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都道府県男子駅伝 前回(2000) 前々回(1999) ■プロローグ ■出雲大学駅伝 ■箱根駅伝予選会 ■東日本縦断駅伝 ■全日本大学駅伝 ■東日本実業団女子 ■東日本女子駅伝 ■国際千葉駅伝 ■全日本大学女子駅伝 ■全日本実業団女子 ■全国高校駅伝 ■全日本実業団駅伝 ■箱根駅伝 ■都道府県女子駅伝 ■横浜国際女子駅伝 ■エピローグ
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都道府県対抗形式の男子駅伝は今年で第6回を数えるが、いまだに連覇というものはない。過去5年間、すべて優勝チームがちがっている。昨年の覇者・鹿児島は今年も永田宏一郎を中心にして、瀬戸口賢一郎の2枚看板で臨んできた。学生ながら10000Mでは、日本でいちばん強いと思われる永田宏一郎がいるだけに、鹿児島の連覇なるかどうかがひとつの焦点であった。そのほかでは埼玉、兵庫、福岡、千葉、愛知などが一応のところ圏内とみられていた。 鹿児島の連覇、埼玉の初制覇、兵庫の2度目の制覇……。猫の目のように王者が転変するなかで、今年のシナリオはその3つぐらいだろうと思われた。ところが第1区にして、そのいずれもがあえなく潰えてしまった。候補チームの思惑を一気にぶっこわしたのは宮崎の川崎洋樹である。1キロ=2分42秒というハイペースで飛び出して、兵庫、埼玉、鹿児島を置き去りにしてしまったのである。 兵庫、埼玉は30秒〜40秒、鹿児島は1分も遅れをとり、1区で早くも優勝争いから脱落してしまった。結果的にみて1区で川崎についていけなかったチームは敗れ去り、追走できたチームのみが優勝戦線に踏みとどまることができたのである。 川崎にくいさがったのは愛知の糟谷悟、長野の太田貴之の2人だった。2秒差と好位をキープしたこの愛知、長野の両チームが、最終的にきわどく優勝を争う展開になっていったのである。 過去のレースから判断すると、優勝のゆくえは3区を終わった時点でのポジション取りが目安になる。今回も例外ではなかった。1区では宮崎、2区の中学生区間では山口の本多浩隆が4人抜きでトップに立ったが、3区では好位につけていた愛知の前田貴史が長野の帯刀秀幸に6秒差つけて奪首。1位と2位は6秒差、2位長野から3位の千葉までは40秒差となり、優勝争いは完全に愛知と長野にしぼられてしまった。
4区以降は愛知と長野のマッチレースの様相となったが、6区までのせめぎ合いで長野はじりじりと後退、7区では自滅して勝負にケリがついた。終わってみれば愛知の圧勝というレース展開だった。 愛知の勝因はやはり1〜2区でうまく滑り出し、一気に流れに乗ったからだろう。最終の7区をのぞいて短い距離をつなぐ駅伝では、いかにスタートが重要であるかを如実にものがたるレースであった。 愛知はチームを構成する〈中学生〉〈高校生〉〈一般〉の各層にバラツキがなく、バランスよく力を発揮、あれよあれよと最後まで突っ走ってしまった。 スタートでつまずいたのが3位の埼玉であった。1区から3区までに勝負をかけていたが、キーマンの佐藤拓也が出遅れたせいでリズムがくるったのだろう。5区までトップの愛知に離される一方だった。6〜7区が奮闘して順位をあげてきただけに、前半のつまずきが痛かった。 2位の兵庫も埼玉と同じく前半の遅れが致命的となった。4区を終了しても9位という下位に甘んじ、優勝戦線にはとうとう最後まで絡んでこれなかった。 優勝を争いを演じたのは2位の兵庫でも、3位の埼玉でもなく、7位の長野である。最終区で大きくくずれたが、6区を終わった時点でトップをゆく愛知との差は43秒、まだ圏内にとどまっていた。1区の太田貴之の快走でチームは弾みがついたのか、6区まではみごとな戦いぶりだった。前評判の高かった徳島や千葉が相次いで失速するなかで、長野は大健闘したというべきだろう。
初制覇の愛知陣営にとっては筋書き通りの会心のレースだったろうが、観戦するわれわれにとっては、これといって山場のない単調きわまりないレースだった。 そんななかで、一番のみどころをあげれば、やはりレースのポイントとなった第1区の攻防だった。終始集団を引っ張った宮崎の川崎洋樹、そして長野の太田貴之、愛知の糟谷悟の息詰まるような競り合い、とくに残り1キロからのものすごいスパート合戦はみごたえがあった。 今大会のMVPをあげれば、愛知優勝の原動力となったという意味では前田貴史かもしれない。前田がラスト500で猛然とスパートをかけ、長野を一気に置き去りにした区間新の走りは高く評価できるが、各陣営の筋書きを破壊して、レースのゆくえを混沌状態におとしいれたという意味で、川崎洋樹を指名しておこう。 中学生区間の2区では本多浩隆(山口)、残り200で愛知と長野を一気にとらえた走りは迫力満点だった。第3区では帯刀秀幸(長野)、前田貴史(愛知)によるはげしいトップ争い、めくるめくような緊張感があればこそ区間新が生まれる。 最終区の区間1位は永田宏一郎でも花田勝彦でもなく、意外にも浜野健(和歌山)だった。テレビにいちども映らなかったのは皮肉というべきだろう。
それにしても……。1週間前に京都で行われた女子駅伝に比べて、いまひとつ盛りあがりを欠くのは、どういうわけだろうか。新聞(一般紙)のスポーツ欄での扱いをみても、男子と女子ではまるでちがっている。読売新聞でみるかぎり、男子駅伝の記事はきわめて扱いが軽い。新聞をひろげても、いったいどこにあるのか、よく判らなかった。 同じ都道府県対抗駅伝でも男子と女子との温度差は、そのまま世界の長距離界におけるポジションのちがいからくるものなのかもしれない。 昨年は「ふるさと選手」が13人だったが、今年は36人と増加、花田勝彦や実井謙二郎などオリンピック選手、永田宏一郎など学生駅伝のスター選手たちの顔をそろった。箱根で活躍したランナーたちも元気な姿をみせてくれた。今年は実業団選手も中堅どころが多く出場した。それでいて、何か物足りないのはなぜなのだろうか。 7区間のうち5区間までが区間新記録とえいば、終始白熱した順位争いが展開されたと思うだろうが、現実にはどこか緊張感に乏しい平板なレースだった。原因のひとつは中軸となるはずの3区、7区の実業団選手が大きく調子を落としていたからである。たとえば平塚潤、古田哲弘、手塚利明、瀬戸口賢一郎や先の実業団駅伝で快走した酒井俊幸や太田崇なども、いったいどこにいたのか判らない。いずれも凡走というべきで、きわめて影の薄い存在でしかなかった。 多くのロードレースに出場してきたがゆえに、主力選手ほどヨレヨレになっているのは理解できる。それでも女子の場合はひたむきさが感じられた。男子の場合はまったくオツリもない状態、やはりほんとうの実力がないせいだろう。 駅伝シーズンをしめくくる最後のレースだけに、ファンとしては最高レベルの走りを期待するのだが、長距離3流国の男子に関するかぎり、どうやらそれは酷な注文のようである。 ☆愛知(糟屋悟、山下力也、前田貴史、中尾勇生、鷲見知彦、畔柳拓也、渡辺聡)
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