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浜の赤煉瓦…… ゴール前に連なる赤煉瓦倉庫は94年の歴史を誇る。数ある駅伝コースのなかでこれほど景観にすぐれたコースはちょっとほかには見あたらない。 23回目を数える横浜国際女子駅伝は、日本女子の長距離の発展とともに歩んできた。女子長距離の歴史そのものである。ところが近年は年を追うごとに海外からやってくるナショナルチームが減ってゆく。今年にいたってはなんとわずか6チームである。第2回優勝のイギリスは3年前から姿を消し、海外組では最多出場のアメリカも今回は来ていない。オーストラリア、ニュージランド、カナダ、それに過去優勝経験のあるノールウェーも来なくなって久しいものがある。 今回も顔を見せてくれたロシア、エチオピア、ケニアいえば世界のトップクラスだが、選手たちは完調では来ていない。たとえばロシアの第1区のサミトワ、3000mの世界新記録保持者で、今大会でも1区の区間記録保持者だったが、2.5Kmで早くも遅れ出す始末である。 外国勢はサミトワに象徴されるように、レースでもあまり本気になっていない。すっかり親善目的のレースになってしまったようで、かつての盛りあがりぶりを知っているファンの1人としては、なんとも淋しく感じられる。 時評を書くのが大幅に遅れたのは、のっぴきならぬ仕事のせいだが、半分はレース自体が沈滞ムードにおちいっているでいもあった。 それにしても……。 国際駅伝での日本ナショナルチームの圧勝、しばらくエチオピアやロシアに刃が立たなかったので、ずいぶんんと久しぶりだなあ……という感じがする。土佐をのぞく5人は好調ぞろいだったから、まあ、これぐれいの成績は当然だろう。
前半のポイント第1区は見応えがあった。ロシアのサミトワ、ケニアのキムウェイ(サニックス)、ケニアのアレガウイに日本の山中美和子が加わって、面白い展開になった。 千葉クロカン優勝の山中美和子が好調さを持続していたようである。スタートから引っ張る展開にもちこんだ。1k=3:05のペース、このメンバーならまずまずというところか。 1.8kmでケニアのキムウェイが山中と併走にもちこむ。2.5kmで前述のようにサミトワが脱落、3km=9.23ながら、4.0kmでルーマニアが遅れてしまった。 残り1kmで残っていたのはエチオピアのアレガウイ、日本の山中美和子、さらには神奈川の杉原加代、関東選抜の石山しおりがむしろ山中をしのぐ勢い。 最後は残り500での叩き合いになった。混戦を割ったのはエチオピアのアレガウイ、だが神奈川の杉原加代がしぶとかった。アレガウイを追って粘りに粘った。1秒遅れながら区間新記録の走り、大健闘というべきであろう。 日本ナショナルチームの山中美和子は関東選抜の石山とともに3秒遅れ、まずまずの出来というところ。優勝候補筆頭のロシアはエースのサミトワが12位に沈み、早くも優勝圏外に去った。 3位におわったものの山中美和子の走りはみごとだった。名うてのスピードランナーながら長く怪我に泣いていた。完全復活まじかというところか。
日本の優勝がみえてきたのは2区である。グリゴリエワを持つロシアが大きく遅れているだけに、加納由理の走りがひとつのポイントであった。 加納は落ち着いて入ったが、よほど調子が良かったのだろう。早くも400mでエチオピアを交わしてしまった。ゲタナーも懸命にくらいついていたが、加納のペース配分はみごとだった。 後方からはルーマニアのシモンが背後からきたグリゴリエワとともに、じりじりと上がってくる。シモンが4人を抜いてところでグリゴリエワが追いすがり、併走でどんどんと追い上げてくる。 後方の争いを尻目に加納は逃げた。5キロでも一番時計、その後も勢いが衰えることなく。8.7kmでスパート、追いすがるエチオピアのゲタナーをあっさり振りきった。小鳥田貴子の区間記録を16秒も更新する快走ぶり、2位エチオピアには16秒、3位のケニア、4位にあがってきたロシアには50秒あまりの大差をつけてしまったのである。 ほかでは九州選抜の扇まどか、最下位から一気に7位まで押しあげてきた走りにもみるべきものがあった。
日本の4区の大越一恵も好調だった。 3k=9:17、4k=12:23、5K=15:40……。ハイペースだったが、そのまま押し切ってしまう。終わってみればなんとなんと区間新記録である。当面のライバル・エチオピアとの差は37秒、流れは一気に日本に傾いた。 4区吉野恵もなかなかのものだった。この区間にはロシアのジョブコワ、エチオピアのキダネなどがいたが、5k=15:55でカバーすると最後は19:04、ジョブコワの18:17にはおよばなかったが、堂々の区間新である。 5区の佐藤由美も日本に傾いたプラスの流れを引きついだ。5k=15:52という快調なペースを堅持して突っ走った。ロシアのボゴモロワとケニアのヴォルクが熾烈な2位争いを演じているのを尻目に、区間賞オマケつきで逃げ切ってしまう。 5区を終わって日本を追っかけるのは2位にあがってきたロシア、その差は56秒、3位のエチオピアとの差は1分53秒……。最終区の距離を考えれば、もはや選手としての盛りをすぎた土佐礼子でも、まあ、なんとかなるだろう。というわけで、日本の優勝はほぼ確定した。 テレビの前でそんな悪口を言っていたのが聞こえたのか。土佐の1kmの入りが3:03というから速かった。だが5000mでは世界で一番速いといわれるデファールはなんと2:55秒で入っていた。競っていたらひとたまりもなかろうが、2分以上の貯金があるから、左うちわの展開だった。 ケニアはヌデレバがやってきて、相かわらず元気なところをみせてくれたいた。
横浜国際女子駅伝をもって、今シーズンに駅伝はすべて終了した。 駅伝ブームが始まったのは、ちょうど本大会がはじまった23年前だが、時代は移りつつある。当時は海外招待チームにまるで刃が立たなかった。日本にやってくる外国選手の学ぶというのが日本女子の実態だった。 ところが現在では女子長距離に関するかぎりというよりも、女子マラソンに関するかぎり、世界のトップ級までやってきた。駅伝がそのままマラソンにつながったというわけではないが、駅伝ブームで女子長距離のすそ野がひろがり、そこから有力選手が育ってきた。横浜国女子駅伝はそういう意味で大きな役割を果たしてきたといえる。 日本の女子長距離は駅伝に代表されるように、企業システムによって支えられ、成長してきた。おのずとスポンサーの企業に勢いがあるかどうかに大きく左右されることになる。ところが、昨今は長距離に関するかぎり、金融関係を中心に企業スポーツから撤退する企業があいついでいる。今年もかつてトップクラスにあったUFJ銀行が3月かぎりで撤退する。大南敬美・博美の姉妹はトヨタ車体に移るという。 全日本のトップに立ったこともあるチームでも安泰ではない。ブームから一転、現在はそういう時代なのである。 ★開催日:2004年2月27日(日) 神奈川・みなとみらい21「横浜赤レンガ倉庫」発着 42.195Km ★天候:午後1時 晴れ 気温6.4度 湿度24% 北北西の風1.7m ★ 日本(山中美和子、加納由理、大越一恵、吉野恵、佐藤由美、土佐礼子 )
区 間 最 高
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