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人間は誰でも何事かをなしどげたときの笑顔というものは爽やかで美しいものである。 ゴール直前で勝利を確信した名城大のアンカー・佐藤麻衣子の顔からはじけた笑顔も澄んだ輝きをはなっていた。前年の彼女は4区(7.5q)に登場、31秒差あったトップをゆく立命館との差を13秒まで追いあげた。前半は出遅れ、佐藤麻衣子が追撃の狼煙をあげのだが、駅伝巧者ぞろいの立命館を追い切れなかった。 今年は攻守交代、追う側から逃げる側にまわった。5区を終わった時点で立命館に57秒差をつけてのトップでタスキをもらっている。追ってくる立命館は昨年もアンカーをつとめた小黒久子であった。8.3qの区間である。57秒もの貯金があれば逃げ切れる、ふだんの力さえ発揮すればいい。前半から中盤にかけて、じりじりと差が詰まったのは、追う者と追われる者の微妙な心理の働きというものだろう。 だが、すでに勝負は決していた。5区まででライバルをねじふせた今年の名城は強かった。 駅伝巧者のそろう立命館といえども、さすがに3連覇の壁は厚かったようである。 名城は2連覇中の立命館と互角のチーム力をもちながら、2年つづけて立命館に屈している。きびしく肉薄しながらも、あと一歩およばなかった。今回は6区間のうち3区間で区間賞をとるという圧倒的な強さを発揮、あっさりとあと一歩の壁を突破した。 3度目の正直というべきか。7回目の出場にして初優勝、ライバル立命館の3連覇を阻止しての初制覇だけに、よけい値打ちがある。
全日本大学女子駅伝は、前回の22回大会まで大阪で開催されてきたが、今回からは仙台に舞台を移している。各区間の距離は若干に変動があるものの、39q=6区間という構成に変わりはない。 焦点は2連覇中の立命館の3連覇なるか。それとも過去2年にわたって涙をのんだ名城大の初制覇なるか。関東勢では城西大が両者のあいだに割って入るか。とくに今年は立命と名城の戦力が拮抗しているがゆえに、優勝のゆくえは容易にみえてこなかった。 過去2回、名城が立命館に敗れたのは、いずれも1区で後手を踏んだせいである。1区で出遅れて、すっかりリズムを失ったしまった。 今年の名城も1区の中尾真理子が出遅れた。トップの城西国際大からは35秒遅れ、ライバルの立命館からは31秒遅れの15位からのスタートになってしまったのである。 まさに波乱の幕開けであった。立命館の丸毛静香、城西の大谷木霞、城西国際の小倉久美が激しくトップを争うなかで、名城の中尾真理子は4qすぎで脱落、2度あることは3度あるのか……と。 かくして注目の1区は城西の大谷木霞と城西国際の小倉久美がはげしく争い、最後は小倉久美がトップでとびこんだ。立命館は4秒差の3位とまずまず、名城は後手を踏み、名城と同じように、毎回出遅れに泣いている仏教大も14位とまたしても後手を踏んでしまった。
2区は4qという短いの区間だが、上位の順位はめまぐるしく変動した。1区で好位につけていた立命館は立花三沙子がひとたびトップに立ち、そのまま落ち着くかと思われたが、玉川大の五十嶺綾が5位から追いあげてくる。後方からは出遅れた名城の田中真知が猛然と追いあげてくる。 中継所の手前でトップに立ったのは玉川大の五十嶺、立命館の立花は1秒遅れでつづき、そして東京農大が18秒遅れの3位まで上がってきた。名城は田中が快走、10人抜きで20秒遅れの5位まで押しあげてきた。立命館とは19秒差、短い区間ながら、ここで1区の遅れをとりもどし、圏内にもぐりこんできた。 優勝争いの構図がくっきりしてきたのは3区であった。 立命館の3区は才上裕記奈、トップをゆく玉川大をとらえてやすやすとトップに立ち、ここでようやく3連覇への足がかりをきずいた。2位に玉川大との差は11秒、3位には名城大があがってきた。立命館との差は19秒と変わらない。トップと4位の城西との差は42秒と開き、かくして立命館と名城のマッチレース図式がみえてきたのである。 エース区間の4区をひかえて、ライバル立命館にくらいついてはなれなかったこと、それが名城にとって最大の勝因となった。才上とともに区間賞となった川井美佳の健闘が名城に好リズムを呼び込んだ。
勝負が決したのは第4区であった。 名城大は勝負どころの4区にユニバと日本インカレの覇者・佐藤絵理を配している。立命館は樋口紀子である。樋口も強いランナーだが、エースの池田恵美を故障で欠いている立命館のウイークポイントが、勝負どころでモロに出てしまった。 佐藤はタスキをもらってまもなく玉川大を交わして2位にあがると、立命館の樋口にお追いすがり、ならぶまもなく抜いてしまう。佐藤はトップをうばっただけでなく、立命との差を1分18秒にまで開いてしまったのである。エース対決が明暗をわける結果になったというべきであろう。 結果的に4区の貯金が大きくモノをいう結果になり、名城は5区、6区で立命の追撃をしのぎきってしまうのである。 1年生にしてスーパーエース・佐藤絵理の快走ぶりは眼をみはるものがあった。名城の初制覇、3連覇を狙っている立命館を力でねじふせてのものだけに値打ちがある勝利である。 4区では京都産業大の伊藤舞が6人ぬきで3位まで押しあげ、仏教大の木崎良子が5人抜きで6位まで順位をあげてきたが、いずれもすでに勝負が決してからの上位進出であった。とくに仏教大は毎年のように同じパターンを繰り返している。
3連覇をねらった立命館は出来が悪かったというわけではない。 エース池田恵美を欠いての布陣ではしかたながないところか。出場した選手たちは6人ともそこそこ持てる力を発揮している。名城がそれを上回ったというほかない。 健闘したのは城西国際大だろう。1区でトップに立ち、その後も5位を下回ることなく追走、最終区でも会津恭子が区間賞の快走、京都産業大、城西大、仏教大を下しての3位はみごとである。 城西大は5位でようやくシードをまもったが、あと関東勢では玉川大が2区でトップに立つなど、とくに前半はみるべきものがあった。 京都産業大は最終的に4位まであがってきたが、前半、中盤はかなりの苦戦、6位でやっとシード入りした仏教大も1区で出遅れ、上位争いには絡んでこれなかった。いずれも力のあるチームだけに食い足りないものを感じた。 それにしても……。 本大会はチャンピオンシップの大会である。それなのに……。テレビのライブ放送がないというのはどういうことなのだろう。杜の都・仙台にコースを移しての初めての大会なのにテレビ放映がない。翌週の土曜日の午前10時30分から放映され、55分にまとめた編集番組であった。 駅伝はライブでなければおもしろさは半減してしまう。大学女子の駅伝は、人気がいまひとつ。スポンサーがつかなかったせいなのか。伝統のある大会だけにちょっぴり寂しい気がする。 ★開催日:2002年11月27日(日) 宮城陸上競技場→仙台市役所前広場 6区間39Km ★天候:曇り 気温14.0度 湿度57% ★名城大学(中尾真智子、田中真知、川井美佳、佐藤絵理、吉岡知香、佐藤麻衣子)
区 間 最 高
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