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98-99まとめ
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第11回 出雲全日本大学選抜対抗駅伝


        順大が初優勝!
   安定した戦いで山梨とのマッチレースを制す


    地獄をみた古田哲弘 丸坊主頭で完全復活!

 丸坊主のあの古田が帰ってきた。まるでヅラをつけたように髪を伸ばしていた昨年の古田……、あれは古田に似て非なる別人である。シーズンの幕あけを飾るレースで古田本来の姿がよみがえったこと、駅伝ファンのひとりとして素直に喜びたい。

 山梨学院大の古田哲弘といえば3年前、あの箱根の走りは鮮烈だった。1年生ながら8区でいきなり区間新の快走、その丸坊主の風貌には不気味な威圧感すら漂っていた。翌年は右ふくらはぎを痛めて戦線離脱、そして3年生の昨年は髪を伸ばして本大会に登場してきた。古田の長髪は似合っていなかった。まるでカツラをつけたような違和感さえあった。眼光も散漫で迫力がなく、風貌にオーラも感じられなかった。どうやら右ふくらはぎが、まだ完治していなかったようである。大学選手権も凡走、箱根での爆走に期待がかかったが……。区間最下位に沈んだ長髪の古田、あれはやはり古田ではなかったのである。まともに走れない……。長髪はそういう自分をカモフラジュするための道具立てだったのではあるまいか。

 第1中継点で古田が襷を受ける姿をみたとき、思わず眼をみはった。あの丸坊主頭の古田が帰ってきた。そのことに感動してしまったのである。古田は2・5キロあたりからエンジンがかかった。大東大、鹿屋体大、京産大をあっさり抜き去り、トップグループの第一工業大、順大を猛追する。圧巻は中継点まじかの坂道、登りでスパートして下りで一気にトップに1秒差まで肉迫した。そのときの相手を威圧するかのような風貌と鋭い眼光に完全復活まじかの古田をみた。3区以降、順大とのマッチレースを演出したのは古田だったのである。


    つなぎの区間で決着 2年生・野口が快走!

 箱根はマグレ勝ちだった……。順大の沢木監督はそのように振り返っている。それゆえに今年の順大は出雲駅伝を本気で勝ちにきた。最初から順大にはそういう迫力が感じられたレースだった。それにしても順大はいかにも箱根を制した王者にふさわしく、どっしりとした落ち着きのあるレースぶりで快勝した。今年は三代直樹のようなスーパーエースはいないが、まったく危なげなかった。1〜4区まで2年生をならべ、全員が区間1〜5位以内にはいっている。

 山梨とのマッチレースに決着をつけたのは、4区の野口英盛である。箱根の経験もない2年生が堅実な走りでトップを奪ってしまった。3.6キロ で野口がスパートしたとき山梨の黒岩新弥はもうついてゆけなかった。終わってみれば野口は区間最高の走りである。4区5.6キロ はいわばつなぎの区間だが、最近ではつなぎの区間で勝負がきまるケースが多い。あとは5区宮井将治、6区高橋謙介が出雲初制覇のゴールへ襷を運んでいった。


    流れにのれなかった駒澤大・神奈川大

 3連覇をねらった駒澤は1区の大西雄三が8位と出遅れたのが誤算だったのか。2区の揖斐祐治から追いあげて、最終的に3位まで追いあげるのが精一杯だった。アンカーに神屋信行というエースをもちながら最後までモタついていたのは、つなぎの区間で、いまひとつ流れに乗りきれなかったせいだろう。あの箱根で、よもやの逆転負けを喫したショックがまだ完全にふっきれていないようである。順大と駒澤の一騎打ち……というのが戦前の下馬評だったが、優勝にいちども絡んでこれなかった。後手にまわったときの反応がいかにも鈍すぎた。

 もっと意外だったのは4強の一角といわれた神奈川大である。最終的には5位まで来たが、1区で大きく出遅れて圏外に去った。順大の沢木監督は「昨日は調子よくても、今日のこの区間できっちり走れるかどうかがポイント」と言うように、第1区ですっかり目算が狂ってしまったようである。けれども3区以降の各ランナーはそれどれ自分の走りに徹して区間上位に来ている。大学選手権での変わり身が期待したい。

 健闘したのは中央大である。最終区で京産大、神奈川大をぬいての4位、4強の一角を崩したのは評価できる。京産大に関東4強の一角崩しの期待がかかっていたが、今年もまたまた不発におわった。もういちど体制を立て直して大学選手権でチャレンジしてほしい。優勝争いを離れた見どころのひとつとして、鹿屋体大の永田宏一郎の1区3連覇があった。レース続きで疲れていたのか、今年はいまひとつ精彩を欠き、キレのある走りがみられなかった。それでも2位に粘ったのはさすがである。


   オソマツというべきか、フジテレビの駅伝中継

 出雲駅伝は毎年、フジテレビ系のネットワークでテレビ中継される。ファンの私たちはテレビのおかげでリアルタイムに駅伝が楽しめるが、今年は中継は最悪ではなかったか。カメラがあまりにもトップのほうに向けられすぎていた。3台の放送車があるのに有機的にうまく機能していなかった。

 3区からは山梨と順大のマッチレースになって、先頭の動きは膠着状態になっているのに画面は相変わらず第1放送車の映像ばかりで、中継自体が間延びしていた。後続の状況や動きをもっと詳細に伝えるべきである。たとえば4強の一角といわれた神奈川大は最初から大きく出遅れた。最後は5位まであがってきたが、テレビ画面ではその経緯がまったくとらえられていなかった。もっとレース全体を俯瞰して、幅ひろく、立体的に眼くばりすべきである。今回は怠慢というかあまりにも手抜きが多すぎたように思う。インタビュアーも信じがたいほど勉強不足である。


   順天が一歩リード、台風の目は山梨!

 大学3駅伝の前哨戦ともいうべき出雲駅伝をみるかぎり、今年もやはり順大、駒澤大、山梨学院大、神奈川大が中心になるだろう。順大、駒澤、山梨はほぼ互角とみるが、駒澤はまだ箱根ショックをひきずっていて、リズムをつかめていない。自信にみちた順大のランナーたちとは好対照であった。

 神奈川大は一歩遅れている感じだが、出雲の順位はそれほど気にしていないのではないか。あくまで眼中にあるのは箱根での覇権奪還だろう。そういう意味では大学選手権での戦いぶりが試金石になる。もし伊勢路でも後手を踏むようなら、今年は苦しいだろう。勢いを感じるのは山梨である。古田の完全復活はチーム全体を活気づけるのではないか。地獄をみた古田がひとまわり大きくなってもどってきた。それは他大学にとっても脅威の的になるだろう。

 そのほかでは神奈川に先着した中央大に注目したい。若手中心のチームだけに、おだてりゃ木に登るかもしれない。早稲田は今年もハナから後手に回って、下位に低迷したままに終わった。現状で箱根予選会でも相当苦戦するやもしれない。エンジのユニフォーム箱根から消えるのは、いかにもさみしい気がする。なんとか勝ち抜いて本戦出場を果たしてほしいと思うのは、私だけではないだろう。

総合成績

順位
チーム名
記 録
1 順天堂大学 2:04:57
2 山梨学院大学 2:05:20
3 駒澤大学 2:06:16
4 中央大学 2:07:02
5 神奈川大学 2:07:04
6 京都産業大学 2:07:15
7 大東文化大学 2:07:34
8 日本大学 2:07:50
9 第一工業大学 2:09:15
10 東洋大学 2:09:35
11 東海大学 2:09:49
12 広島経済大学 2:11:35
13 名古屋商科大学 2:11:39
14 中国四国学連選抜 2:11:55
15 鹿屋体育大学 2:12:07
16 早稲田大学 2:13:36
17 米国IVYリーグ選抜 2:13:50
18 立命館大学 2:15:55
19 北海道学連選抜 2:16:45
20 北信越学連選抜 2:17:59
21 東北学連選抜 2:19:41


区間優勝者

区間 チーム名 選手名 記録
第1区 第一工業大学 アジス・ドリウッジ 0:20:22
第2区 山梨学院大学 古田 哲弘 0:16:52
第3区 山梨学院大学 大浜 洋平 0:16:01
第4区 順天堂大学 野口 英盛 0:16:06
第5区 駒澤大学 西田 隆維 0:21:20
第6区 順天堂大学 高橋 謙介 0:33:43



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