![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
|
|
|
東日本女子駅伝 前回(1999) 前々回(1998) ■プロローグ ■出雲大学駅伝 ■箱根駅伝予選会 ■東日本縦断駅伝 ■全日本大学駅伝 ■東日本実業団女子 ■国際千葉駅伝 ■全日本大学女子駅伝 ■全日本実業団女子 ■全国高校駅伝 ■全日本実業団駅伝 ■箱根駅伝 ■都道府県女子駅伝 ■都道府県男子駅伝 ■横浜国際女子駅伝 ■エピローグ
■福島テレビ ■
■Back Number ■駅伝ひとくちメモ 掲示板へ ![]() |
第16回を数える東日本女子駅伝は11月12日(日)、例年のように18チームが参加しておこなわれ、東京が大会新記録で2年ぶり6回目の優勝を果たした。 本大会は東日本ブロックの都道府県対抗形式の女子駅伝である。女子長距離の底上げのために儲けられた大会のひとつ、その開催意図はそれなりに納得できるが、いつも疑問をいだくのは開催時期についてである。 各チームは実業団、大学生、高校生、中学生で構成されるが、実業団選手は全日本の予選が終わったばかり、高校生も全国高校駅伝の予選が終わったばかりである。埼玉のように毎年。県予選が重なってしまうケースもある。 中心になるのは実業団と高校生だが、主力選手はいずれも大きな目標をかかえているから、なかなかベストの顔ぶれがそろわない。中途半端な時期に開催されるために、次のステップへの足馴らしにもならない。そういう意味で同じ東日本ブロックのレースでも男子の東日本縦断駅伝とはちょっと様相がちがうようである。 女子の場合はとくに高校生のランナーがチームの中核をしめる。そういう現実から考えると、開催時期に一考の余地があるだろう。 駅伝レースも実業団、大学、高校、中学……と、位置づけがはっきりしてきた昨今、都道府県対抗形式のレースが必要かどうかまで突き詰めてゆけば、全国大会につながらない本大会のようなレースの無用論にまで発展しかねない。けれども、中学生ランナーが高校生や実業団選手と同じスタートラインに立てる数少ないレースという意味で本大会は貴重である。
どういうわけかハナから理屈っぽくなってしまったが、レースそのものは今年もおもしろく観戦できた。実業団が昨年以上に主力を囲ってしまったきらいがあるが、最後まで目が離せなかったのは、渋井陽子や高橋千恵美が出てきてくれたからだろう。 先の東日本実業団女子の3区で区間新、三井海上に初優勝をもたらした渋井は、1万メートルぐらいなら現在の日本では最強のランナーである。高橋千恵美もトラックよりもロードでこそ実力を発揮するタイプである。ベテランの高橋と昨年から今年にかけて急成長の渋井との直接対決がみどころのひとつでもあった。 本大会は京都の全国都道府県大会と同じように最終9区の10キロに実業団選手の大砲を用意できるかどうかが大きなポイントになる。大砲が無理なら9区までのつなぎの区間で貯金をつくっておくしかない。 一昨年は東京が最終区に竹元久美子を配して、筋書き通りにひっくりかえした。昨年は千葉が2つの中学生区間でしっかり貯金をつくって、東京・竹元の追撃をしのぎきった。 今年の優勝争いは実業団選手をそろえた東京、千葉、神奈川、茨城、宮城というところであったが、最終区の顔ぶれからみて、東京、宮城が有力、千葉が連覇するなら、やはり昨年と同じように最終区までに2分ぐらいのリードがほしいところだった。
レースの興味はもっぱら最終区に大砲をもつ東京と宮城の位置どりであった。昨年優勝の千葉も含めて他のチームがこの両雄に勝つには、1区〜8区で勝負する必要があるというわけである。 最終区が一番のポイント、その次に重要なポイントといえば、やはし出だしの第1区である。8区までに決着をつけたい千葉はもちろん、最終区で勝負をかける東京、宮城にしても第1区で好位をマークしておきたい。 千葉はリクルートの横田玲美、東京は富士銀行の鈴木由美子とともに実業団選手を投入してきた。両選手は4.5キロで先頭に立ち、マッチレースの構図ができあがったが、新潟の山口麻衣子がからんできて、怖い者知らずの高校生に2人はあっさりと葬られた。本大会はいつも思わぬ伏兵が飛び出してくる。おもしろさのひとつは意外性のあるところというべきか。 東京、千葉は秒差の2〜3位と順調な滑り出しをみせたが、もう一つの候補宮城はなんと17位と出遅れてしまった。すっかり流れに乗りそこねたのか4区を終わっても13位と低迷、前半で早食くも圏外に去ってしまった。 終始、トップを争ったのは昨年の覇者・千葉と東京、神奈川であった。3区以降6区までは上位3チームが秒差の争いで順次にトップに立つというありさまであった。なかでも東京の選手たちはいずれも区間上位を占めるという堅実な走りをみせていた。渋井に出来るだけいいポジションででたすきをつなぐことに徹したのが勝因というべきだろう。 千葉は4区でトップに立ったが、5区で東京に明け渡し、6区では東京を抜いたが神奈川にトップを奪われた。8区の中学生は期待どおりに快走したが、最終的に東京に26秒しか差をつけられなかった。8区でトップに立った神奈川も50秒の貯金しかつくれなかったのが最終逆転の下地となった。 東京をめぐる1〜8区の千葉、神奈川の攻防は、それぞれの思惑が見え隠れして、なかなか見応えがあった。
トップまでが1分以内ならば現在の渋井陽子にとっては、まさにカモの先走りというところか。1.5キロ付近で早くも千葉の熊谷をとらえた。前半5キロを15分31秒というハイペース、5.1キロで、あっさりと神奈川の佐々木律子をとらえてしまった。最終的には先の東日本実業団でマークした31分09秒にわずか2秒だけおよばなかったが、竹元久美子の区間記録を大幅に上回った。 前傾姿勢の独特のフォーム、渋井の走りはいかにも力感にあふれていている。高橋尚子や市橋有里などとは異なる新しいタイプのランナーである。全日本女子駅伝の走りを注目して見守りたい。 宮城は下位に低迷したために高橋千恵美と渋井の対決は実現しなかったが、高橋も今大会で復活した。11位でたすきを受け高橋は6人抜きの5位まで宮城を押しあげてきた。ひさしぶりに切れのあるピッチ走法、31分27秒は渋井におよばなかったものの、彼女もまた竹元の区間新記録を更新した。ともに岐阜での快走を期待したいと思う。
今回の大会は首都圏チームの活躍が目立った。とくに3位にとびこんだ神奈川の健闘ぶりが光った。千葉、東京を相手にして、むしろ互角以上に戦っていた。3区、6区、7区で区間1位を獲得するなど、8区までの主導権をにぎっていたのは神奈川だった。それは先の東日本実業団でも活躍した松下通信の選手がはいって活力を注いだからだろう。 18チームのうち実業団選手を使ってきたのは、やはり首都圏チームで、宮城、埼玉、東京、千葉、茨城、神奈川、静岡というところ、他の11チームはいずれも高校生が主力、あとは大学生、中学生で構成されていた。 優勝にからんできたのはやはり実業団選手をもつチームである。そういう意味で実業団選手が1人もいない栃木の4位、福島の6位、7位の山形、10位の北海道は大健闘の部類だろう。逆にあさひ銀行勢が5人をもつ埼玉、日立勢5人をもつ茨城の8位、9位というのはどういうことだろうか。 昨年から「ふるさと競技者制度」が導入され、初年度は有力な実業団選手がレースの活性化に貢献した。だが今年はこの制度を援用して故郷から出場した実業団選手は1人もいない。首都圏対決になってしまったのは多分そのせいもあるだろう。結果的にせっかくの「制度」も骨抜きになってしまったのが惜しまれる。
|
|
|Home| 連 載 |電脳エッセイ|電脳エッセイ|競馬エッセイ|ゲストコーナー|
Copyright(c) 2000-2001 Takehisa Fukumoto All rights reserved. |