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予選会データ
 (SAIJOさんのHP)





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98-99まとめ
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第76回 箱根駅伝予選会


伝統校 と 新勢力が
バランスよく 予選会を突破 !


相 手 が 視 え な い
な ん と も 奇 妙 な 駅 伝 !

 駅伝は総合力の勝負である。チームを構成する選手たちの実力偏差値が高ければ高いほど優位に立つことができる。そのことに異論はない。しかし……である。駅伝は理屈ではない。これも真実である。時として大砲といわれるエースの爆走によって、チーム全体が流れにのって、とほうもない結果をもたらすケースも少なくない。競技者の側からみても、観戦者の側からも、それこそが駅伝の面白さというものだろうと思う。

 10月24日、今年も32校380人あまりの選手たちが大井埠頭周回コースを4周してタイムを競った。箱根駅伝予選会、たいそうなレース名だが、ようするに全員がいっせいにスタートするロードの20000M走である。選手たちはいったい何を目標に走るのだろう。相手がみえないという意味で、長いトンネルのなかを走っているにひとしいのではないか。いわば暗闇のなかで自らが流れをみきわめて、レースそのものを創造してゆかねばならない。とてつもなく苛酷できびしいレースではないか。

復 活 な る か !
「だいこん踊り」と「エンジのユニフォーム」

  テレビ放送は取材記事をいろいろ織り交ぜて、番組が平板にならないように画面づくに工夫をこらしているが、レースそのものについていえば、どうしようもなく単調でである。だから観る側の想像力でレースの面白さを究めてゆくしかない。そういうわけで、評者のぼくが今年の予選会でとくに見どころとして注目したのは、次の2点であった。

1.「だいこん踊り」の復活なるか。
2.箱根路でエンジのユニフォームは永久不滅なのか。

 正月の2〜3日、東京農大の「だいこん踊り」が読売新聞社前や箱根町から姿を消してからすでに久しい。箱根駅伝の中継がラジオ放送しかなかった時代から、「だいこん踊り」なるものがあることを聞き知ってはいた。テレビの時代になって、あのユーモラスでどこか間のぬけた応援風景は、いつしか正月の風物詩としてぼくの心のカレンダーに記憶されてしまった。正月に「あるべきモノ」が無いというのは、なぜか心さみしいのである。エンジのユニフォームもぜひとも出場権を獲得してほしい。伝統校・早大が出場しないと箱根駅伝の面白さは半減してしまうと思うからである。

 さらに、もうひとつ。6位でもいいから法政大が残ってほしい。ぼくと息子のランニングのコーチが箱根を2度も走ったこともある法政出身の教諭だったからである。きわめて個人的な願望をもちこんで、評者の立場を逸脱していると思うが、本戦ではないから、ここはひとつ、大目に見ていただこう。

 拓大、早大、帝京大の3校が総合力で優位に立ち、4位以降は混戦模様というのがおおかたの見るところあった。日体大、法大、関東学院、中央学大、亜大、専大、東農大、国士館大、明大……どこが飛び込んできても不思議はないというのであった。

帝京大 法政大 早稲田大
そして 日体大、関東学院、拓殖大

 帝京大、法大、早大、日体大、関東学院、拓大……。以上が予選を通過した上位6校である。伝統校3、新興勢力3……ほぼ順当な結果といえるが、拓大の6位は意外というほかない。もともと拓大は予選会などに出てくるチームではない。昨年は本戦でも上位を争うものと予想されていたのである。予選会まわりは関係者にとっても思いがけなかっただろう。ぶっちぎり……と思われた拓大が大苦戦にあえいで、きわどいところで予選通過をきめた。まだ昨年の後遺症がふっきれていないのか。モタモタしたレースぶりからみて、本戦でもあまり多くは期待できないだろう。

 帝京大はぶっちぎりの圧勝だった。5キロでは東京農大に次いで2位だったが、10キロではトップに立ち、1分37秒の貯金、15キロでは3分24秒の大差をつけて早くも独走態勢をかためてしまった。帝京といえばこれまで中学大とともにグループ走に徹してきたチームだが、今年はいちだんとパワー・アップされている。個人成績でみてもベスト10に3人もはいっている。中崎幸伸が日本人トップの3位、北島吉章が4位、さらに谷川嘉朗が7位に名を連ねている。最終的には2位の法大に6分もの大差がついてしまった。今年は本戦でも期待できそうである。

 2位の法大は大健闘というべきだろう。坪田智夫、徳本一善の2枚看板が、それぞれ個人成績で5位、8位と期待通りの走りでチーム全体が流れに乗ったのか、危なげなく予選を通過した。早大は出雲で主力を温存したのが奏功したのか。3位というのはまずまずというところ。土壇場で底力をみせたのは日体大である。15キロ地点では6位と20秒差の7位だったが、最後の5キロで拓大、東京農大、関東学院をまとめて交わして4位まで押しあげてきた。そのほかでは関東学院も最近の好調さをそのままレースに生かしたといえよう。

シード権をもぎとれるか!
帝京大、法大、早大に期待…

 惜しかったのは東京農大である。5キロで首位、10キロで2位と前半は上位につけていながら、15キロで6位に落ちて貯金を使い果たし、最後は拓大と残るひとつの席を争うかたちになったが、1分21秒差で今年も涙をのんだ。「だいこん踊り」が最後の最後でするりと逃げてしまい、残念でならない。ほかのみんなは予定通りに走ったのに、ぼくだけがダメだった……と、泣きじゃくるキャプテン・島田剛の姿に、あふれる悔しさがみなぎっていた。国士舘は今年も14位に終わって、あの小川博之は来年、ラストチャンスに挑むことになる。東京農大も国士舘も来年は果たして長いトンネルを抜けることができるのだろうか。

 個人成績は今年も外人部隊に持ってゆかれた。平成国際大のジョン・カーニーとフランシス・ムヒアが予想通り1〜2位を占めた。カーニーの走りに、いまひとつキレがなかったのは故障のせいか。青東駅伝では埼玉代表に選ばれていたが、昨日になってエントリーが取り消されている。完調ではなかったようであるが、それでもきつちりと結果を残すところはさすがである。

 予選を勝ちあがった6校のうち、本戦で活躍が期待できるのは、帝京大と法大の2校ではないだろうか。今年の帝京はどっしりとした安定感がある。法政も坪田、徳本という大砲の走りしだいでは可能性がある。とくに茶髪の徳本、その個性あふれた走りに魅力を感じるのである。何年か前の専修の湯浅のように1区での果敢なとびだしを期待したい。今回は下位の充実で前回以上にシード権争いが熾烈になると思われる。予選会あがりのなかでは帝京大、法大、早大、シード組では東洋大、日大、大東大、この6校による順位争いは、きっと最終区までもちこされるだろう。

5キロ
10キロ
15キロ
20キロ
最終タイム
東農大 帝京大 帝京大 帝京大 10:09:17
拓 大 東農大 法政大 法政大 10:15:08
早 大 拓 大 関学大 早 大 10:15:44
帝京大 早 大 早 大 日体大 10:16:39
日体大 関学大 拓 大 関学大 10:17:13
法政大  法政大 東農大 拓 大 10:18:53
関学大 日体大 日体大 東農大 10:20:14
亜 大 亜 大 明治大 専修大 10:22:52



個人記録(上位10人)
氏 名 大 学 タイム
1 カーニー 平成国際大 2  59:21
2 ムヒア 平成国際大 2  59:28
3 中崎 幸伸 帝京大 2  59:32
4 北島 吉章 帝京大 2  59:33
5 坪田 智夫 法政大 4  59:50
6 佐藤 敦之 早稲田大 3  59:52
7 谷川 嘉朗 帝京大 2  59:52
8 徳本 一善 法政大 2 1:00:07
9 吉田 和央 拓殖大 4 1:00:14
10 尾田 賢典 関東学院大 1 1:00:21



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