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駅伝監督というのは、たまらない魅力があるのではないだろうか。ランナーと当然とはいえ、ひとりひとり個性がちがう。そういう選手たちの状態をバッチリ把握していなければ、レースには勝てないはずである。ある意味で野球やサッカーの監督とも一脈通じるものがあるでではないだろうか。 駅伝の監督はまさにオーケストラの指揮者というべきか。いちぢやったらやめられないのではないか。現実に脳裏で温めてきた作戦がずばりハマたときには、笑いがとまらないだろうと思う。 今回の神奈川の監督は、第1区からすでにして、心では笑っていたのではないだろうか。レース途中にのインタービューを受けたとき、うわべでは慎重なことばを重ねていたが、顔面にはこみあげてくる笑みの気配が包みきれずにこぼれていた。 神奈川は1区の高校生起用がみごとに当たった。女子駅伝では比較的高校生が活躍するケースが少なくない。京都の全国女子駅伝でも、毎年のように高校生が実業団の第1戦クラスを向こうに回して1区で健闘している。 チームには松下通信の中堅どころが顔を連ねているのに、あえて調子のいい高校生ランナーの1区起用を決断した。監督の発想というか創造性の勝利である。
神奈川の勝因はなんといっても1区の高山典子(相洋高)の快走である。スタートから積極的に前に前にと躯を運んでいった。積極的な走りで終始イニシャティブを握っていた。4キロ地点でのスパートもみごとというほかない。 神奈川は高山つくった流れにのって、最後までいちどもトップをゆずらなかった。松下通信を主体とする実業団の選手たち、高山を初めとする高校生が実にバランスよく機能している。区間賞は第1区の高山だけだったが、2人の中学生をのぞいて、ほかの6人はムラなく堅実に走ったのが、もうひとつの勝因である。6人ともいずれもが区間2〜3位を着実にキープしているのである。中盤までは千葉、埼玉がかわるがわる11秒〜15秒差に追いすがる場面もあったが、5区で追ってきた東京には57秒、6区で2位にあがってきた茨城には1分07秒、アンカーの加藤咲子にタスキがわたったときには、優勝候補筆頭にあげられていた東京には1分26秒、連覇をねらう千葉にはなんと1分54秒もの大差をつけていた。 東京のアンカーは加納由理(資生堂)、千葉は吉田香織(積水化学)、実績からみて競り合う展開なら、神奈川には分がない。だが1分以上の貯金があれば余裕をもって走れる。事実、加藤咲子はすっかりリラックスしてしまい、ベストに近いタイムで10キロを走ってしまったのである。
東日本女子駅伝は、文字通り、都道府県対抗で行われる女子駅伝だが、近年はどちらかというと、トップ選手は出てこないで、これからの選手たちのレースという色彩が濃厚になってきている。高校駅伝の予選を終えた高校生にとっては、本戦にむけての調整の一過程、実業団の選手にとっても東日本実業団を走ったばかりである。岐阜の本戦に出場する選手たちは、いわば緊張感保持の調整、出場権をのがしたチームの選手にとってはリベンジのレースとなる。 今回はメンバーからみて、混戦を抜け出してくるのは、東京、千葉あたりではないかというのが大方のみかたではあった。 東京は第1区に尾崎朱美(資生堂)を起用、連覇をめらう千葉も浦嶋ゆかり(積水化学)を使って主導権をにぎろうとしたようだが、神奈川の高校生・高山典子にあえなく粉砕されてしまったのである。東京は実業団選手3枚看板のうち5区の萩原梨咲(第一生命)と9区の加納由理がともに区間賞を獲得している。それでも勝てなかったのは繋ぎの区間がバラツキが大きかったからである。高校生、中学生が8位から9位あたりに低迷していたのは、1区と2区でいいリズムを作れなかったせいだとみる。 千葉も中盤で低迷したのが最大の敗因だった。市立船橋の選手たちがいまひとつ切れ味を欠いていたのは、やはり全国高校駅伝の疲労のせいだろうか。
前回3位の福島は神奈川とは対照的に1区で思わぬ後手を踏んでしまった。それがすべてだったろう。昨年は2区で区間賞をとった中村里沙(白鴎大)を使って、一気に勝負に出ようとしたようだが、48秒差の12位と沈んだのは誤算だったろう。7区の大野佑里子(田村高)が区間第1位で9位から5位まであ押し上げてきたが、すでに大勢は決していた。 3位の茨城は健闘というべきだろう。前回9位から大きく躍進してきている。福島とは逆に前半の2区からうまく流れにのった。2区の吉田亜紀子(日立)のがんばりは、岐阜へゆけなくなったウサ晴らしだろう。3区では玉岡志麻が区間賞をとるなど、茨城キリスト教学園高と日立勢の地道な粘走が総合3位をもたらした。 目立たないところでは、埼玉の6位は大健闘ではないか。埼玉はあさひ銀行と筑波大の選手が主体になっている。中学生もたとえば8区で中代唯(南中)が区間賞をとるなど強力である。これで高校生がそこそこなら優勝をねらえるチームになる。ところがである。埼玉では、この日、全国高校駅伝の予選会がある。高校生選手のほとんは出場できないのである。だからおのずと高校生は手薄になってしまう。3区、6区、7区に出場した高校生の区間成績がいずれも2ケタ順位(17 15 ,15)であることをみても、高校生の非力さは明白である。 埼玉県の全国高校駅伝予選と、東日本女子駅伝の日程が重なるかぎり、埼玉の優勝はありえないだろう。(このところ日程重複は数年もつづいている) 本大会は中学生にとっても晴れの舞台だが、奇しくも昨年と今年、t中学生区間(3区、8区)の区間第1位は同じランナーが獲得した。3区は山梨の飯野摩耶、8区は埼玉の中代唯は、いずれも2年連即区間賞であえる。若いこれからのランナーの大会にふさわしく、高校生になる来年は高山典子のような快走をみせてほしいものである。 ★開催日:2002年11月10日(日) ★天候:晴 気温10.6度 湿度74% 南東風1.0M ★神奈川(高山典子、杉原加代、横山智映、田中千裕、高橋富士子、田中さゆり、高橋瞳、石川愛美、加藤 咲子)
区 間 最 高
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