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第5回の全国都道府県対抗男子駅伝は1月23日(日)に行われ、前回とおなじく今年も雨上がりの広島で熱闘がくりひろげられた。今年からコースと距離が一部変更になり、平和公園発着、7区間48キロになった。高校生区間の距離が延長されて、それがレースに微妙な影を投げかけたようである。 この大会のポイントは奇数区にある。つまり1、3,5、7区をいかに攻めたかによって勝敗が決まる。なかでも3区と7区の一般選手の区間が最大のポイントになっているようである。今年もまた例外ではなかった。 本大会はまだ5回目だが、過去4回において連覇というものがない。広島、京都、福岡、兵庫……。猫の目のように優勝チームがかわっている。今年は兵庫に連覇の期待があったが、3、5区の一般ワクに大学生(坪田智夫、神屋伸行)しか器用できなかった時点であっけなくついえた。箱根での活躍を額面通りに発揮したところで、やはり大学生では荷が重すぎるのである。
初優勝の鹿児島はポイントになる4つの区のうち、3つを制しているから、おのずと結果はついてくる。1区と2区で34秒も出遅れたが、3区・永田宏一郎の5人抜きで3秒差の2位まで押しあげ、5区の高校生・橋ノ口滝一の快走で奪首、7区の入船敏が実力通りに走れば負けるはずがないのである。とくに3区の永田宏一郎の貢献度が高いとみる。奇しくも3区は坪田智夫(法政)、飛松誠(帝京)、黒岩新弥(山学)、揖斐祐治(駒沢)など箱根ランナーがひしめいていたが、それが永田の快走を生んだように思える。箱根の連中に負けたくない……というハングリー精神が鹿児島の優勝につながったのである。 鹿児島、兵庫、愛知、広島あたりが優勝を争うとみられていたが、鹿児島のほかはいずれもバランスを欠いていたようである。大健闘は3位の佐賀だろう。箱根でも見せ場をつくった3区の飛松誠が今回も見せてくれ得た、粘って、粘って、粘りぬく闘志が佐賀を上昇気流に乗せたようである。 ほかでは4位の山口、9位の宮崎も健闘の部類だろう。それにしても今年は九州勢の健闘がめざましい。先週の女子では長崎が優勝、10位までに福岡(3位)、熊本(5位)、鹿児島(6位)、宮崎(10位)と5チームもはいっている。男子の場合も優勝した鹿児島をはじめ、佐賀(3位)、熊本(6位)、宮崎(9位)の4チームがベスト10に名を連ねている。九州は駅伝王国になるつつあるようだ。
最大のみどころは第1区であった。佐藤清治の3年連続区間1位なるかどうか……である。佐藤は暮れの京都でも、いまひとつキレを欠いていたが、今大会でも本調子ではなかったようである。距離が5キロから7キロに延長されたのも、微妙に影響したようである。終始、反応のにぶい走りで、兵庫の藤井や熊本の村田あたりにこすられて、上から見下ろされていた。とくに藤井周一の果敢な攻めの走りは気持がよかった。 5区になっても、鹿児島、熊本、広島、佐賀、山口、長野、兵庫がダンゴ状態という過去に例のない大接戦で、レースの勝負そのものはおもしろかったが、今年はいまひとつ盛りあがらないままに終わった感じである。それはトップクラスの実業団選手があまり出場していないせいである。出てきた選手たちも調子落ちで、お茶をにごした走りに終始していたからもりあがるはずもないのである。
オリンピックの年だとはいえ、実業団は本大会のような都道府県対抗形式の駅伝には、男子の場合も、選手を囲いこむ方針を打ち出したようである。「ふるさと選手」制度の変更がそれにダメ押す結果になった。今年から「ふるさと選手」は、各チーム1名となり、高校卒業後4年間に限定されてしまった。 高校卒業後4年間といえば大学生しか使えないということになる。ということは実業団選手の閉め出しを意味している。「ふるさと」選手として実業団の選手を使えない。その結果、実業団をもたない都道府県は圧倒的に不利になるというわけなのである。 女子の場合は高校生の実力が一般とほとんど変わらない。ヘタな実業団選手よりも高校生のトップランナーのほうが、はるかに強い場合がある。ところが男子の場合は、大学生と実業団選手とでは歴然とした力の差がある。だから、今回の「ふるさと選手」の制度改革は制度園そのものを骨ぬきにしてしまった。ほとんど廃止と同じだから、いっそのこと廃止してしまえばいい。 都道府県対抗形式の駅伝は、まさに日本全国を対象にしているだけに、視聴者は多いはずである。ところが今年から実業団は意図的に選手を出し惜しみするようになった。ファンの思いと選手をかかえる側との間で、あきらかに乖離現象がうまれはじめている。
区間第1位
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