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東日本実業団女子


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98-99まとめ
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第10回 東日本実業団対抗女子駅伝


あさひ銀行、積水化学
果たして関東の地盤沈下を救えるか!


19チームが14の本戦出場切符を争う

 東日本実業団女子駅伝(浦和市の埼玉県庁発、上尾運動公園陸上競技場着 49.195キロ 6区間)は、関西の淡路島女子駅伝とともに、全日本(12月 岐阜)のトライアルレースである。今年も11月3日におこかわれ、出場19チームが14の出場枠を争った。あくまで予選の位置づけで、上位チームはかならずしもベストで出場していないが、今年の勢力分布と各チームの仕上がりをおおまかに判断することができるだろう。

 昨年は積水化学が高橋尚子の活躍で初優勝したが、本戦では東海銀行、天満屋に次いでの3位であった。1区で大きく出遅れて5区の高橋尚子の快走でかろうじて4強の面目を保っただけで、いちども優勝争いには絡めなかった。むしろ前半は川鉄千葉やNECのほうが善戦していた。関東地区から14チームも出場しながら、本戦でベスト10にはいったのは、前記の3チームとあさひ銀行(6位)のみというありさまである。一昨年は沖電気宮崎が連覇、関東勢は川鉄千葉の4位が最高だったから、この数年というもの関東の地盤沈下は明白である。

 今年の大会はやはり「積水化学」と「あさひ銀行」あたりが中心になるだろうというのが常識的な見かたであった。事実、終わってみれば両チームが1、2着に来ているのだが、内容的には「あさひ銀行」の圧勝であった。「積水化学」の2着はうまく帳尻を合わせただけで、最後まで優勝争いには加われなかった。

初優勝・あさひ銀行に安定感
本戦で変わり身をみせるか・積水化学

 レースの前半は日立、日本ケミコン、第一生命がひっぱるという意外な展開であった。日立は1区のワンジロで奪首、2区まで首位を突っ走ったが、3区であさひ銀行が首位に立って最後までトップを譲ることがなかった。レースとしては、いまひとつ盛りあがりを欠いたが、見どころをあげれば3区(10キロ)であろうか。トップをゆく日立(小川ミーナー)を日本ケミコン(高橋千恵美)とあさひ銀行(田中めぐみ)が追う展開、さらに後方からはNEC(竹元久美子)がひたひたと追ってくる……。高橋をふりきった田中めぐみが40秒差を詰め、5.1キロ地点トップに立ち、6.2キロでは竹元が第一生命の熊坂香織をとらえて10位から一気に2位に浮上してくる。積水もエースの上野理恵で9位から5位まで押しあげてくる。エース登場でめまぐるしく順位が変動、いかにも駅伝らしく見応えがあった。

 初優勝の「あさひ銀行」は安定した揺るぎない戦いぶりであった。1区の小塚綾乃は5位つけ、3区の田中めぐみで予定どおりに奪首、4区の浅野詔子、5区堤文子、6区川嶋晶子とつないで危なげなかった。とくに4区(4キロ)の浅野詔子の快走が光る。わずか16秒だった2位NECとの差を1分4秒までひろげて、独走態勢をかためてしまったのである。〈つなぎ〉の区間をうまく乗りのったのが勝因というべきか。昨年復活した堤文子も調子がよさそうで、チームとしてまとまりがある。今年のあさひ銀行は、本戦でも上位争いが期待できそうである。

 積水化学は高橋尚子ぬきで2位までもってきた。それゆえ高橋が加われば本戦でも優勝をねらえる布陣だが、いまひとつ安定感にとぼしいのが気がかりである。今大会も1区で12位と大きく出遅れてしまっている。もし本戦でこんなチョンボをすれば、いくら超スーパーエースがいても苦しいだろう。2度あることを3度繰り返すところに積水化学の弱点がある。小出監督がどういう秘策を練ってくるか……がみものである。それはともかく本戦の全日本で関東の地盤沈下を救えるのは、あさひ銀行と積水化学ぐらいだから、なんとか高橋尚子が絶好調で出てきてほしい。

世界選手権組、好対照をなす
田中めぐみと高橋千恵美

 大健闘は5位に食い込んだ第一生命である。2区の伏見圭代が区間新の快走で流れに乗り、ほかの走者も堅実に走った。終始2〜4位をキープするという安定したレースぶりはみごとだった。本戦出場の最後の椅子を営団地下鉄と横浜銀行が2区から激しく争い、最後までもつれたが、営団地下鉄の最終区小幡佳代子がマラソン世界選手権代表の意地をみせて逃げきった。

 世界選手権出場組で本大会に顔を見せたのは、志水見千子、高橋千恵美、田中めぐみ、弘山晴美、小幡佳代子、市河麻由美……。いまだ疲労がぬけないのか、5区で区間賞をとった弘山晴美と3区で奪首した田中めぐみをのぞいて、いまひとつキレがなかったようである。とくに3区を走った日本ケミコンの高橋千恵美は大ブレーキ、3位という絶好のポジションで受けたタスキをうけながら、11位まで順位を落としてしまった。もういちど体勢を立て直して、本戦ではあのキビキビしたリズミカルな走りをよみがえらせてほしい。

女子駅伝もいよいよ正念場?

 今年の本大会出場チーム数は19だが、ピーク時は21ぐらいだったように思う。来年は川鉄千葉と横浜銀行が消えてゆく。リストラのあおりをくって陸上競技部が休部という名の廃部になるらしい。川鉄千葉は昨年、一昨年と全日本でも大活躍しただけに、休部は思いがけなかった。女子駅伝ブームもどうやら翳りが兆してきた感がある。いよいよ正念場がやってきたというのか。そのうちに本大会や東日本女子駅伝のようなローカル・レース、スポンサーがつかないといわれていた全日本大学女子駅伝なんかは、テレビ放送されなくなるやもしれない。

 テレビ放送といえば、今回のTBSは出雲のフジテレビよりもひどかった。各区間の順位、タイム差、区間個人成績を画面で精確に伝えていない。最終成績も大急ぎでテロップを流しただけ……。ほとんど読みとれなかった。録画編集とはいえ、番組に対する姿勢というものが、どこが投げやりで、きわめて不満である。スポーツ番組なのだから結果というものをきっちりと報道してほしい。

総合成績

チーム名 記録
1 あさひ銀行 2:16:12
2 積水化学 2:17:42
3 富士銀行 2:17:51
4 三井海上 2:18:28
5 第一生命 2:19:01
6 リクルート 2:19:06
7 NEC 2:19:08
8 セイコー 2:19:13
9 資生堂 2:19:22
10 川鉄千葉 2:19:25
11 日本ケミコン 2:19:38
12 日立 2:21:03
13 三和銀行 2:21:27
14 営団地下鉄 2:22:04
15 横浜銀行 2:22:20
16 松下通信 2:23:04
17 ホクレン 2:24:33
18 石川島播磨 2:25:08
19 住友金属 2:25:19


区間優勝者

区間 チーム名 選手名 記録
第1区( 6.0) 日立 エスタ・ワンジロ 20:28
第2区(3.695) 第一生命 伏見 圭代 11:23
第3区(10.0) NEC 竹元久美子 31:51
第4区( 4.0) 富士銀行 藤丸 麻美 12:58
第5区(11.1) 資生堂 弘山 晴美 35:12
第6区( 6.8) あさひ銀行 川嶋 晶子 22:03



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