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今年のニーイヤー駅伝はかなりの激戦になるだろうとみていた。3連覇をめざすコニカが東日本実業団で日清食品に足下をすくわれた。3連覇の足がかりを築くために、圧勝しなければならない大会に敗れ、日清食品の台頭をゆるしてしまった。中国大会では中国電力が圧勝、ストップ・ザ・コニカの1番手に躍り出てきた。ほかでもトヨタ、カネボウ、富士通などもあなどれない存在であった。 昨年以上にきわどい勝負になるかと思われたが、フタをあけてみれば、コニカの圧勝に終わった。昨年のメンバーがそれぞれ成長したうえに、さらにZ・ガソが帰ってきたのだから、当然といえばそれまでだが、観戦者の目からからすれば、きわめて淡白なレースに終わってしまい、いささか物足りなさを覚えた。 壇上で勝利インタビューに答えるコニカの選手たち、なかでも酒井勝充監督の恵比須さんのようにほころんだ顔をみているうちに、ふと考え込んでしまった。駅伝監督とは何なのだろう?……と。それは、小出義雄のことが脳裏をかすめたせいである。昨年末に突如として積水化学の監督・小出義雄の退社が発表されたとき、一瞬「なぜ?」と考え込んでしまった。表向きな退社の理由は後進(深山コーチ)に道をゆずるためだという。いかにも唐突で何かウラがありそうな気がするが、それを追求すると時評のワクからはみだしてしまうので、ひとまずは措く。 積水からはなれた小出義雄は自身が立ち上げた佐倉アスリートクラブ(SAC)の活動に に専念することになる。「世界で戦えるランナーを育てたい……」というのがSAC発足の趣旨である。 そういうモノサシで今回の行動の寸法を測れば、企業に身を置いていれば、世界で戦えるランナーは育てられないということになる。 奇しくも駅伝のメインイベントというべき「ニューイヤー駅伝」「箱根駅伝」を目前にしての退社発表は、いかにも唐突みえるが、ただの偶然ではないようにも思える。深い追求はさしひかえるが、良くも悪くも駅伝で結果を出すことをもとめられる実業団を頂点とした日本型の陸上システムに、ともかく一石を投じるカタチになったという意味で、きわめて興味深いものがある。
昨年の大会は上州特有の「空っ風」が吹かなかった。スピード勝負の駅伝になり上位4チームが総合タイムの記録を更新、区間成績でも7区間のうち5区間までが区間新記録であった。スピードをを誇るチームは笑い、強風下の耐久力勝負にかけたチームは泣いた。 今年の大会も風は吹かなかった。ほとんど無風状態というまれにみる気象条件、優勝したコニカは44秒も記録を更新、1、4、6の3区間で区間新記録がとびだした。 第1区はコース変更されてから、第3区とともに外国人選手が活躍の場をもとめてくる区間になったが、今年もホンダのカビル、アラコのマイナがとびだした。JFEのカギカもくわえて、先の高校駅伝と同じようにケニア勢が先頭争い。5キロ=13分47秒といえば前回を30秒も上回っているが、それは気象条件にめぐまれたせいだろう。 カビル、マイナのスパート合戦を繰り返し、10キロ通過がなんと28分08秒というから、ものすごいペースである。これでは駅伝を戦っている日本人選手はムリをして追ってゆかない。そんななかで積極的に前に出て行って、いぶし銀のような走りをみせたのが磯松大輔(コニカ)である。 カビル、マイナを追うカギカをペースメーカーにして追走、ベテランらしく走りのリズムを掴んだようである。早いペースに翻弄されることなく、自分の走りを見いだした。粘りに粘って、トップからおよそ13秒遅れの3位よいうのは3連覇をねらコニカにとっては、願ってもない好発進だったといえる。
2区が最長区間になってから、1区はいわばつなぎの位置づけになった。1区の成績は仮順位にすぎず、最長の2区が終わった時点で、ひとつの流れが出来あがる。1区と2区はセットでとらえて、3区からもういちどヨーイドンとなる。 今年も1区を終わったときには、ホンダ、アラコ、コニカ、NEC、トヨタ,中国電力、JFE、YKK、カネボウ……と、およそ20秒の間に10チームがはいっていた。 2区はいると、カネボウの高岡寿成、日清食品の諏訪利成が追い上げてきて、9キロすぎまで10チームが集団を形成すつという大混戦になった。1区で大きく遅れた富士通は別にして、コニカ(松宮隆行)、中国電力(油谷繁)、日清食品(諏訪利成)、カネボウ(高岡寿成)、トヨタ(浜野健)と主力どころはダンゴ状態になったのである。 集団の中心は高岡寿成だが、反応がにぶく、動きがいまひとつ。それが最後までもつれる要因となったようだ。13キロを過ぎても集団はゆるがなかった。ようやくレースが動き出したのは19キロ付近からで、松宮と油谷、高岡の3人が抜け出した。スピードの切れ味で勝負する高岡、粘りが身上の油谷、がむしゃらに闘志をむきだしにする松宮、好対照をなす3人のスパート合戦は、今大会でいちばんの見どころだった。 松宮が出ると高岡が追いすがり、油谷がかわして先頭に立つ。21キロ地点で高岡がスパートしたが、抜群の反応をみせる松宮がロングスパート、そのまま中継点にとびこんでいった。猛烈な形相とでも形容すべき神経を顔中にはりつめながらひたすら前に前にと躰を運んでゆく、松宮の走りに3連覇にかけるコニカの執念をみる思いがした。
昨年と同じく2区でコニカはトップに立って、勝負の流れをひきよせた恰好だが、6秒差でカネボウ、7秒差で中国電力、27秒差で日清食品がつづいていた。3区からが正念場になったのだが、コニカには、ここにZ・ガソというスーパーエースを配することのできるという強さがあった。 ガソに10キロ=27分10秒というハイペースで突っ走られては、中国電力の尾方剛もカネボウの入船満もトヨタのマイナも策のほどこしようがなかった。ライバルの日清食品がここで2位にあがってきたが1分07秒差、3位の中国電力までは1分26秒もの大差がついてしまった。かくしてコニカの3連覇は11,8キロの3区で早くも決してしまったのである。 4区で日清食品は北田初男の快走(区間新)でひとたび47秒まで追撃してくるのだが、5区の小川博之が伸びなかった。逆に3年連続区間賞の坪田智夫に2分34秒にまで差をひろげられ、2位をまもるのがやっとというありさまだった。 独走状態になったコニカは以降、松宮祐行、酒井俊幸と実績のあるランアナーにつないで、危なげなく3連覇のゴールテープをきった。日清も中国電力も、コマが一枚足りずに、今回もまた、いま一歩のバーを乗りこえられなかった。
東日本大会を制して、注目されていた日清食品は、5区に予定した徳本が熱発で、やむなく6区に配するというアクシデント、中国電力も風邪で佐藤敦之が使えなかった。両チームにはそういう思わぬ紛れがあったらしいが、それを差し引いたとしても、分厚い戦力をもつコニカの敵ではなかった。新戦力も育っており、4連覇、5連覇も視野にはいってきたよである。 健闘したのは5位カネボウ、6位旭化成の古豪ではないか。ともに1区で好位置につけ、優勝争いにこそ加われなかったが、前回までのようなモロさがなくなってきている。若手が育ってくればさらに上積みがのぞめるだろう。 期待はずれは富士通である。今回は1区に起用した高橋健一が50秒差の14i位と出遅れたのが総てだった。高橋健一は「ミスター駅伝」という称号をあたえたほど、駅伝には実績のあるランナーだが、前回から目立って精彩を欠いている。そういう調子のあがっていない高橋を、あえて1区に使わねばならないところに、このチームの凋落傾向がほのみえるのである。期待のチーム・アラコも終わってみれば、なんと20位というありさま、上位争いを演じても不思議のない戦力をもちながら、ひとつくるえば昨年のカネボウ(16位)のように底がぬけてしまう。それが昨今のスピード駅伝の怖さというものなのだろう。 3連覇で1時代をきずいたコニカをめぐって、日清食品、中国電力の新興勢力、さらには復活気配のある古豪、旭化成、カネボウがどのように絡んでくるのか。次回のテーマはそのあたりになりそうだ。 ★開催日:2003年1月1日(日) 群馬県・前橋市・群馬県庁発着7区間100Km ★天候:出発時 曇り 気温2.8度 湿度81% 東の風0.7m ★コニカ(礒松大輔、松宮隆行、Z・ガソ、小沢希久雄、坪田智夫、松宮祐行、酒井俊幸) ☆大会の写真はやはり駅伝カメラマンの岡崎誠さんのサイト(ekidenn@photos)がいちばんでしょう。「区間賞の男たち」など新しい試みもはじまり、雰囲気が楽しめます。
区 間 最 高
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