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駅伝シーズンも第2ラウンドにさしかかり、11月11日(日)には福島で東日本女子駅伝、関東では東日本実業団駅伝、福井では北陸女子駅伝が行われた。 福島でおこなわれる東日本女子駅伝は、実業団の新鋭、高校生、中学生がが活躍する大会である。昨年はあの渋井陽子が東京から出場、最終区で31分11秒という区間新記録の快走で東京に優勝をもたらした。今でこそ渋井はマラソン界のトップスターだが、一年前のいまごろは、大器の片鱗をのぞかせていたが、まだ無名の新人であった。そういう意味からいえば、この大会は成長株の若手を捜す楽しみがある。 時期的にみると、高校生、大学生、実業団ともに全日本の地区予選が終わったところである。つまり、それぞれが目標のレースに向かう途上に設けられた大会だということになる。 高校駅伝は12月下旬だから、まだかなり先の話だが、女子の大学駅伝、全日本実業団はまじかに迫っている。そんなわけで、大学生や実業団の有力選手の調子を占うという意味で、このレースは大いに意味がある。 今年は昨年の渋井、一昨年の竹元クラスの選手は顔をみせなかった。全日本クラスの選手といえば宮城から出場の高橋千恵美ぐらいで、例年にくらべても小粒な顔ぶれだったが、それでも千葉の山口麻衣子(積水化学)や栃木の赤羽有紀子(城西大)など、若くて勢いのあるランナーが楽しませてくれた。
気温15.1度、湿度73%、東北東の風2メートル……、この季節にしてはいくぶん気温が高めである。選手たちの顔ににじむ汗が初冬の陽光をあびて、きらきらと輝いていた。 最近の駅伝にしてはめずらしく勝負の構図は早くも第1区からくっきりと見え始めた。3キロをすぎて、高橋教子(東京)、菅野勝子(福島)、山口麻衣子(千葉)の3人が集団を割ったとき、中盤から終盤にいたるレースのあらましが、はっきりしてしまったのである。 観戦するほうからいえば、眼放しできないという意味での面白さは1区の攻防であった。高橋、菅野、山口に宮城の町田祐子を加えた集団をひっぱっていたのは地元出身の菅野勝子だった。だが終始レースを支配していたのはいちばん若い山口だった。3.5キロをすぎて菅野と山口のマッチレースになったが、余裕を持って2段スパートできる山口に一日の長があった。4.9キロで山口が前に出たとき、すでにして勝負そのもののゆくえが千葉にかたむいたとみる。 積水化学の山口麻衣子は昨年も同じ1区で区間賞を獲得、2年連続の区間賞である。当時は新潟の三条東高3年、もちろん新潟からの出場であった。昨年よりもタイムは悪かったが、実業団にはいって勝負師の顔がみえてきた。
千葉は第1区で早くもトップに立ったが、3強のせめぎあいは3区まで予断をゆるざす、勝負はまだまぎれる要素もあった。事実2区、3区になると、僅差ながら福島がトップに立ち、千葉は10〜12秒遅れの3位に甘んじているのである。 混戦を断ったのは、この種の駅伝では常識となっているが、走ってみなければ分からない4区の中学生の活躍であった。福島、東京をまとめて交わして、独走態勢の足がかりにをつくった。そして5区の那須川瑞恵が2位の東京に36秒もの大差をつけたとき、千葉の2年ぶり5度目の優勝は、もはや疑う余地がなくなった。 千葉の勝因は中学生の2人が実力通りに走ったこと、実業団のコマがそろっていたことだろう。1区には山口麻衣子、5区には那須川瑞恵、最終区には吉田香織というように、ポイントになる区間には積水化学の中堅どころを配している。まったく隙のない万全の布陣である。 千葉にしてみれば、2区と3区のもたつきは誤算だったろうが、逆に東京と福島はそのチャンスを生かせなかった。正念場で踏ん張りきれなかったところに敗因がある。 3強のほかでは、栃木、神奈川が健闘した。栃木はつねに5〜8位につけていたが、最終区の赤羽有紀子の快走で一気に4位までおしあげてきた。神奈川は埼玉、宮城を押さえて、いつのまにか5位にもぐりこんでいた。中盤以降の中学生、高校生の頑張りはみごとであった。区間賞などひとつもなくても、トップと3分差のところまでやってきているのだから、これは驚きである。
12月の全日本実業団に向けて、積水化学の仕上がりは、かなり順調なようである。中堅どころの那須川、若手の山口は区間賞、吉田香織もそれに匹敵する記録で走破している。高橋尚子の出来しだいだが、岐阜ではかなり期待できそうである。たとえば高橋の「忍」と渋井の「奔放」な走りのぶつかりあい、そこに怖いモノ知らずのニューウエーブ・福士加代子(ワコール)が絡んでくれば……。こんなことを考えるだけも贅沢というものだろう。 大学生の主力どころでは城西大の赤羽有紀子が栃木から、筑波の菅野勝子、山嵜麻子がそれぞれ福島から出場している。3人のなかでは赤羽有紀子の調子があがっているようである。赤羽は6位でタスキを受け、埼玉、神奈川を抜いて4位まで栃木を押しあげてきた。32分11秒という走破タイムは宮城の高橋千恵美や千葉の吉田香織をはるかに上回っている。1万メートルの学生記録は31分47秒(木村泰子)だから、かなりの好記録で、今年のインタハイの優勝タイム(33分17秒)も大きく上回った。テレビに映らなかったから、それほど目立っていないが、今大会の収穫のひとつといえる。赤羽にとっても、全日本に向けて弾みがつくだろう。昨年と同じように、藤永佳子の足もとをすくうかどうか。楽しみがまたひとつふえた。 ☆第17回東日本女子駅伝競走大会 2001年11月11日 福島県福島市信夫ヶ丘競技場発着の9区間=42.195km ☆千葉(山口麻衣子、村藤幸江、渡辺樹里、林由理江、那須川瑞穂、渡邊博子、鈴木唯、田村麻衣、吉田香織)
区 間 最 高
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