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箱根の予選会は毎年、大井埠頭の周回コースで行われていたが、今年からは立川の昭和記念公園に変更された。実際には10月21日(土)に行われているのたが、テレビ放映は一週間おくれの10月29日(日)であった。 ビデオ放映のせいで、今回はやたらと編集画面が多くなった。いわばドラマとしての色彩が濃厚となり、駅伝を知らない視聴者にも、それなりに訴求力のある番組構成になっていた。けれどもそのぶんだけ、レースの細かいところには手が届かなくて、駅伝ファンとしてはちょっともどかしい思いが残った。 1校あたり12人走って、上位10人の合計タイムで順位を争う。最後の最後まで結果が読めないレースだから、いつもながら選手は大変だろうなと思う。 今回シード落ちして予選会にまわってきたのは、法政、大東文化、拓殖、日体、東洋、関東学院の6校である。大東は前回の早稲田や前々回の東海と同じように、ここに顔を出すのは何かのまちがいだろうから、予選突破はまず動かない。ほかの5校については天国と地獄が紙一重、シード権までわずか29秒とどかなかった法政ですら、予選落ちの崖っぷちにあるとみていた。
レースは昨年と同じように平成国際大の2枚看板、カーニーとムヒアがひっぱり、法政の徳本一善と大東の松浦仁一が追っかけ展開ではじまった。徳本はカゼ気味だったというから、ここで追っかけたのが結果的に良かったのか、悪かったのか? 判断の分かれるところである。松浦は最終的に4位でゴールしているから大健闘の部類か。それにしても観戦者も選手と同じくレース経過が漠然としかみえていないので、もどかしいこときわまりない。 5キロ、10キロ、15キロ……。やはり大東文化が有利な戦いをすすめ、後続はめまぐるしく変動した。15キロを走り終えた段階では、大東大、拓殖大、日体大、國學院大、平成国際大、法政大とつづき、6位法政から47秒差で亜細亜大、さらに32秒遅れで東洋大がつづいていた。小川くんの国士舘、ダイコン踊りの復活をかける東農大も追っていたが、この段階で圏外に去った。新顔では國學院が安定した戦いぶりをみせていたが、平成国際大は徐々に順位が落ちてきて、まだ亜細亜、東洋の追いあげに可能性を残していた。 20キロのゴールで各チーム10人目のランナーがとびこんだ順番は、大東大、國學院大、日体大、東洋大、拓殖大、法政大、国士舘大、関東学院大、亜細亜大、東農大、平成国際ということになる。なぜ11番目の平成国際大まで挙げたのか。理由がある。10番目のランナーのゴールインしたのは11番目だった平成国際大が、総合タイムでは6位にはいって予選を突破したのである。逆に10番目のランナーのゴールは4位だった東洋大は総合成績では7位に落ちて落選してしまった。 最終結果は上位から順に大東大、日体大、國學院、拓殖大、法政大、平成国際大、この6校が本戦の出場権を獲得した。初出場は國學院と平成国際大、前回の出場組では東洋大と関東学院が落選した。 新顔の平成国際大はカーニーとムヒアの活躍につきる。個人成績でワン・ツウ・フィニッシュを決めた両エースがタイムを稼ぎ、そのまま逃げ切った。國學院大は対照的に団体走に徹して成功した。個人成績トップ橋本勝は31位でしかない。だが、1分以内に10人がとびこむという安定した走力をみせつけた。それは1ヶ月1000キロを越える練習量によるものだが、箱根駅伝への出場がいかにむずかしかをものがたっている。
ビデオ編集ならではの面白いシーンをあげれば、法政の徳本一善の涙にむせぶ姿ではなかったろうか。前回の第1区で区間賞をもぎとり往路で法政躍進のきっかけをつくり、先の出雲駅伝でも1区を制したあの徳本が、カゼで体調をくずしていたせいもあるが、16キロあたりでペースダウン、個人成績では15位まで落ちた。あえぎながらの苦悩の走りで、チームを引っ張った。突っ伏した顔に滴る大粒の涙、それは自尊心を傷つけられた悔しさだろう。その息づかいにも負けん気と責任感に強さがにじんでいた。正月の本戦ではきっとリベンジの快走をみせてくれるだろう。 国士舘の小川博之、かれはこの数年、テレビ番組で予選会の主役をつとめてきた。箱根をめざすこと4たび、とうとう夢はかなわなかった。今年は個人12位、チーム成績は10位に終わり、小川の箱根は終わった。悔しさなだけでなく、ある種の満足感を表現する涙もある。走り終わったチームメイトたちは、それぞれ「ごめんな」と小川に声をかけているのをみて、箱根駅伝はそういう一人ひとりの熱い心によって支えられているのだと思った。
前回は予選会を経て本戦に出場した6チームのうち、早稲田と帝京がシード権を獲得した。今回の6チームはどうだろうか。最近は実力接近で予測がむずかしいが、シード権にもっとも近いのは大東大ではないか。國學院は走力の平均したランナーをそろえているが初出場というマイナスが大きかもしれない。けれども昨年の法政のように往路の流れにのって、復路もそこそこ粘るケースもあるから、拓殖大や日体大もあなどれないものがある。 最近は昨年の法政のように往路に一発しかけてくるチームもある。今年も法政は徳本と個人4位の土井をならべてくれば、昨年のように往路で主導権をにぎる場面もあるだろう。そういう意味では平成国際大も面白い。カーニー、ムヒアを1、2区に配してくれば、ぶっちぎりで突っ走る可能性もある。特色のあるチームの本戦入りで、今回も往路は大激戦になることはまちがいない。
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