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懸命に逃げる立命館の小黒久子、ひたひたと追う名城の清水里衣子……。 勝負ののゆくえは最終6区の9.1kmにもつれこんだ。5区を終わった時点でトップをゆく立命館と追っかける名城との差はわずか14秒である。最終区の距離からみて立命館はかならずしも安泰とはいえ、逆転の可能性も十分に考えられた。 事実、名城に有利の流れであった。5区の加来美咲が区間新記録の快走、さらにアンカーの清水里衣子は5000mの持ちタイムからゆけば、立命館の小黒を30秒近く上回っているのである。最終区での逆転、名城の悲願もあながち夢ではなかった。 追う者の強みとでもいおうか。清水は猛然と小黒を追いかけた。5000mでは14秒あった差が10秒ぐらいになった。マッチレースのゆくえは? 流れは名城か……。 ところが……である。立命館の小黒はそこから粘りに粘った。6000mをすぎて膠着状態となり、立命館が逆にじりじりと差をひろげはじめた。 長居公園の周回道路にさしかかると立命館の小黒のリズムのほうがよくなって、完全に息を吹き返したのである。 いちど引きつけて最後は突き放した。まさに理想的なレースぶりである。会心のレースという自負もあったのだろう。立命館のアンカー・小黒久子は満面笑みをたたえ、指2本をかざしてゴールにとびこんだ。 文字どおりマッチレースの様相であった。、勝負のゆくえは、どちらにころぶかわからなかった。だが終わってみれば立命館は1区からいちどもトップをゆずることはなかった。横綱相撲の2連覇である。
立命館と名城……。 筑波と城西の時代が終わって、大学女子駅伝はこの両校を主軸にしてまわっている。昨年の北陸駅伝から両校はつねにライバル視して火花を散らしてきた。立命館が初制覇した昨年はむしろ名城のほうが評価が高かった。事実、前哨戦ともいうべき北陸駅伝で立命館を軽くあしらい、勢いからすればむしろ名城に分があった。ところが本戦では池田にうまく走られて敗れ、2月の選抜大会でもふたたびねじふせられた。 今年も名城は北陸駅伝では立命館よりも上位をしめている。立命館はAチーム、Bチームと戦力を分散していたこともあって力の比較は微妙だが、名城Aチームはスズキ、ワコールという実業団の有力チームと互角に闘い、沖電気に先んじての3位、5位の立命館Aチームには約50秒もの大差をつけている。 今年こそは……。 明らかに両者の力は拮抗していた。昨年以上に名城は力をつけている。事実レースは立命館=名城時代の到来を象徴するかのように、終始はげしくせめぎあった。 名城の悲願はなるかと思われる一瞬もあった。 だが……。 結果的には昨年と同じように立命館に敗れた。実力的に落差がないにもかかわらず……である。立命館にあって名城になかったのはいったい何だったのか?
立命館は1区に丸毛静香、2区には池田恵美という2枚看板を起用して、前半勝負に出てきている。過去2回にわたって1区で出遅れている名城も1区に田中真知を起用して万全の体勢で迎え撃つ作戦をとった。 3人ともに最近は調子が落ちているといわれていたが、皮肉にもその出来不出来がレースの流れを決定づけてしまったようである。 ポイントの1区は立命館の丸毛静香が引っ張る展開で幕あけ、2kmもいかにうちに城西(大谷木霞)名城(田中真知)、京産(伊藤舞)が他校をちぎってしまった。 終始主導権をにぎったのは丸毛であった。一週間前にはケガで懸念されたとは思えないダイナミックな走りで、3kmをすぎてスパートをかけると、もう誰もついてゆけなかった。名城の田中真知は22秒もおいてゆかれて、ここでレースは立命館中心に回りはじめた。 立命館のエース・池田恵美はスランプに陥っているといわれているが、やはりロードになるとあなどれない。名城は最近力をつけてきた中尾真理子で追い上げをもくろんだが、前半は引きつけて後半は突っ放すという池田の術中に落ちてしまった。2区を終わって24秒差となり、レースの主導権は立命館ににぎられてしまった。 池田恵美、丸毛静香の二人は駅伝巧者である。丸毛は不調を伝えられながらも走ってみれば区間新記録の快走、池田もきっちりと役割を果たしている。二人とも中学・高校時代から駅伝の檜舞台を数多く踏んでいるのである。名城の2人とは経験の差が出たというべきだろう。
それでも名城はふんばった。3区で31秒差をつけられ、ひとたび立命館のかたむいたレースの流れを4区の佐藤麻衣子が踏ん張って19秒差まで迫り、そして5区の加来美咲が区間新の快走で14秒差まで追ってきたのである。だが、追撃もそこまでだった。 名城の敗因はやはりエースを投入した1区でトップに立てなかったことだろう。田中真知に昨年ほどの勢いがなかった。それがチーム全体にも微妙な影響をおよぼしたといえそうである。 仏教大は今回も出遅れた。1区でなんと1分32秒遅れの13位に沈んでしまった。これでは飯島希望、越智淳子というエース2枚をもっていても、リカバーするのがやっとというありさま。とうとう最後まで優勝争いは絡んでこれなかった。同じ失敗をなんども繰り返すのは指導者に問題があるからだろう。 仏教大を上回る3位にとびこんだ城西大は健闘したほうだろう。エース不在ながらも終始上位にふみとどまっていた。総合力にはあなどりがたいものがある。 大健闘したチームをあげるなら、6位にとびこんでシード権を奪った城西国際大だろう。終盤になってシード権争いは熾烈だった。5区を終わって5位の大阪体育大から1分のあいだに、京都産業大、日本体育大、城西国際大、東京農大がひしめきあっていた。 大阪体育大は学生長距離ナンバーワンの堀岡智子を2区に起用、一気に3位まで順位を押しあげている。中盤も粘っていたので久しぶりに上位にとびこむかと思われたが、コマが一枚足りなかったようである。最終区ではなんと8位まで順位を落としてしまった。 かくして立命館、名城、城西、仏教、京産……、そして最後のひとつは大体大とは逆に最終区で8位から順位を押しあげてきた城西国際大がもぎとったのである。 立命館、名城ともに選手層が分厚い。しばらくは立命館=名城時代がつづくっだろう。2度敗れた名城が果たしてどのようにチームを立て直してくるのか。選抜大会を注目してみまもりたい。(2004/11/28) 開催日:2002年11月28日(日) 長居陸上競技場:発・着 6区間39Km ★天候:晴 気温17.2度 湿度43% 西の風3m ★立命館大学(丸毛静香、池田恵美、樋口紀子、後藤麻友、澤田佳恵、小黒久子)
区 間 最 高
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