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第12回出雲全日本大学選抜駅伝競走大会


順天堂が連覇!
上位7校の実力接近で激戦模様!


1〜3区までは、まれにみる大混戦!

 茶髪にネックレス……。箱根1区の快走で「あっ」といわせたあの徳本一善が帰ってきた。今回はネックレスではなく、サングラスをアクセントに自己主張しながら、集団の主導権をにぎっていた。
 往路激戦の主役を果たしたのはオレンジパンツの法政大だが、あのときと同じように切り込み隊長の徳本が1区を支配して、残り1キロ地点でスパート、区間1位をもぎとり、健在ぶりをみせてくれた。
 それにしても……。最終の6区をのぞく5つの区間距離は5〜7キロと、駅伝にしては短いが、昨年にまして大激戦となった。トップから30秒以内にタスキの渡ったチーム数をみると、1区終了時には15チーム、2区終了時は10チーム、3区終了時でも8チームもあって、いずれも優勝圏内にあった。最終成績をみても、トップから2分以内に昨年の3チームがつけたが、今年は7チームである。順天堂、山梨学院、駒澤、中央、神奈川、日大、帝京……、出雲をみるかぎりでは、実力は拮抗しており、レースのアヤでどこがとびこんできてもおかしくはない。箱根をみすえた勢力地図みえてくるのは、伊勢路の全日本大学選手権が終わってからになるだろう。


優勝は4区を制した順天堂!

 5000Mの平均タイムでみると、1位・山梨学院、2位・順天堂、3位・駒澤、4位・中央とつづく。本番のレースでは1位と2位が入れ替わっただけで、この4強が上位を占めた。だがレース内容をみると山梨学院も駒澤も中央も順天堂を脅かすというシーンはいちどもなく、接戦のわりには「4強対決」という白熱した展開にはならなかった。レースが終わって、いまひとつ食い足りないと思うのは、きっとそのせいだろう。
 近年は最終区にエースを配するため、ごぼう抜きの大逆転というシーンはみられなくなり、4〜5区の戦いぶりで決着がつく傾向になる。昨年は4区で野口英盛が抜け出して順天堂初優勝の足がかりをつくった。今年も全く同じパターンであった。
 野口に代わって坂井隆則が2位の山梨に一気に27秒の差をつけ、流れは大きく順天堂に引きよせた。繋ぎの区に出てきた選手が思いががけない快走ぶり。こんなところに順天堂の強さがある。そうなれば5区は野口英盛、最終6区は高橋謙介という強力な布陣が生きてくる。
 最大のライバルであった駒澤には5区を終わって1分10秒もの大差をつけていたから、ケガのあとで不安を残していた高橋もすいすいと逃げきってしまった。
 順天堂は1区の入船満をのぞいて、他の5人はそれぞれ区間1〜3位までに入った。3〜4年の経験者をそろえたオーダーは切れ目がなく、誰もが額面どおりの力を発揮した。それが最大の勝因だろう。


流れに乗れなかった駒澤
山梨学院、中央、神奈川はまずまず!

 意外だったのは駒澤である。今期の成長株といわれていた1区の松村拓希は8位と出遅れたが、トップから8秒差ならばまずまずというところ。2区での追い上げが期待された揖斐祐治が区間10位というブレーキ、エースが逆に順位を2つも落としてしまい、最後まで流れに乗れなかった。5区の松下龍治が区間1位、6区の神屋伸行も区間2位の走りで追ったが、終始優勝には絡んでこれなかった。
 昨年も出雲は3位に終わっており、大学選手権はそこから変わり身をみせた。層の厚い駒澤のことだから、きっと巻き返してくると思うが、昨年同じケースで快走したあの揖斐の調子落ちが気にかかる。揖斐が顎を振りながら走る苦悩の姿が、現在の駒澤を象徴しているようであった。
 2位の山梨学院は大健闘の部類だろう。カリウキ抜きで、さらに1年生を2人もつかって1区から終始3位以内を堅持した戦いぶりはみごとであった。期待の1年生・橋ノ口滝一、高見澤勝の粘走は新しい戦力になりそうで、今後がかなり期できそうである。
 中央も上位に肉迫していた。最終区で4位に沈んだが、エース板山学が好調で野村や藤原が着実に育っており、調子に乗るとあなどれないものがある。


順調さを欠く帝京、東海には巻き返しを期待

 神奈川の5位も健闘というべきだろう。前半はつねに上位をキープして、3区では飯島智志でトップに立ち順天堂を脅かした。昨年よりは確実にチーム力が上向いているとみた。
 期待外れに終わったのは帝京(7位)と東海(11位)である両チームとも、仕上がりは今一つというところ。東海は1区に出てきたエースの柴田真一が4.8キロ地点で早くも遅れ出す始末。それほどペースが上がっていなかったのに顎があがっていた。全員が区間11位前後を低迷しているのをみると、最初から戦う気がなかったのだろう。
 帝京も北島、谷川、中崎という3枚看板が不振をきわめている。大学選手権の予選にも落選したというから、あとは箱根一本ということになる。昨年の箱根を面白くしたユニークなチームだから、巻き返しを期待したい。
 徳本一善の法政は最終16位に沈んでしまった。中国・四国選抜にも負けるというテイタラクである。なんとか箱根の予選会を勝ち上がってほしいと思うが、現状では無い物ねだりかもしれない。


出雲ラストランを飾った永田宏一郎

 関東勢以外では、毎年のように京都産業大学に注目しているが、今年は9位と昨年より2つも順位を落としてしまった。ほかでは第一工業大学がモロッコからの留学生2人の活躍で10位にとびこみ、関東勢の東海より上位にきた。
 鹿野体育大学といえば永田宏一郎だが、今年は1区ではなくて、最終区に出てきた。17位でタスキをもらって、最終的には12位まで押し上げてきた。全日本陸上の数日前に10000Mを走ったばかりなのに区間新の快走、神屋伸行や高橋謙介を一蹴したのはみごとというほかない。
 永田の卒業によって、出雲も全日本も関東勢にしかスポットが当たらなくなるだろう。レースの「見どころ」がひとつなくなるという意味では、少しさみしい気がする。関西でも中国でも九州でもいい。関東勢に一泡ふかせる力あるランナーの出現を期待したい。


オソマツきわまりない駅伝中継

 フジテレビの駅伝中継はオソマツきわまりない。経験不足のうえに、勉強不足のほどが眼にあまる。あの女性のインタビューアは何とかならないものか? たとえばレース中に順天堂の沢木監督にマイクを向けるのはいいが、的はずれのことばかり聞いている。「高橋選手と神屋選手のデッドヒートは見れませんでしたが……」などという問いに関しては「おまえ、アホか?」というほかない。いったい何を考えているのか。さすがの沢木監督も「ムッ」としていた。
 選手にたいしても「ご気分はいかがですか?」という漠然とした問い、「貫禄がおありになるようですが……」などという意図不明の問いを放っていた。あまりも無神経である。インタービュアーの資質を云々する前に、人間としての何かが欠けているというほかない。

 3大駅伝のひとつ「出雲」を連覇した順天堂は選手層も厚く、今年は昨年以上に充実しているとみた。区間数と区間あたりの距離ものびる伊勢路の全日本では、さらに本領を発揮できそうである。駒澤は昨年ほどの勢いが感じられず、真価を問われるレースになりそうだ。ほかではカリウキをもつ山梨学院の大駈け、今回はエースを温存した早稲田の動向に注目してみまもりたい。


総 合 成 績
順位
チーム名
記 録
1 順天堂大学 2:05:26
2 山梨学院大学 2:06:19
3 駒澤大学 2:06:29
4 中央大学 2:06:43
5 神奈川大学 2:06:44
6 日本大学 2:07:00
7 帝京大学 2:07:26
8 早稲田大学 2:08:06
9 京都産業大学 2:09:35
10 第一工業大学 2:09:38
11 東海大学 2:09:43
12 鹿屋体育大学 2:10:50
13 広島経済大学 2:12:56
14 米国IVYリーグ選抜 2:14:24
15 中国四国学連選抜 2:14:32
16 法政大学 2:15:10
17 東北学連選抜 2:15:16
18 関西大学 2:16:21
19 北海道学連選抜 2:16:57
20 名古屋商科大学 2:17:24
21 北信越学連選抜 2:19:21


区 間 第 1 位
区間 チーム名 選手名 記録
第1区 法政大学 徳本 一善 0:20:20
第2区 中央大学 板山 学 0:17:01
第3区 順天堂大学 岩水 嘉孝 0:16:03
第4区 順天堂大学 坂井 隆則 0:16:07
第5区 駒澤大学 松下 龍治 0:21:19
第6区 鹿屋体育大学 永田 宏一郎 0:32:55
      

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