終始する。夜になって『風の万里 黎明の空(上)』読了し下巻に行く。なんか気が重い展開だが、楽俊が出てきてくれてハッピー。過日買っておいた『活字倶楽部』最新号が十二国記特集だったのを思い出し、ちらりと見る。そうかー、やっぱり陽子、人気なのか。あの容姿がかっこいいものねぇ。

 母の所に本を移動するが、いよいよ本気で処分を考えないといけないらしい(他人事のように)。あっ、この「他人事」という表記であるが、私は「ひとごと」のつもりなのだけれど、最近「ひとごと」という言い方はとんと聞かず、「たにんごと」という言葉ばかりが耳につく。広辞苑の「ひとごと」の項にも「近年、俗に「他人事」の表記にひかれて「たにんごと」ともいう」とある。「ひとごと」のほうがずっときれいだと思うけれど、自分でもうっかり「たにんごと」と言っているのだろうか。

2001.0814(火)
購入本
田口ランディ/『ひかりのあめふるしま 屋久島』/幻冬舎文庫
有元葉子/『わたしの日常茶飯事』/筑摩書房
タッド・ウィリアムズ/『黄金の幻影都市3』/ハヤカワ文庫SF
袰岩奈々/『感じない子ども こころを扱えない大人』/集英社新書

 『風の万里 黎明の空(下)』続き。うーんもう景麒もうすこししゃんとしてくれい。「何で言わなかった」「訊かれなかったから」のノリぢゃないの。

 チャリ通勤の道々も、職場に着いてからも、いかにも人が少ない。いつもこのくらいの人口密度だとほっと息がつけるのだけれど。

2001.0815(水)

 朝出がけに、今週はお盆なので普段なら今日配達される生協の宅配も休みであることに気付く。うちは食料品の大半を生協に頼っているので、お盆とお正月の生協の休み週には食糧難になるのである。次男のお弁当作りがあるので、昼休みに久しぶりに職場の近所のスーパーで買い物をして帰る。重い荷物を提げ(と言っても自転車だけど)帰宅してみたら、あーらどうしたこと、しっかり生協が届いていた。この前注文書を出したのは来週の分じゃなかったの〜。レタス、オクラ、卵、パン、ヨーグルトに加え肉類もだぶってしまった。なのにトマトは全然ないの。

 『夏の王』で久々にケルトづいてしまい、キャンプ用品片づけのついでに母の所から持ってきたイエイツ編『隊を組んで歩く妖精達 其他』(岩波文庫)をちらちら見る。91年の復刊(8刷)で、初版は1935年。旧かなで、いかにも古そうな紙面である。あっ、これ印刷の裏側が出っ張っている〜(; ;)<うれし泣き
 一番最初に出てくる詩の一節を引用してみる。漢字は本当は旧字体。

丘の頂き高きに在す
白髪しわくちやおいぼれ王さん、
コラムの谷間にかかつた霧の
白い浮橋いと嚴かに
渡りゆかしやるお上の旅は
スリーヴリグからロッセズへ、
さては冷たい星照る宵を、
北の光の女王の許へ
樂を奏して夜のお食事に。

夏の王』では王様はおいぼれどころじゃないけれど、それ以外はそのものの雰囲気。

 おお霧と言えば、「ジュラシックパークIII]の冒頭で霧に呑まれたボートが再び姿を現したときに、ぼろぼろでもぬけの殻になっていたのは、いったいどいつが攻撃したのか?あいつらはその時は巨大ケージにいたのだから、じゃあスピノってこと?

2001.0816(木)

 朝夕の気温はずいぶん低くなり、日中でも日陰では涼しさを感じる。まとわりつく暑さはまだまだ続きそうだが、いっときのような夏の勢いは既になく、だらだらと秋に向かうのみ。帰宅が7時近くにもなると、自転車のライトをつけるほどに夕闇が降りている。

 未明に木星の食があった。煌々と電気をつけたまま早々と寝入ってしまった私はたまたまちょうどそのころ1時間ほど起きていたのだが、残念ながら東京は曇り。

 『風の万里 黎明の空(下)』読了。ずいぶんお話が複雑になってきて、中断したあとは「ええと、これはどこの誰だっけ…?」と悩みながら読むことになる。同じような年頃の娘が3人(途中までは4人)出てくるので、それも若干混乱のもと。乗り物に用いられている妖獣や麒麟の使令が魅力で、これらはぜひ視覚化して欲しいようでもあり、欲しくないようでもありというところ。イーガー『魔法半分』の続編『魔法の湖』を間に挟みながら次の『図南の翼』にゆく。おお冒頭からその妖獣が登場だ。しかし本当に講談社文庫版の帯はネタバレであることよ。どういう展開になるのか予備知識なくまっさらな状態で入りたいのに。しかたないので出来るだけ見ないようにしてカバーを掛けてから読むのだ。

2001.0817(金)

 職場で、CGIのおべんきょう。懇切丁寧な説明サイトと首っ引きでローカルのテスト環境を作るが、ApacheやPerlのインストールはすぐ出来たのに、なぜかCGIだけ動かない。どこかApacheのconf.がおかしいに違いないが、画面に目を凝らし続けるうち目がしょぼしょぼしてきて断念する。自宅でもう一度やってみたらあっけないほど短時間で出来てしまい、だてに失敗はするものじゃないのねとか思う<どこまで行っても初心者を脱せない人

 『図南の翼』は面白かった!キメのお言葉が何とも>珠晶。2作目『風の海 迷宮の岸』では黄海の旅はそれ程大変なふうではなかったけれど、この時代は妖魔が大量跋扈していたということか。ひゃー、犬狼真君そうだったのか…!どうも私は利広とか尚隆には弱いらしい。また会えるのかしら。次おむらよしえさんのアドヴァイスに従い『魔性の子』と、クリス・ファーマン『放課後のギャング団』を取り出す。

2001.0818(土)
購入本
『季刊 幻想文学61号』/アトリエOCTA
小鷹信光/『翻訳という仕事』/ちくま文庫
岩本隆雄/『ミドリノツキ(上)』/ソノラマ文庫
テリー・グッドカインド/『魔道師の掟1』/ハヤカワ文庫FT
久美沙織/『竜騎手の誇り ドラゴンファーム2』/ハヤカワ文庫JA
アンジェラ・カーター/『ワイズ・チルドレン』/ハヤカワ文庫epi

 なぜか冷蔵庫の掃除をする。賞味期限切れの冷凍品(たくさん)や賞味期限切れの保存食品(たくさん)や干からびた野菜類を棄て、引き出しを洗って消毒用アルコールを吹き、身軽に。いやほんとに引き出しが重かったのだ。あれこれため込むのは私の習性だが、これは父方の遺伝なので、私には如何ともしがたいのであるよ。そうそう、年代物のフルーツのラム酒漬けがあるから、パウンドケーキを作ってね>娘

 カレーを作り置いて、夕方から踊るらいぶらりあんさんの上京オフ@池袋に行く。この席で「(十二国記の)楽俊が好きなニムさんに」と、踊るらいぶらりあんさんがA5サイズのコミック(同人誌とのこと)の中の、とある作品を見せてくださる。ぴゃーん、濡れネズミの楽俊〜!隣席の大江戸さんと、かわゆい〜の連発である。ハム研かこりゃ。これ、欲しいっ。ところで、このマンガもそうだが、あちこちで見かける楽俊のイラストのしっぽは、太さは確かにネズミのそれらしいが、たいてい胴体と同じような具合に毛が生えている。ネズミのしっぽって、普通産毛のようなものは確かに生えているが、むしろ裸に近く、どっちかというと鳥の足のような感じでよく見ると気持ちよいものではないのだよ。うーんあれがリーピチープ・サイズかそれ以上…あんまり見たくないかも。

 まこりんさんから、大江戸さん経由でいしいしんじ『ぶらんこ乗り』を借りる。評判良いようだが、さて私にはどうだろうか。

2001.0819(日)

 おもに本の片づけ。とりあえず最近読み終わった本を母の所に一括大移動する。積み上がったままの段ボールの山にうんざりし、大部分を処分!と心に決めるが、いつどうやってより分けるかを考えるだけでこれまたうんざり。

2001.0820(月)

 しぼうちゅう。『魔性の子』を終わり、短編集『華胥の幽夢』に行く。なんと言っても寝不足すぎ。

2001.0821(火)

 『華胥の幽夢』から最新刊『黄昏の岸 暁の天』へ。間に1冊挟もうと思っていたのだけれど、誘惑に勝てず。『華胥の幽夢』はなんともおいしい1冊だった。いわばミステリ仕立ての「華胥」、月渓の苦悩を描く「乗月」、いやどれも満足度高い。十二国記カレンダーもいいなァ!もっと小さいサイズなら買ってもいいのだけど。『黄昏の岸 暁の天』はまだ初めの方だが、泰麒& his masterファンとしては、いとおしいような気さえしてくる。けっこう重症。

 台風11号は本州直撃コースのもよう。それにしても、なんと遅いこと。時速10kmとわ。どうせ来るなら夜のうちにぴゅーっと来て明日は嵐のあとの上天気(&暑さ)だといいのに、あすも一日荒れ模様か。5日間の出張から戻ってきた連れ合いの洗濯物が、乾かず困るのよう。大人一人分の洗濯物でさえ、あるとないとではずいぶん違うのに、なぜにこんな時に台風が。家中湿気まみれ。

2001.0822(水)

 きゃー有里さん、滂沱…(T.T) 

 『黄昏の岸 暁の天』読み終わってしまった!!そそそ、そんなところで終わるなんて、これから何年指折り数えて待たなくちゃいけないのでしょうポキポキ(<折ってます)。はい、めでたく諸先輩ファンの皆さんの仲間入り。これで心おきなくファンサイトを見に行けるぞ〜!ぴゅーん

 夕食後、私がソファにずっぽり埋もれて『黄昏の岸 暁の天』を読んでいると、次男がポータブルの扇風機を持って遊びに来た。長さ7〜8cm、直径3〜4cmほどの円筒に、へらへら柔らかい羽根がむき出しに付いている、触っても危なくないおもちゃみたいな扇風機。というより扇風器。回っている羽根をあちこちに触れさせて遊んでいた次男が、今度は「ぶーん」と言いながら接近してくる。生返事をしてひたすら十二国記にひたりきりの私、何度もしつこく羽根が顔の周り、頭の上を通過してゆく。「ヤバイ!」と思った瞬間それは起こった。回転軸に頭のてっぺんの髪の毛が巻き込まれてしまったのだ!頭皮の面積にして5mm四方ぐらいの髪が、ぎっちり根元からより合わさって二重らせん状というか、早く言えばドレッドヘアになって扇風器と合体(; ;)。次男も私もどうすることも出来ず、結局長男が羽根の部分を分解してやっと髪と扇風器を分離、その後捩れによじれた髪の毛を辛抱強く縒り戻すこと15分…。ちょうど分け目の所なので手っ取り早く切ってしまうわけにも行かず、おまけに頭のてっぺんだけに腕を上げっぱなしの難行を強いられたのであった。ハイ、自業自得という説もあります。

 台風11号の接近と通過。ちょうど出勤時に風雨が強まってきたので、いつもなら私より一足先に学童保育に出かける次男を送ってゆく。門まで送って別れた直後、俄然風雨の勢いが強まった。必死に傘にしがみついて歩くこと15分、職場に着いたらジーンズ(昨日の帰りに濡れたのを今日のためにそのまま干してまた穿いた)はレインコートから出た部分と隠れた部分とでツートンカラーに染め分け状態に。ゴミ袋にきっちり包んで持ってきた替えの服一式に着替えて、ようやく力が抜け、ほっと一息ついた。結局、出勤時が一番ひどくて、さあこれからが本番だ!と思っていたら、そのあとは大してひどくなることもなく、帰宅時には日差しが、そして西空には月も。見事直撃したようではあったが、このあたりは大したこともなく済んだようで一安心。ベランダの植木鉢にも被害はなかった。日中のニュースで、埼玉県で浸水一戸、って大江戸さんとこかしらと思ったけど違ったようでなによりでした。

2001.0823(木)
購入本
ユリイカ 臨時増刊号 総特集宮崎駿「千と千尋の神隠し」の世界…ファンタジーの力…』/青土社
切通理作/『宮崎駿の「世界」』/ちくま新書

 ちらっと読みかけてそれきり後回しになっていた、クリス・ファーマン『放課後のギャング団』を読み始めるが、この二日、十二国記漬けのため睡眠時間がいくらなんでも短く(二日で9時間)、文字通り本を胸にバタンキュー。

 「千と千尋〜」をネタによくまあ公開まもないこんな時期に立派な一冊になるほどの文をいろんな人が書くことよ息切れ。この『ユリイカ 総特集宮崎駿』に、上橋菜穂子さんも一文を寄せている。天澤退二郎とか。『宮崎駿の「世界」』のほうは、目次を見ると、宮崎駿の代表作、初期からこれまでの作品を跡づけているらしい。

 千尋、ハク達とわかれてこちらの世界に戻ってきたとき、向こうの世界のことを覚えているのだろうか。うちの子たちは、「そりゃ覚えてるでしょう」と言うが、私は覚えていないのだろうと思う。少なくとも意識的には覚えていなくて、彼女の中に4次元マップになって折り畳まれているのだろう。

2001.0824(金)

 あんまりギャングっぽくはない『放課後のギャング団』、ちょっと『いまを生きる』を思い出す。主人公フランシスが恋する少女は、見かけこそ違え映画「ギルバート・グレイプ」でジュリエット・ルイスが演じる女の子ベッキーの感じかな。

 文藝春秋のPR誌『本の話』9月号で、池上永一の連載「夏化粧」が始まった。ややっ渡辺淳一路線か?Webサイトでは最新号の目次が見られるが今日現在ではまだ8月号のままだ。ただしWeb上では読めないぽい。なぜなら本誌にURLが書いていないから。いざ読めば無事オジィもオバァもでてくる。主人公の女の子の名は津奈美。見開き6ページなのだが、これっぽっちでぶち切られるとやっぱり辛い。

 先日の楽俊の尻尾についてはbbsでつっこみが入り、確かめてみたらちゃんと文中に尻尾まで毛皮と書いてあるのだった。そこへタイミング良く駄目押しのように石堂藍さんの一文(8月21日)なぞ読んじゃって、あちらはプロのレベルの話、こちらは専ら楽しみの読書の話とは言え、ぐさぐさっと来る。

2001.0825(土)
購入本
竹内節・編/『独逸怪奇小説集成』/国書刊行会
『SFマガジン10月号』/早川書房

 調布市文化会館たづくり(こういう名称)まで、「星野道夫 写真展Alaska 極北の命」を見に行く。それほど広くはない会場に、すでに何回もお目にかかっている星野道夫の大きな写真パネルが多数展示されている。新たな星野道夫の写真が決して増えることがないということを、こうして毎回突きつけられ、その事実には納得するより他にないのだけれど、やはりどうしても受け入れられない。彼の写真集の多くは持っているけれど、やはりあの大きさでのパネルは色も大きさもこちらを圧倒するものを持っている。星野道夫は、自然と遠くかけ離れた人間にとってなぜ行ったこともない土地の自然がだいじなのかを繰り返し思索し、言葉にしている。アラスカのかけがえのない自然がアメリカ政府によって蹂躙されようとしている今、残されたそれらの言葉が本当に身にしみるのを感じた。

 そう言えば久しぶりに行ってみたら増えていた>ペーパークラフト(日本や世界の希少動物、バイクなど)

 小学校校庭で、初めて父親有志が主催する「夏休みキャンプファイヤー」なるものに参加。おとうさんがたいくらなんでもあのきかくはちょっとひどいんじゃない〜。それなりにいい部分もあったことはあったんだけど、肝心のファイヤーストームの部分、なーんにも予測も計画もないんじゃないの。はっきり言っていいとこナシ。終了後の「反省会」でちゃんと反省したのか?反省点を認識していない可能性高し。おとうさん達しっかりしてよね、みんなのナマの意見をあとでフィードバックするからね。

2001.0826(日)

 『放課後のギャング団』読了。どう言ったらよいか、痛くて美しい。やっぱり『いまを生きる』や『ラブ・ストーリィ』(<『ある愛の詩』、絶版らしい!)を思い出す。出版されたのは91年だが、舞台は74年頃だ。厳格な学校に通う主人公たちは13歳。フランシスは一学年下の少女マージに恋をしている。才能、悪態、喧嘩、反抗、マリファナ、挫折。卑猥なコミックを書いた彼ら仲間は、放校の危機にあう。これから教師達の目をそらすために別な大騒ぎを引き起こそうとする。けれどもそれは思わぬ結果を生んでしまう。静謐な雰囲気を湛えた作品だ。

 いつの間にか『魔法の湖』(『魔法半分』の続き)も読み終えていた。さすがにちょっと古い感じは否めないが、その割にぶっ飛んでいて面白い。魔法をかなえてくれるのは湖に住む亀、でもその魔法はあくまでも「湖の」魔法で、魔法自体がご機嫌を損じたりして、いわば人格を持っているという風変わりな設定になっている。スミスさんの営む本屋さんも何とか軌道に乗ったようで一安心。続きがあるようなので読みたい(邦訳なし)。

 『隠し部屋を査察して』を次候補にして、そのつなぎにSFM8月号から「オーニソプター開発秘史」を読みかけているが、この2つはこの号の特集であるカナダSFつながりだと気付く。ちょうど先日読んだ『夏の王』のメリングもカナダの人だ。

2001.0827(月)

 『翻訳という仕事』に浮気ちゅう。著者はミステリ、ハードボイルド畑の翻訳者である。「超訳」への批判など実例が満載で興味深い。この超訳批判に対する先輩翻訳者らからの反論の部分が、なかなか面白くてニクいオチになっている。著者のひととなりを良く表す一面と思った。

2001.0828(火)

 気付いたら朝(; ;) 体調のどの辺が不良なのか。やっぱり首から上と思われる。

2001.0829(水)
購入本
ダイアナ・ウィン・ジョーンズ/『魔法使いはだれだ』/徳間書店

 哀しいかな、朝から仕事で外出のため昼の読書できず。往復3時間弱の空白の時間があったのに、職場の車で移動したので、車酔いする私は一文字も読めないのであった。助手席でナビをしなくてはならないような時も、真剣にかがみ込んで地図を見ていると酔ってしまうという役立たずなのである。あー電車だったら良かったのに。おまけにひどい頭痛まで起きて散々。

 帰宅するとbk1から『魔法使いはだれだ』が届いていたので早速読み出す。うーんはりぽたと設定がかぶっているのが現在の状況では良し悪しだのう。それにしてもなかなか邪悪でよろしい。

2001.0830(木)

 『魔法使いはだれだ』読了。巻末のシリーズ紹介はもろにネタバレなのでまったく気に入らない。読む楽しみを出版社自体が奪ってしまっては仕方がないではないか。シリーズ中のこの作品を真っ先に出すというのは、はりぽた便乗商法だろう。一見設定が似ているから。それにしても全巻に魔法、あるいは魔女という字句をかぶせるのも(以下略)。おかげでシリーズが邦訳されるのだからここは素直に喜んでおこう。

 本文中の生徒達の日記部分の様々なフォント使いも、はりぽた(日本版)を意識してのことに相違ない。イタリックになっているだけの原作(ペーパーバック版)のほうが遙かにシンプルで想像力を誘う。
 昨日「邪悪」と書いたあとでさっそく読み続けていたら、それに呼応するかのようにいきなり本文中から「邪悪」という言葉が目に飛び込んできたので吹き出してしまった。『魔女集会通り26番地』に比し、クレストマンシーによる並行宇宙の説明がSF的。ハウルのシリーズとの関連をより強く感じさせる。はい絨毯も登場。ほうき、クワ、モップたちが魅力ですわよ。クレストマンシーの読み方を大文字で書いてくれたというくだりは、"Chrestomanci"を"KREST-OH-MAN-SEE"と綴ってくれたということですね。あーこれもネタバレか<ほとんどヤケ。

2001.0831(金)

 検診のため母を病院に連れてゆく。診察自体は待たされることもなく特に何事もなかったが「連れてゆく」部分で疲れた。

 職場に戻ってから、すとれす解消にと、同僚のおねえさまがランチに誘ってくださり、ランチビアなどちょっぴり。彼女の所もお母様が似たような症状なので時々慰め合うのである。食後、銀行へ行くという彼女と別れて、歩きながら娘に母の件で電話をかけたら「もしもし。あれっ、ママっ、後ろ見てみな!」という。何事かと振り返ったら10mほど後ろに娘と長男が。夏休み直前に通学用自転車を盗まれてしまった娘に、昨日昼休みに落ち合って新しいの(安い)を買ってやったのだが、ちょうどそれを取りに来たところだという。まあ二人連れだって仲良しだこと。

 『翻訳という仕事』の続き。あー大変興味あるのになんで真剣に勉強しておかなかったかなあ>語学

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最終更新
2001.12.31 01:11:38