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箱根駅伝は来年1月に行われる第79回から、出場校が従来の15チームから5つ増枠されて20チームになる。当然のことながら、それにともない出場チームの選考方式も変わってゆくことになる。初年度にあたる今回はとりあえず従来の予選会を踏襲して、10チームを選抜、あと1チームは関東学連の選抜チームを編成して、これに充てるらしい。 予選会で選抜される10チームのうち、6チームは従来どおり10人の合計記録の上位校から順番にピックアップしてゆく。要するに当日の結果で上位6番までに入れば、文句なしに予選通過ということである。残りの4チームの選びかたは、ちょっと複雑である。予選会の結果だけでなく、関東インカレの結果を反映させて最終決定するという。具体的には関東インカレの学校対抗得点をベースにしたインカレポイントなるものをタイムに換算して、予選会当日の合計記録から、これを差し引いた記録で競うというのである。 大会前から予選突破が有力視されていたのは、日大、日体大、東海大、法政だが、いずれも大きなインカレポイントを持っていた。東海大の5分10秒を筆頭に、日大は4分50秒、日体大は4分10秒、法政は3分50秒とつづく。いずれも昨年の本戦出場校で、選手層が厚いうえに、これだけの高下駄(ハンディ)を確約されていたのだから、走るまえからもう当確が出ていたといってもいいくらいである。 興味といえば、これら予選会に落ちてきた箱根の伝統校が、インカレポイントというゲタを履かずに真の実力で予選を通過できるかどうか。つまり6位以内で突破できるかどうか。私はもっぱらその一点にしぼって観戦していた。
今回も国営昭和記念公園(昭島市)に34校396人の選手がエントリー、20キロの走破タイムを競った。 予選を突破したのは、東海大学、東洋大学、法政大学、日本大学、中央学院大学、日本体育大学、拓殖大学、國學院大學、関東学院大学、専修大学の10校である。上位から順番に記してみたが、先に挙げた「高下駄」組の4校は、いちおう6位以内に名を連ねているから、まずは面目を保ったといえそうである。 10校のうち東海、東洋、法政が3強をなすが、果たして箱根本戦でどこまで戦えるのだろうか。昨年は予選会あがりの早稲田が本戦でも3位と大健闘、予選会3位の亜細亜大が7位に食い込んでシード権を獲得している。 昨年と今年……。予選会からみる上位校の実力を診断しようというわけだが、タイムだけでみれば総体的に、今回は昨年のレベルを下回っている。昨年トップの早稲田は10時間07分45秒、今年トップの東海は10時間10分20秒である。個人記録のうえでも、前回は好記録ラッシュだった。59〜60分台が30人を数え、59分台は10人もいた。今回は59〜60分台が24人、59分台はわずか3人でしかない。だが長距離走はコースが同じでも天候、地面のコンディションによってタイムはかなりちがってくる。1人あたり30秒から1分もちがえば、10人では軽く5分から10分の誤差が生じてくる。だから今回の記録が前回レベルを下回っているなどとは、いちがいにはいえないかもしれない。事実、気象条件を比較してみると、今回よりも前回のほうかかなりよかった。前回は10月2日に行われているが、当日は朝から秋晴れの爽やかな天候にめぐまれていた。気温12度、湿度76%、北東の風0.3M……。今回は曇天で、気温18.5度、湿度70%、無風……である。長距離のコンディションとしては、まさに絶好というべき前回にくらべて、今回は若干気温が高かった。それが記録の上でも大きな影響をおよぼしたとみる。 したがって東海の1時間10分台はかなりのものと評価すべきである。前回予選会あがりでシード権を獲得した亜細亜は1時間12分台だったが、今回2位の東洋(1時間11分台)、3位の法政(1時間12分台)はともに、これを上回っている。亜細亜の例をモノサシにして考えると、1位東海から3位の法政までは、シード組と互角に戦える実力があるという見方もなりたつのである。
箱根予選会は7年連続で外国人留学生がトップを占めてきた。1996-98年はダニエル・ジョエンガ(流経大)、そして1999-2001年はジョン・カーニー(平成国際大)がトップを独走した。本戦出場にはほとんど可能性がなかったかれらは、思惑がらみの集団走りに終始する主力校の選手たちを尻目にハナからすっ飛ばした。かれらにとっては予選会こそが箱根であり、独自の闘いを挑んでいたのである。 今回はジェンガやカーニーのようにペースメーカ的な選手がいなかったことも、いくらかタイム面で影響が出たのかもしれない。 外国人留学生不在のレースを引っ張ったのは、思わぬアクシデントで予選落ちした法政の土井洋志と黒田将由であった。オレンジ軍団・法政のランナーがいずれもオレンジ色に髪の毛を染めて登場したのは、「前回の汚名を濯ぐのだ」という自己主張の現れからだろう。その法政の主力というべき土井と黒田が前半トップに立ち、あとは関東学院の尾田賢典、中央学院の福山良祐 、東洋大の三行幸一、日大の清水将也などがトップ集団を形成、11キロ地点で尾田がスパートをかけたが主力をなす8人は最後まで集団でしのぎを削った。法政の土井が中盤でひとたび下げたのは、あえてムリをしなかったのだろう。最後は地力で押し切ったのをみると、かなり余裕を残しているようにもみえた。 個人成績のベスト30までに入った選手を大学別にカウントすると、法政と東海がともに4人、東洋、中央学院、日大がともに3人づつである。やはり地力のあるのはこのあたりなのだろう。
出場枠が5つ増えたことは歓迎すべきである。だが、選考方法として導入されたインカレポイントについては、私は疑問を持っている。 インカレポイントというのは先にものべたように、関東インカレの学校対抗得点をベースにしたポイントである。長距離だけでなく、短距離や跳躍、投擲種目なども対象になる。なぜ、箱根駅伝に長距離と関係のない種目の結果まで問題にするのか。 さらにこのインカレポイントの導入は、既存勢力の擁護システムとして機能するのではないか。つまり新興勢力の出場をむずかしくするのではないか、という懸念がある。 仮に専修大学と東海大学が最後の出場枠10位を争ったとしよう。専修大のインカレポイントは10秒、東海大学は5分10秒である。専修大はハナから5分のハンディ、つまり一人あたり30秒のハンディを背負わされている計算になる。がんばって10位に滑り込んだとしても、後続の東海大が5分以内にゴールしたら、総てが水泡に帰するのである。 今回は10位の専修大と11位の城西大とのあいだに大差がついていたので、そういう問題が埋もれたまま終わったが、やがていつか矛盾点として浮かびあがってくいるだろう。せっかく予選会で10位にはいっても、インカレポイントなるマジックで本戦には出場できない。それではどこか不透明さが残る。インカレポイントなるものは陸上伝統校の保険ではないか、という見方もなりたつのである。 とにかく予選会のシステムはわかりにくい。よけいな仕掛けをつくらないで、もっと単純明快にならないものか。「泣いても笑っても箱根出場は、すべて予選会当日の成績によるものとする」これでいいではないか。 注:予選会当日の写真は岡崎誠さんのサイト(ekidenn@photos)にセレクションとしてアップされ ています。いずれの作品も臨場感満点! 必見です。 ★開催日:2002年10月19日(土) 午前8時30分 ★会場:国営昭和記念公園 ★天候:曇り 気温18.5度 湿度70% 風0M
個 人 成 績
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