お断り
このコーナーは「推薦する本」というタイトルであるが、推薦する本にこだわらず、推薦しない本についても駄文を書いている。そして書いているのは本のあらすじとか読書感想文ではなく、私がその本を読んだことによって、何を考えたかとか何をしたとかいうことである。読んだ本はそのきっかけにすぎない。だからとりあげた本の内容について知りたい方には不向きだ。
よってここで取り上げた本そのものについてのコメントはご遠慮する。
ぜひ私が感じたこと、私が考えたことについてコメントいただきたい。
私の本の読み方は普通と変わっているかもしれない。広告とか書評を読んで興味を持つと、その著者の本を半ダースから多ければ1ダースくらいまとめて読む。
あるいは何かのテーマに関心を持つとそのテーマでググって、レビュー評価の良い本を複数まとめて読む。
小説も面白いと思うと、その著者の本を集めて読む。もちろん買わない。どっちみち私の場合は図書館か古本だ。
髭の隊長 佐藤正久のときは5冊だったが、倉山満では15冊、地政学では18冊読んだ。
髭の隊長 |
倉山満 |
ひとつの物事について初心者向けからその次のレベルまで、本を10冊も読めばだいたいの状況は把握できる。おっと私がそう思っているだけかもしれないが。
小説も一人の本を10冊読めば大体の見当はつく。剣客商売を何十冊も読んでいる家内の気が知れない。私は10冊読めば十分だ。
最近、杉山大志の本を読んで、これはこの人の本をもっと読もうと思い、著者名で図書館の蔵書検索した。彼の著作は8冊しかなく、うち3冊はすでに読み、4冊は発行が10年以上前だ。地球温暖化に関する本で10年前では参考にならないから、該当するものは残り1冊しかない。とりあえずこの本を借りた。
書名 | 著者 | 出版社 | ISBN | 初版 | 価格 |
SDGsの不都合な真実 | 杉山 大志 編 | 宝島社 | 9784299020987 | 2021.09.30 | 1320円 |
読み始めて気が付いた。この本は杉山氏ひとりの著作ではなく、13人の方が、いろいろな観点からSDGsやESG投資について、その疑問点や問題点について問題提起しているものである。もちろん杉山氏も著者の一人である。
それぞれの主張を読めば、確かにおっしゃる通りだと思うことばかりだ。私自身、現在マスコミや政府が語る、気候変動、地球温暖化というファシズム、逆らう者は排除する、発言させないという風潮に辟易している。
注:地球温暖化論はファシズムかと問われれば、アンチ温暖化論者の論文の発表が断られる状況ならそうだといえるだろう。
そして不思議なことに、サクラだモリカケだと与党の足を引っ張りけたぐりをかけている野党(s)が、地球温暖化とかSDGsに関しては足並みを揃えているということも疑惑の元である。
野党の環境保護は今に始まったことではなく民主党政権ができた2009年、ハトポッポは日本のCO2排出を2020年に25%減にするなんて語っていた。真面目に考えれば、CO2削減はコンクリートから人へではなく、日本のお金を外国に貢ぐことに等しいのがわかるはずだろう。
そういうことに疑問を持たないでしょうか?
なんて言いましたっけ? 少額の決済はなかなか通らないけど、大金ほど簡単にOKが出るっていう法則がありましたよね、あんな感じなのかなあ〜
埒が明かないモリカケで4年もワイワイやっているのに、より重大でお金がかかる、いや日本を傾けるような地球温暖化という大問題で、特段議論もなく粛々と進むこと自体異常だ。
納税者としてはモリカケなど置いといて、何十兆円という温暖化対策を議論してほしい。
この文章はこの本の解説とか要約ではなく、この本を読んで私が何を考えたかということを書いているので、それを理解して読んでほしい。
私がSDGsに疑問を持つというか、納得できないことは多々ある。
おっと、SDGsについては一応勉強したつもりだ。昨年「SDGsを考える その1」を書いたとき10冊まとめて読んだ。その後もいろいろ読んでいるから30冊は読んでいる。もちろん玉石混交だろうが、一応は読んでいるとみてほしい。
何が疑問だ? どこが納得いかないのかと問われるだろう。
まずSDGsの立ち位置というか目的も分からない。現在世界にはいろいろな問題がある。それを取り上げて一歩一歩改善をしていこうというものがSDGsであると理解している。
それは良しとして、じゃあ何をどうするのかとなると全くわからない。
SDGsとESGと地球温暖化は包含関係になさそうだし、SDGsの各項目のプライオリティも定かでない。どういう関係になっているのでしょうね?
さてこの本を読むと、著者十人十色であるが、皆ESGとかSDGsはお金儲けの手段というか新しいお金儲けのフィールドであるという認識のようだ。
もちろん著者によって、純粋にSDGsの問題を指摘している記事あり、金もうけをして利用している事例をあげる人あり、SDGsからボロが出た社内騒動の暴露記事もあり、いろいろだ。
私はそういう深い情報とは縁がないが、ニュース報道やSDGsとかESGとかに関わる本を読んでいるだけで、おかしなことを感じている。
この本でもESG投資のいい加減さを書いている。(藤枝一也 p.158)
企業にSDGsの活動状況を銀行やファンドが膨大な質問状をよこす。それの回答を得てESG投資と認めるか否か決めるのだそうだ。企業のほうは多数の銀行などから調査を受けてそれに費やす時間は半端ではないとこぼす。ましてその結果、その会社がESGに適しているかどうかの判定は教えてもらえないそうだ。
とはいえ、回答しないのは怖い。膨大な時間をかけても、せざるを得ない。地頭とESGには勝てないのである。
私が存じ上げている大学教授は、銀行にいてESGについて論文を書いてドクターになり、それで大学教員になり教授になった。
だが研究といっても、銀行員として企業に環境活動(当時はまだSDGsがない)についての情報を出させ、それをまとめてESGに値するか否かの評価した過程をまとめただけだ。まあ銀行員の華麗なる変身物語なのだろう。
注:SDGsとかESGなんて知らないぞという方のために、1行説明を
SDGsとは人間社会を持続可能なものとするためにすべきことを17項目にまとめたもの。17色のリングのバッチである。
ESGとはE(環境)、S(社会)、G(統治)の略で、企業が備えるべきことを意味し、ESGを満たした企業に投資をすると長期的にはリターンが多いという説からESG投資をすべきといわれる。
以前はSRI(社会責任投資)という言葉が使われていた。SRIとESGは似ているが発生過程が違う。まあ結果としては似たようなものだ。
参考(https://japansif.com/coloum1304-2)
■ SDGsを2030年に実現するというウソ
SDGsを採択した国連によると、17項目は2030年までに実現するのだそうだ。
できると思うならオメデテエナアとしか言いようがない。
もし貧困(No.1)や飢餓(No.2)が解決できるなら、まずはウクライナ問題や台湾問題を解決してみろや!
もしウクライナも台湾さえ解決できないなら、貧困(No.1)も飢餓(No.2)も解決できるはずがない。それに気候変動(地球温暖化 No.13)が2030年までに解決できると思う人がこの世にいるか?
それにSDGsのテーマは等しく重大問題であるはずだが、気候変動(No.13)やジェンダー(No.5)を叫ぶ人はたくさんいるが、健康と福祉を(No.3)とか経済成長(No.8)を叫ぶ人は少ない。
SDGsといっても、世の中の9割はその一項目、13番目の「気候変動に具体的対策を」だけを進めようとしている。技術革新(No.9)なくて気候変動(No.13)に立ち向かえないし、経済成長(No.8)なくて生活の向上(No.6)や人権(No.10)など改善できるはずがない。
■ 電気自動車の不思議
世の中の動きを見ていると、おかしなことはたくさんある。
欧州の自動車メーカーが頑張って素晴らしい電気自動車を完成させたとしても、それを動かす電気を発電するのはどうするのか?
ロシアの天然ガスなのか? 環境保護主義者の大嫌いな石炭なのか?
バッテリーなどに使う希土元素など環境破壊しないと採取できないそうだけど?
SDGsから最も遠いのが電気自動車ですか?
■ 水素エネルギーのウソ
水素はエネルギーであるが、一次エネルギーではない。一次エネルギーとは化石燃料(石炭・石油・天然ガス)、原子力、
マキも立派な 一次エネルギー |
もうひとつの方法は水を電気分解するのだが、この電気は何から作るのか?自然エネルギーからならハッピーだが自然エネルギーはそれほど供給できない。ならば火力発電で電気を作りそれで水素を作っていることになる。環境保護主義者の大嫌いなCO2が出る。
■エネルギーを変換すると…
エネルギーの形態はいろいろあり、形態を変えることはできる。しかしエネルギー保存の法則はあっても使えるエネルギーを考えると変換効率は常に1よりはるかに小さく、エネルギー変換するたびにロスが増える。
化石燃料を電気に変える火力発電の50%というのは最高水準だ。自動車のエンジンでは、ガソリンを動力に変えるガソリンエンジンは30%、ディーゼルエンジンはそれより高く40%くらい。水素燃料電池が35%……なんだか夢がない。
太陽光発電では、太陽の光エネルギーの20%を電気にするのが現在では最高らしい。
新エネルギーでは風力発電が効率が最高だそうで、風の力の30〜40%を電気に変える。とはいえ風がなければ無用の長物である。万里の長城、戦艦大和、風力発電か……
今ある最高効率の効率50%としても、2回変換すれば25%、3回すれば12.5%と使えるエネルギーはどんどん減っていく。もちろん変換する意味はある。人間が使いやすいエネルギーのほうが価値があるからだ。かまどでマキを使うより、ガスのほうが便利だし、電気のほうが安全だ。
しかし常に効率を考えることも必要だ。一次エネルギーを水素に変えて、水素を燃料電池で電気に変えてというのは、とてつもなく安く水素が取り出せるとか、水素の貯蔵とか運搬にメリットがなければ採用する価値はない。どうなるんでしょうか?
燃料電池で水素から電気を作り自動車を動かすなら、電気で自動車を動かしたほうが余計なプロセスがないから効率は良くなり、石油で電気を作りそれで自動車を動かすなら石油で自動車を動かしたほうがプロセスは短く効率が良い。そんなこと考えるまでもない自然の摂理。
天然ガスから水素を作り燃料電池車を走らすとか、日中の太陽光から発電した電気をダム湖で揚水式発電するとか、余計な無駄を積み重ねているだけのようだ、大変だね(鼻ホジ)
■レジ袋有料化とは
「レジ袋の有料義務化の目的はプラスチックごみの減量ではなく、プラスチックへの問題意識を持ってもらうことが狙い」(小泉進次郎環境大臣の言葉)
そうだったんですねえ〜
するとエコバックを持ち歩くこともなく、「私はプラスチックに問題意識を持っています」なんていうバッジを胸につければ良かったじゃないの!
偉い人はSDGsバッジを胸につけ、我々下々は「プラスチックに問題意識を持ってます」バッジをつけたらよろしかったので
そもそも「日本の自治体はプラスチックごみを海洋投棄していない」ですよ。だって法律で禁止されているし〜
廃棄物の最終処分には、埋立、再生、海洋投棄のみっつがあるが、日本では過去より海洋投棄を禁止している
但し東日本大震災後において、一部廃棄物についての海洋投棄は限定的に認めた。
するとプラスチックごみの海洋への流出は、プラスチックごみを海洋投棄している国の問題であり、日本はそれに抗議すべきではないかという(p.262)。
同感だ、どの国が海洋投棄しているかなんて、あなたが考えた通りですよ。中国、インドネシア、フィリピンなんだそうです。
小泉元環境相によると、彼らを反省させようと日本国民はレジ袋にお金を払っているようなのですが、かの国のだれも気にもしていないでしょう。
■ いったい誰がおかしな環境運動を主導しているのか?
グレタ・トゥーンベリがヒステリックに叫ぶのを間違いだとか語っても意味がない。彼女を動かし、
それによって益を得ている、政治家、金融界、産業界、そういう裏をみなければならない。
ドイツの国会で新エネルギー業界のロビー活動は許されて、石炭業界のそれはできない状況というのは、民主主義に反するファシズムそのものではないのか。
EUの環境NGOは環境保護より利権目当てどころか、やがてというか今でも既に現実化しているようだが環境NGOが独裁政治を行うのが目的とさえ思える。
そして環境のジャンヌダルクは世界中に環境原理主義、環境至上主義を広めようとしている。その過程で素晴らしい乗り物を使い、一般人よりもCO2を巻き散らかしているようだ。
■ 老害よ消えよ!
小泉元首相 | 鳩山元首相 | 鉋音元首相 |
■ 見えてきた未来
結果としてSDGsも地球温暖化対策も日米の競争力を落とし、中国の一人勝ちを実現するだけではないのか。いや環境運動家の狙いはそこにあるのかもしれない。
「環境活動家はスイカである」というそうだ(p.181)。
その心は「外側は緑だが中は赤い」。環境運動はサヨクと親和性が高いのは間違いない。
本日のまとめ
日本は鴨が葱を背負っている、そのままである。
京都議定書ではEUは実質的にCO2を削減しないのに日本だけ高い目標を与えられ、あげくにアメリカにはしごを外され、結局1兆円払ってクレジットを買った……というかCO2削減のペナルティを払っただけのこと。
いや、日本は悪いことしてないけど?
1兆円というと国民一人当たり1万円だ、日本は貧しくなる一方だね、西欧に足蹴にされてうれしいか?
鳩山が2020年のCO2を2009年比25%削減という思い付きを語った。
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注1 |
まず「廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約」(通称:ロンドン条約)があり、我が国は1980年に締結している。 これを国内展開するために「海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律」に反映されている。 東日本大震災で発生した水産物の廃棄物などについては、告示で海洋投棄することが認められた。 |