ニムの木かげの家日時計 2001. 11月

 
2001 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 Index

日記へのリンクは<http://www.mars.dti.ne.jp/~gmotaku/diary2001/hdkmm.htm#mmdd>へお願いします。
▲最新の日記▼読了本>bk1書籍検索

01 02 03 04
05 06 07 08 09 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30

2001.1101(木)
購入本
モンゴメリ/『アンの青春』/集英社
ベーメルマンス/山のクリスマス』/岩波の子どもの本
ポガニー/『金のニワトリ』/ 〃
サマセット・モーム/『九月姫とウグイス』/ 〃
アーディゾーニ/『まいごになったおにんぎょう』/ 〃
シオドーラ・クローバー/『イシ』/岩波書店
中村哲/『医者井戸を掘る』/石風社
峯島正行/『評伝・SFの先駆者 今日泊亜蘭』/青蛙房

 そこらに置いておいた『プラネテス2』を長男と娘が相次いで目にとめ、「これの1はどこにあるの?よこせ」と言う。ふん、1を買ってきた時は大して反応見せなかったくせに。

 『九月姫とウグイス』を何年かぶりに読む。懐かしいし、ほんとに面白い。この絵、良くマネして描いたっけ。どのお話の中でも、窓から入ってきて枕辺で歌う鳥は愛らしい。この『九月姫とウグイス』のウグイスも、アンデルセンのナイチンゲールも。もしや九月姫のウグイスも、本当はナイチンゲールなのでは?

 "Kit's Wilderness"読み中。なんだ、『闇の底のシルキー』ってこれなんだ。

 「SFサイトへ100の質問」 への回答をしてみました。

2001.1102(金)

 気分転換に『ツチケンモモコラーゲン』を挟みながら"Kit's Wilderness"を読むが、1章がかなり短いので切れ切れに読んでも何とかなるのが有り難い。なぜかこの本もまたゾンビ本と言える。ツチケンのほうは二人のやりとりがおかしくって、脱力に次ぐ脱力で大変結構、見習うべきところ大である。ただ普段から脱力している私がこれ以上脱力すると困るのも確かだ。

 明日珍しく出なので今日は代休。午後、小学校で全校を開放しての研究発表会を見に行く。実際に見るのは生活科みたいなもので、1,2年生の内容はお店やさんごっこのお友だちなので、のんびりしたものである。その前お昼時には、受験間近だからと言って学校をずる休みしている娘(今月選抜試験がある)と近所のステーキ屋のランチを食べに行き、進路の事カレシの事などあれこれ話す。何のために休んでるんだか。ハンバーグカレーのランチが期待を裏切ってかなりおいしかったのと、気持ちの良い天気の中をたらたらと二人で自転車に乗ってかえったのとで、良い時間を過ごしたーと言い合った。

 夕方からはバスで10分ほどのプラネタリウムの特別上映として星空をバックにお話会、というのに行く。普段お話会を聞きに行っているというお友だちから誘われた。朗読でなく「語る」人なのだけれど、じつは私この方の話し方が好きでないので普段はご遠慮している。トレーニングも経験も積まれて、子どもの気持ちの引きつけ方もそれなりにお上手なのだろうけれど、いわば生理的にダメなものは仕方ない。きょうのは星空をバックに、というので、soraministとしては心そそられ行ってみたのである。話し手に控えめなスポットが当てられ、バックに冬の星空が投影されているのだが、それきり星空は終わるまで1mmも動かなかったのでがっかり至極。半分以上爆睡できたのでまあいいか。こんどちゃんと星を見に行く予定。

2001.1103(土)

 晴れの特異日なのに、本当に珍しく休日出勤したせいで雨。皆さんごめんなさい。でも私のせいじゃないのよ、職場の行事のせいなのだ。本格的に咲き出した山茶花も思わぬ強い雨に打たれる。

 次男は早くも例のベイブレードをサンタさんにお願いしているのだが、品薄続きで休日の朝一でデパートなどに並びに行く元気もなく、親の方がサンタさんにお願いしたい有様。ところが先日長男が「ロフトに山のように売ってたよ」と言う。「えーっ何で買ってきてくれなかったのよう」となじると「だってカネないんだもん」。あっスミマセンと納得し、お金渡すから買ってきてあげてえと猫なで声で頼んだら、即座に翌日次男に内緒で買ってきてくれた。「あ、自分のも買ったからね」と言う、精神年齢は弟とまるで同じ高校2年生である。おかげで私の財布から彼に今月のお小遣いをあげる分がなくなった事には気付いていない。

 じつは今日初めてマジメに「猿の惑星」(オリジナル版)をTVで見た。今までもごく切れ切れには見てはいたんだけど…。でもさ、英語が通じるところとか馬がいるというところで「ここは地球では?」と思わないのはやっぱり変。なんて突っ込んじゃいけないのか。チャールトン・ヘストン若いのう。ティム・バートン版がレンタルになったら年取ったお姿を良く拝見し直そうと思う。確か元々の原作ではティム・バートン版のように再び戻った地球も猿が支配しているんですよね?ティム・バートン版を先日見た次男は今日のオリジナル版に終始「つまんない〜」を連発。

2001.1104(日)
購入本
川上弘美/『神様』/中公文庫
赤瀬川原平/『老人力』/ちくま文庫

 朝から「エボリューション」を見に行く。ドゥカブニー、ぜんぜん難しい顔してなくてgood。音楽もノリノリで楽しい。ゴーストバスターズの姉妹編てところか。窒素生物はせっかく進化したわりに最後に出てくるのは巨大アメーバというのはどうかな?やっぱり太っちゃったダン・エイクロイドには、せっかく登場したのだからもうちょっとキャラをひねって欲しかった。とは言いつつぱーっと楽しめるバカ映画は楽しい。

2001.1105(月)

 相変わらず"Kit's Wilderness"の続き。秋から冬へ。ドキ、手元にあるえいごはみんな暗いような気が。やっぱり『魔法半分』の続きを読むべき?<エブリデイマジックで楽しそう

 老人力を読みかけて、げらげら笑う。「おっかしいよねえ!」と言うと娘、「ねえ、って言われても…」とつれないお返事。はいそうですねすみません。さくらももこと言い、エボリューションと言い、老人力と言い、なんか脱力系にひかれているらしい。

 ずっと以前掲示板で話題に出た「月虹」の記事森山さんの10/31の日記のリンクをたどって)。

2001.1106(火)

 そろそろ自転車のハンドルを握る手に冷たさの予感がする。ある日急に手袋が欲しくなって、去年の手袋をどこにしまったか、あわてて引き出しをかき回すはめになるのだ。日中それ程寒いというわけではなかったが、今日は秋と言うよりむしろ冬の空気だ。暗くなってからは寒そうな冬の風の音。

 先日職場の他の部署のおねえさま@来春退職が、「G4ノートが立ち上がらなくなっちゃったのよう、あさって学会で使うの、何とかして」と泣きついてきた。うーん、どうやら立ち上がっている事はいるらしく、動いている音はするんだけど、画面が死んでる。一通り見たが、機械的なものじゃなかろうか。念のためもうひとりMac使いに確かめるとやはり同意見。修理を勧め、「どうなったか後でおしえてね」とバイバイ。数日後に状況を聞くと、マザ−ボード取り替え中とのこと。「重症だったのねえ」と言うとぽつりと一言、「やっぱり猫におしっこかけられたらだめなのかねえ」「…え?ほ、ほんとにかけられたの?」「そうよ(きっぱり)」 あーっ、おねえさまー、そんな事一言もいわなかったじゃないのー。涼しい顔で「あら、言わなかったっけ。かけられてから動かなくなったのよ」…それ先に言ってくれー。ああ脱力の日々。

 "Kit's Wilderness"(『闇の底のシルキー』)は、13歳のAskewとKit、そのGrandpaたちの不思議な交流(交感)、てところで、雰囲気はあってそれなりに引きつけるところは多なんだけれど(大変寒いのだ)、前作の"Skellig"(『肩胛骨は翼のなごり』)のほうがいびつだけれど面白かったかなあ。文才のあるKitと引きつけあう、こちらは画才のあるAskewは、一種「名は体を表す」なのだと気付く。

2001.1107(水)

 職場の消防訓練で、第一発見者として通報して、逃げ遅れてはしご車で救出される人になった。ここ二年ほど、ぜひはしご車に乗ってみたかったんだ…!\(^O^)/

2001.1108(木)
購入本
マイケル・コーレン/『トールキン』/原書房
スーザン・グリーンフィールド/『脳の探究』/無名舎
浅田次郎/『民子』/角川書店
一色まこと/『ピアノの森 7』/講談社アッパーズKC

 『ピアノの森 7』をようやく買う。前も良かったけれど、この巻が一番いいかも…!ピアノを弾く…音楽することの純粋な愉しさを体感するカイなんだけれど、その部分ばかりでなく全体にいよいよ佳境という感じで、びんびん来てしまった。作中で弾く曲がiモードで聴けると書いてあったので、iモード使用者である連れ合いにアクセスしてもらったが、残念なことに有料だったのでダメと言われてしまった。

 『民子』ぅ〜!

 井上直久『世界はあなたのコレクション』がようやくbk1に入った。「熱狂的なファン」とあるが…うーん、実際にも心情的にも追っかけをするほどのファンは一杯いるが(私も可能ならしたいよ)、熱狂という言葉はちょっとそぐわないように思える。明日仕事で青山に行くのだが、9日に井上直久さんのサイン会が青山で行われるというのが頭にあったので一瞬喜んだのも束の間、9日は9日でも12月の事だった。

2001.1109(金)
購入本
井上直久/『世界はあなたのコレクション』/架空社

bk1からの悲しいお知らせ(;.;) 予約本の発売延期の連絡。

書籍名:「魔女とくらせば」
発売日:2001年12月→発売日未定

DWJことダイアナ・ウィン・ジョーンズのクレストマンシものの第3弾、以前『魔女集会通り26番地』で出ていたものの新訳。

 午後から青山、というか表参道へAdobeのセミナー(PagemakerとかInDesignとか)に行く。あいにくの雨。はたと気付いて、青山ブックセンター本店に足を延ばして『世界はあなたのコレクション』を入手。サイン会の整理券もgetしたけど、展覧会の方に行ってサインしていただいた方がゆっくりするかなあ。やっぱり東京在住イバラーダーの一人として、駆けつけるかなあ(悩)。この整理券もとっても綺麗。姫川みかげさん、12月9日来ません?

2001.1110(土)
購入本
デイヴィッド・クレメント・デイヴィーズ/『預言の子ラノッホ』/徳間書店
最上敏樹/『人道的介入』/岩波新書
米田淳一/『エスコート・エンジェル プリンセス・プラスティック1』/ハヤカワ文庫JA
ブックオフ本
森絵都/『ショート・トリップ』/理論社
ビルヒリオ・ロドリゲス・カマル/『ケツァル鳥の館』/文藝春秋
佐藤賢一/『ジャガーになった男』/集英社文庫
国枝史郎/『神州纐纈城』/講談社大衆文学館

 雨の中、昼から長男の保護者会へ行く。家の近所から駅へ行くバスの中でも「これから息子の保護者会」「あら、私もよ」という会話が聞こえる。そういうシーズンらしい。寒そうなのでそれなりの装備をしていったが、やはり1時間の話が終わる頃には体育館はかなりの冷え込み。膝掛け代わりに大きなウールのストールを持参して正解だった。駅へ戻る途中の長い垣根の山茶花が、雨に濡れて透き通るようで綺麗。

 アッサム系以外の紅茶を切らしてしまったので帰りにデパ地下(なぜか一発変換)に行くが、いつの間にかごく普通の量り売り紅茶売り場が消えている。そんじゃ、とマリアージュ・フレールで"Noel Nouveau"を。緑茶ベースでフルーツ、ナッツフレーバーとかでいい感じの香り。ほんとはシッキムがおいしいんだけれど、あれはどこのメーカーのでも高い。

 『預言の子ラノッホ』のさわりをちらりと読む…つもりが、どんどん行きそうなのではっと気付いて閉じる。本屋で見たあとがきによると作者は『たのしい川べ』のパンの章が好きというそうなので、それじゃあ間違いないんじゃないかと思って予備知識もなく買ったが、人じゃなくて美しい鹿が主人公らしい。シリーズじゃないところが好ましい。ところで、徳間の児童書についてる、クマちゃんがドアを開けて顔を出してるマークって、巻末広告に「とびらのむこうに別世界」とあるのでそのデザイン化だと単純に思っていたけれど、じつは「戸+熊」だ、ってほんと?>三村美衣さん@SFオンライン評

 "Kit's Wilderness"が「寒い」と先日書いたけれど、あれは比喩的に寒い(内容が面白くない)という意味ではなくて、実際に真冬の雪と氷の荒野や氷河などが満載なので実感として「寒い」と書いたのである。これまで読んだところでは、作品の出来としてはこちらの方がずっと"Skellig"(『肩胛骨は翼のなごり』)より完成度が高いのではないかと思う。次の作品"Heaven Eyes"も出ているようだけれど、きれいで上手なだけな人にならないように願う。この"Heaven Eyes"は、"Kit's Wilderness"と同じ人の装丁なのかな?表紙のドアップ画像はきれいだけどちょっと迫力ありすぎ。ところでamazon.comでいくつかの本の内容見本が見られるようになったのって、いつからなんだろう。

2001.1111(日)
購入本
秋山瑞人/『イリヤの空、UFOの夏 2』/電撃文庫

 空気はきりっと冷たく、日差しは明るい、本当に気持ちの良い天気。家の中のぐちゃぐちゃは捨て置いて、お散歩。次男と、文京区千駄木の藪下通りに最近公開された、昔のお屋敷の庭を「公開緑地」としたものを見に行く(正式名称不明)。昔から、一体ここは何だろう?と思っていた鬱蒼とした場所だ。鎌倉の裏手にでもありそうな、崖線に残る緑地で、期待よりは大変狭いものではあったが、この場所にこうして残っている事に価値があるという感じ。何十年か前まではこのあたりも…と思いを馳せるよすがになるだろう。庭と言っても荒れたままになっていたようだから、それ程緑濃いという感じではなかったが、区がこれからさらに整備する予定らしいから、しばらく経ったら美しい緑のオアシス(お決まり)になるだろう。若い頃本当にこの近所に住んでいたのだが、久しぶりにぐるぐる歩き回ってみて、さすがに十年一昔、ずいぶん変わってしまったものよと今更のように感じる。

 夕方からは北区の北とぴあにあるプラネタリウムに行く。ずいぶん空いてる。始め10分くらいはちゃんとナマのナレーションで日没から今日の夜空の説明だったのでほっとしたが、その後はずーっと「イーハトーブの丸い屋根」という、宮沢賢治の作品の数々を借りてきたお子さま向けプログラム。うう〜。まあ確かに星も出てくるけどね、宮沢賢治にちなんだものだったら、もっと素敵なものがいくらでも出来るだろうに、高機能のプラネタリウムをもっぱら子どもを対象にしたもののみに使う事ないのに。私は、星を見に行ったんだよ〜!!今なら、すばる望遠鏡だって、なんだって、一杯最新のデータが転がっているのだから、宇宙の驚異を目の当たりに見せてくれる、ドキドキするようなプログラムを作って欲しい。昔良く見に行った五島プラネタリウムは、そうだった。こんなだから日曜なのにガラガラなのよー。それにやっぱり、せめて最後にはちゃんと星空を動かして、明日の朝の日の出で締めて欲しいものだよね>安田ママさん!

2001.1112(月)

 終業後、東京芸術劇場で京劇(三国志)。今日のは立ち回りや数々の宙返りが見事で、拍手やかけ声も頻発した。葉金援という役者が、動きのきれいさ、声や立ち居振る舞いの迫力でひときわ目立っていたのと、日本人初のプロ京劇役者が活躍して(がんばって)いたのとが見所。

 井上直久インタビュー。フランスのアニメ雑誌のインタビューなので、私の大好きな耳すま(「耳をすませば」)に関する興味深い話題がいっぱい。井上直久と宮崎駿の本当に幸せな出会い!

2001.1113(火)

 今朝は小学校で15分間の読み聞かせのボランティア。自分の子どものクラスではなく、わざと別なクラスに割り当てられる。私が2年生対象に読んだのは『だるまちゃんとだいこくちゃん』(加古里子)、『三びきのやぎのがらがらどん』(マーシャ・ブラウン)、『キャベツくんとブタヤマさん』(長新太)の3冊であった。
  MAKIさんにアドヴァイスされたように(&自分では決めかねた)、5,6冊の絵本を持っていって、どれがいい〜?と聞くと、即座に「これがいい!」と声が挙がったのが『三びきのやぎのがらがらどん』。人気だよねえ!この前うちで何がいいか選ぼうと(「やまのえさばでふとろうと」に似てる)、いくつか立て続けに読んでみた時、下の子ばかりか上の二人の子もほんとに力を込めて聞き入っていた中のひとつが、この本だった。だるまちゃんシリーズも、くやしがるだるまちゃんがほんとに可愛い。MAKIさん紹介で私には初めてのキャベツくんシリーズも、長新太らしいナンセンスぶりとペーソスが大うけ。
 読み聞かせ終了後、他のクラス(今日は1,2年のみ)で読み聞かせをした人たちに聞くと、うまくいったのはやはりこれもMAKIさんに教わったように、自宅などで少人数を対象に読み聞かせするときよりもぐっと易しいものを選んだ場合であったようだ。1年生の、特にうるさいクラスに『スーホの白い馬』をぶつけた人は、完敗。「聞く体勢が全然出来てない!全然だめ!話には聞いていたけど、確かにあれじゃあ先生も大変だわ」と言って力一杯怒っていたけど、やはりそれは最終的には本の選択の失敗と、聴かせる方の姿勢の、子どもとのずれだろうと思う(話に聞いていたんだったら、なおのこと、子どもの気を惹きそうな本を選べばいいのに)。
 何といっても、楽しんでもらうのが目的なんだからさ。たとえ読み聞かせを続ける事によって、子どもたちに落ち着きが出てきた、とか、人の話を聞く姿勢が出てきた、とかいうことがあったとしても、それはあくまでも二次的産物だろう。本に親しんでもらいたい、ということすら目的ではなくて、単に本を手段として、楽しい時間を過ごして欲しい、面白い体験をしてほしい、ということが、メインだと思う。2年3組、一緒に楽しんでくれてありがとう、また行ってみたいな!

 "Kit's Wilderness"ようやく終わったぁ。いやあ良かった!この解決、文句なしに美しいぞ。なんか私は、英語で読んでみた本ではいい思いばっかりしているなあと思う。慣れない英語を読むというのは、読み飛ばそうにもいっこうにスピードアップできず、普段日本語の本なら読む速さだけはそこそこの私としては結構もどかしい思いもする作業である。けれどもそこを腹をくくって読むと、じっくり読むということになり、そのことが、以前の"Holes"や、この"Kit's Wilderness"では間違いなく良い方に働いているのだ。その結果"Kit's Wilderness"を読んでいる間中、KitやAskewたちにぴったり寄り添って、目の隅にちらちらする影のような少年たちの姿を見、胸に赤ん坊のぬくもりと鼓動を感じ、握った手のひらの中の色とりどりの小石の汗でじっとりした感触をおぼえ、凍るような寒さの中で吐く息がぽっぽっと白くあがるのがあたかも自分の呼気であるかのようにすら思えるのだった。さてこの本の邦題『闇の底のシルキー』は、いったいこの本を、この本向けの読者に届けるのに役立つだろうか?

2001.1114(水)

 終業後、紀尾井ホールにてシプリアン・カツァリス(Pf)の演奏会。ショパンなどの小品や、またベートーヴェンの交響曲のピアノ編曲版などのCDによってものすごい技術にふれてはいたが、ナマを聴いてびっくり〜。響きの美しさ、膨大な量の音符からなる音の雲の中から浮かび上がる旋律線の彩りの素晴らしいこと、これらは生演奏じゃなければわからない。いやはや、驚いた。これでも全然ベストにほど遠いと言うのだから、熱心なファンなら追っかけに走るだろうとは容易に想像できる。

 古沢嘉通さん制作のファンジン"Review IKA"(キース・ロバーツ特集)が届く。何となく予想していたものより、はるかにすっきりと中も外も美しく、しかも平綴じのしっかりしたものではないか。おまけに中味はアニタシリーズ5作まとめて翻訳+未訳本レビューたくさんというおいしさ。ロバーツの写真を見られて感激!

2001.1115(木)

 子どもたちと金八先生を見たあと、一切記憶ナシ。辛うじて『預言の子ラノッホ』を1,2ページ読みかけたところは覚えているのだけれど。

2001.1116(金)

 都下某市にて職場主催の講演会。家から目的の駅までは、えらく遠いかと思いきや、速い電車を利用してちょっきり1時間で行けたので10時集合は楽々だった。中には速いのに乗り損ねて次に来たのに乗ったら、最も連絡の悪い各駅停車だったため「散々だった〜!!若い人みたいに言えばムカツクってところだよ!」という運悪い管理職あり、そうだろうねえ、千葉の方から来る人だから合計3時間以上かかったのでは。それにしてもこういうの(講演会主催)って疲れる。終わったら養老乃瀧方面へ引っ張っていかれ、カキの揚げ出しなんかはおいしかったけど、早く帰りたかった。ご飯が心配で家へ電話すると、長男が「ごはんたいた。おつゆ作った。豚キムチ作った」と言って、どうだ〜と言いたげな鼻息。なんて偉いんでしょう、ありがとうよ長男。しかしそれを聞いて一挙に帰る元気を失ったのも事実(*^_^*)

 車中では"Review IKA"を読む。キース・ロバーツ未訳作品レビューでは、どれもこれも読みたくなって困った。なんと言っても大半が未訳なわけだし。

2001.1117(土)

 いいなあみんな京フェスで(;.;)。アンシブルならぬアンサンブルの部屋とか、ダサコンの部屋とか、行きたい気持ちは山々ですが、なかなか簡単には出られない。

 母の姉@新潟もどうやら最近記憶が怪しくなってきた模様。いとこ(母の姉の娘)が、顔のわかるうちに二人を会わせたいと言って近日中に上京予定だが、はてー、お互いに会ったのち、いつまで再会を覚えていられる事やら。

 何を読んだらいいか、いまいち集中できないが、とりあえず『預言の子ラノッホ』を終わらせる事にしよう。雌の鹿のある種の性向以外は、なんだかあんまり鹿っぽくない気が…。

 美しい夕焼け雲。今日も明日も、幸いに晴れの予報だ。昨日からやたらに眠いのだが、さて獅子座流星群を見るために起きていられるだろうか。あとで反語表現だったと言う事にならないように今からたくさん寝ておくべきか? 

 おかげさまで昼頃100000ヒットを越えた。いつも見てくださる方々、どうも有り難うございます!

2001.1118(日)
購入本
青木富貴子/『目撃 アメリカ崩壊』/文春新書

 先日晴海に新しく出来た第一生命ホールへ仲道郁代・育児支援コンサート「星のどうぶつたち」を聴きに次男と一緒に行く。前半は小学校高学年以上の子どもと大人は、仲道郁代のショパンプログラム。この間、それ以下の年齢の子どもたちは、別室で別プロ。4歳以上の未就学児はハモニカなど、小学校1,2年生はヴァイオリンとギター、3,4年生はマリンバ。後半は親子一緒の席で、田中カレン作曲の組曲「星のどうぶつたち」を、可愛らしい絵のスライドといっしょに、仲道郁代がいわばプロムナード部分を語りながら演奏をするのを聴く。しかしチケット購入時にこのようなプログラム詳細がよくわかるようになっていなかったため、今日会場に来て初めてそれと知る親子もおり、「はじめはお母さんとはべつなのよ」と母親に言われて「どうして〜」とべそをかく子も。「お母さんもさっき初めて聞いたのよ」と憮然としている。せっかくの仲道郁代の趣旨が、充分生かされていないのがもったいない。演奏の方は、私は彼女のピアノは波長に合うようで、今回もすっかり堪能した。あの細い体のどこからあれだけのエネルギーとボリュームが生まれてくるのだろう。握手したけれど、間近で見てもお綺麗な方!天は二物を与えるのよねえ。一昨年、カザルスホールでは最後になって以来都内では催されていない「仲道郁代の音楽学校」は、来年は多分このホールで行われる事になるらしい。

 昼間からいまいちだった空模様だが、暗くなってから一面の曇りに。ようやく少し晴れてきたのでこれからちょっくら見てくるかな>獅子座流星群(ただいま1:15)

2001.1119(月)
購入本
スティーヴァン・ジョーンズ/『インスマス年代記 上』/学研M文庫
東雅夫 編/『伝奇ノ匣1 国枝史郎 ベスト・セレクション』/ 〃
ルーマー・ゴッデン/『クリスマス人形のねがい』/岩波書店

 獅子座流星群は、1時半頃から3時過ぎまで、うちの前のグラウンドへ見に行った。月齢は2.5を過ぎたところだから絶好の観測日和だ。夕方からさっきまでたれ込めていた雲も、真夜中過ぎから切れ間が見え始めてこの時間にはすっかり晴れた。シリウスが綺麗!アウトドア用の分厚いジャケットにスキーパンツ、手袋。ところがいつの間にか、グラウンドの周りを囲うフェンスの隙間がすっかり閉ざされて、入るところがなくなっている。夏に花火をやった頃は、錠の下りた門の横に合法的な通用口(人が通れるくらいの隙間)が残してあって、夜から朝まで、犬の散歩や、ジョギング、サッカーの練習、花火などに利用されていたのに。ここを観測場所としてやってきた人たちは何人もいて、フェンスの周りをぐるぐる回っては「入れない」と言っている。初めはしょうがない、と思ってフェンスの周りで空を見上げていたが、やはり木や街頭が邪魔。そのうち、無理にすり抜ければ入れる隙間を見つけた人があったので、それに続きグラウンド内へ(太ってなくて良かった)。と言ってる間も、ぴゅんぴゅんという感じで星は流れる。明るく、大きく、流星痕を残すものばかりで、しかも様々な色のものがあるのが面白い。オレンジ、白、青みがかったもの、緑がかったもの。ピークになるにつれ全天に見えるという話で、確かに北や西の空にも見えるが、やっぱり輻射点は獅子座方向であることはわかる。オリオンと北斗七星の間、明るい木星の左下あたり、これと言ってめぼしい星がないあたりだ。「わあ!」「おおっ!」と、ひとつ流れるたびに嘆声があがる。「どうして声だしちゃうのかね?」というそばから、また「あっ!」と言ってしまう自分。こんなに見えるのだったら、どこか奥多摩の方にでも行きたかった、と思っても後の祭りだ。3時過ぎ、何となくガスって来て雲も出てきたので、それをしおに後ろ髪を引かれながら帰宅する。

 昨日から読み始めた『目撃 アメリカ崩壊』の続き〜読了。グラウンド・ゼロ(世界貿易センタービル崩壊現場)の近くに居を構える日本人ジャーナリストの、テロ当日から1週間の記録である。あまりに常軌を逸した出来事に動転しながらも、それを冷静な目で記録しようとする筆者の心情がひしひしと伝わってきて、そのピンと張りつめた努力がかえって生々しさを感じさせる。娘と一緒に学校の面談帰り、地下鉄の車内で読んでいたのだが、いきなり胸にこみ上げるものがあり、あやうく涙しそうになったのであわてて本を閉じて手提げに押し込んでしまった。後刻「今これを読んでいるの」と娘に見せてその部分の話をしたら、「ああ、だからさっき急に本しまったのね。急に本をしまうからもう降りる駅かと思ってあせったんだ」と言われた。気付いてないと思ったのに。それは第7章、筆者が日本人被害者のひとり高橋啓司さんを尋ねる張り紙を見ている時に、たまたまその部下の女性に声をかけられる段である。こんなに現場の近くにいて非常事態を肌身を持って感じていた筆者が、それでも初めて被害者一人一人を、顔と名前とその人なりの生活を持つ隣人として意識した瞬間の記述だ。この時に至って初めて、筆者の張りつめた気持ちがはじけたのでもあろう。この高橋さんの名はあとがきにもあって、きのう本文を読む前にちらっと目に入ってなぜか記憶に残っていたのだが、実はちょうど今朝の新聞でこの方の死亡確認の記事を見たので、その時このあとがきと照らし合わせて同じ名前である事を確認したのであった。その同じ日にこうして車中で高橋さんへの言及を読み、全くの偶然ながら私にとっての小さな不思議な暗合を感じさえしたのである。改めて、事件での犠牲者の方々に合掌。

 というわけで学校の面談帰り、娘を連れ、ほんとに何年ぶりかで神楽坂・紀の善に行く。先日からの懸案だったのだ。私の定番は、栗クリームぜんざい!夏なら、栗クリーム白玉ぜんざい。メニュにあるのは栗ぜんざい、あるいはクリームぜんざいなんだけど、学生時代から、あらゆる組み合わせを注文するのが常だったのだ。栗クリーム白玉杏あんみつとかね。娘には栗クリームあんみつをおすすめし、絶大な支持を受ける。次回は粟ぜんざいかなー(*^_^*)

 bk1でライラシリーズ3『琥珀の望遠鏡』(やっぱりこのタイトルなのね)の予約開始。

2001.1120(火)
購入本
ライト/『世界の科学名作15 なぞの惑星X』/講談社

 わーいうれしいな、『なぞの惑星X』が手に入ったぞー。決して処分した覚えがなかったのに、いつの間にかなくなってしまっていた本なのだ。

 『預言の子ラノッホ』続き。今日も昼休みが少ししかとれず、なかなか進まない。ラノッホは初めて自分が他の鹿と違う特別な存在なのかもしれないと思う。

 天体観測のせいできのうは昼から眠く、夜はあっさり降参して早々寝てしまったが、今日もまた、ぼーーっとして昼過ぎまでは使い物にならない。肉体労働の日でよかった。

 アンサンブルの会誌「Void Which Binds」の宣伝(なぜでしょう)。まだ実物見てません。よくもこの道の味を覚えさせたなぁ〜っ>心当たりの方々(誰も心当たらないってか)

2001.1121(水)

 高三の娘が進学のための内部選抜試験が終わったので、さっそくバイト!ばいと!と連日チラシと首っ引き。バイトと言わなければ「ケータイ!けーたい!」である。なんだろねこの人たち。

 せっかくの上天気なのに、午前の仕事が押して&昼休みにも人が来て、外にも行けず食事も半端、おまけに読書も出来ず。えーん。

 "The Pedlar of Swaffham"(Philippa Pearce)読了。ピアスによる再話。ノーフォークのSwaffhamの行商人ジャックとその飼い犬マルが、夢のお告げに従ってはるばるロンドン橋に行き、そこでまた夢のお告げによって黄金を得るというお話。

 そういえば京フェス・ダサコンの部屋で「十字チャート作り」という大変楽しそうな企画(ああこの一年、十字と言えばハイペリオン、になってしまった私)があったそうだが、u-kiさんの日記11/17における「確定している縦軸」とか「ニムさんはココ」とかが、ちょっとだけ気になるんだなー。ちょっとだけですけど。

2001.1122(木)
購入本
『季刊 幻想文学 62号 特集 魔都物語』/アトリエOCTA
島本理生/『シルエット』/講談社

 休暇を取って、職場の美術館友達と、懸案のカラヴァッジョ展@東京都庭園美術館およびコーポレート・アート展@Bunkamuraへ行く。カラヴァッジョは、10時開館の5分後くらいについたらもうすでにチケット売り場には小さな行列が出来ていたが、あの狭い会場でもまだまだ楽に見る事が出来た。出る頃には「今からですと入場に四、五十分かかります」と言っていて、門から入り口、さらには中でも順路に従い牛歩状態。いやに客の年齢層が高いように思った。ちょうど400年ほど前に活躍したカラヴァッジョとそれに影響を受けた画家たちの作品が集められている。宗教的な人物画が主であるが、暗い背景に描かれたその人物たちには、スポットライトのような独特の効果のある光が当てられているのが特徴である。会場での飾り付けにも、スポットライトがこの効果を高める具合にうまくあてられていて、「これは絵がこうなっているの?」と思わず絵の前に手をかざす人続出であった。この時代のお約束ごとのなかで、非常に大胆で斬新な手法だった事が感じられる。外に出ると、暖かい秋の日差しの庭園は、色づいてきた木々と、頭上から一枚、また一枚と降りかかる落ち葉で気持ちよく、久しぶりにのんびり深呼吸。早めに昼食を取ったのち、コーポレート・アート展に足を延ばす。こちらもさぞかし混んでいるかと思いきや、拍子抜けするほどのガラガラである。このタイトルがむしろ現代絵画を連想させたのだろうか。実際は、カラヴァッジョなどに比べ、いかにもほっとする、素直に「美しい〜」「きれいな色〜」を連発できる大変気持ちの良い作品ばかりだった。あるいは上野の森美術館のMOMA展に、皆さん流れていったのだろうか。モネ、ルノワール、セザンヌ、シスレー、ユトリロ、ローランサン、ボナール、ルソー、カンディンスキー、ピカソ、ブラックといった作家たち。シャガールの版画「ダフニスとクロエ」全42枚が一挙に展示されていたのも見所である。どの絵もいかにも描きたいようにのびのび描いている…といつも以上に感じたのは、先ほどのカラヴァッジョ展との対比でもあるだろう。きょうはほかに、ヴラマンクの思いっきりの良さが印象に残った。付け加えておけば、なんでもこの約100点の絵画は吉野石膏株式会社の100年にわたるコレクションなのだそうである。バブルの頃の付け焼き刃ではないのねえ。すばらしい〜。

 昼ご飯を食べたのは目黒のとんかつ・とんき。東口駅前のビルの2階にあった駅前店がなくなっていて、つぶれたのかと思ったら、偶然、目黒通り沿いに庭園美術館に向かって少し行った先、つばさ證券を曲がったところに移転(この10月から)していたのを発見。時間が少し早めだったので、がらがらの所に入れて良かった。

 Bunkamuraを出てからブックファーストによる。実は初めて。行き慣れない本屋に行くと普段目に付きにくい本が目にはいるのが面白い。今日はあまりに積ん読本がたまりすぎているのでほとんど買わず。友人と別れた後、滑り込みで(4:30まで受付の所4:25頃到着)自宅近くの警察署で免許更新。最近は更新手続きに写真がいらなくなった。朝よりもこの時間のほうがずっと空いているような気がする。そうなんです今月末には誕生日(;.;)あれ間違えた\(^O^)/

2001.1123(金)
購入本
ベーメルマンス/『ロンドンのマドレーヌ』/BL出版
SFマガジン 特集 2001年度・英米SF受賞作特集 2002年1月号』/早川書房

 なぜか突然、朝から檜原村へ。東京唯一の村である。過日より連れ合いがこちらの方に仕事が出来、「川がある」とか「キャンプが出来る」とか、今初めて知ったような事をいって、「今度行こう」と言っていたのである。私は子どもの時から奥多摩方面は遠足や何かで行っていたから、格段詳しくはないにしても、今更言われなくても…というかんじである。さて案の定今日は連休初日で、高速道路は関越も中央道も混み混み。一般道を通っていったら、なんと3時間以上かかってしまった。「ほんとにここ東京かよ…」と何度もぼやく長男。ちょっと混みすぎですね。出たのが遅かったので、着いたらもうお昼。すいとんだのうどんだのを食して、払沢(ほっさわ)の滝をゆっくり見、さらに天狗の滝を見る。前者は、冬には氷結するという(氷瀑)。暖かすぎの今日でもさすがに滝の近くでは吐く息も白く、しばらくいたら手がかじかみそうになった。後者は集落の裏手の林道を車でちょっと上り、行き止まりから裏山に入る。いきなり急な登りなので、それこそ「うそー」と言いつつ登る。ほんの200メートル程だと書いてあるが、ちょっときついよー。岩肌がむき出しになっているところにはロッククライミングの跡が。ちょうどどこも紅葉の真っ盛りで、山も半分ほどの針葉樹の中に混じった赤や黄色が美しい。連れ合いの仕事上の知り合いの家に寄ったら思いがけず大根抜きをやらされる。わざわざ探してまで客が来るという「茶房むべ」(値段高い)でお茶し、その向かいの素朴なお焼き(乙訓さん、これは文句なく美味)を買い、またも車中の人になり、またまた3時間かかって帰る。滞在時間は若干4時間。あー、とうちゃんやっぱり空いた日を選んで朝早く出ないとダメだよ。疲。

 この留守の間に、ボケ始めた母の所には、同じくボケ始めたその姉が、娘と孫(運転担当)に連れられて、新潟からやってきていた。私の方は檜原村行きが先に決まっていたので、私の姉が様子を見に来てくれていたのである。あとで母に「誰か来たの」と訊くと、「誰も来ないよ」の返事。「○○ちゃん(いとこの名)来たんじゃないの?」「来ないよ。…あ、ちょっと来た。変わっちゃってわかんなかった」「伯母さん(母の姉)は来なかったの?」と訊くと、きっぱり「来ない」と首を振る。重ねて訊くと「駅まで来たけど来なかった」とか「来たかもしれない、わかんない」とか、そんな調子。伯母一行は、高速がとーっても混んでいて、どうしても今日中に帰る必要があったので、ほんの1時間半ほどいただけでまた帰ってしまったそうだ。車に乗って強行軍で来るだけ、伯母の方が元気と言う事か。私の姉によると、母も伯母も、互いに全然わからなかったらしい。母も「変なおばあさんが来たと思った」と言っていた。う〜〜ん。

2001.1124(土)
購入本
戸瀬信之・西村和雄/『大学生の学力を診断する』/岩波新書
中村靖彦/『狂牛病』/ 〃
ますむらひろし/『ジャリア』/偕成社
M.R.ジェイムズ/『M.R.ジェイムズ怪談全集2』/創元文庫

 くたびれたので1日休みたかったが、昼から娘にせがまれて、目白のケーキ・コーヒーやさんへ。おいしさにああ天国天国。ついでに、渋谷とか。こちらはえらく混んでいていやだー。早々に池袋に戻り必需品少々を買い、ついでにぜんぜん必要でないものも、あるいは娘に買わされ、あるいは自主的に買う。自主的の方は、ペンダントヘッドとか、本とか。『狂牛病』をずらずら読むが、書き方がやっぱり「理科系」の人じゃないように思う。まだ途中。

2001.1125(日)

 昨日思い立って美容院を予約、朝から髪を切りに行く。もう来週は12月だと突然気付いて、では混む前にというわけだ。ストレートパーマなので時間がかかる。ちびちび進んでいた『預言の子ラノッホ』を持って行き、ようやく読み終わる。終盤で、クリスマス本に!ちょうどパーマの薬液をつけて時間が来るまで待っていたところだったので美容師さんがいなくてよかったー。目を上げて鏡を見たら目の縁が真っ赤になりかけだったんだもの。森の神ハーンとラノッホにまつわる預言の成就、アカシカの一族の新しい語り部が子どもたちにトナカイのお話を語って聞かせ、ついにラノッホは雲の峰目指して高く跳躍する。

  ルーマー・ゴッデン『クリスマス人形のねがい』読了。岩波の大型絵本であるが、以前ベネッセから『クリスマスの女の子』として別訳で出ていたもの(→99年当時の感想)。ベネッセ版は97年に出たばかりなのにもう絶版なのか。徳間から出ても良かったのに。訳が違うとこんなに印象が違うのかと思う。というより初読の印象がよほど強かったのだろうか。お人形ホリーと女の子アイビーの祈り、そしてジョーンズさんのおくさんの強い願いが起こしたクリスマスの小さな奇跡のお話である。またまた涙。

 ほかに"The Ghost Dance"の続き(→2月に一旦休止)。そのほか最近PBが急激に山のように増えたのは内緒だ。この作者Susan Priceの作品として来年多分"Elfgift"、"Elfking"が相次いで翻訳されると聞いている(訳者は金原瑞人+誰かさん)ので、それまでにghostシリーズだけでも頑張って読まなくちゃ。

2001.1126(月)
購入本
アリソン・アトリー/『ラベンダーのくつ』/福音館書店

 アトリー『ラベンダーのくつ』読了。昨晩はゴッデン『ねずみの家』も読んだのだった。ちょっと似ているテイストを持つような気がする二人だけれど、実はだいぶん違っている。ゴッデンの方が、シニカルな視点を持っているようだ。アトリーはもちろん成熟した強さを充分持ち合わせているのだけれど、この『ラベンダーのくつ』、『氷の花たば』とか『西風のくれた鍵』などでは、持ち前の懐の深い優しさが表に出ていると思う。日が落ちてから三匹の子ギツネたちにお話を聞かせるやさしいめんどりのところでは時が止まったようにうっとりとしてしまう。一方『ねずみの家』では、こぎれいなお人形のネズミの家がお払い箱になってほんもののネズミの家になり、いかにもネズミの家らしくぐちゃぐちゃのずたずたになるところが、何ともゴッデンらしいのである。

 終業後第一生命ホールでロンドンバロック。職場からまるまる45分かかるので終業時刻になると同時に速攻で出ようとそれなりに段取りしていたら、そういう時に限って10分前にめんどくさい要請が二つも入る。それまではなんにもなかったのに〜。しっかしこの晴海トリトンスクエアというのは文字通り前世紀の遺物だなあ。ぴかぴかのオフィスビルに無意味に大きい空間、しかも美しくも何ともない。やたらに高そうな服の店などがいくつか。エスカレーター多用で、催し物がはねた時に狭くて混み合うホール(そう言えば最寄りの大江戸線勝ちどき駅と地上を結ぶ階段も狭くて混み合う。まあ日中はガラガラなのかも)。ホールは開場したばかりだけれど、さてどんなものでしょう。ホールそれ自体は一見感じ悪くないのだけれど、肝心の音はどうもあんまり感心できない。場所(席)による差が大きいのかもしれない。ステージ上の演奏者も、たぶん演奏しにくいのではないかという気がする。終始右(チェロ)と左(ヴァイオリンs、チェンバロ)のテンポや音量が噛み合わないようだったので、おそらく互いの音が聞きにくいからではと想像された。

"The Ghost Dance"の続き。Shingebissは冷酷なCzarに歌でまじないをかけようとするが、返って悪い方に働いてしまい、彼に次々「処刑じゃ!」と叫ばせる羽目になってしまう。ShingebissをCzarは彼一流の理屈で天使と思いこみ、イギリス人のえせ魔術師と対決させようとする。

2001.1127(火)

 はあっ、今日は疲れたあ。パーキンソン病についてお勉強。ゆっくり本が読みたい!!!

2001.1128(水)

 またまた終業5分前に「MOが開かないんだけど…」が現れ、1時間捕まる。遅くなったので、娘のご希望で、お好み焼きを食べに行く。帰りに商店街を歩いていると「ママァ〜」と呼ぶ声がする。時々行く焼き肉屋の美人ママさんである(互いに名は知らない)。ここ半年ほど、年の離れたお連れ合いが入院しておられ、秋頃にはどうもそろそろいけないらしいということを聞いていた。お店におとうさんがいないのは淋しいねえ、また顔が見たい、と皆で言い言いしていたのだ。案の定、道の向こうからやってきた彼女は「やっぱりおとうさん亡くなったのよ」と言う。ママさんが病院で、うちの子らがまた会いたいと言っていた事を話したら「会いたいなあ、よろしく」と言っていたという。うー、ママさんにとって今年はさんざんな年だったろうなあ。確かにうちもちょっと足が遠のいているし。

 お昼休みは郵便局方面に行く用があったので"The Ghost Dance"ちびっとだけしか読めず。今週は本当に本を読む時間がないよう。

2001.1129(木)

 きょうもいちにちバタバタバタバタ…「いすがし、すぎかえ」りたい。

 帰り道に自転車でいつも通りがかる小さいレストラン、ドアの横には段ボール・ハウスが。と言ってもこれ、ヒトならぬネコのおうちだ。白黒ののったりした大柄のネコちゃんが、よく店の前に出したテーブルの上や、近くの道ばたでねそべっている。珍しく今日はテーブルの上に花が飾ってある、おやクリスマスツリーの電飾もきれい。と、ぴゅーっと通り過ぎつつ目に止まった、花に添えられたメモ。「…長い間お世話になりました…」おやっ、閉店?いや、違う、メモと一緒にあったのは確かにネコの写真だ。通り過ぎる一瞬の間に残像のように目に焼き付いたのは「交通事故」の文字。いつも自転車の上から○○ちゃーん、と声をかけて手を振るばかりの子だったけど、亡くなってしまったのね。とても気に入っていた子だったのに、止まってなでてあげて友達になっていれば良かった。見ているだけじゃなくて「ずっとずっと大好きだよ」って、言ってあげていれば良かった(;.;)

 "The Ghost Dance"若干はかどる。Czarは幼い頃から反乱や暗殺の恐怖にさいなまれるあまり眠る事すら満足に出来ない。眠りそのものも小さな死と思うあまり、限界まで目を覚ましていようとし、ようやく眠りに落ちても眠りが彼を安らがせる事はない。Shingebissは、恐怖に突き動かされているCzarの冷酷な仕打ちや、彼女の生まれた北の国を破壊することを止めさせられないことがよくわかった。そんなCzarを動かすには修行途中の一介の魔女では力不足で、ちゃんとしたshamanにならなくてはならないと悟る。そのためには、死の国へ旅して、自らの意志によって生きてその門をくぐり、再び生きて戻らねばならないのだ。Shingebissの旅を導くべき年長のshamanは既に死の国へ行ってしまった。頼る者のない彼女の、死んだ者とまだ生まれない者の国への魂の旅。出ました鉄のトネリコ、巨大な世界樹。うう素晴らしいっ!

 今朝のこと、次男がハリーポッターが云々と言い出した。学校でも話題なのかな。MAKIさんの下のお子さん(小2)がお姉さんに影響されてハリポタを読み出したと聞いたので、「2年生の人がハリポタ頑張って読んでるんだってー」というと驚きもせずに頷き「そうだよ。1ねんせいでも読んでる人いるよ」ひえ〜、そうなのかー。で「じゃああなたも読む?」と聞くとにっこり「うん!」と元気なお返事(ほんとに読むか、きみ?)。しかし本当にハリポタ恐るべし。

2001.1130(金)

 職場の仲間5人で鎌倉散策&おいしいもの食べに。鎌倉はちょうど紅葉である。お寺を2,3歩き、釈迦堂の切り通し(危険)を通る。2時間てくてく良く歩いた。食事のお店は江ノ電江ノ島駅から歩いて10分くらいの住宅地の中。たまたま、私の誕生日なので乾杯、レモンに挿したハーブの花を頂く。料理は、うっとり幸福なひととき…1時半から4時半すぎまでゆっくりめいっぱい味わったので、7時近くに帰宅してとてもご飯が食べられなかった。幸せって苦しいことなのね。

 下から読んでもまさこさまがもうじきご出産とか。今日中だったら、私と秋篠宮と皇太子ジュニアの誕生日が一緒になったのになあ。皇室典範を変える話が立ち消えになったということは赤ちゃんは男の子だということなんだろう、とは午後の食卓の話題。

 今日の"The Ghost Dance"は、Shingebissが死の国の宮殿で女王Helに会う。彼女に導かれてShingebissが見たものは、眠り続け、夢見続けるBalderであった。彼こそが、この世そのものを夢見、北の国の死を夢見ているので、その夢を止めなくては北の国の死を止める事は出来ない。Shingebissに彼の夢を止めよと勧める女王、自分の力はそんな事には及ばない、とおののき、あとじさるShingebiss。北の国が死んで行くのを止める事が出来ず、切り倒されて行く森に戻るより他ないのなら、決して切り倒されることのない死の国の鉄の森に永久に残った方がましだと嘆く。

▲ページトップへ


2001 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 Index
 
ニムの木かげの家
ニム(Nimh) soraminist@nifty.com メイルフォーム  
 
最終更新
2001.12.31 01:11:47