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東日本縦断駅伝

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98-99まとめ
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第42回 都道府県対抗東日本縦断駅伝

大会史上初の変則日程!
埼玉が4年ぶり6回目の総合優勝

豪雨と強風 ,波乱含みの幕あけ

 青・東駅伝として知られる「都道府県対抗東日本縦駅伝」は、今年で42回を数えるという。第1回が1951年(昭和26)だから、日本が戦後の復興期にさしかかったころからスタートしている。箱根駅伝、高校駅伝に次ぐ歴史と伝統のある駅伝だということになる。青森県庁から東京の読売新聞社前まで、総距離855.2キロを61区間にわけて、7日間でタスキを運んでゆくこの駅伝、今年も東日本の17都道府県408選手が参加して、10月28日のスタートしたが、思いがけないハプニングが待ち受けていた。

 参加チームは、北海道、青森、岩手、秋田、山形、宮城、福島、東京、埼玉、千葉、茨城、群馬、栃木、神奈川、山梨、長野、新潟……、北海道・東北、関東、甲信越の17都道府県だが、毎年レースは東京と首都圏近郊の埼玉、千葉、茨城あたりが中心になって展開されてゆく。いずれも有力な実業団チームが背後にひかえているからである。なかでも強力な実業団を配下におさめる東京が圧倒的な強さを発揮している。今年も東京だけが24選手のすべてを実業団選手でラインアップ、4連覇をめざして層の厚い布陣をしいてきた。その東京が日間首位ですら最終日まで獲れないで、終始「受け」にまわってしまったのは、やはり季節はずれの大嵐のせいだったのだろうか。

 大会初日の10月28日、青森市は冷たい豪雨、15メートルの強い北風が吹き荒れ、最大瞬間風速27メートルという台風なみの天候であった。午前9時には全県に「大雨」「洪水」「暴風雨」「波浪」と警報のフルコースが発せられて、競技は2区で打ちきられてしまった。大会史上初めてという途中打ちきりで、レースは波乱含みで幕あけたのである。

本田勢が流れを変えた!
カラモレ効果が勝利のリズムを生んだ

 結果的にみれば、埼玉の「先手必勝」作戦がまんまと図に当たったというべきか。南アフリカからやってきた助っ人カラモレ(本田技研)が、豪雨による冠水もものともせずに2位に1分もの大差をつける快走、鮮烈なる駅伝デビューを果たした。2区の小林渉も区間2位でのりきり、候補・東京に1分43秒差をつけてしまった。

 7日間にわたるレースで2分足らずのタイム差など問題にならないが、初日をトップできたという結果が埼玉を勢いづかせてしまったのだろう。さらに2日目は全面中止となり、大会は30日、盛岡から再開されることに決まった。総距離は228キロも短縮され、627.2キロになってしまった。初日の2区以降と2日目がまるまる飛んでしまったことで、各チームは選手のやりくりに追われたようだが、ここで埼玉はほとんど動じていない。そういう精神的な余裕が流れを呼び寄せたのだろう。

 3日目には池谷寛之(21区)でトップに立つと、またまたカラモレが出てきて区間1位の走りで爆走、完全にチーム全体を勢い乗せてしまった。埼玉は全コースのなかでポイントになる5日目(136.6キロ)、6日目(133.5)も制して、東京との差を一気に14分44秒にひろげ、この時点で4年ぶりの優勝を確実にした。カラモレは最終日にも出てきて3度目の区間賞、区間新のオマケまでつけて締めくくった。埼玉優勝のMVPは文句なしにカラモレだろう。

 埼玉の勝因は本田技研勢の健闘だろう。12人出てきて、カラモレ(3回)、池谷寛之(2回)、武本謙治(2回)、船木吉如、加藤俊英、小島大輔、前田了二、伊東広幸と8人で12もの区間賞を獲っているのである。本田技研組の勢いにのせられて学生ランナーたちも好走、まったく安定した戦いぶりだった。昨年の正月、落ちるところまで落ちた本田技研が一年で完全復活を果たした。今年の全日本実業団では久しぶりに上位争いに顔を出すだろう。東京は最初から埼玉というよりも本田勢ををナメきっていたのではないか。

一人ひとりの思いがこもる
「青・東」駅伝は、ふところが深い

 優勝争いとは別に「青・東」では、出場選手それぞれが思いをこめて走る。オリンピック選手もいれば、大学生、高校生もいて、シニアのランナーたちもいる。こんな幅広い層のランナーたちが集まる駅伝は、「青・東」ぐらいなものだろう。青・東を走るのを目標に、ひたすら練習に励んできた市民ランナーたち、学生時代はレースを走れぬまま卒業して、青・東でやっと念願をかなえた選手、40歳になっても走り続けている選手もいる。みんな「青・東があるからやってこれた」ランナーだというべきだろう。

 箱根駅伝予選会で涙をのんだ国士舘の小川博之も福島代表で出場して悔しさを晴らせた。3日目の20区(19.3キロ)では区間1位、5日目の39区(14.7)では1秒差で区間1位を逃したが、区間新記録の快走、福島を5日目5位に押しあげた。山梨学院時代に世界選手権代表になったあの中村祐二も本大会でもどってきた。久しぶりのレースになる3日目の20区(19.3キロ)こそ2位に終わったが、6日目(19.4キロ)では区間1位で駈けぬけた。走り終えた中村の満足感あふれる爽やかな笑顔に心なごむ思いがした。

 アトランタのマラソンで銅メダルのワイナイナも本大会から日本のレースに復帰、ひところ不振だったマヤカも本大会を足がかりにしてシドニーをめざすという。何のために走るのか……、出場選手たち一人ひとりの思いを、あるがままに抱きかかえてくれる。あらてめて「青・東」とは、そういう懐の深い駅伝大会なのだろうと思った。
 




通算総合順位・成績
第1日 第3日 第4日 第5日 第6日 最終日 タイム
1 埼 玉 埼 玉 埼 玉 埼 玉 埼 玉 埼 玉 31:38:51 
2 茨 城 東 京 東 京 東 京 東 京 東 京 31:48:09 
3 東 京 茨 城 千 葉 千 葉 千 葉 千 葉 31:59:31 
4 宮 城 千 葉 茨 城 茨 城 茨 城 茨 城 32:14:47 
5 福 島 岩 手 北海道 福 島 北海道 北海道 32:46:14 
6 山 梨 福 島 岩 手 岩 手 福 島 福 島 32:46:49
7 千 葉 長 野 長 野 北海道 神奈川 神奈川 32:49:26
8 岩 手 秋 田 福 島 神奈川 岩 手 岩 手 32:51:35
9 新 潟 北海道 神奈川 栃 木 栃 木 栃 木 32:52:30
10 長 野 神奈川 宮 城 長 野 長 野 長 野 32:57:40
11 栃 木 新 潟 栃 木 山 梨 宮 城 宮 城 33:02:39
12 秋 田 栃 木 秋 田 宮 城 山 梨 山 梨 33:03:00
13 北海道 山 梨 新 潟 群 馬 群 馬 群 馬 33:04:34
14 神奈川 宮 城 山 梨 新 潟 新 潟 新 潟 33:13:00
15 山 形 群 馬 群 馬 秋 田 秋 田 秋 田 33:19:31
16 青 森 山 形 山 形 山 形 山 形 山 形 33:23:05
17 群 馬 青 森 青 森 青 森 青 森 青 森 33:42:29



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