|
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
|
|||
|
|
紅葉真っ盛りの中之島公園、新装なった公会堂、色づいた樹木のあいだからのぞく瀟洒なたたづまいが、いかにもどっしりとして美しい。大阪城公園、そして御堂筋の銀杏並木も黄金色に彩られて、今年はとくに鮮やかに映えている。風が吹きぬければ、銀杏がはらはらと頭上から降り注ぐ。黄金色の落葉がふりしきるなか、御堂筋をひた走る女性ランナーたち……。前をみつめる一途な面立ち、その表情は一様に引きしまって凛々しいものがある。まさに「絵になる風景」を観る思いなのだが、それは観戦者の勝手な感慨にすぎず、走っているランナーたちにしてみれば、きっと季節の移りや周囲の風景などを、気に留める余裕もなかっただろう。彼女たちにしてみれば、周囲の風景はすべて流れて形をなさず、ただ見えるものといえば、足もとからのびる白い一本の舗道だけだっのではあるまいか。 20回を数える全日本大学女子駅伝は今年も25校150人のランナーが大阪城、そして御堂筋を駆けぬけた。高校生の実力派が選択肢のひとつとして、大学陸上に眼をむけてから、女子の大学駅伝も面白くなってきた。 連覇をめざす筑波大に、名城大、佛教大、玉川大などの新興勢力が、いったいどのような戦いを挑むのか。昨年までは筑波、城西の2強対決の時代がつづいたが、今回から新しいパラダイムに突入しそうな気配なのだが、果たして、いかに……。
藤永佳子はどうやら駅伝には不向きなランナーのようである。一昨年(第1区)、昨年(第2区)と2年もつづけて、負けるはずもない赤羽有紀子に区間賞を奪われ、今年は3度目の正直というわけだったが、またしても伏兵に足もとをすくわれた。 あれだけの才能に恵まれながら、いまだいちども区間賞がないのは不思議である。そういえば高校時代も2度にわたって下級生の坂田直子に敗れている。外見からみて、いかにも茫洋とした風貌、人の良さそうな話しぶり、そのいう人間性からくるものなのか。タイムよりも「勝ち」「負け」をはっきりと決する駅伝は性格的に合わないのかもしれない。藤永には、もい1回チャンスがあるが、2度あることは3度ある……から、またしても誰かに返り討ちにあいそうな気がする。 昨年の区間距離の変更で、2区が勝負の流れを決めるという意味でポイント区間になり、各大学のエースが集うことになった。今回も藤永佳子をはじめ、斉藤由貴(玉川大)、田中真知(名城大)などの顔がそろった。 今回の藤永はいかにもエースの出番にふさわしい位置でタスキをもらっている。1区の1年生・熊谷美由紀が快走して7秒差の2位でとびこんできたのである。 今年の1区は4キロまで10校がトップ集団を形成して進むという大混戦、5キロすぎになってようやくレースは動きだした。混戦を断ったのが佛教大の飯嶋希望と筑波の熊谷だった。トップがしかと見える絶好の位置でタスキをもらった藤永は1キロ地点で早くも佛教大の石村明子(1年)を交わしてトップに立つのだが、そこで安心してしまったのか。走りが空回りして伸びなかった。 後ろから追ってきたのは9位でタスキをもらった立命館の1年生・池田恵美である。池田は小気味の好いピッチ走法でどんどん距離を詰め始める。名城・田中真知と玉川・斉藤由貴をしたがえ、3.5キロでは日体大、佛教大を次つぎに捕らえ、最後は18秒差まで藤永を追いつめた。 藤永は筑波大をトップに押しあげ、2連覇への足がかりをきずはしたが、またしても区間賞を逃し、主役の座を池田に奪われてしまったのである。
2区でとっに立った筑波大は3区の菅野勝子、4区の吉田郁子が堅実に繋ぎ、27秒差をつけたときには、もはや勝負にゆくえは見えたかに思われた。だが、5区(4キロ)で、名城大と立命館に急追されて、アンカーの山嵜麻子にタスキが渡ったときには、わずか5秒の貯金しかなかった。 立命館はともかく名城大のアンカー小田依子は昨年4区(7.5キロ)で区間大1位になった実力の持ち主、山嵜とはほとんど互角である。優勝候補のエースによる一騎打ちに様相になって、勝負のゆくえはわからなくなった。名城にもにわかにチャンスが生まれてきたのである。 昨年の山嵜は25秒差でタスキを受け、5,8kキロで城西大の平山めぐみをとらえて、筑波に逆転勝利をもたらした。追われる展開になったときに、守りきれるのか。興味はその一点にあったが、山嵜は積極的に攻めまくった。あふれる闘志をあえて抑えようともしない山嵜の気迫には凄まじいものがあった。小柄ながら力感あふれるフォームでぐいぐいと躯を前に運んでゆく。それでいてあくまで冷静だった。躍動感あふれる走りは最後までくずれることがなく、終わってみれば区間新記録というオマケまでついていた。何よりも気迫で小田を圧倒していた。これぞ駅伝の走り……というキャプテンの闘志が筑波の2連覇をもたらしたといえる。
名城大が今一歩と迫りながら涙を飲んだ。今年は有力な優勝候補にあげられていたが、1区で30秒遅れの11位が誤算だった。それでも4区では川口仁美、5区では日野真里がともに区間賞を獲得、アンカー勝負にもちこんのは高く評価すねきである。アンカー勝負で敗れたのは経験のなさによるものだろう。来年はもっときわどく筑波と覇を争うだろう。 佛教大も大躍進である。第1区の飯嶋希望が飛び出して流れに乗った。中盤は5〜6位を低迷したが、最終区で1年生の瑞慶山アケミのがんばりで3位までもってきた。エースの越智純子を欠きながらの結果であることを考えると、来年はさらに上積みがあるだろう。 立命館も大健闘である。躍進の筋道をつくったのは1年生・池田恵美である。立命館宇治出身のランナーは小崎まりのほか、総じて大成したケースがない。最近では坂田直子の例もある。だが外見では線が細そうにみえる池田は、思いのほか骨太のランナーのようだ。昨年の高校駅伝で1区で大ブレーキ、今回はその悔しさをみごと晴らした。 立命館大は最終的に4位に終わったが、2区以降は終始、トップをうかがえる位置につけていた。そういう意味で今回に関するかぎり、佛教大よりもレベルの高い戦いをしていたといえる。 古豪・日体大は終始5、6番手につけていたが、アンカー小山真子の爆走で城西、京都産業大というかつての王者との激しいシード権争いに勝ち残った。古豪復活のきざしがみえてきた。 6校目のシード権争いは、城西大、京都産業大、玉川大ではげしく競り合った。奇しくも新旧の有力校の争いになったは腐肉というほかはない。 大学駅伝は男子ばかりではない。女子も個性あるランナーが現れてきた。最後まで目が離せない今回のレースが何よりも、それをよく物語っている。 、 ★開催日:2002年11月24日(日) ★天候:晴 気温17.4度 湿度49% 北東の風3.3M ★筑波大学(熊谷美由紀、藤永佳子、菅野勝子、吉田郁子、桑城奈苗、山嵜麻子)
区 間 最 高
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
![]() |
|
| Home | 駅伝Home | 駅伝ひとくちメモ |駅伝BBS | 駅伝オフ時評 |
|
Copyright(c) 2002 Takehisa Fukumoto All rights reserved. . |
|