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福島市(信夫ヶ丘競技場発・着 42.195キロ)で開催される東日本女子駅伝は今年で15回目を数える。初回は1985年(昭和60)の11月28日に行われ、東京と群馬が激しく優勝を争い、最後は東京の寺越さおりがトップでテープを切った。 1985年といえば、日本の対外資産が世界一位になった年、「地上げ」「財テク」が流行語となり、いわゆるバブル景気がはじまった年でもある。「駅伝ブーム」がはじまったのも、このころだったと思う。寺越さおりのゴールシーンをテレビで観た憶えがあるから、本大会は第1回から「テレビ放送」があったということになる。 15回目の今回から「ふるさと競技者制度」が採用され、選手はそれぞれの出身地からも出場できるようになった。都道府県対抗形式で行われる本大会、強力な実業団を持つ都道府県の優位が否めない。過去14回をふりかえると、首都圏近郊(東京、埼玉、千葉、茨城)チームが11回も優勝している。そのほかでは宮城が2回、群馬が1回制覇しているだけである。 最終区(10キロ)に力ある実業団選手を配することのできるかどうか。それが勝負のポイントになる。たとえば前回は8区までは完全に福島が流れに乗ってレースを支配していた。ところが最終区に10キロを任せられるランナーを欠き、最後は4位に沈んでしまった。今回の「ふるさと競技者制度」の導入によって、過去はあまり上位と縁のなかった北関東や東北チームも上位争いに加われるチャンスが出てきた。そういう意味でレースそのものが活性化されるだろうというという期待感がある。 新制度はさっそく効果が出たようである。レースの前半は常勝の東京、千葉にかわって栃木、山形がひっぱる展開であった。1区は栃木、3区・4区では山形が奪首、5区から7区まではまた栃木がトップに立つというありさま。レースの大半を栃木が支配していたのである。栃木、山形が大躍進するきっかけをつくったのは、1区の赤羽有紀子と熊坂香織だったが、ともに「ふるさと」選手なのである。
優勝のゆくえは中盤をすぎても、まったく見えてこなかった。それは候補の東京が序盤で後手にまわったからである。連覇をねらう東京は中盤の4区になってもトップと1分20秒差の9位、6区では1分19秒差の5位、7区でも1分3秒差の5位という微妙なポジションにあった。最終区には昨年1分46秒差を撥ねかえしたエースの竹元が控えているだけに、8区を終わって1分そこそこなら、まだまだ十分に逆転可能と判断されたのである。 勝敗の岐路は中学生の走る8区にあった。最も距離の短い「つなぎ」の区間で、皮肉にも明暗を分ける大差がついてしまったのである。7区を終わった時点で11秒差で2位につけていた千葉の遠藤靖子(千葉・旭町中)が快走、0.9キロ地点でたちまちトップを奪っただけでなく、最終中継点では2位の栃木に30秒、5位の東京には1分53秒もの大差をつけてしまったのである。この時点で千葉の優勝がきわめて濃厚になった。千葉のアンカーは熊谷真由美、2分近くの貯金をもって逃げれば、竹元久美子といえども追いきれるものではない。 千葉に8年ぶり4回目の優勝をもたらしたのは誰か? 4区と8区を走った2人の中学生である。1区で7位と出遅れた千葉は3区までは6位と低迷していたが、4区の中学生区間で渡辺樹里(千葉・太田中)が区間賞の走りで、トップと33秒差の3位まで押しあげてきた。5区から7区までは2位をキープすて力を蓄え、8区の遠藤靖子が一息に勝負をきめた。そしてアンカーの熊谷はいかにもベテランらしいレースぶりで堅実につないだのである。
最大の見どころをあげれば、やはり最終9区だったろう。トップの千葉・熊谷真由美から30秒遅れで栃木・磯里佳、44秒遅れで福島・熊谷順子が追い、茨城・小川ミーナーをはさんで1分53秒遅れで東京・竹元久美子が飛び出してゆく。福島出身の熊谷真由美と順子の姉妹対決の様相がみえるなかで、後方からは竹元久美子が5キロ=15分36秒のハイペースで追いあげ、茨城、栃木を抜いて6.4キロ地点で3位まで上がってくる。ひたすら逃げる熊谷真由美の終始ゆがんだ顔の表情、ひきしまった端正な顔が次第にほんのり赤らんでゆく竹元……。追う者と追われる者の隠れた内面が滲んでいるようで興味深かった。竹元は競技場手前で2位の福島・熊谷順子をとらえたものの、千葉には45秒ほどとどかなかった。昨年の再現はならなかったが区間新でしめくくった。 毎年のことながら本大会は第一線のランナーたちがずらりと顔をそろえるというわけではないが、将来性のあるランナーたちが数多くやってくる。たとえば第1区では鈴木由美子、赤羽有紀子、岡本由美子、熊坂香織、堀江知佳など、これからが楽しみな選手たちががトップ争いを展開していた。 第3区を制した下村茜(長野・丸子中)は、昨年につづいて2年連続の区間1位に輝いた。中学1年だった昨年は、まるで豆が撥ねているようだったが、今年はいちだんと成長した姿をみせてくれた。高校生では第5区で奪首した原裕美子(宇都宮文星女子)も高校生ながら日本選手権1万で9位にはいった実力の一端をみせてくれた。昨年の本大会で福島・田村高校の選手たちが大活躍したが、余勢を駆って暮れの全国高校駅伝で初優勝している。東日本女子駅伝は、そういう意味で、これからの選手たちが飛躍へのきっかけをつかむ大会なのかもしれない。 総合成績
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